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マンション経営にかかる初期費用・ランニングコストとは?負担を抑えるコツも解説

マンション経営にかかる初期費用やランニングコストを解説します
マンション経営に興味を持っている方で、初期費用やランニングコストの負担はどのくらいなのか悩んでいる方は多いでしょう。資産運用においてマンション経営は、長期的に安定した収入を期待できる一方で、経営を始めるための資金や、その後のランニングコストがかかります。

この記事では、マンション経営に必要な初期費用やランニングコストをわかりやすく解説し、負担を軽減するための方法もご紹介します。しっかりと準備をおこない、知識を持ったうえで経営をスタートさせましょう。

マンション経営にかかる初期費用

マンション経営にかかる初期費用を解説します
マンション経営にかかる初期費用を解説します

マンション経営を始める際には、物件の購入や各種手続きをおこなうための初期費用がかかります。一般的な費用には、物件取得費用や頭金、投資用ローンの諸費用、不動産取得税、印紙税、登記費用、保険料などが含まれます。以下で詳しく見ていきましょう。

物件取得費用

マンション経営の初期費用のなかで占める割合が大きいものが物件取得費です。新築マンションを建設する場合、土地代に加えてマンションを建築する建築費や電気・ガス・水道の引き込みをおこなうための付帯工事費などがかかります。
特に、都市部での土地の取得費用は高額になることが多く、予算の多くがこの部分に充てられる傾向があります。

一方、中古マンションの購入であれば、物件価格は抑えられる可能性が高いですが、物件の状態によってはリフォームや修繕の費用がかかる場合も。
また、不動産会社を通して購入する場合には、物件価格の3~5%程度の仲介手数料も発生するため、あらかじめ確認しておきましょう。

頭金

マンションの購入時には頭金が必要です。一般的には物件価格の10~30%程度を頭金として支払うケースが多いです。
頭金を多めに用意することで、借入額を減らし、返済負担の軽減が図れるでしょう。少額の頭金で購入できるローン商品もありますが、借入額が多くなる分、利息も増えるため、経営の負担が重くなるケースも。
資金計画を立てる際には、可能な限り多くの頭金を用意しておくと、長期的に経営が安定しやすくなります。

ローン諸費用

投資用ローンを組む際には、手数料や保証料などの諸費用が発生します。諸費用は一般的に借入額の1~3%程度で、金融機関や投資用ローンの種類によって異なります。特に保証料は、物件の価格やローンの条件などで大きく変動するため、複数の金融機関で条件を比較することが大切です。

また、投資用ローンの金利や返済期間などでも総返済額が変わるため、将来的な収支計画を考慮してローンを選びましょう。

印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書やローン契約書に貼る印紙にかかる税金です。契約書の金額によって税額が異なり、契約額が高いほど印紙税も高くなります。
例えば、契約金額が5,000万円以上の売買契約書の場合、印紙税は3万円。ローン契約書にも同様に印紙税がかかるため、予算に組み込んでおくことが重要です。なお、2027年3月31日までは印紙税の軽減措置が取られています。

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

登記費用

マンションを購入した場合、所有権の登記をおこなわなければなりません。新築物件の場合、まず「所有権保存登記」をおこない、中古物件を購入する場合は「所有権移転登記」が発生します。
また、投資用ローンを組む場合には「抵当権設定登記」も必要です。登記手続きには、「登録免許税」がかかり、さらに司法書士に依頼する場合は手数料も発生します。
登記費用は物件価格や司法書士の報酬によって異なりますが、総額で数十万円かかることも珍しくありません。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を購入した際に都道府県に納める税金です。通常、固定資産税評価額の4%が税率ですが、住宅や土地の取得に関しては軽減措置が適用され、2027年3月31日までに取得した場合は3%に引き下げられています。

投資物件の評価額が高いと、その分税額も大きくなるため、あらかじめ確認しておきましょう。また、不動産取得税の支払いは物件取得後しばらくしてからの請求となるため、資金を準備しておくと安心です。

各種保険料

マンション経営では、万が一の事故や災害に備えて火災保険や地震保険に加入しておくことが重要です。火災保険は加入を義務付けられていることが多いですが、建物や設備に対する保険も検討する必要があります。

保険料は一括払いと分割払いが選択でき、通常は一括払いのほうが割安になっています。地震保険も加入しておくことで、災害リスクを軽減でき、経営の安定につながるでしょう。

マンション経営にかかるランニングコスト

マンション経営にかかるランニングコストを解説します
マンション経営にかかるランニングコストを解説します

経営を開始したあとも、マンションの運営にはさまざまなランニングコストが発生します。主な項目として、光熱費や修繕費、投資用ローンの返済費、管理手数料、固定資産税、都市計画税、そして所得税・住民税が挙げられます。以下で各費用を詳しく見ていきましょう。

