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別居婚とは?メリット・デメリットや必要な手続きについて解説

別居婚とは?メリットとデメリットについて解説
近年、結婚の形は多様化しており、必ずしも同居する方式だけではなくなってきました。そうしたなかで、注目されているのが別居婚です。明確な定義があるわけではありませんが、一般的には夫婦関係が良好な状態を保ったまま、あえて別々に暮らす形を指します。本記事では、別居婚の意味やメリット、デメリット、必要な手続きについて解説します。

別居婚とは?

別居婚の定義とは
別居婚の定義とは

別居婚とは、法律上の婚姻関係にありながら夫婦が同居せず、それぞれ別の住居で生活する形です。仕事の勤務地が離れていたり、ライフスタイルが異なったりすることから、あえて別居を選ぶ夫婦もいます。

家庭内別居との違い

家庭内別居とは、同じ家に住んでいながら夫婦が交流を持たず、生活を別々にしている状態を指します。会話がほとんどなく、寝室や生活スペースも分けているなど、実質的には夫婦関係が冷え込んでいるケースが多いのが特徴です。

これに対して別居婚は、生活拠点が別でも定期的に会ったり連絡を取り合ったりしながら、良好な関係を保っている点が家庭内別居との大きな違いです。

単身赴任との違い

単身赴任と別居婚は、夫婦が別々に暮らすという点では共通しています。しかし、その目的や期間に違いがあります。

単身赴任は、主に仕事の都合によって一時的に夫婦が離れて暮らす状態です。転勤や赴任などの理由で配偶者が別の地域に住むことになり、一定期間だけ単独で生活するケースが一般的です。多くの場合、いずれ同居を再開することを前提としています。

一方で、別居婚は長期的または継続的な別居を想定している点が、単身赴任との大きな違いといえます。

別居婚のパターン

別居婚にはどのようなパターンがあるのでしょうか
別居婚にはどのようなパターンがあるのでしょうか

一口に別居婚といっても、仕事の勤務地や生活拠点の違い、価値観、家族の事情などによって暮らし方は異なります。例えば、住む地域が大きく離れているケースもあれば、同じエリアに住みながらそれぞれの住まいを持つケースもあります。また、普段は別々に過ごしながら、週末や休暇のときだけ一緒に時間を過ごすスタイルもあります。

このように、夫婦の事情や希望に合わせて柔軟に形を選べるのが特徴です。ここでは、代表的なパターンとして「遠距離別居」「近距離別居」「週末婚」の3つを紹介します。

遠距離別居

遠距離別居は、夫婦が離れた地域で暮らす形式です。都市と地方など、生活拠点が大きく離れている場合に見られます。仕事の勤務地が異なる際や、それぞれのキャリアを優先したい際などに選ばれます。

このような場合、日常的に顔を合わせる機会は少なくなりますが、休日や連休を利用して時間を作るなど、お互いの予定を調整しながら関係を築いていきます。最近ではオンライン通話やメッセージアプリを活用することで、距離があっても以前ほど不便さを感じにくくなっています。

近距離別居

近距離別居は、同じ地域や比較的近い場所にそれぞれの住まいを持つスタイルです。徒歩や電車で気軽に行き来できる距離に住むケースが多く、必要に応じて会えるのが特徴です。仕事の時間帯が異なる場合や、生活リズムを大切にしたい夫婦にとっては、程よい距離感を保ちながら関係を続けられる現実的な選択肢と考えられます。

週末婚

週末婚は、普段はそれぞれの住まいで暮らしながら、主に週末や休暇のタイミングに一緒に過ごすスタイルです。平日は仕事や個人の活動に集中し、休日にパートナーとの時間を持つという形になります。

この方法は、仕事が忙しい人や生活リズムが大きく異なる夫婦に選ばれます。限られた時間を夫婦で過ごすため、デートや旅行などを計画しやすく、特別な時間として楽しめるという声もあります。

別居婚のメリット

別居婚のメリットは?
別居婚のメリットは?

別居婚には、夫婦のライフスタイルを尊重しながら関係を築けるという利点があります。一緒に暮らさないことで、生活リズムや価値観の違いによる負担が軽減され、適度な距離感を保ちやすくなります。

また、法律上は通常の婚姻関係と同じ扱いになるため、税制上の制度や相続などの権利は基本的に維持されます。個人の時間を確保しながらパートナーとの関係も大切にできることが、別居婚が選ばれる理由です。

独身時代のように自由に暮らせる

別々の住まいを持つことで、それぞれが自分のペースで生活しやすくなります。仕事の時間や休日の過ごし方、趣味の時間などを柔軟に調整できるため、生活リズムを無理に相手に合わせる必要がありません。

