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外国人への賃貸でよくあるトラブルは?事前に知っておきたい回避策を徹底解説

外国人への賃貸でよくあるトラブルや回避策を解説します
街中でも外国人の方を見かけることが多くなりました。出入国在留管理庁の発表によると、2024年6月末時点で在留外国人は358万8,956人で、過去最高を更新しています。今後も増えることが予想され、外国人を対象にした賃貸経営を考えているけれど、文化や言葉などの違いから、ためらいを感じているオーナーの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、外国人への賃貸でよくあるトラブルや回避策を解説します。メリットも多く、サポート体制も整えられているため、前向きに検討してみましょう。

外国人への賃貸でよくあるトラブル

文化や生活習慣の違いからさまざまな賃貸トラブルが発生します
文化や生活習慣の違いからさまざまな賃貸トラブルが発生します

日本人を対象にした賃貸でもトラブルは起こりえますが、外国人ならではのトラブルも発生します。どのようなトラブルがあるのか、事前に把握しておきましょう。

騒音

騒音は、文化や生活習慣の違いから発生しやすく、賃貸経営において問題となる可能性があります。国によっても異なりますが、自宅を社交場として考え、友人を招く方もいます。招く人数や時間帯によっては、トラブルになる可能性があるでしょう。

また、日本の住宅は壁が薄く音が漏れやすくなっており、足音や洗濯機の音といった日常生活の音がトラブルになるケースも。特に木造アパートの場合は、壁や床を二重構造にするといった対策が必要になるでしょう。

ゴミの分別

ゴミの分別も、外国人への賃貸でよくあるトラブルの一つです。日本におけるゴミの分別は、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミなど、細かく分類されていることが一般的です。また、出す曜日や時間、袋の色などが指定されており、外国人入居者にとっては理解が難しいこともあるようです。

株式会社YOLO JAPANがおこなった「日本のルールやマナー」のアンケート調査結果によると、知らなくて困った日本のルールやマナーでもっとも多かった回答が「ゴミの捨て方」で41%でした。「ゴミを前日の夜に出してはいけないと知らなかった」「可燃ゴミと不燃ゴミの違いがわからなかった」などの声が上がっており、丁寧に説明する姿勢が求められるでしょう。自治体によっては、外国語版のゴミの出し方に関するパンフレットが作成されているため、うまく活用しましょう。

多人数同居

外国人入居者による多人数同居も、よくあるトラブルの一つです。契約違反となるだけでなく、建物への負担が増加したり、近隣住民へ迷惑がかかる可能性があります。賃貸契約では、契約者以外の入居はできません。また、想定された人数での居住を前提に作られているため、それ以上の人数が居住することで、建物の老朽化を早める可能性があります。

さらに、入居時の審査や契約書の締結など、外国人にとってはハードルが高いことから、すでに入居している外国人の家に同居することも。契約時に多人数同居をした場合、契約解除になる可能性があることをしっかり伝えましょう。外国人対応の経験がある不動産会社に依頼することも対策の一つです。

無断解約

外国人の入居者を受け入れるトラブルとして、無断解約も挙げられます。無断解約があると、家賃だけでなく、部屋の原状回復費用も回収できません。また、新たな入居者を確保するにも時間がかかります。通常、退去する前には事前に通知することが定められています。しかし、外国人入居者の理解が不足しており、連絡がないまま退去してしまうケースも。

契約時には、退去前には事前に連絡をすること、無断で退去した場合には入国管理局に連絡することなどを説明しておくとよいでしょう。

家賃の入金確認ができない

外国人入居者の家賃の入金確認ができないことも、賃貸経営においてよくあるトラブルの一つです。入国後6カ月未満の外国人の場合、銀行口座を開設できないことが一般的です。そのため、その都度振り込んでもらう必要があります。また、家族や知り合いの口座から家賃を振り込まれるケースも多く、振込名義人と入居者の名前が一致しないケースも挙げられます。口座の開設要件を満たした際に、すぐに手続きをしてもらうとトラブルが少なくなるでしょう。

外国人を対象に賃貸に出すメリット

外国人を対象に賃貸に出すメリットを解説します
外国人を対象に賃貸に出すメリットを解説します

外国人を対象に賃貸経営をする場合、文化や言葉などの違いからトラブルが発生する可能性があります。しかし、外国人を対象にするからこそのメリットもあります。本章では3つのメリットを解説します。

家賃を高めに設定できる

外国人を対象にした賃貸経営では、家賃を高めに設定できる可能性があります。先述したように、在留外国人の数は過去最高を記録しています(2024年6月末時点)。しかし、外国人を対象にした賃貸物件は少ない傾向に。そのため、家賃を高めに設定しても入居者が集まる可能性があります。

紹介により次の入居者を確保しやすい

紹介により次の入居者を確保しやすい点も、外国人を対象に賃貸経営をするメリットの一つです。外国人の方は、職場や大学などで外国人同士のコミュニティを形成する傾向にあります。特に、外国人が入居可能な物件は限定されていることから、物件の情報が共有され、次の入居者を確保しやすくなります。快適な住環境を提供することで、空室リスクを軽減できるでしょう。