修繕費

マンションの外壁や設備は時間とともに老朽化するため、定期的なメンテナンスや修繕が必要です。一般的には10~15年ごとに大規模修繕をおこなうことが目安とされています。そのため、修繕費を計画的に積み立てておくことが重要です。
修繕費用をあらかじめ積み立てておくことで、緊急の修繕にも対応できるでしょう。また、修繕費用を抑えるためには、日常的なメンテナンスも欠かさずおこない、劣化の進行を遅らせるための工夫が大切です。

管理手数料

管理手数料は、賃貸管理を委託している管理会社に支払う手数料のことで、一般的に賃料の約5%といわれています。管理会社選びや契約内容によっては、手数料の割合が異なることも。
管理業務には、入居者との対応や賃料の集金、物件の清掃や修繕の手配などがあります。これらの手間のかかる業務を管理会社に委託することで、オーナーの負担を軽減できるでしょう。また、管理会社はプロフェッショナルとしてマンション経営に必要なノウハウや法的な知識を持っているため、トラブルが発生した際にも適切な対応が期待できます。

しかし、管理会社によってサービス内容や料金体系が異なるため、契約前に複数の会社から見積もりを取り、慎重に比較することが重要。特に、管理業務の範囲や対応力、緊急時の対応体制に関しても確認しておくとよいでしょう。
管理手数料を抑えつつ質の高いサービスを提供してもらえる管理会社を選ぶことで、長期的なコスト削減と物件価値の維持が可能です。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日の時点で土地や建物を所有している場合に課される税金です。税額は固定資産税評価額に基づいて計算され、市区町村に納付します。

計算式は以下のとおりです。

課税標準額 × 税率(1.4%)= 税額

都市部や評価額が高い物件ほど納税額が増えます。固定資産税は経費として計上できるため、毎年の納税スケジュールを把握して資金計画に組み込んでみましょう。

都市計画税

都市計画税も固定資産税と同様、土地や建物に対して課税される税金です。都市計画区域内の物件には、税率0.3%の都市計画税がかかり、固定資産税と一緒に課税されます。

都市計画税も経費に含まれるため、マンション経営での税負担を考慮した資金計画が重要です。都市計画区域外であれば都市計画税はかからないため、物件購入時には立地条件とあわせて検討してみましょう。

所得税・住民税

マンション経営による収益は、所得税と住民税の対象となります。家賃収入から必要経費を差し引いた「不動産所得」に基づいて課税され、所得税は税率が5~45%の累進課税、住民税は一律10%です。

所得税や住民税の支払いを抑えるためには、経費として認められる項目を漏れなく計上することがポイント。例えば、減価償却費や投資用ローンの利息、修繕費、管理手数料などは経費として計上可能です。

また、青色申告をおこなうことで最大65万円の控除を受けられ、税負担の軽減が期待できます。

光熱費

共用部分にかかる光熱費は、エレベーターや廊下、駐車場の照明などの電気代や、水道代が含まれます。通常、入居者からの共益費や管理費で賄われますが、場合によってはオーナーが負担することもあります。
電気代や水道代の削減を目指すために、省エネ設備の導入を検討するとコスト削減が見込めるでしょう。

ローン返済費

マンションを購入する際、投資用ローンを利用することが一般的ですが、その場合、毎月の返済費用が発生します。返済期間が長いとその分利息が増えるため、総返済額が大きくなるでしょう。
ローンの返済費用はマンション経営にかかるランニングコストのなかでも比較的大きな割合となります。
返済負担を軽減するためには、頭金を多めに用意したり、返済期間を短めに設定するなどの工夫が効果的。返済計画は、マンション経営の収益とリスクに見合ったものにすることが大切です。

マンション経営に潜むリスク

マンション経営に潜むリスクを解説します
マンション経営に潜むリスクを解説します

マンション経営にはさまざまなリスクがともない、その影響で投資用ローンの返済が困難になったり、追加の費用負担が発生したりする場合もあります。マンション経営を進めるうえで知っておくべきリスクや必要な費用を解説します。

空室リスクと需要の低下

マンション経営で避けられないリスクの一つが、空室による家賃収入の減少です。新築時は満室でも、築年数が経過するにつれて、空室が発生する可能性が高まります。
空室が増えたり、続いたりすると賃料の値下げが必要になることもあり、キャッシュフローが悪化する恐れもあります。そのため、満室時に得た家賃収入の一部を、将来の空室リスクに備えて蓄えておくとよいでしょう。

