不動産業界でいうADとは?利点と相場や効果的な使用場面を徹底解説

本記事では、ADを検討されているオーナーに向けて、ADの解説からメリット、利用が効果的なケースを紹介します。さらに、ADを支払う前に確認すべき項目も紹介。利用を検討されている方や、効果的に活用したい方は必見です。
記事の目次
不動産業界でいうADとは?

本章では、そもそもADとは何なのか、仲介手数料との違いを解説します。
ADとは
不動産業界で「AD」とは、「advertisement(アドバタイズメント)」の略称で、「広告」を意味する用語です。通常、物件の仲介や売買に関連する費用は「広告料」とされますが、ADは、より特別な広告活動やマーケティング施策にかかる費用を指します。
例えば、賃貸物件を早期に貸し出すために、より多くの潜在顧客にリーチするための特別なプロモーションをおこないたい場合もあるでしょう。オンライン広告や高品質な写真撮影、ビデオツアーの制作など、通常の広告以上の取り組みが必要とされるケースでは、多くの費用がかかります。賃貸物件の魅力を最大限に引き出し、競争力を高めるための費用がADです。
ADは、仲介会社に対する「インセンティブ」としての側面も持っています。特に、賃貸物件が競合するエリアや市場状況が厳しい場合、オーナーは仲介会社に対し、賃貸物件を積極的にプロモーションしてもらいたいと考えるでしょう。オーナーや賃貸管理会社は、ADを支払うかわりに仲介会社の協力を得やすくなり、結果として賃貸物件の早期成約や高い稼働率の実現が期待できます。
一方で、ADを支払うことが効果的かどうかは賃貸物件や契約の条件によって異なります。そのため、オーナーや賃貸管理会社は仲介会社と事前にしっかりと話し合い、必要に応じてADが利用される範囲や内容を明確にしておかなければなりません。また、ADの支払いは通常の広告費用とは別に発生するため、全体のコスト計算にも注意が必要です。
ADと仲介手数料の違い
賃貸物件の仲介や売買に関連する費用のうち、ADと混同しがちな費用に「仲介手数料」があります。それぞれ、どのように異なるのでしょうか。ADと仲介手数料の違いは以下です。
AD | 仲介手数料 | |
---|---|---|
支払い主 | オーナーや 賃貸管理会社 |
売り手と買い手 |
受け取る対象 | 不動産仲介会社 | 不動産仲介会社 |
支払いの タイミング |
広告・宣伝を 実施する前 |
売買契約成立後 |
金額の上限 | 特になし | 売り手、買い手を合わせて 家賃の1カ月分 |
賃貸物件を所有するオーナーは、物件を宣伝する時、不動産仲介会社に依頼して実施してもらうケースが多いでしょう。その際、借主が見つかり賃貸契約が成立すると、報酬として仲介手数料を支払います。
不動産売買で発生する仲介手数料とは、不動産会社が売買の仲介業務の報酬として受け取るお金です。仲介手数料は、成果(不動産の契約)がなければ受け取れません。また宅地建物取引業法により、受け取れる金額の上限は、家賃の1カ月分までと決まっています。
不動産仲介会社は、貸主・借主の双方から仲介手数料を支払ってもらうことも可能ですが、その場合でも家賃1カ月分が上限です。仲介手数料は金額に上限があるため、広告を打ち出す範囲が限られるなどして、借主探しに苦戦するかもしれません。
そこで、賃貸物件のオーナーは不動産仲介会社にADを追加で支払い、客付け活動を強化してもらいます。具体的には、新聞各紙や賃貸ポータルサイトへの掲載など、多額な費用を要する広告です。ADには上限がないため、自由な広報活動ができるでしょう。なお、通常の客付け活動の範囲を超えていないにも関わらず、仲介手数料の上限以上の金額を不動産仲介会社が受け取るのは、宅地建物取引業法違反です。
不動産ADのメリットは?

