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不動産投資の成功の鍵!ROIを理解して収益性を向上させる方法

不動産投資におけるROIについて解説します
不動産投資を成功させるためには、投資物件の収益性を正確に把握することが大切です。そのなかでも、ROI(投資利益率)は、特に重要な指標として知られています。

しかし、ROIの本当の意味や活用方法を理解している方は、意外と少ないのが現状です。本記事では、不動産投資でのROIの重要性や計算方法、さらには実践的な活用テクニックまでを詳しく解説します。

ROI(投資利益率)とは

ROI(投資利益率)とは何かを解説します
ROI(投資利益率)とは何かを解説します

ROI(Return On Investment)は、投資利益率または投資収益率と呼ばれる重要な指標です。ROIの数値は、投資した資本に対して得られた利益の割合を示します。不動産業界では「アールオーアイ」や「ロイ」と略称されることも。

高いROIを示す投資物件は、投資効率がよいと判断されます。つまり、投入した資金に対して大きな利益を生み出す能力が期待できることになります。

ROIの計算方法

不動産投資におけるROIの計算方法は比較的簡単です。基本的な計算式は、以下のとおりです。

ROI = 年間キャッシュフロー ÷ 購入総額 × 100

ここでの「年間キャッシュフロー」は、年間の賃料収入から運営費用を差し引いた金額を指します。運営費用には、修繕費や管理費、不動産投資ローンの返済額、管理委託手数料、固定資産税、都市計画税などが含まれます。

「購入総額」は、物件価格に購入時の諸費用を加えた金額。諸費用には、不動産会社への仲介手数料や不動産取得税、登録免許税、火災保険料などが含まれます。

ROIを正確に計算することで、投資物件の収益性を適切に評価し、効果的な投資計画を立てられるでしょう。

具体的な例を挙げて説明します。
1,000万円の投資で400万円の利益(賃貸収入とキャピタルゲインの合計)を得た場合は、次の計算式になります。

(400万円 ÷ 1,000万円)× 100% = 40%

この40%がROIです。

ROIの大きなメリットは、異なる投資案件や事業の収益性を簡単に比較できることです。例えば、不動産投資と株式投資のROIを比較することで、どちらがより効率的な投資だったかを判断できます。

欧米の投資家はROIを重視しており、一定のROIを下回る投資案件には参加しないという方も少なくありません。近年、日本でもROIの重要性が認識されつつあり、投資判断の基準として用いられる機会が増えています。

不動産投資の収益性を計る利回りとは

利回りについて解説します
利回りについて解説します

利回りは、不動産投資額に対する賃料収入の比率を指します。利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり、それぞれ異なる特徴があります。

表面利回りとは

表面利回りは、物件の購入金額に対する年間賃料収入の割合を示します。投資物件の大まかな収益性を把握するための指標です。

計算方法は以下のとおりです。

年間賃料収入 / 物件購入金額 × 100 = 表面利回り(%)

例:年50万円の賃料収入がある500万円の物件の場合、表面利回りは10%

実質利回りとは

実質利回りは、総投資額に対する実際の年間利益の割合を表します。実質利回りには、投資物件の取得や運営に関わる諸費用を考慮に入れて計算するため、より現実的な収益の割合を算出できます。

計算式は以下のとおりです。

(年間賃料収入 - 年間経費)/(物件価格 + 取得時諸経費)× 100 = 実質利回り(%)

次の条件の場合の、実質利回りを計算してみましょう。

  • 年間賃料収入:50万円
  • 年間運営費:8万円
  • 物件価格:500万円
  • 取得時諸経費:100万円

実質利回りの計算式に当てはめると、以下になります。

(50万円 -8万円)/(500万円 + 100万円)× 100 =7%

例の場合の実質利回りは、7%になります。

表面利回りと実質利回りの違い

表面利回りは概算の収益率を示すのに対し、実質利回りは実際の手取り収入から算出される収益率です。実質利回りは、投資物件の購入や運営に必要な諸経費を含むため、より現実的な収支イメージを掴めるでしょう。

また、リフォームが必要な投資物件や管理費が高額な投資物件では、表面利回りが高くても実質利回りが期待を下回ることがあります。多くの広告では表面利回りが掲載されているため、具体的な収益予測をしたい場合は、実質利回りを計算しましょう。

ROIと実質利回りの違い

先述したように、投資物件の収益性を示す指標として、実質利回りもよく使われます。しかし、ROIとは計算方法が異なります。実質利回りは、投資物件不動産の購入・運営費用を考慮し、投資額に対する年間収益の割合を算出します。一方、ROIの計算では不動産投資ローンの返済額も考慮に入れます。この点が両者の大きな違いです。