また、個人の空間が確保されることで、仕事や趣味に集中しやすくなる点も魅力です。ストレスを感じにくく、独身時代のように自由な時間を過ごしやすくなります。

夫婦関係が新鮮でいられる

常に一緒にいるわけではないため、会う時間をより大切に感じられます。顔を合わせる機会が限られることで、日常のマンネリ化を防ぎ、相手への思いやりや感謝の気持ちを再認識しやすくなります。また、適度な緊張感が保たれ、恋人のような感覚を保ちやすいと感じる人もいるようです。

配偶者控除などはそのまま利用できる

別居婚であっても、法律上は通常の夫婦と同じ婚姻関係です。そのため、一定の条件を満たしていれば、配偶者控除や相続権、社会保険の扶養など、法律婚に基づく制度を利用できます。

また、夫婦が合意して生活拠点を分けている場合、必ずしも民法の同居義務に違反すると判断されるわけではありません。制度上の権利を維持しながら暮らし方を選べる点も特徴です。

急な仕事や親の介護に対応しやすくなる

仕事の転勤や家族の事情などにも柔軟に対応しやすくなります。例えば、勤務地の関係で住む場所を変える必要がある場合や、親の近くに住んでサポートが必要な場合でも、臨機応変に調整できます。

別居婚のデメリット

別居婚のデメリットは?
別居婚のデメリットは?

それぞれの生活を尊重しやすい別居婚ですが、注意しておきたい点もあります。住まいを別々に維持するため、経済的な負担が増えるほか、距離があることで意思疎通が不足しやすくなります。

また、夫婦としての生活実態が薄くなると、関係性に影響が出る場合もあります。メリットだけで判断するのではなく、生活費や将来のプラン、夫婦間のルールなどを改めて見返してみましょう。

生活費が増加する

住居を2つ維持する必要があるため、家賃や光熱費、生活用品などの支出が増えます。同居している場合に比べ、家計の負担がふくらむ点は大きな課題です。

特に都市部などの家賃が高い地域では、二重の住居費が家計を圧迫します。別居婚を選択する場合は、収入や貯蓄状況を踏まえ、生活費の分担方法や将来の資金計画について事前に話し合うことが重要です。

コミュニケーションが取りづらい

物理的に離れて暮らしているため、ちょっとした出来事を共有する機会が減り、行き違いが生まれやすくなります。忙しさなどから連絡の頻度が減ると、気持ちの距離が広がることもあります。定期的に連絡を取り合うなど、意識的なコミュニケーションが求められるでしょう。

浮気される確率が高くなる

生活拠点が分かれていると、日常の様子を把握しにくくなるため、不安を感じる人もいます。自由度が高いことから、場合によってはパートナーの行動が見えにくくなるという指摘もあります。

もちろん、すべての夫婦に当てはまるわけではありませんが、信頼関係が十分に築かれていない場合は疑念や不安が生まれます。お互いの状況を共有し合い、信頼関係を保つことが重要です。

離婚が成立しやすくなる

長期間別々に暮らしていると、夫婦としての関係性が希薄になります。その結果、疎遠になる可能性も考えられます。

また、長期的な別居状態は離婚の判断材料として扱われるケースもあるため、状況によっては離婚が成立しやすくなります。別居婚を選ぶ際には、夫婦としての関係をどのように維持していくのかを考えておくことが肝心です。

実際に別居婚経験をした人の割合は約9.8%

イベントプラットフォーム事業をおこなうノマドマーケティング株式会社がおこなった「別居婚に関するアンケート調査」によると、「別居婚をしたことがある」と回答した人は全体で295人・約9.8%でした。

年代別では、若い世代ほど別居婚の経験者や関心を持つ人が多い傾向が見られます。また、別居婚をしてみたいと回答した人は2割以上おり、特に女性のほうが前向きな割合が高い結果となっています。

一方で、実際に踏み切らない理由としては「経済的な負担」や「子どもへの影響」を挙げる人が多く、理想と現実の間で慎重に検討していることがうかがえます。関心は高まりつつある一方で、実際に行動に移すにはハードルの高さを感じている人が少なくないようです。

別居婚をする際の手続き

別居婚をする際の手続きは?
別居婚をする際の手続きは?

別居婚を選ぶ場合でも、基本的な手続きは通常の結婚と大きく変わりません。ただし、住民票や社会保険などの扱いには注意が必要です。

また、引越しをともなう場合は、住民登録の変更や各種住所変更の手続きが必要です。期限が定められている届出もあるため、事前に必要な手続きを確認し、余裕をもって準備しておくことが大切です。

婚姻届

婚姻届の提出方法は一般的な結婚と同じです。住所欄には、提出時点でそれぞれが住民票を置いている住所を記入します。夫婦の住所が異なっていても問題はありません。

また、世帯主の氏名もそれぞれの住民票に基づいて記入します。なお、本籍地については、同居・別居に関わらず夫婦で統一する必要があります。

住民票

住民票は、実際に暮らしている場所に登録するのが原則です。そのため、別居婚の場合は、それぞれが住んでいる住所に住民票を置くことになります。

結婚後も住所が変わらない場合は手続きが不要ですが、引越しをともなう場合は住民票の異動届を提出します。市区町村をまたぐ際は転出届と転入届、同じ市区町村内での移動は転居届が必要で、通常は引越し後14日以内に届け出ます。