仲介手数料に加えてADを追加すると、費用が余分にかかります。それでもADを支払うメリットがどのような点かを解説します。
ユーザーへの紹介頻度が増える
不動産のADを支払うメリットは「紹介頻度が増える」点です。ADを支払い広告を掲載すると、より多くの顕在的な顧客に賃貸物件の情報が届くため、自然と賃貸物件に対する認知度が上がるでしょう。
特にインターネット広告では、検索エンジンやSNSなどを利用して、ターゲット層にピンポイントで情報を届けられます。広告を頻繁に目にするようになると、問い合わせの増加につながります。
さらに、広告を打つと競争力が高まります。不動産市場は常に競争が激しいため、他の物件と差別化するための手段として広告は欠かせません。近隣の競合となる物件が広告を出していない場合、賃貸物件の広告を出すと優位性を確保できます。多くの人に賃貸物件の情報が届けば、短期間で多くの問い合わせが集まり、成約までの時間が短縮できるでしょう。ADを支払うことで、不動産会社やオーナーにとって、迅速なキャッシュフローの確保につながります。
できる限り多くの人に対して賃貸物件の紹介ができれば必然的に、賃貸物件に対する問い合わせや興味を示す人は増えます。ユーザーへの紹介頻度が増える点が、ADを支払うメリットです。
成約にコミットしやすくなる
成約に結び付きやすくなる点も、ADを支払うメリットです。これは、賃貸物件に対する紹介頻度が増えるだけでなく、営業スタッフが成約にコミットする動機づけが強まる点も影響します。
ADを支払うと、賃貸物件の露出度が高まり、より多くの潜在顧客を集められるようになるでしょう。多くの人にアプローチできる点は、成約の可能性を高める重要な要素です。多くの問い合わせが集まると、自然とそのなかから実際に購入や入居を検討する人が現れ、成約に結び付きやすくなります。
また、不動産仲介会社がADをもらっていると、営業スタッフがユーザーの値引き交渉に応じやすくなる点も重要です。例えば、仲介手数料を優遇するかわりに成約を求めるなど、営業スタッフは顧客の要望に応じた柔軟な対応ができるようになるでしょう。
ADの支払いによって露出が増え、多くの問い合わせがある賃貸物件は、営業スタッフにとって成約のチャンスが高い物件と認識されます。成約が増えればコミッションも増加するため、営業スタッフとしても積極的に働きかけたくなるはずです。
さらに、ADを支払うことによって賃貸物件の認知度が上がり、問い合わせ件数が増えると、賃貸物件の評価も向上。多くの人々が興味を示す賃貸物件は市場での競争力が高まり、成約のスピードも速くなります。このように、ADを支払うとと成約に結び付きやすくなるのは、紹介頻度が上がるために多くの人にアプローチできるだけでなく、営業スタッフが成約にコミットする動機づけが強まるためです。
ADを支払うことによる賃貸物件の露出度向上、営業スタッフの積極的な働きかけ、顧客への柔軟な対応などが相まって、最終的に成約率を高められるでしょう。
不動産ADの相場は?

不動産ADの相場は一般的に、賃貸物件の家賃相場の1~2カ月分が標準です。ただし、高級物件や商業用物件など、特定のターゲット層に向けた広告が必要な場合には、家賃の3カ月分に相当するADがかかる可能性もあります。
閑散期で売買がなかなか決まらない状況だと、ADを追加せざるをえないでしょう。ADは法的な上限が特に設けられていないため、賃貸物件の特性や市場の状況に応じて柔軟に設定されます。ADは賃貸物件の成約を早めるための投資として、不動産会社やオーナーにとって重要な戦略の一部です。ただし、高額なADを支払えば、競争力が必ずしも高まるわけではありません。費用対効果を冷静に考える視点も必要です。
不動産AD設定が効果的なケースは?

