不動産投資はインフレ対策に有効?その理由や注意点と活用ポイントを徹底調査!

本記事では、インフレとは何か、不動産投資がインフレ対策に有効なのはなぜかを解説します。また、インフレ対策を不動産投資でおこなう場合の注意点とポイントも解説。不動産投資をうまく活用し、適切なリスク管理と資産運用をおこないましょう。
記事の目次
インフレとは?

インフレとは、物価が全体的に持続的に上昇する現象です。例えば、1カ月の生活費がこれまで20万円だった場合、5%のインフレが起きると、21万円になります。インフレに応じて、収入もアップすれば問題はありません。しかし、収入が変わらなければその分、収入に占める支出の割合が増え、生活が苦しく感じるようになるでしょう。では、インフレになると生活がどのようになるか、掘り下げてみましょう。
インフレになるとどうなるか
インフレが起きると、お金の価値が相対的に下がるため、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減少してしまいます。例えば、これまで100円でハンバーガーを買えていたものが200円になってしまうと、100円を持っていても商品が買えません。一方、融資を受けているなど借金をしている場合、その実質的な価値が下がるため、インフレは借り手に有利になる一面もあります。
インフレの主な原因
インフレの発生には、さまざまな原因があります。例えば、「需要インフレ」。これは、経済が活況で人々が多くの物を買いたがる時期など、消費者や企業の需要が増加し、供給が追いつかない場合に発生します。
続いて、「コストプッシュインフレ」。これは生産コスト(賃金、原材料費など)が上昇し、その結果として商品の価格が上がる場合に発生します。例えば、石油価格の急上昇が製品のコストに影響を与える場合です。
さらに、「ビルトインインフレ」。賃金と物価の上昇が互いに影響し合う現象も要因になります。労働者が物価上昇にともなって賃上げを要求し、それが製品価格の上昇を招くサイクルです。
インフレの対策
インフレが過剰になる場合、中央銀行は金利を引き上げる金融政策を実施し、消費や投資を抑制してインフレを抑えます。インフレは適度であれば経済成長を促すことがあります。しかし、過度になると経済全体に悪影響を与える可能性があるため、適切な管理が重要です。政府も支出を削減したり増税したりと、経済の過熱を防ぎます。
政策以外にも、私たちが身近に実施できるインフレ対策はあるのでしょうか。有効なのは、インフレに備えて価値が落ちにくい資産を保有することです。インフレに強い資産とは金などの現物資産で、「不動産」もその一つになります。
不動産投資がインフレ対策に有効な理由は?

不動産は現物資産の一つで、インフレ対策に有効とされますが、その理由は何でしょうか。本章では、不動産投資がインフレに強い理由を解説します。
資産価値が下がりにくい
不動産投資がインフレに強い理由の一つは、モノ自体に価値があるためです。通常、インフレになると、現金は価値が相対的に下がります。すると、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減るなど、影響を強く受けてしまいます。
一方で不動産は、モノ自体に価値があるため、景気の動向で急激に価格が揺れ動く心配はありません。インフレ環境下でもその価値を維持、または増加させる傾向があり、資産価値が下がりにくい特性を持っています。
インフレに応じて家賃が上昇する
不動産投資がインフレに強い理由の二つ目は、インフレに応じて家賃が上昇するからです。インフレが進行すると、物価全般が上昇し、生活費や企業の運営コストが増加することは避けられません。この結果として、賃貸市場にも影響がおよびます。具体的な対策は、物価の上昇にともない、家賃の引き上げをおこなって、収益の減少を防ぐことです。これは、家賃がインフレの影響を反映するため、実質的な収入を維持または増加させる手段として機能するでしょう。
家賃の上昇は、投資物件の運営コストが増加するため、オーナーにとって必要な措置です。例えば、投資物件の維持管理にかかる費用や税金、保険料などがインフレにより上昇。これに対応するためには、家賃の引き上げは避けられません。さらに、物価の上昇により、市場全体の賃貸相場が高くなるため、競争力を保つためにも家賃を調整する必要があります。