空室対策になる

外国人を入居者の対象にすることで入居者の選択肢が広がるため、空室リスクを軽減できます。また、外国人の場合は、滞在期間が決まっていることも多く、短期間の契約を希望するケースも。短期間でも安定した家賃収入を見込める点はメリットといえるでしょう。

外国人への賃貸におけるトラブルの回避策

外国人への賃貸におけるトラブルの回避策を解説します
外国人への賃貸におけるトラブルの回避策を解説します

外国人が入居できる物件は少ないため、高い入居率を期待できます。しかし、文化や生活習慣の違いからトラブルが発生する可能性も否定できません。本章では、契約前、契約時、入居後の3つに分けて、できる対策を解説します。

契約前

まずは、契約前にできるトラブル回避策を見ていきましょう。

文化や習慣の違いを理解する

外国人入居者とのトラブルを回避するために、文化や生活習慣の違いを理解しておきましょう。例えば、日本では玄関で靴を脱ぐことが一般的です。しかし、国によっては家の中でも靴で過ごす文化もあります。これらの違いを理解せずに接すると、不満が蓄積してしまうでしょう。文化の違いを理解し、丁寧に説明することが大切です。

外国人の受け入れ経験がある不動産会社に依頼する

外国人の受け入れ経験がある不動産会社に管理業務を委託すると、心強いでしょう。これまで見てきたように、外国人を対象にした賃貸経営は、日本人入居者とは異なる特有の課題があります。専門的な知識や経験を持つ不動産会社に管理業務を委託することで、オーナーの負担を軽減できるでしょう。例えば、不動産情報サイト アットホームでは、外国語を話せるスタッフがいる不動産会社を検索できます。このような不動産会社であれば、外国人入居者の対応経験もあると考えられるでしょう。





入居審査をしっかりおこなう

入居審査をしっかりおこなうことも、トラブルを回避するための一つの方法です。具体的には、次のポイントを確認しておくといいでしょう。

  • 経済状況が安定しているか
  • 在留資格の種類は何か
  • 滞在期間が確定しているか
  • 連絡を取れる家族や日本人の友人がいるか

日本人と同様、経済状況の安定性を確認しましょう。また、在留資格の種類に応じて滞在期間が定められているため、有効期限も確認します。さらに、母国の家族や日本人の友人など、入居希望者が普段関わりを持っている人たちの連絡先を事前に把握しておくことも大切です。万が一、入居者本人と連絡が取れなくなっても、関わりを持っている人たちであれば連絡が取れ、何かしらの対応を求めることができます。

契約時

次に、契約時にできるトラブル回避策を解説します。

重要事項を丁寧に説明する

重要事項説明は、日本人であっても専門用語が多くわかりにくいものです。外国人の入居希望者からすると、さらに難しいものに感じられるでしょう。そのため、わかりやすい日本語や入居希望者の母国語で説明をおこない、契約内容を理解してもらうことが大切です。

国土交通省の「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」では、英語をはじめ、中国語や韓国語、スペイン語などの14カ国語で重要事項説明書などの見本が掲載されています。また、契約書とは別に、トラブルに発展しやすい事柄をまとめ、生活ルールを理解してもらうことも有効でしょう。

外国人に対応している家賃保証会社を活用する

家賃保証会社とは、入居者が家賃を支払えない場合に、代わりに家賃を立て替えてくれる会社です。また、入居者が無断で退去してしまった場合、原状回復費用を立て替えてくれることも。国土交通省のホームページでは、外国人の言語対応サポートをおこなっている家賃保証会社が掲載されています。会社によっては、家賃の滞納時だけでなく、契約時や入居中もサポートをしてくれるため、大きな支えとなるでしょう。

入居中

最後に、入居中のトラブルを防止するためにできる対策を見ていきましょう。

コミュニケーションをとる

日頃からコミュニケーションをとっておくと、何か異変があった場合でも、すぐに気付けるでしょう。特に日本に来たばかりの外国人入居者にとって、慣れない土地での生活は不安なものです。簡単な挨拶をするだけでも、外国人入居者は安心するでしょう。また、入居者同士でのコミュニケーションを促すと、良好な関係を築くことができ、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。さらに、コミュニティ意識が生まれ、物件への愛着心が高まり、退去率の低下が期待できるでしょう。

定期的に物件に足を運ぶ

定期的に物件に足を運び、ルールを守れているかを確認しましょう。例えば、ゴミの分別ができているか、共用部分に私物が置かれていないかなどです。もしルールを守れていない場合は、掲示物で知らせましょう。文字のみの掲示物はわかりにくいため、イラストを用いて視覚的にわかりやすくすることが大切です。

まとめ

本記事では、外国人を対象にした賃貸経営でよくあるトラブルやその回避策を解説しました。文化や生活習慣などの違いから、さまざまなトラブルが起こりえます。しかし、外国人が入居できる物件は限られていることから、家賃を高めに設定でき、空室対策になるといったメリットも。あらかじめ違いを理解し、納得できるまで丁寧に説明することで、ある程度のトラブルは回避できるでしょう。また、外国人のサポートをおこなっている不動産会社や家賃保証会社もあるため、うまく活用しながら、賃貸経営をおこないましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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