賃貸物件の売買で、ADを支払うことにメリットがあるのは確かですが、何も考えずに設定すればよいわけではありません。そこで本章では、ADが効果的なケースを紹介します。
賃貸需要が高まっているケース
賃貸需要の高まるハイシーズン(一般的に1~3月)ではADの支払いによる露出が効果的です。その理由は、進学や就職のため多くの人が新しい住まいを探す時期で、賃貸物件の露出度を高める絶好の機会になります。この時期には、物件を探す人々の数が増えるため、ADを支払うと多くの潜在顧客にアプローチできる確率が高まるでしょう。
ハイシーズンにADを支払うことは、競合物件との差別化を図り、賃貸物件を目立たせるために重要です。特に、人気の高いエリアや物件タイプでは、多くの選択肢があるなかで自分が所有する賃貸物件を選んでもらうためには、広告の力が欠かせません。ハイシーズンにADを支払うと、成約スピードの向上も期待できます。多くの問い合わせが集まると、賃貸物件の人気が高まり、内見希望者が増えることで成約に至るまでのプロセスが早いです。
特に、インターネット広告やSNS広告など、ターゲットを絞った効果的な広告手段を活用すると、コストパフォーマンスが向上するでしょう。多くの人が物件を探している時期に広告を出すと、広告費用に対するリターンが高くなるため、効率的なマーケティングを期待できます。以上のように、ハイシーズンの不動産ADの活用は、多くの潜在顧客にアプローチし、成約を早める重要な戦略です。
空室率が改善できる可能性が高いケース
フリーレント期間や無料Wi-Fiの設置など、借主にメリットがある提案ができる場合、積極的にADを活用することで空室率の改善が期待できます。現代の生活では、インターネット接続が不可欠で、無料Wi-Fiの提供は、借主にとって大きなメリットです。もちろんフリーレントも魅力で、ADの支払いを通じて利点が強調できる場合、積極的に活用するべきでしょう。まとめると、空室率が改善できる可能性が高い場合には、不動産ADを活用する方法が効果的です。
2ヵ月以上内見の申し込みがないケース
不動産ADの設定が効果的なのは、2カ月以上内見の申し込みがない場合です。長期にわたり内見の申し込みがない状況では、賃貸物件の露出が不足している、ターゲット層に情報が届いていない、賃貸物件自体に何らかの問題があるなどの可能性が考えられます。こうした問題を解消するために、ADが欠かせません。ADを支払うことで、賃貸物件の露出度が劇的に向上するため、ターゲット層にアプローチできる数が増えます。
なお、ADを支払い露出がされてからは1~2カ月以内の内見申し込みが理想的です。しかし、それでも申し込みがない場合は、AD以外の原因を探らなければなりません。例えば、賃貸物件の価格設定が適切でない、内装や設備に問題がある、周辺環境が不利な条件になっているなどの要因が成約を妨げている可能性があります。
賃貸需要が低いケース
賃貸需要が低いケースでは、不動産ADが効果的な手段になります。特に、最寄り駅まで遠い、近くに大学やオフィスビルがないなど流動性が低い立地の物件では、ADを活用しなければなりません。こうした賃貸物件は賃貸需要が低いため、積極的にアピールしなければならないからです。
まず、最寄り駅までの距離が遠いエリアでは、日常の利便性が低いため、広告なしでは入居希望者を見つけるのが難しくなります。このような場合は、広い間取りや静かな環境、家賃の手頃さなど、他のメリットを強調して、潜在的な入居者の関心を引きましょう。
さらに、近くに大学やオフィスビルがないエリアでは、通常の賃貸需要が低くなりがちです。しかし、ADを支払うことで、例えばテレワークに適した広いスペースや自然に囲まれた環境など、特定のターゲット層にアピールできるようになります。特に、郊外のアパートなどでは、都市部の喧騒を避けたい人々に対して魅力的な選択肢になるでしょう。
歩行者の流動性が少ないエリアでは、賃貸物件を目にする機会が限られるため、ADを支払い、紹介頻度を上げて物件情報を広く伝えることが必要です。そうすれば、賃貸物件の認知度が高まり、遠方からの問い合わせや内見の申し込みが増える可能性があります。
賃貸需要が低い郊外のアパートなどでは、他の物件との「取り合い」が少なくなりますが、そもそもの入居希望者が少ないでしょう。そのため、駐車場の有無やペット可など、特定のニーズに応じた情報を強調することで、ターゲット層に対する訴求力を高める必要があります。総合して、賃貸需要が低い場合にADを設定する手法は効果的です。
仲介手数料が低くなるケース
仲介手数料が低くなるケースは、AD設定に適しています。これは、賃貸需要の問題だけでなく、首都圏と地方都市の賃料額の差から生じる問題です。都内の物件の賃料は低いものもありますが、10万円程度になる物件もあるでしょう。それに対し、地方都市では3~4万円台の家賃でも住める物件があり、都心と地方では家賃に差があります。
仲介手数料は通常、家賃の1カ月分として設定されるため、地方の不動産仲介会社が得られる手数料は首都圏の不動産仲介会社に比べて大幅に低くなります。都内で10万円の物件を仲介した場合、仲介手数料は10万円にもなりますが、地方都市で3~4万円台の物件を仲介した場合、仲介手数料は多くても3~4万円にしかなりません。これにより、地方の仲介会社は都心部の仲介会社と同じ量の仕事をこなしても、得られる報酬が少ない問題が生じます。
このような状況では、ADを支払うことは有効な戦略です。ADが支払われている賃貸物件は、不動産仲介会社が優先的に紹介しやすくなるでしょう。ADを設定することで、賃貸物件の露出度が高まり、成約の可能性が上がるため、不動産仲介会社はこうした賃貸物件を積極的に紹介する傾向が強くなります。特に、地方都市の賃貸物件では、他の物件との差別化を図るために、ADの設定を通じて独自の魅力を強調するほうが賢明です。
不動産ADを支払う前に確認すべき点は?