また、インフレ時には資産価値の保全が重要なため、不動産は現物資産としてその価値を維持しやすいです。特に土地や建物の価値は、インフレにともない上昇する傾向があり、それに合わせて家賃も上昇するでしょう。これにより、投資家は投資物件の価値が保たれ、収益が安定するため、インフレ対策として有効です。
総じて、インフレの影響で物価が上昇するなかで、家賃の引き上げは不動産投資で収益を保つための重要な手段になります。これにより、投資家はインフレによる実質的な収益減少を防ぎ、安定した収益を確保できるでしょう。
借入金額が実質的に目減りする
不動産投資がインフレ対策になる理由の一つに、借入金額が実質的に目減りすることが挙げられます。インフレが進むと、物価全般が上昇するとともに貨幣の価値が下がり、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減ります。つまり、インフレが進むと、現在1万円あっても昔よりも少ない量の商品しか買えません。
不動産投資で不動産投資ローンを借り入れて投資物件を購入した場合、その借入金額は契約時に決まります。例えば、1,000万円を借りたとしましょう。インフレが進行すると、1,000万円の価値が減少し、インフレ後の1,000万円は現在よりも実質的な価値は下がります。あなたが10年前に100万円の借金をしたと仮定すると、10年後にインフレが進んで、物価が2倍になった場合、10年前の100万円は今の50万円と同じ価値になります。つまりこれは、借金の返済負担が軽くなったのと同義です。
このように、インフレが進むと借入金額の実質的な負担が減少し、同じ金額の返済が相対的に軽く感じられるため、不動産投資はインフレ対策に有効です。投資家にとって、実質的に返済負担が軽くなるため、長期的に見て投資のリターンが向上する可能性があります。
不動産投資でインフレに対応する場合の注意点

不動産投資はインフレに強い側面がありますが、特有のリスクもあります。不動産投資でインフレ対応する場合の注意点は何でしょうか。詳しく見ていきましょう。
不動産投資自体のリスクに注意する
不動産投資はインフレ対策に有効な手段の一つですが、第一に不動産投資自体にもリスクがある点を理解し、適切に対処しましょう。不動産投資の主要なリスクとは、以下です。
空室リスク
空室が続くと収益が減少し、インフレ対策以前に不動産経営が苦しくなってしまいます。空室リスク低減のためには、需要が高く安定したエリアを選ぶ、賃貸市場のニーズに合った投資物件を選定する、そして適切な賃料設定をおこなうことなどが重要です。
家賃滞納リスク
入居者がいても家賃を滞納されてしまうと、収益が減少し、不動産投資ローンの返済や管理費の支払いが困難になってしまいます。このリスク軽減には、入念な入居者の信用調査が欠かせません。入居前に収入証明書や勤務先の確認、信用情報のチェックをおこない、信用力の高い賃借人を選定するように努めましょう。また、家賃保証会社と契約し、滞納時にも安定した収入を確保できるようにする点も重要です。
建物修繕・老朽化リスク
不動産の価値は安定していても、時間とともに劣化し、修繕や改修が必要になる点は避けられません。このリスクを無視すると、建物の価値が下がり、入居者が離れてしまう可能性があります。建物修繕・老朽化リスクを管理するためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。修繕計画を立て、予防保全をおこなうことで、大規模な修繕が必要になる前に対処しましょう。また、修繕費用のための積立をし、突発的な費用に備える点も大切です。
流動性リスク
不動産はインフレに強いですが、流動性が低い点には注意が必要です。急な売却は難しいため、緊急時に現金化が困難になるリスクがあります。流動性リスクを軽減するためには、なるべく需要の高いエリアや市場価値が安定している投資物件を選ぶと、売却時に買い手を見つけやすいでしょう。また、売却を視野に入れた資産運用計画を立て、長期的な視点で投資をおこなうことが求められます。複数の不動産に分散投資をして、一部の投資物件を売却する際のリスクを分散する対策も効果的です。
自然災害リスク
地震や洪水などの自然災害は、不動産の価値に大きな影響を与えます。特に日本は地震の多い国なので、このリスクは無視できません。投資物件の購入時には、災害リスクの高い地域を避け、保険に加入し災害発生時に備えた対応策を講じておく点も重要です。