健康保険

夫婦それぞれが勤務先の社会保険に加入している場合は、加入そのものに関する特別な手続きは基本的に不要です。ただし、結婚や住所変更による氏名、住所の変更手続きは別途おこなう必要があります。

一方で、配偶者の扶養に入る場合は、保険制度によって条件が異なるため注意しましょう。別居している場合は扶養の条件を満たさないケースもあるため、事前に勤務先や保険組合へ確認しておくと安心です。

出産手続き

別居婚でも、婚姻中に生まれた子どもは法律上の夫婦の子として扱われます。出生後は14日以内に出生届を提出し、子どもは夫婦の戸籍に登録されます。

子どもの住民票は、父母どちらかの住所に登録することが可能です。ただし、予防接種や保育園の申し込みなどは住民票の住所地を基準に手続きがおこなわれます。そのため、どちらの住所に登録するか事前に検討しておくことが大切です。

別居婚がうまくいくコツ

別居婚がうまくいくには?
別居婚がうまくいくには?

別居婚を続けていくうえでは、最初の段階でしっかりと話し合っておくかどうかで、その後も大きく左右します。離れて暮らす以上、連絡の取り方や会う頻度、生活費の分担などは、あらかじめ相談しておいたほうがよいでしょう。また、別居の目的や期間を共有しておくことで、将来の方向性を見失いにくくなります。

定期的に会う時間を作る

別々に暮らしている場合、直接顔を合わせる機会が減るため、意識的に会う時間を確保することが重要です。例えば週末は一緒に過ごしたり、月に一度は会う日を決めたりすることで、関係を維持しやすくなります。

また、電話やメッセージなどを活用して日常の出来事を共有することも重要です。こまめな連絡と定期的な再会が、心理的な距離を縮めるポイントになります。

相手を信頼する

別居婚では、相手を信頼する姿勢が特に肝心です。日常の様子を常に把握できるわけではないため、相手を疑う気持ちから関係が不安定になりやすいからです。

干渉しすぎず、必要なときは支え合うというバランスが求められます。相手の生活リズムを理解しようとするスタンスが、結果的に安心感につながります。

別居期間を決めておく

別居婚を始める際には、どのくらいの期間続けるのかをあらかじめ話し合っておくことが大切です。例えば転勤期間が終わるまで、特定の仕事が落ち着くまでなど、一定の目安を決めておくと将来の見通しを立てやすくなります。期間を共有しておくことで、どちらか一方が不安を感じにくくなり、夫婦としての将来設計も考えやすいでしょう。

決まり事は書面に残しておく

生活費の分担や会う頻度、将来の住まい、子どもについてなど、重要な取り決めは書面で残しておくと安心です。記録することで、お互いの認識の違いを防ぎやすくなり、あとから状況が変わった場合にも話し合いの基準として役立ちます。

まとめ

別居婚は法律上の婚姻関係を保ちながら、それぞれ別の住まいで暮らす結婚スタイルです。仕事や生活習慣、家族の事情などに合わせて柔軟に対応できる点が特徴で、近年では新しい夫婦の形として注目されています。

一方で、生活費の増加やコミュニケーション不足などの課題もあるため、ルールや将来設計をあらかじめ共有しておくとよいでしょう。お互いの価値観や暮らしを尊重しながら、2人に合った形を選ぶことが、円満な夫婦関係につながります。以下に、別居婚に関して疑問を抱かれがちな内容をまとめました。

別居でも結婚できる?

別居していても結婚することは可能です。法律上の婚姻は、婚姻届を提出することで成立するため、必ず同居していなければならないわけではありません。婚姻届にはそれぞれの住所を記入できるので、夫婦の住まいが異なっていても問題なく受理されます。

別居婚をする際の注意点は?

生活費の分担や会う頻度、将来については最初に話し合う必要があります。曖昧なまま始めてしまうと、あとから認識の違いが生まれる原因になるからです。

また、住民票や健康保険などの制度面についても確認しておくとスムーズです。必要に応じてルールを書面に残すことで、トラブルの予防につながるでしょう。

別居婚をうまくいかせるには?

別居婚を円満に続けるためには、定期的なコミュニケーションと信頼関係が欠かせません。離れて暮らしているからこそ、こまめに連絡を取り合い、お互いの状況や気持ちを共有することが大切です。不可欠なのは、2人にとって無理のない距離感を見つけることです。

結婚にはさまざまな形が存在し、別居婚もその1つです。お互いの価値観や暮らしに敬意を払いながら、自分たちらしい、結婚のあり方を納得できる形を見つけていきましょう。

執筆者

西嶋 治美

心理教育学科を卒業後、約10年間金融機関にて従事。2016年よりライター活動を開始。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦。

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