不動産ADを設定する際には費用がかかりますが、支払いはADを設定する前が一般的です。しかし、効果がわからない状態で実行するのは不安でしょう。そこで本章では、ADの効果を十分に発揮させるために、支払い前に確認しておくべき点を紹介します。
ADを設定するタイミング
ADを支払う前に確認すべき重要な点は、広告のタイミングです。まず、ADを設定する期間を明確に確認しておきましょう。例えば、繁忙期や引越しシーズンに合わせて広告を打つと、多くの潜在入居者にアプローチできるため、広告の効果が高まります。一方で、閑散期に広告を出す場合は、空室が長期間続く可能性があるため、より長期間の広告展開を検討しなければなりません。
次に重要なのは、過去の空室情報や季節ごとの賃貸市場の動向をもとに、ADのタイミングを設定する点です。空室が発生した時期やその後の成約までの期間、季節による賃貸需要の変動などを考慮すると、より効果的な広告タイミングを見つけられます。例えば、冬季は賃貸需要が低下するため、春の引越しシーズンに合わせて広告を打つと、成約の確率が高まるでしょう。
もしタイミングを誤ると、ADを設定する効果が大きく減少するかもしれません。例えば、広告を打つ時期が閑散期や市場が低迷している時期と重なると、広告の露出効果が薄れ、問い合わせや内見の数が少なくなる可能性があります。また、タイミングが遅すぎると、賃貸物件が空室のまま長期間放置され、結果的に賃貸収益が減少するかもしれません。失敗を回避するためにも、ADを支払う前に、広告を出すタイミングを確認するようにしましょう。
費用
次に重要な点は費用の確認です。費用は、賃貸物件の空室率を改善し、迅速に成約を実現するための大切な要素ですが、費用対効果は慎重に検討しなければなりません。
費用の設定を考える際には、広告の掲載期間を検討しましょう。通常、ADは数週間から数カ月の期間で設定されますが、費用対効果を考えると、設定期間と費用のバランスが重要です。例えば、1カ月間ADを設定するために、家賃の5カ月分のADを支払うのは、採算が取れない可能性があります。このような高額な設定は、経済的な負担だけを大きくする可能性があるので避けましょう。
次に、費用対効果は、過去の空室期間や実際の情報を調べて事実に基づいて評価するべきです。賃貸物件の空室がどのくらいの期間続いているか、過去にどの程度の広告費用で空室が埋まったかなどの実績を調査し、適切なAD費用の設定をしましょう。
また、ADが適正なのかを確認するために、市場調査をおこない、同様の賃貸物件の広告費用と比較する方法も有効です。自分が所有する賃貸物件に適切な広告費用を設定し、無駄な支出を防ぐようにしましょう。
ADの支払い先がどこか
ADの支払先も注目すべきです。特に、支払った報酬が実際にどれだけ不動産会社に渡るのかを確認するようにしましょう。なかには管理会社が仲介して支払うケースもあります。
例えば、家賃の2カ月分に相当するAD費用を支払った場合、その全額が広告制作や運用に充てられるのか、管理会社が仲介で入る場合、不動産会社きちんと支払いがされているのかを確認しましょう。
例えば家賃2カ月分のADを支払っても、実際にはそのうちの1カ月分しか不動産会社の広告運用に充てられない可能性があります。つまり、広告運用の実質期間が1カ月分になって、期待していた広告の効果が半分になっているかもしれません。
このため、支払った金額がどのように配分されるのか、広告制作費用や運用費用にどれだけ使われるのかを確認するとよいでしょう。せっかく支払ったなら、支払った金額に見合ったリターンを受け取りたいと思うのは当然です。契約書や請求書には、AD費用の配分や支払い条件が記載されている点を確認し、疑問があれば事前に確認するようにしましょう。
ADの設定が最適か検討する
空室対策にはADだけでなく、他の方法が有効な場合もあります。ADを設定するよりも、ターゲットの見直しが必要な場合もあるでしょう。入居条件が厳しいと空室の原因となるため、外国人が多いエリアでは外国人入居を許可したり、家賃保証を導入して収入変動の激しい職業にも対応すると、入居者の範囲を広げられます。
また、入居者負担費用の見直しが効果的な場合もあるかもしれません。敷金・礼金をゼロにする、仲介手数料を負担する、フリーレントを導入するなど、初期費用を減らすことで物件のアピールポイントが増し、入居しやすくなる可能性があります。
募集方法の見直しも考慮すべき点の一つです。募集広告の内容や宣伝不足、内見の案内がスムーズでない場合、空室が埋まりにくくなります。広告の内容や部屋の維持管理の改善をおこなうことで、入居者の目線に立ち、空室解消につながるかもしれません。AD費用を支払う前に、本当にADの設定が最適解かと検討することも重要です。
不動産業界のADに関するよくある質問
不動産業界のADとは何かに関するよくある質問をまとめました。
不動産業界でいうADの意味は?