不動産投資単独でインフレ対策をしないようにする
不動産投資でインフレ対策をおこなうことは有効ですが、不動産単独に依存しない点が重要です。まず、不動産市場は経済の変動や地域の特性に影響を受けやすく、特定の地域や物件に集中投資するとリスクは高まってしまいます。そのため、インフレ対策は不動産だけに頼るのでなく、分散投資をするようにしましょう。
分散投資とは、複数の異なる投資商品に資産を投じリスクを分散させる方法です。具体的には、株式、債券、金などに投資して、不動産市場のリスクヘッジをします。一定割合は現金を保有して流動性も確保し、緊急時の対応力を高めましょう。
不動産価格や賃料が値上げできる物件は多数派ではない
不動産投資をインフレ対策と考えるなら、不動産価格や賃料を値上げできる投資物件は多数派ではない点に留意が必要です。多くの投資物件は市場や地域の経済状況に依存し、必ずしもインフレ時に値上げが可能とは限りません。したがって、投資先の物件が値上げできるかを慎重に評価して選んでおくことが重要です。
まず、地域の経済状況や発展計画を調査し、物件価値や賃料が上昇する可能性の高い、経済成長やインフラ整備が進むエリアを選ぶことが欠かせません。また、高い需要が見込まれる駅近や人気学区にある物件、設備が充実した新築物件なども適しています。
賃貸市場の需給バランスを理解する点も重要です。供給過剰な市場では賃料の値上げが難しいため、需要が安定している市場や供給が限られているエリアを選ぶようにしましょう。不動産価格や賃料が値上げできる物件は多数派でないと考え、対策を講じておくことが不可欠です。
インフレの際は金利も上昇する点を考慮しておく
不動産投資はインフレ対策に有効ですが、投資物件購入に利用した融資の金利がインフレ時には上昇する点に留意が必要です。金利が上昇すると、借入コストが増加し、不動産投資ローンの返済負担が重くなります。そのため、投資物件を購入する際に、金利上昇による影響を考慮しましょう。具体的には、固定金利型ローンを選ぶか、金利上昇に備えた資金計画を立てておく必要があるでしょう。また、自己資金を増やして借入金額を減らしたり、複数の金融機関からの借入条件を比較し、有利な条件を選定する努力も必要です。
不動産投資で効果的なインフレ対策をするためのポイント

注意点をふまえ、不動産投資でインフレ対策をするにはどうすればよいでしょうか。本章では、効果的にインフレ対策するためのポイントを挙げます。
注意点を考慮して物件を選び運営する
不動産投資で有効なインフレ対策をするためには、リスクを理解した投資物件選びと運営に徹することが欠かせません。まず、空室リスクに対しては需要の高いエリアを選び、賃貸市場のニーズに合った投資物件を選定し、適切な賃料設定をおこないます。
流動性リスクには、需要の高いエリアや市場価値が安定している物件を選び、複数の不動産に分散投資することが大切です。
また、自然災害リスクに対しては、災害リスクの高い地域を避け、保険に加入して対応します。はじめから考えられる注意点を考慮して投資物件を選び、不動産投資をすれば効率的なインフレ対策ができるでしょう。
信頼して相談できる相手を見つけておく
不動産投資で有効なインフレ対策を講じるためには、信頼して相談できる相手を見つけておく点が重要です。信頼できる相手がいない場合、情報の真偽や投資判断の適切性が保証されず、結果的に失敗するリスクが高まります。また、投資物件選びや資金計画でも誤ったアドバイスを受けると、投資効率が悪化するかもしれません。
信頼して相談できる相手とは、経験豊富な不動産エージェントやブローカー、資産運用のアドバイザー、税理士や弁護士などです。信頼できる相手を見つけるためには、まず紹介や推薦を受けたり、他の投資家からの推薦や口コミを参考にし、その人物や組織の実績や評判調べから始めましょう。
また、複数の専門家と面談をおこない、自分のニーズに合ったアドバイザーを見つけることも大切です。最終的には、透明性があり、コミュニケーションがしっかりと取れる専門家を選べば、適切なアドバイスを受けられるでしょう。
不動産投資とインフレの関係に関するよくある質問
不動産投資とインフレの関係に関するよくある質問をまとめました。
インフレとは?