例えば、6室のマンションで家賃が8万円の場合、満室なら毎月48万円の収入を得られます。ローン返済と管理費などで30万円が支出になると仮定すると、18万円が手元に残るでしょう。しかし、空室が1室発生すると残額は10万円に減少します。

空室が3室以上になると自己資金での補填が必要です。投資用ローンの返済や固定資産税などの維持費用は、空室が出ても支払いが必要なため、満室時に資金を確保し、余裕を持つことが重要です。

管理会社と収支シミュレーションをおこない、家賃収入が投資用ローンの返済費や維持費をカバーできるか確認しましょう。また、少子高齢化や人口減少が進む日本では、賃貸需要の減少も考慮する必要があります。

家賃滞納のリスク

家賃が滞納されることで、家賃収入が減るリスクもあります。満室だからと油断してはなりません。
万が一家賃を滞納する入居者が出た場合は、すぐに対応する必要があります。こまめに催促したり、最悪の場合退去を勧めたりなど、家賃が滞納された際の対策を考えておきましょう。

災害によるリスク

地震や火事、台風などの災害により、マンションが損害を受けるリスクも存在します。自然被害には、火災保険や地震保険への加入が必要です。
ただし、火災保険だけでは地震や津波による損害は補償されないため、地震保険もあわせて検討するとよいでしょう。

金利変動のリスク

金利が変動すると、投資用ローンの返済額が大幅に増えるリスクもあります。固定金利の場合は、金利が変動しても影響はありませんが、変動金利を選択した場合は注意が必要です。

金利が上がると返済額が増えるため、家賃収入で得た収益が減ってしまいます。固定金利と変動金利はそれぞれメリットとデメリットがあるため、状況に合わせて慎重に判断することが大切です。

建物の老朽化リスク

マンションは、時間の経過とともに老朽化します。老朽化が進むと入居者が減少して空室が増え、家賃を引き下げざるをえないなどの悪循環が生じる可能性があります。

老朽化自体は避けられませんが、定期的に修繕工事やリフォームをおこなうことで、経営の安定性を維持できるでしょう。

事故物件になるリスク

順調に経営が進んでいても、事故物件となれば一転して経営の安定が揺らぎます。事故物件とは、事件や事故により人が亡くなった物件を指しますが、周辺に暴力団事務所や嫌悪施設がある場合も「心理的瑕疵物件」とされます。

心理的瑕疵がある物件は、賃料の引き下げを避けられないのが現状です。

マンション経営の負担を抑えるコツ

マンション経営の負担を抑えるコツを解説します
マンション経営の負担を抑えるコツを解説します

最後に、マンション経営のコストを抑えるためのポイントを解説します。

資金計画を立てる

マンション経営での初期費用やランニングコストの詳細を把握し、収支計画を明確にしておくことが重要です。物件購入時には、頭金や投資用ローンの条件を検討し、可能な限り低利で資金を調達できるよう工夫しましょう。
また、修繕やトラブルなど突発的な費用が必要になるケースもあるため、十分な自己資金を準備しておくことがリスク管理につながります。

信頼できる管理会社を選ぶ

管理会社選びは、マンション経営の成功に直結するほど重要なポイントです。管理手数料だけでなく、業務の質や対応力もしっかり確認しましょう。

信頼できる管理会社を選ぶことで、空室リスクを抑えたり、トラブル時の対応もスムーズにおこなったりできるため、経営の安定化にもつながります。複数の会社から見積もりを取り、サービス内容や手数料を比較検討し、自分のニーズに合った管理会社を見つけましょう。

節税対策をおこなう

マンション経営では、不動産所得に対して所得税と住民税が課されますが、経費を最大限に活用することで課税所得を抑えられます。経費として計上できる項目を把握し、青色申告などの制度も活用することで、納税額の削減が期待できます。

また、税理士などの専門家に相談し、適切な税務戦略を立てることも有効です。

入居者を安定して確保する

空室が続くと収益が減少し、投資用ローンの返済や固定費の負担が大きくなります。入居者を安定して確保するためにも、物件の立地や設備、賃料設定などを見直し、競争力のある物件を目指しましょう。

また、管理会社と連携し、物件の清掃や修繕を定期的におこない、物件の価値を維持し、入居者満足度を向上させることが大切です。

まとめ

マンション経営を始める際には、物件取得費用をはじめとする多くの初期費用や、管理手数料、修繕費、税金などのランニングコストがかかります。上記のような費用を理解し、計画的に準備することで、安定した収益を生み出す経営が可能になるでしょう。

また、節税対策や信頼できる管理会社の選定、入居者の確保などの工夫をおこない、長期的なコスト負担を抑え、効率的な運用を実現しましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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