不動産投資でレバレッジをきかせるメリットは?効果や注意点も徹底解説

本記事では、不動産投資のレバレッジとは何か解説し、レバレッジを効かせる効果について、具体例を示して説明します。不動産投資の魅力はレバレッジを効かせられることですが、活用するうえで注意すべき点もあわせて解説していきます。不動産投資を成功させたい方は必見です。
記事の目次
不動産投資のレバレッジ効果とは?

不動産投資におけるレバレッジ効果とは何でしょうか。そもそもレバレッジとは、てこの原理を示す言葉で、小さい力で大きなものを動かす状態を指します。不動産投資でいうレバレッジとは、自己資金に加えて不動産投資ローンを利用する方法で、より大きな資産を購入し、投資のリターンを増大させる手法です。少ない自己資金で多額の資産を運用することにより、投資効率を高めます。
レバレッジを効かせると、自己資金だけでは購入できない高額な投資用物件を購入でき、投資規模を大きくできます。投資規模が大きくなると、それだけ大きなリターンを見込める点が魅力。さらに、投資用物件からの収益が不動産投資ローンの利息と返済額を上回れば、自己資金に対するリターンが増加します。不動産投資ではレバレッジを効かせると、さまざまな効果が期待できます。
不動産投資でレバレッジを効かせた場合のシミュレーション

本章では事例を用いて、不動産投資でレバレッジを効かせている状態と、効かせていない状態をシミュレーションし、それぞれの効果を比較してみます。
自己資金に借り入れを加えて投資用物件を購入する場合
同額の自己資金を保有していると仮定して、レバレッジを効かせない場合と、効かせる場合を比較します。
レバレッジを 効かせない場合 |
レバレッジを 効かせる場合 |
|
---|---|---|
自己資金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
借入金額 | なし | 3,000万円 (金利3%/毎年の返済額120万円) |
購入物件 | 2,000万円 | 5,000万円 |
利回り(※1) | 10% | 10% |
年間家賃収入 | 200万円 | 500万円 |
利益(※2) | 200万円 | 380万円 |
(※1)利回りは、年間の家賃収入から物件価格を割って算出
(※2)実際には修繕費などの経費が発生し、純利益にはなりませんが、考慮しないものとしています
シミュレーションから考えると、レバレッジを効かせない場合の利益は200万円に対し、レバレッジを効かせた場合の利益は380万円です。実際には、さまざまな経費が発生し数値が前後しますが、概算としては上記のようになります。レバレッジを効かせると、利益が増加したことがおわかりいただけるでしょう。
自己資金を残して投資用物件を購入する場合
次にレバレッジを効かせ、自己資金を残す場合を考えてみましょう。前述では、異なる価格の投資用物件を購入した場合を想定しましたが、今回は同じ価格の投資用物件を購入する場合のシミュレーションをします。
レバレッジを 効かせない場合 |
レバレッジを 効かせる場合 |
|
---|---|---|
自己資金 | 4,000万円 | 4,000万円 |
借入金額 | なし (自己資金のすべてを投資) |
4,000万円 (自己資金のうち1,000万円を投資、金利3%/毎年の返済額120万円) |
購入物件 | 4,000万円 | 4,000万円 |
利回り | 10% | 10% |
年間家賃収入 | 400万円 | 400万円 |
利益 | 400万円 | 280万円 |
手元資金 | 0円 | 3,000万円 |
レバレッジを効かせない場合の利益は400万円に対し、レバレッジを効かせた場合の利益は280万円です。借り入れをしてレバレッジを効かせたほうは利益が少なくなっていますが、手元の資金は3,000万円残っています。この資金を利用して再投資すればさらに利益を増やせるかもしれません。レバレッジを効かせると、手元の資金を残せる利点もおわかりいただけるでしょう。
不動産投資でレバレッジを活用する時の注意点

