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洗濯物にカメムシが!ベランダからの侵入防止対策や駆除方法を紹介

野菜やくだもの、稲などあらゆる農作物を荒らす害虫のカメムシは、悪臭を放つ虫として知られています。 最近では気候の影響からか、食害を引き起こすカメムシの大量発生で注意報が出るなど、全国的に話題を集めたこともありました。そんなさまざまな被害をもたらす、なかなか厄介な害虫のカメムシ。ベランダや庭など、一般家庭でもよく見かける虫で、手を焼いている人も多いのではないでしょうか。とくにあのイヤなにおいが付いてしまうと、なかなか取れず大変ですよね。そこで本記事では、カメムシの撃退法について、詳しくご紹介していきます。

カメムシってどのような虫?

カメムシといえば、茶色や緑色ものをイメージする人も多いかもしれません。しかし実のところ、日本には90以上の種類が生息しています。なお、カメムシというのは、カメムシ目に分類される昆虫全般を指した名称。実際に“カメムシ”を正式名称とする虫は存在していません。ちなみに、刺されると強いかゆみを引き起こすトコジラミも、実はカメムシの仲間です。

カメムシの種類

では、一般的に目にしやすい悪臭を放つカメムシには、どのような種類があるのか見ていきましょう。

マルカメムシ

体長は5~5.5mmほど。北海道を除く日本全土に見られます
体長は5~5.5mmほど。北海道を除く日本全土に見られます

マルカメムシは、他の種類よりも丸みのある円形の体をしています。色は緑もまざった褐色ですが、光の加減では茶色に見えるでしょう。基本的には大豆などの豆類の植物を好みますが、朝顔といったツル植物にも付着するカメムシです。

アオクサカメムシ

体長は12~17mmほど。日本全土に見られます
体長は12~17mmほど。日本全土に見られます

アオクサカメムシはホームベースを少し縦長にしたような形で、体全体が緑色をしている種類です。なかには黒色に黄色の模様が入っているなど、変異体も存在しています。また、アオクサカメムシには光沢がありませんが、テカテカとした見た目のものになるとツヤアオクサカメムシと呼ばれます。アオクサカメムシは樹木に実がなる果実や野菜、稲などを好むカメムシです。

クサギカメムシ

体長は13~18mmほど。日本全土の見られます
体長は13~18mmほど。日本全土の見られます

クサギカメムシは体の形がアオクサカメムシによく似ていますが、茶色や黒色などの暗い色味をしています。また、アオクサカメムシと同じようににおいの強い果樹を好み、リンゴやモモといった農作物の果汁を吸ってしまう農業害虫としても有名な種類です。

ナガメ

体長は8~9mmほど。日本全土に見られます
体長は8~9mmほど。日本全土に見られます

ナガメは、黒地に朱色の模様が入った楕円形の体をしているカメムシです。菜の花をはじめとしたアブラナ科の植物に付着することから、ナガメと呼ばれています。その他にも、小松菜や白菜など、葉物野菜を全般的に好む種類です。

サシガメ

体長は18~20mmほど。種類によって生息地が異なり、写真は北海道と本州に見られるハネナシサシガメ
体長は18~20mmほど。種類によって生息地が異なり、写真は北海道と本州に見られるハネナシサシガメ

サシガメは長い手足と縦長の体形をしている、カメムシのなかでも大きな種類です。他の生物の体液を吸って生息する食肉の昆虫で、なかには小動物の血を摂取するサシガメもおり、人間を刺してくる場合もあります。

人への影響は?害はある?

基本的には人体に直接的に害を与える昆虫ではありませんが、まれにサシガメに遭遇して触ってしまうと、鋭い口で刺されるケースがあります。特に大型のサシガメだと、かなりの痛みを感じることもあるようです。また、刺される危険性として考えられるのは、サシガメにいる原虫が人体に寄生し、さまざまな疾患を引き起こすシャーガス病。心臓や消化器官などに寄生され、臓器をむしばんでいく病気です。ただ、日本ではシャーガス病の原因となる寄生虫が見つかった報告はないので、さほど気にする必要はないでしょう。

やはり、カメムシの被害として大きいのは悪臭で、においが付くと数日間は残ってしまうケースも。その他、農作物や家庭菜園をしている場合には、カメムシに水分を吸われて植物が育たなくなってしまう食害に遭うこともあります。

カメムシの悪臭の原因は?