不動産投資の投資効率を評価するCCR(自己資本利益率)

CCR(自己資本利益率)を解説します
CCR(自己資本利益率)を解説します

不動産投資の投資効率を評価する指標はROIだけではありません。CCR(Cash On Cash Return)も、不動産投資では重要な指標の一つです。日本語では「自己資本利益率」とも呼ばれ、実際に投資した自己資金に対する年間のキャッシュフロー(現金収支)の割合を示します。

CCRの基本的な計算式は以下のとおりです。

CCR =(年間キャッシュフロー ÷ 投資自己資金)× 100%

ここでの「年間キャッシュフロー」は、年間の賃料収入から運営費用や不動産投資ローンの返済額を差し引いた純収入のこと。「投資自己資金」は、物件購入時に自己資金として投入した金額です。

CCRが特に重要視される理由は、不動産投資ではほとんどの方が不動産投資ローンを活用するため、実際の投資効率を正確に把握するのが難しいためです。CCRを用いることで、自己資金に対する実際の収益率が把握できます。
例えば、2,000万円の投資物件を購入する際に、400万円の自己資金を投入し、残りの1,600万円を不動産投資ローンで調達したとしましょう。

年間の賃料収入が120万円、運営費用が20万円、不動産投資ローンの返済額が60万円の場合。

年間キャッシュフロー = 120万円 - 20万円 - 60万円 = 40万円
CCR =(40万円 ÷ 400万円)× 100% = 10%

上記のようになります。

この10%という数値は、投資した自己資金400万円に対して、年間40万円のキャッシュフローが得られていることを示しています。

CCRの大きな特徴は、不動産投資ローンを活用した場合のレバレッジ効果を明確に示せる点です。レバレッジ効果とは、借入金を利用することで投資効率を高める効果のこと。CCRを用いることで、レバレッジ効果を数値化できるため、より具体的に理解することが可能です。

ただし、CCRには注意点もあります。CCRは短期的な収益性を示す指標であるため、長期的な価値上昇(キャピタルゲイン)は反映されません。

また、不動産投資ローンの返済期間や金利の変動によっても、大きく変わる可能性があります。したがって、CCRだけでなく、他の指標や要素もあわせて総合的に判断することが重要です。

不動産投資でのROIのメリット

不動産投資でのROIのメリットを解説します
不動産投資でのROIのメリットを解説します

ここでは、不動産投資でROIを活用するメリットを詳しく解説します。

レバレッジ効果を可視化できる

不動産投資でROIを用いる大きなメリットは、融資によるレバレッジ効果を明確に把握できることです。
例えば、同額の自己資金で異なる総額の投資物件を購入する場合を考えてみましょう。単純な比較では投資効果を判断しづらいですが、各投資物件のROIを算出することで、どちらがより高いレバレッジ効果を得られるか判断できます。高いROIを示す投資物件ほど、レバレッジ効果が大きく期待できます。

具体的な収益性を把握できる

ROIを計算する際には、諸経費や不動産投資ローンの返済額、固定資産税などのさまざまな費用を考慮します。そのため、表面利回りや実質利回りと比べて、より具体的な収益性を把握できます。

高い収益性がある投資物件を選ぶ際や投資シミュレーションをおこなう際に、ROIは重要な指標となるでしょう。

さらに、ROIを用いることで投資回収期間も簡単に算出可能です。100をROIで割ることで、投資金額を回収する際に必要な年数を計算できます。

例えば、ROIが8%の場合、投資回収には約12.5年かかることになります。

不動産投資におけるROI活用時の注意点

不動産投資におけるROI活用時の注意点を解説します
不動産投資におけるROI活用時の注意点を解説します

ROIは便利な指標ですが、使用する際には注意すべき点もあります。まず、ROIは将来の予測に基づいて計算される数値であり、実際の運用結果とは違いが生じる可能性があるため、注意しなければなりません。

例えば、投資物件の空室率は常に変動します。魅力的な立地の投資物件でも、競合物件の出現や経済状況の変化により、空室率が上昇する可能性があります。また、賃料も市場動向や投資物件の経年劣化により変動することもあるでしょう。

不動産投資ローンを利用している場合、金利の変動も考慮する必要があります。特に変動金利を選択している場合、定期的な金利の見直しにより、不動産投資ローンの返済額が変わる可能性があります。