レバレッジを効かせると利益を増やせるなら、さらに活用しようと思う方もなかにはいらっしゃるでしょう。しかし、際限なく活用すればよいと考えている方は要注意です。活用を誤れば、収益を増やすどころか減らしてしまう恐れがあります。レバレッジを活用する時の注意点は以下です。
借入金利が利回りを上回らないようにする
借入金利が利回りより高い場合、レバレッジを効かせることが逆に収益を下げてしまう要因になる点に注意です。そのような状態を逆レバレッジといいます。例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
レバレッジを 効かせない場合 |
レバレッジを 効かせる場合 |
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---|---|---|
自己資金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
借入金額 | なし | 4,000万円 (金利6%/毎年の返済額240万円) |
購入物件 | 2,000万円 | 6,000万円 |
利回り(※1) | 5% | 5% |
年間家賃収入 | 100万円 | 300万円 |
利益(※2) | 100万円 | 60万円 |
この場合、年間の返済額が240万円になると、年間家賃収入から差し引くと利益は60万円です。そうなると、レバレッジを効かせなかったほうが、利益が大きくなってしまいます。利回りが低くなりがちなのは、新築・築浅の物件や、都心部の物件など。借入金利が利回りを上回る状態になり、逆レバレッジとなる事態は避けましょう。
実質利回りが低い投資用物件を避ける
そもそも利回りが低い投資用物件は避けるようにすることはもちろんですが、経費などを差し引いた実質利回りが低くなるような投物件には投資しない点も重要です。想定していた利回りよりも低くなってしまうと、レバレッジ効果を発揮できない可能性があります。投資用物件の購入では期待利回りだけでなく、実質利回りも考慮しなければなりません。
借り入れが多すぎると負担が重くなる
不動産投資でレバレッジを活用する方法は、少ない自己資金で大きなリターンを得られるための強力な手法です。しかし、レバレッジを使いすぎると逆にリスクが高まり、投資家にとって過度な負担となる可能性がある点を忘れてはなりません。
まず、借入金額が多いと、毎月の不動産投資ローンの返済額が大きくなります。そうなると、投資用物件から得られる家賃収入が不動産投資ローンの返済に充てられ、手元に残るキャッシュフローが圧迫されてしまいます。キャッシュフローが不足すると、投資用物件の維持管理や修繕などに必要な資金が用意できなくなり、不動産投資ローンの返済が滞る可能性も。最悪の場合、投資用物件を手放さなければならないかもしれません。不動産投資でレバレッジを活用する方法は魅力的ですが、借り入れが多すぎるとさまざまなリスクが生じます。はじめからリスクを十分に理解し、適切な借入金額を設定することが重要です。
不動産投資でレバレッジを有効活用するポイント

