空室対策に使えるアイデアを紹介!空室を埋めて安定収入を目指そう

本記事では、空室対策に使えるアイデアをご紹介します。それぞれのケースで活用できるアイデアをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
空室対策のために必要な準備

空室を減らすためには、事前の準備が必要です。十分な準備をしないまま空室対策に取り組んでも、望んだ成果を得られない可能性が高まります。まず、なぜ空室が発生しているのかを把握し、適切な対策を検討することが重要です。
賃貸物件の空室率を把握する
対策を考える前に、まず賃貸物件の空室率の現状を確認しておきましょう。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」では、令和5年における全国の住宅の空室率は13.8%で、そのうち賃貸・売却用および二次的住宅を除く空室率は5.9%です。なお、二次的住宅とは別荘やたまに寝泊まりしている人がいる住宅のこと。上記のデータも参考に、自身の賃貸物件が抱える問題点を把握し、早めに対策を取ることが大切です。
適正な家賃相場を把握する
所有する賃貸物件の家賃が相場に適しているか確認しましょう。家賃が地域の平均を上回っている場合、それが空室の原因かもしれません。まず、近隣の家賃相場をリサーチして、所有物件の家賃設定を見直すことが、効果的な空室対策のスタートとなります。
物件の立地条件を理解する
賃貸物件の立地は入居者にとって重要なポイント。最寄り駅から賃貸物件までの距離が遠い場合、利便性が低いとの理由で入居率に影響することがあります。
不動産ポータルサイトの検索条件では、徒歩10分以内の物件が選ばれる傾向にあります。そのため、駅からの距離が近い物件であれば、空室率が低くなる可能性があるのです。
もし最寄り駅から遠くてバスが必要な場合、付加価値を加えて、賃貸物件の魅力を増す工夫が必要。例えば、駐車場や駐輪場の提供、高齢者や外国籍の方の受け入れ、ペット可物件にするなど、他物件との差別化を図ることが効果的です。
競合物件の状況を調査する
所有する賃貸物件と条件が類似している物件の調査をおこないましょう。例えば最寄り駅までの距離や間取りが似ているなど不動産ポータルサイトで検索条件を設定して、競合物件との違いを確認するのも一つの方法です。
また、周辺地域を歩いて物件の空き状況を把握したり、管理会社や不動産会社に人気物件の特徴を尋ねたりすることも効果的。どの部分を参考にすれば物件の魅力が増すか、直接相談するのもよいでしょう。
間取りがニーズに合うかを確認する
空室が続く原因として、間取りが入居者のニーズに合わないことが考えられます。特に和室のみの物件や、2DK・3DKなどの古いタイプの間取りは人気が低い傾向にあります。
和室を洋室にリフォームしたり、ダイニングキッチンの間取りをリビングダイニングキッチン(LDK)に変更したりするなど、入居者が求める間取りに合わせることもポイントです。
設備がニーズに合っているかを確認する
賃貸物件に備わっている設備も、空室が発生する要因になりえます。例えば、洗濯機置き場が屋外にある物件は不人気で、現代のニーズにそぐわない可能性があります。
また、ファミリー向け物件に3点ユニットバスがある場合、需要が低くなるため、バス・トイレ別のセパレートタイプに改装するのも一つの手。
さらに、和式トイレやバランス釜(旧式の給湯設備)などの設備が古い場合も、人気が低下する傾向にあります。和式トイレを洋式トイレに変更したり、ユニットバスに変えたりするなど、時代に合った設備に更新することをおすすめします。
空室対策に効果的なアイデア〜募集手段編〜