つまり、「空室率の上昇」「賃料の下落」「不動産投資ローン金利の上昇」などの要因により、実際のキャッシュフローが悪化し、ROIが低下する可能性があるのです。ROIは上記のリスクを完全には反映できていないことを理解し、あくまで参考の一つとして活用しましょう。

キャッシュフロー計算書を作成する際の注意点

キャッシュフロー計算書を作成する際の注意点を解説します
キャッシュフロー計算書を作成する際の注意点を解説します

不動産投資を成功させるためには、キャッシュフローの管理がとても重要です。キャッシュフローとは、簡単にいえば「手元に残る資金の流れ」のこと。キャッシュフローがマイナスになると、安定した不動産経営を維持することが困難になります。

そのため、ROIなどの指標を活用しながら、詳細なキャッシュフロー計算書を作成することが重要です。

しかし、キャッシュフロー計算書を作成する際には、注意すべき点がいくつか存在します。ここでは、キャッシュフロー計算書を作成する際に注意すべきポイントをみていきましょう。

空室リスクを考慮する

どんなに魅力的な立地の投資物件であっても、空室のリスクは常に存在します。空室が発生すると、賃料収入が減少または完全に途絶えてしまう可能性があります。これはキャッシュフローの悪化につながる重大な原因の一つ。

そのため、キャッシュフロー計算書を作成する際には、空室リスクを適切に織り込むことが大切です。

具体的な対策として、以下が挙げられます。

  • 予想空室率を考慮した賃料を設定する
  • 空室期間中の費用をカバーする資金を準備する
  • 長期的な入居者確保のための戦略を立てる

空室対策を事前に考えておくことで、実際に空室が発生した際にも冷静に対応できます。

金利変動の影響を考慮する

金利の変動は、キャッシュフローに多大な影響を及ぼす可能性があります。特に変動金利の不動産投資ローンを組んでいる場合、半年ごとに金利の見直しがおこなわれ、5年ごとに返済額の見直しがあります。

金利が上昇すると月々の返済額増加につながり、資金繰りが圧迫されてしまうかもしれません。そのため、キャッシュフロー計算書を作成する際には、以下の点を考慮することが重要です。

  • 金利上昇シナリオを複数想定した計算をする
  • 金利上昇時の追加費用に対して備える
  • 固定金利への切り替えなど、リスクヘッジ策を検討する

上記の要素を組み込んだキャッシュフロー計算書を作成することで、金利変動リスクに対する備えを強化できるでしょう。

家賃下落への対応を考える

一般的に、投資物件の築年数が経つにつれて、賃料は下落傾向にあります。賃料の低下は直接的な収入減少につながり、キャッシュフローを悪化させる要因となります。

賃料の下落リスクに備えるためには、以下のような対策が効果的です。

  • 経年による賃料下落を見込んだ長期的な計算書を作成する
  • 賃料維持のための戦略(例:定期的な設備更新、サービス向上)を立てる
  • 賃料下落時の代替収入源を検討する

上記の要素を考慮したキャッシュフロー計算書を作成しておくことで、実際に賃料下落が起きた際にも慌てることなく対応できるでしょう。

修繕費・リフォーム費用を計上する

投資物件の経年劣化は避けられない課題であり、定期的な修繕やリフォームは重要です。フローリングや壁紙、キッチン、浴室などの修繕・リフォームは、賃貸需要を維持・向上させる重要な要素となります。

また、入居者満足度の向上や空室対策にも効果的。

しかし、修繕やリフォームには費用が発生します。修繕・リフォーム費用をキャッシュフロー計算書に適切に反映しなければ、将来的に資金繰りが困難になる可能性が高まります。

そのため、キャッシュフロー計算書を作成する際は、以下の要素も組み込んでおきましょう。

  • 定期的な修繕・リフォーム費用を計上する
  • 予期せぬ修繕に備えた予備費を設定する
  • 大規模修繕のための長期的な資金計画を立てる

まとめ

不動産投資の成功には、収益性を示す指標を正しく理解し、活用することが大切です。利回り、ROI、CCRという3つの主要指標を組み合わせることで、より自分に合った適切な投資判断ができるでしょう。

同時に、不動産投資にはさまざまなリスクも存在することを忘れてはなりません。市場の変動や予期せぬ修繕費、空室リスクなど、さまざまな要因が収益性に影響を与える可能性があります。上記のリスクを適切に管理し、長期的な視点で投資をおこなうことが重要です。

わからないことや疑問点があれば、遠慮なく不動産会社などの専門家に相談しましょう。自分だけで判断すると間違った投資戦略を練りかねないため、専門家のアドバイスも受けながら、日々知識のアップデートをしていくことが大切です。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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