インフレ(インフレーション)とは、物価が全体的に持続的に上昇する現象です。例えば5%のインフレが起きると月の生活費が20万円から21万円になります。インフレにともない収入も増えれば問題ありません。しかし、収入が変わらなければ支出が大きくなり生活が苦しくなってしまうでしょう。
インフレが発生するとお金の価値が下がり、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減少します。インフレの主な原因は、需要が供給を上回る需要インフレや、生産コストの上昇によるコストプッシュインフレ、賃金と物価の上昇が互いに影響し合うビルトインインフレなどです。
過剰なインフレを抑制するために、中央銀行は金利を引き上げて消費や投資を抑制する金融政策をおこない、政府も支出削減や増税で経済の過熱を防ぎます。
また、個人がおこなうインフレ対策は、価値が落ちにくい金や不動産などの資産を保有する方法が有効です。
不動産投資がインフレ対策に有効な理由は?
不動産投資がインフレに強い理由は3つあります。まず、不動産は実物資産で、物自体に価値があるため、インフレ環境下でもその価値を維持または増加させる傾向があるためです。
次に、インフレに応じて家賃が上昇するため、投資物件のオーナーは物価上昇にともない家賃を引き上げると、収益を維持または増加させられる点。
最後に、インフレが進むと借入金の実質的な負担が減少するため、不動産購入時の借入金額が相対的に軽く感じられるようになるからです。そうすると、長期的に見て投資のリターンが向上するかもしれません。以上の理由から、不動産投資はインフレ対策に有効といえるでしょう。
不動産投資でインフレ対策する場合の注意点や対策は?
不動産投資はインフレ対策に有効ですが、特有のリスクに注意が必要です。まず、空室リスクや家賃滞納リスクを避けるため、需要の高いエリアで適切な賃料設定をおこない、入居者の信用調査や家賃保証会社の利用をしましょう。また、建物修繕や老朽化リスクに対しては定期的な点検とメンテナンス、修繕費用の積立も欠かせません。
さらに、不動産の流動性リスクを考慮し、需要の高いエリアの物件を選び、分散投資をおこなうことが望ましいです。自然災害リスクには、災害リスクの高い地域の投資物件を避け、火災保険や地震保険などに加入しましょう。不動産単独でインフレ対策をおこなうのでなく、株式や債券、金など他の資産にも分散投資する方法が推奨されます。
また、不動産価格や賃料を値上げできる投資物件は少ないため、地域の経済状況や需給バランスを理解し、慎重に投資物件を選ぶ点が重要です。最後に、インフレ時には金利も上昇するため、固定金利型ローンを選ぶか、金利上昇に備えた資金計画を立てておく対策を忘れないようにしましょう。
信頼できる不動産エージェントやアドバイザーを見つけて適切なアドバイスを受ける点も成功の鍵です。
まとめ
本記事では、インフレとは何か、不動産投資がインフレ対策に有効なのはなぜか、インフレ対応を不動産投資でおこなう場合の注意点と対策を紹介しました。インフレとは物価が上昇し、相対的に紙幣の価値が下がってしまう状態です。資産の大半が現金ではインフレに対応できませんが、不動産をはじめとする現物資産に変えることで、リスクを回避できます。ただし、不動産投資でインフレ対策するにはいくつかの注意点があります。この記事の内容をよく理解し、不動産投資の特性をうまく活用して、資産を守り増やす活動に役立ててください。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