空室対策を始める際には、まずは募集手段を再確認することが重要です。賃貸物件に手を加えると、あとからの変更が難しくなったり、予想以上のコストがかかったりすることがあります。しかし、募集手段を変更するだけで空室が埋まる可能性があるならば、それほど効率のよいことはありません。以下で、募集手段に関する空室対策をご紹介します。
インターネットに掲載する写真を見栄えのよいものにする
掲載写真の見栄えがよければ、入居希望者によい印象を与え、問い合わせ率も上がります。賃貸物件を撮影する際は、次のポイントに気を付けると効果的です。
- 天気のいい日中に撮影する
- 一眼レフと広角レンズを使用する
- 部屋が広く見えるようにローアングルで撮影する
- 写真に余計な物や不要な部分が映らないようにする
上記の工夫により、賃貸物件の魅力が最大限に伝わりやすくなります。
掲載情報の正確性を確認する
不動産ポータルサイトで物件情報が正確に記載されているかを再確認しましょう。家賃、共益費、築年数などが間違っていると、入居希望者の目に触れず、検索から省かれてしまいます。
また、賃貸物件のアピールポイントも記載されているかを確認しましょう。小さな情報の差が物件の魅力を伝えやすくし、問い合わせ率を向上させることにつながります。
インターネットで検索されやすい家賃設定に変更する
家賃設定を「インターネットで検索されやすい」金額に調整してみましょう。家賃の端数設定によっては、検索から外れてしまい、入居希望者の目に留まらなくなることもあります。
例えば、家賃を7万2,000円に設定した場合、「家賃7万円以下」の条件から外れてしまいます。この場合、家賃7万円、管理費2,000円に分けるなどの工夫をするとよいでしょう。
多くの不動産ポータルサイトでは家賃検索が5,000円単位でおこなわれるため、この点も意識した家賃設定が効果的です。
管理会社や仲介会社にあらためて相談する
空室が続く場合は、依頼している管理会社や仲介会社に現状を相談してみましょう。例えば、週に何件の問い合わせがあったか、どのように賃貸物件をアピールしているかなどを確認するとよいです。
仲介会社は、入居希望者の反応を知っているため、効果的なアドバイスをもらえる可能性があります。
管理会社や仲介会社の変更を検討する
相談をしても改善が見られない場合は、管理会社や仲介会社の変更も検討してみましょう。賃貸物件の写真が見やすい、取り扱い物件が多い、アクセスのよい場所に店舗があるなど、入居希望者のニーズを満たす会社を選ぶことが大切です。空室対策に強い会社と契約することで、空室解消に向けた積極的なサポートを受けられる可能性が高くなります。
内見のしやすさを改善する
仲介会社が内見しやすいよう、鍵の受け渡しがスムーズになるキーボックスの設置、駐車スペースの確保、夜間用の照明設備の準備などをおこないましょう。営業担当者の負担が軽減されることで、「どんどんこの物件を紹介していこう」と思ってもらえれば、紹介確率を高めることにつながるでしょう。
レインズ(REINS)に掲載する
不動産関係者向けの物件情報検索サイト「レインズ」への掲載を管理会社に依頼しましょう。掲載されることで多くの不動産関係者に賃貸物件をアピールでき、入居者の見込みを広げられることが期待できます。
魅力的なオリジナル間取り図を作成する
白黒の間取り図では賃貸物件の魅力を十分に伝えられないこともあります。フローリングを淡い茶色、水回りを水色などに着色し、家具配置のイメージを含めた間取り図を作成することで、入居希望者に強い印象を与えられます。
広告費(AD)を増やす
広告費(以降、AD)を増やすことで、仲介会社が優先的に紹介してくれる可能性が高まります。ADは「仲介手数料」とは別に支払う費用で、一般的には家賃の1~2カ月分が相場です。長期間の空室が続く場合は、ADを上乗せして物件の宣伝力を高めることも一つの手です。
空室対策に効果的なアイデア〜入居費用編〜

入居費用に関する空室対策をおこないましょう。家賃の引き下げは最終手段として、初期費用に関連する対策をご紹介します。
敷金・礼金を減らす(ゼロゼロ物件)
敷金・礼金を減らすことで、入居者の初期費用を抑えられます。ただし、敷金は契約期間中の未払いや原状回復費用の補填の役割があります。そのため、保証会社の利用や前家賃の受け取りなどでリスクを軽減するとよいでしょう。
新入居応援キャッシュバックを実施する
キャッシュバックキャンペーンは、物件検索者の目に留まりやすくなります。仲介会社に相談し、「新生活応援キャッシュバック」などの名前を付けることで、賃貸物件の価値を下げずにキャンペーンを実施できます。
数カ月間のフリーレントを設定する
一定期間のフリーレントを設けると、競合物件との差別化が図れます。例えば、入居月の家賃無料や初月家賃無料などの設定が効果的です。
ただし、短期間で退去されるリスクを防ぐため、違約金の設定を付けるとよいでしょう。
家賃軽減サービスを導入する
長期的な入居を促進するために、2年ごとに家賃を少しずつ引き下げる家賃軽減サービスを導入することも検討してみましょう。
長く住み続けるごとに家賃が安くなる設定をすれば、退去率を下げられる可能性があります。
空室対策に効果的なアイデア〜建物周辺や共用部分の清掃編〜

募集手段の対策が済んだら、次は賃貸物件の清掃を徹底しましょう。共用部分が汚れていると、物件全体の印象が悪くなり、成約率も低下します。以下に、清掃に関する対策をご紹介します。
共用部分の電球を確認し取り替える
共用部分の電球が切れていると、管理が行き届いていない印象を与えます。夕方や夜に内見をする際の印象が悪くならないよう、定期的に確認と取り替えをおこないましょう。
ゴミ出しルールを確認する
ゴミ置き場の清掃状況やルールが守られているかを確認し、必要があれば注意を促しましょう。ゴミ出しのマナーが守られていないと、悪臭や害虫も出やすくなるため入居希望者が嫌がる要因になりかねません。
メールボックスを整理する
空室のメールボックスにはチラシが溜まりやすいため、定期的に清掃をおこないましょう。「チラシお断り」のステッカーを貼るなどして、投函防止策を講じることも効果的です。
空室対策に効果的なアイデア〜募集条件編〜