カメムシの成虫は足の付け根に悪臭を出す分泌腺があり、基本は自分の身を守ったり、敵を退治したりするためのくさいにおいを放ちます。さらに、この分泌物には繁殖などのフェロモンとしての役目がある他、においを出すことで周りのカメムシに敵がいる危険を知らせる効果も。

なお、カメムシの分泌物には刺激性のある物質が含まれていて、それが付いた手で目や皮膚を触ってしまうと炎症を起こすケースも。もしカメムシに触ってしまった場合には、ただちに洗い流すようにしましょう。

カメムシが発生する時期は?

カメムシは、生殖時期が終わった初夏から秋頃にかけてよく目にするようになります。発生パターンとしては、カメムシは春に繁殖するので、夏のはじめ頃に成虫として出てくるのが1つ目。2つ目は、寒い冬を越すために、山間部から暖を取りやすい住宅地に下りてくるパターンです。カメムシは暖かい場所を好むため、日当たりのいいところに集まってきます。そのため、家のベランダや庭など、日光の浴びやすい場所に寄ってきてしまうのです。

カメムシはどこから侵入してくる?

前述したように、もともとカメムシは林・森・河川・線路敷などに生息している昆虫です。そこから何かの拍子に、家のなかへ入り込んでくるケースがあります。ちなみに、主な侵入経路は以下の2つです。

カメムシは体の形が平たい昆虫なので、少しの隙間からでも簡単にとおり抜けてしまいます。窓枠がゆがんでいたり、網戸にほつれがあったりすると、カメムシが侵入してきてしまうケースも。できるだけ暖かいところを求めて動くので、特に寒くなりはじめる時期には部屋に入り込もうとします。また、場合によっては換気扇や換気口など、屋外とつながっている経路からカメムシが侵入してくることもあるでしょう。

洗濯物

太陽に当たってホカホカになっている洗濯物は、カメムシにとって絶好の場所です。さらに、光が反射しやすい白色に集まってくる習性もあるので、例えば明るい色味のタオルやワイシャツに付着する姿が多く見られます。そして、洗濯物に付いたまま部屋のなかに取り込んでしまうことで、室内に侵入してきてしまうのがよくあるケースです。

カメムシの対策方法

なるべくカメムシに遭遇しないためには、ベランダや洗濯物に近寄らせない予防策が大切です。具体的には、次のような対策があります。

ベランダに鉢植えやプランターを置かない

カメムシは野菜・果物・豆をはじめ、さまざまな種類の植物を好んで食べたり産卵したりします。植物はカメムシにとって絶好の住処になってしまうため、特に洗濯物を干すベランダでは育てないほうが無難です。もしベランダで家庭菜園やガーデニングを楽しみたい時には、カメムシが嫌いな品種を選ぶのがおすすめ。例えばミントやトウガラシなどは、カメムシをはじめとした害虫の虫除けになります。その他のハーブ系を植えておくのも防虫になりますが、フェンネルはカメムシが好きな種類なので要注意です。

ベランダに忌避剤や防虫剤を吊るす

カメムシを寄せ付けないためには、物干し竿などに吊るしておける、市販の忌避剤や防虫剤を設置しておくのも一つの方法でしょう。虫除け剤を置いておけば、カメムシ以外のコバエや蚊などの害虫予防もできるので一石二鳥です。また、市販の虫除けスプレーのなかには、窓や玄関用の防虫ができるタイプもあります。スプレーで薬剤を撒いておけば、周辺には虫が寄ってこられなくなるのでおすすめです。

洗濯物を干す際にはネットをかける

カメムシは日の当たった洗濯物に寄ってくる習性があるので、防虫ネットを使う方法もあります。物干し竿に吊るすタイプや、もしくはアウトドアで使用する蚊帳タイプで代用するのも一つの手です。洗濯物にさえ付かなければ、間違って部屋に取り込んでしまったり、イヤなにおいが移ったりすることもありません。外側のネットにカメムシがいても、さっと払えるので安心です。

窓の隙間を塞ぐ

カメムシなどの害虫を家に入り込ませないためには、侵入口になりそうな部分はすべて塞ぐのが得策。最近は窓や玄関用の隙間テープが市販されているので、簡単に虫が入ってきそうな場所も埋められます。また、換気扇や換気口が気になる場合には、防虫フィルターを取り付けておくのがおすすめです。