不動産業界で「AD」とは、「advertisement(アドバタイズメント)」の略で、特別な広告活動やマーケティング施策にかかる費用を指します。これは、オンライン広告、高品質な写真撮影、ビデオツアーの制作などです。
ADは不動産仲介会社へのインセンティブとして機能し、オーナーが賃貸物件を早期に貸し出すために欠かせません。仲介手数料とは異なり、AD費用には上限がなく、賃貸物件の認知度や競争力を高めるための自由な広報活動が可能です。オーナーや賃貸管理会社は、仲介会社と事前にADの範囲や内容を明確にしておく必要があります。
不動産ADを利用するメリットは?
不動産ADを利用するメリットは主に2つあります。まず、賃貸物件の紹介頻度が増え、より多くの潜在顧客に情報が届く点です。特に、インターネット広告を活用すると、ターゲット層にピンポイントで情報を届けられ、賃貸物件に対する問い合わせが増加し、迅速なキャッシュフローの確保が可能になるでしょう。
次に、ADにより賃貸物件の露出度が高まると、営業スタッフの成約に対するコミットが強まり、柔軟な対応がしやすくなります。これにより、成約率が向上し、市場での競争力が強化されるでしょう。このように、不動産ADは賃貸物件の認知度向上と成約率の向上を促進する効果がある点がメリットです。
不動産ADの相場はいくら?
不動産ADの相場は家賃の1~2カ月分が一般的ですが、高級物件や商業用物件では3カ月分になる可能性もあります。閑散期ではADを追加する必要があるかもしれません。ADには法的な上限がなく、賃貸物件の特性や市場状況に応じて設定されます。ADは成約を早めるための投資であり、オーナーにとって重要な戦略の一部です。しかし、高額なADが必ずしも競争力を高めるわけではないため、費用対効果は冷静に考えなければなりません。
不動産AD設定が効果的なケースとは?
不動産ADの設定が効果的なケースの一つは、賃貸需要が高まるハイシーズン(1〜3月)にADを設定する点です。そうすると、多くの潜在顧客にアプローチでき、成約スピードが向上します。
次に、空室率を改善できる提案ができる場合や2カ月以上内見の申し込みがない場合。賃貸物件の露出度を増やすためにもADが有効です。また、賃貸需要が低い立地や仲介手数料が低くなる場合も、ADの設定を通じて賃貸物件の認知度を高め、ターゲット層にアピールすることができます。これにより、効率的なマーケティングが期待でき、成約率の向上が期待できるでしょう。
不動産ADを支払う前に確認すべき点は?
不動産ADを支払う前に確認すべき点の一つは、ADを設定するタイミングです。繁忙期や引越しシーズンに合わせると効果的で、過去の空室情報や賃貸市場の動向をもとにタイミングを決定します。
次に、費用の確認。広告費用の設定期間とバランスを考え、過去の実績や市場調査をおこない、適切な費用を設定します。また、費用の支払先の確認も重要です。管理会社を通じて支払う場合、不動産会社と管理会社で費用を折半する可能性があり、広告効果が半減するかもしれません。最後に、ADを設定する以外の空室対策も検討しましょう。ターゲットや入居者が負担する費用、募集方法の見直しも有効です。
まとめ
本記事では、不動産ADを検討されているオーナーに向けて、ADの基本的な解説からメリット、そして利用が効果的なケースまでを紹介しました。ADの設定は賃貸物件の認知度を高め、紹介頻度を増やすことで早期成約を促進する強力な手段です。
特に、競争が激しいエリアや市場状況が厳しい場合には、ADの設定を通じた特別なプロモーションが欠かせません。ADの設定は不動産仲介会社へのインセンティブとして機能し、営業スタッフの成約に対するコミットメントを高める効果も期待できます。ただし、注意すべき点もあるため、これからADの設定を検討されている方や、より効果的にADを活用したい方は、本記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。

執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