空室対策として募集条件の緩和を検討すると、より多くの入居希望者を引きつけられる可能性があります。それでは実際にどのような募集条件が効果的なのか、以下で解説します。
SOHO・事務所利用を許可する
リモートワークの普及にともない、住居を兼ねた事務所(SOHO)利用のニーズが高まっています。賃貸物件の事務所使用を許可すると、家賃の値上げや、入居希望者の増加が期待できます。
ただし、SOHO利用にはいくつかの注意点も。
事務所として利用する際の注意点は、下記のとおりです。
- 出入りが増えるため、防犯や住民の安心に配慮する
- 用途変更にともなう税務的な影響がある
- 使用業種に対する自治体の規制がある
- 必要に応じて火災保険を変更する
不動産管理会社と相談し、上記の条件をクリアしてから実行するとよいでしょう。
ペット飼育を許可する
ペットの飼育を認めると、競争力が上がり、家賃を相場より高く設定できる可能性もあります。ペット可の賃貸物件は少なく、特にペットブームの影響で需要が高いため、空室対策に効果的です。
ただし、以下のようなリスクも考慮する必要があります。
- 騒音や臭いによるトラブル
- 汚れや破損に対する修繕費の増加
- ペットが苦手な入居者の退去リスク
対策としては、以下が考えられます。

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- 飼育可能なペットの種類や頭数を制限する
- ワクチン接種証明を提出してもらう
- 敷金を追加する
- ペットの飼育マナーに関する覚書を契約書に記載する
ルームシェアを許可する
ルームシェアを許可することで、賃貸物件への入居希望者を増やす効果が見込めます。特に、ルームシェア可能な物件が少ないエリアでは、家賃の値下げなしでも契約が成立しやすくなることが期待されます。
ルームシェア物件は、家族以外の複数の入居者が共同生活を送るスタイルを指すもの。住む人数で家賃や光熱費が割れるため、個人の経済的負担が軽減されます。しかし、以下のリスクもあるため、対策を考えることが大切です。
- 騒音の問題
- 無断での同居者の変更や転貸
- 家賃滞納のリスク
対策としては、以下のことが考えられます。

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- 同居人全員が契約責任を負う「連名契約」を導入する
- 転貸や同居者変更の禁止を契約条項に明記する
- 違反時の違約金を設定する
- 防音対策を強化する
- 隣室の住人にルームシェアしていることをあらかじめ伝えておく
外国人の入居を許可する
外国人の入居を許可すると、賃貸物件の稼働率が向上する可能性があります。外国人は物件の築年数にこだわらないことが多く、古い物件でも入居希望者を得られる可能性が高いです。日本に住みたいと思っている外国人も増えているため、外国人をターゲットにするのも効果的でしょう。
しかし、異なる言語や文化の違いから、下記のような問題が生じることもあります。
- 突然連絡が取れなくなる可能性
- ゴミ出しルールの違い
- 無断改装や近隣住人への配慮不足
対策としては、以下のことが考えられます。

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- 日本語が理解できる、または永住権を持つ人に限定する
- 連帯保証人や保証会社を利用する
- 明確なルール説明や契約書での特約を結ぶ
高齢者や生活保護者の入居を許可する
高齢者や生活保護者を受け入れると、物件の稼働率が上がる可能性があります。ただし、連帯保証人の確保が難しい、火災や事故リスクが増えるなどの課題があるので注意が必要です。安全面や管理のしやすさを考慮し、入居の可否を慎重に検討しましょう。
空室対策に効果的なアイデア〜建物編〜

賃貸物件の価値を上げ、入居者に選ばれやすい物件にすることも効果的です。具体的な方法を2つ解説します。
リフォーム・リノベーションをおこなう
賃貸物件の価値を高め、空室対策に有効な方法として、リフォームやリノベーションが挙げられます。リノベーション物件は築年数に関わらず人気が高くなりやすいため、コストの回収見込みがある場合は、積極的に実施するとよいでしょう。特に入居者に好まれる設備や改修ポイントをご紹介します。
人気のリフォーム例
- 壁紙の張替えアクセントクロスの使用でおしゃれな雰囲気を演出する
- エアコンを設置する
- 温水洗浄便座付きのトイレを設置する
- TVモニター付きインターホンで防犯性の高さをアピールする
- 和室を洋室に改装する
- 在宅していなくても荷物が受け取れるよう宅配ボックスを設置する
- 無料のインターネットを整備する
- 3点ユニットバスを分離させる
- 収納スペースを増設する
上記の工事はそれぞれ費用がかかりますが、賃料設定や長期的な空室リスクを考慮すると、実施する価値があるものだといえます。
バリアフリーにする
高齢者の方をターゲットにする場合は、バリアフリー化も有効です。具体的には、次のような工夫が挙げられます。
- 浴室やトイレの段差をなくす、手すりを設置する
- 廊下や玄関周りの幅を広くする
- 部屋間の段差をなくす
高齢者のみならず妊娠中の方や小さなお子さんがいるファミリー世帯にとっても安心して過ごせる物件のため、幅広い世代の方に受け入れやすくなるでしょう。
まとめ
賃貸物件の空室対策には、募集条件の変更やリフォーム・リノベーションなどが効果的です。特に入居希望者のニーズに沿った条件や設備を整えることで、他物件との差別化が図れるでしょう。物件の特性に合わせた対策を組み合わせ、効率的な空室対策を進めることで、収益性の向上につながるでしょう。

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