不動産投資でレバレッジをうまく活用することは、成功させるうえで必須です。ではどのようにすればレバレッジを有効に活用し、利益を増幅できるのでしょうか。本章では、レバレッジを有効活用するポイントを紹介します。
できるだけ低金利の不動産投資ローンを利用する
レバレッジをうまく活用するポイントは、できるだけ低金利の不動産投資ローンを利用することです。低金利のローンを利用すると、返済額を抑え、キャッシュフローが改善し、投資のリターンを最大化できます。低金利のローンを利用できる金融機関は一般的に、都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、ノンバンクの順。都市銀行は大規模な金融機関であり、低金利のローンを提供していますが、融資条件が厳しく、利用が難しい可能性もあります。
地方銀行や信用金庫・信用組合も地域密着型で、低金利のローンを提供している場合もあるため、幅広く検討し、最適な不動産投資ローンを見つけましょう。低金利のローンを契約するためには、長年取引のある金融機関に相談したり、信用できる不動産会社から紹介してもらうなどの方法があります。複数の金融機関から見積もりをとり、金利や条件を比較することも重要です。
できるだけ利回りの高い投資用物件を購入する
レバレッジを有効活用するためには、利回りの高い投資用物件を購入する点も重要です。利回りの高い投資用物件を選べば、投資効率を最大化し、不動産投資ローンの返済もスムーズにおこなえます。利回りが高い投資用物件を見つけるには、インターネット上の不動産ポータルサイトを利用したり、不動産会社を回るなどの方法が有効。インターネットを利用すれば、自分でも簡単に検索でき、不動産会社に相談すれば担当者のネットワークや知識を活用して、インターネットには掲載されていない優良物件に出合える可能性もあるでしょう。不動産情報サイト アットホームでも、投資用物件を検索できます。ぜひご活用ください。
利回りの高い投資用物件を見つけても、賃貸需要が低く、入居者集めに苦戦するようでは、利回りを維持できません。そのため、賃貸需要が高いかもよく吟味しておきましょう。賃貸需要が高くなるのは、通勤や通学に便利な駅近物件や、ショッピングセンターや飲食店が多いエリア、大学や企業が集中しているエリアなどです。
できるだけ投資期間を長くとる
レバレッジの効果を最大化するには、投資期間を長くとる点が重要です。まず、長期の不動産投資ローンを利用すると、毎月の返済額を低く抑えられます。そうすると、初期のキャッシュフローが安定しやすくなることが利点です。また、長期にわたる不動産投資は、リスク分散の観点からも効果が。投資期間が短いと、短期的な市場変動や物件のトラブルへの対応が困難ですが、長期投資であれば、より柔軟に対応が可能です。不動産市場には景気の波があり、短期的には価格が下落するリスクもありますが、長期的にみる余裕があれば、これらのサイクルを乗り越え回復できます。長期投資には税制上のメリットもあり、長期保有特定の税優遇制度や減価償却費の計上などが利用できるため、投資期間を長くとることが重要です。
不動産投資のレバレッジ活用に関するよくある質問
不動産投資でレバレッジを活用する点に関連するよくある質問をまとめました。
不動産投資のレバレッジ効果とは?
不動産投資のレバレッジ効果とは、少ない自己資金でも借り入れを利用して、大規模な資産を購入し、投資のリターンを増大させることです。レバレッジを活用すると、高額な投資用物件の取得や大きな投資規模を実現でき、収益が上がります。
不動産投資でレバレッジを効かせるとどうなる?
不動産投資でレバレッジを活用すると、利益を大幅に増やせる可能性があります。シミュレーションしたように、収益に差が出る点が明白です。しかし、実際には修繕費などの経費が発生し、純利益は前後するので、その点に注意しましょう。
不動産投資でレバレッジを活用する時の注意点は?
レバレッジを活用する際は、以下の点に注意しましょう。まず、借入金利が利回りより高いと逆レバレッジとなり、収益が減少するリスクがある点です。また、実質利回りが低い投資用物件は避けましょう。経費を差し引いたあとでも高い利回りが得られる投資用物件を選ぶ点も重要になります。さらに、借入金額が多すぎると毎月の返済負担が大きくなり、キャッシュフローが圧迫される点にも注意が必要です。投資用物件の維持管理や修繕が困難になると、最悪の場合、投資用物件を手放さなければならないかもしれません。レバレッジの効果を最大化するには、適切な借入額の設定が不可欠です。
不動産投資のレバレッジを有効活用するポイントは?
レバレッジを有効活用するポイントは、低金利の不動産投資ローンを利用し、高利回りの投資用物件を購入し、できるだけ長期間投資をすることです。できるだけ低金利の不動産投資ローンを利用することで、返済額が抑えられます。金融機関は、都市銀行や地方銀行、信用金庫など、複数の金融機関から見積もりをとる方法がおすすめ。次に、利回りの高い投資用物件を購入するようにしましょう。不動産ポータルサイトや不動産会社を利用し、賃貸需要が高いエリアを選ぶ方法がおすすめです。最後に、投資期間は長くとるようにしましょう。長期間の不動産投資ローンを利用するとキャッシュフローを安定させ、リスク分散や税制上のメリットを享受できます。
まとめ
本記事では、不動産投資のレバレッジとは何か解説し、レバレッジを効かせる効果を、具体例を示して説明しました。不動産投資の魅力はレバレッジを効かせられることですが、活用には注意が必要です。よく理解して、レバレッジを最大限に活用して不動産投資を成功させましょう。

執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