室内にアロマオイルを置く

先ほど述べたとおり、ミントをはじめ、レモングラス・ローズ・ゼラニウムなども虫が嫌うにおいです。そのため、アロマを置いておくと、カメムシといった害虫の虫除け効果があります。家のなかでいい香りを漂わせつつ、防虫もできて便利ですよ。ただし、鼻が利く犬や猫は、アロマの香りで中毒になってしまうケースがあります。ペットを飼っている部屋で使うのはリスクがあるので、アロマは避けるようにしましょう。

カメムシの駆除方法

洗濯物にカメムシがついていたらどのように駆除したらよいのでしょうか

もしカメムシを見つけた場合には、できるだけ刺激を与えずに駆除するのが得策です。危険を感じると悪臭を出して攻撃してくる可能性があるため、次のような方法で退治するようにします。

ペットボトルでトラップをつくる

カメムシは、逃げようとする時に下に向かう習性があります。そのため、それを利用したペットボトルのトラップで駆除するのが簡単な方法です。作り方としては、上部約3分の1あたりでカットし、飲む側を下にしてペットボトルの下部にはめ込むだけ。これを持って、下からゆっくりカメムシに近付けると、勝手にペットボトルの底まで落ちてきます。カメムシは下に逃げようとするので、トラップに入ってしまうと上がってこれません。そのままトラップを下に向けて外に逃がしても、あらかじめトラップに中性洗剤を入れておいて死滅させてもOK。もしくは、トラップに砂糖水を入れておき、おびき寄せて捕まえる方法もあります。

凍結スプレーをまく

小さなお子さんやペットがいる場合には、薬剤を撒かずに捕獲できる凍結スプレーがおすすめです。スプレーをすれは、一瞬で凍らせて死滅させられます。できるだけ殺虫剤を使いたくない場所で発見した時にも便利ですし、ゴキブリだと少し難しいですが、他のムカデやクモといった虫にも使用可能です。

燻煙剤を焚く

もし、部屋のなかで何匹もカメムシを見るようなら、燻煙剤を焚いて一気に駆除する方法もあります。燻煙剤を使えばカメムシ以外の害虫駆除もできるので、気になる時には使用してみましょう。ただし、家を閉めきった状態で、人もペットも完全にいないときにしか燻煙剤は焚けません。使い方には注意してください。

カメムシの駆除でやってはいけないこと

カメムシは、危険を感じた時に悪臭を発する昆虫です。駆除の方法には十分に注意しないと、イヤなにおいを増幅させてしまうことがあります。間違っても、次の方法で退治しないようにしましょう。

掃除機で吸い取る

カメムシは少しの刺激でもにおいを放つので、吸い込まれた衝撃で悪臭を出します。そうすると、排気口から部屋ににおいを広げてしまうので、掃除機で吸うのはNG。掃除機の内部にも悪臭が付いて取れなくなってしまうケースがあり、最悪の場合は買い替えになってしまいます。

叩く・潰す

カメムシは、叩き潰した時にも悪臭を出します。さらに、壁や床で叩き潰すと分泌物が付いて汚れてしまい、イヤなにおいがなかなか取れなくなるケースも少なくありません。カメムシを捕まえる際には、そっと近付いて、できるだけ衝撃を与えないようにするのが鉄則です。

もしもカメムシのにおいが付いたら?

カメムシのにおいは手や服に付いてしまうと、水や石鹸ではなかなか落ちません。もしにおいが取れない場合には、次のような方法を試してみてください。

手ににおいが付いた時の対処法

カメムシの悪臭の原因となる物質は、油に溶けやすい性質があります。一般的な食用のサラダ油やオリーブオイルで構わないので、いったん油を付けてこすってから、石鹸などで洗い流すときれいに落ちます。

服ににおいが付いた時の対処法

服に付着してしまった場合には、界面活性剤入りの洗濯洗剤や食器用洗剤で洗うと、イヤなニオイはなくなります。もしすぐに洗う余裕がなければ、同じく界面活性剤系の洗剤につけ置きしておき、簡単にもみ洗いして洗濯するだけでOKです。

まとめ

カメムシは、人間に攻撃しようとする虫ではありません。しかし、せっかくきれいに洗った洗濯物に付いていると、なんとなく気分はよくないですよね。イヤなにおいを発する立派な害虫でもあるので、きちんと駆除しておかないと、非常に不愉快な思いをしてしまいます。また、蚊やハエのように潰して捕まえられる虫ではないので、きちんと適切な退治方法を知っておくことが大切です。ぜひ本記事を参考に、カメムシを寄せ付けない対策をしてみてくださいね。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引っ越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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