シバンムシはどこから発生する?知っておきたい駆除方法と生態・予防策まとめ

記事の目次
茶色の小さい害虫シバンムシとは?
例えばキッチンや和室など、家の中でゴマ粒のような赤茶色の虫を見かけたことはありませんか?その虫は「シバンムシ」といって、実は畳から食品まで家中のものを何でも食べてしまう害虫なのです。もし一匹でもいる場合には、大量発生している可能性もあるので注意が必要。そこでこの記事では、シバンムシが発生する原因や駆除・対策方法などを解説します。
シバンムシの種類
見た目に大きく差があるわけではありませんが、シバンムシはとても多くの種類がある虫です。実際に世界では2,000以上、日本だと60以上もの種類が存在しているといわれています。ちなみに、一般家庭に発生しやすい、食害を起こす種類は以下の2つです。
ジンサンシバンムシ
ジンサンシバンムシの名称は人参(ニンジン)に由来していて、高麗人参(朝鮮人参)を好んで食べることから名付けられました。見た目は少し細長い楕円形で、弓のような触覚が付いているのが特徴。成虫の体長は、2~3mm程度です。ちなみに、寿命は長くても1カ月弱と、さほど強い昆虫ではありません。
タバコシバンムシ
タバコシバンムシも、ジンサンシバンムシと非常によく似た見た目をしています。違いといえば、ジンサンシバンムシに比べると丸みのあるフォルムで、触覚も少し小さめという点です。成虫の大きさや寿命も、ジンサンシバンムシとさほど変わりありません。また、タバコシバンムシの特徴として、名前のとおりタバコを好んで食べるうえに、畳や藁にも食害を及ぼします。特に和室などで見つけるシバンムシは、基本的にタバコシバンムシだと考えていいでしょう。
シバンムシに似た虫
シバンムシと間違えやすい虫に、マメゾウムシやチャタテムシがいます。特にマメゾウムシは、そら豆やいんげんといった豆類に付いてくる虫ですが、体の大きさや色がシバンムシによく似ています。違いとして挙げられるのは、マメゾウムシは触覚がまっすぐに長く伸びている部分です。また、チャタテムシは、畳・障子・押し入れなどに発生します。
チャタテムシもシバンムシと似た見た目ではありますが、異なるのは体のサイズがかなり小さく細長い点。その他、ゴキブリの赤ちゃんもシバンムシと間違えやすいですが、マメゾウムシと同様にまっすぐで長い触覚が見分けるポイントです。
シバンムシはなぜ発生するの?
基本的に、シバンムシは地域問わず全国に発生する虫で、通常は屋外の木などに生息しています。外から何らかの理由で家に入ってきてしまい、そこからどんどん繁殖してしまうのが一般的な流れです。では、実際にどのようにしてシバンムシが増えていくのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
シバンムシの発生時期
シバンムシの発生時期は4月~10月の比較的暖かい季節で、寒い冬場は基本的に幼虫の姿で過ごします。シバンムシにとって、20~30度は発育に適している気温。温暖なシーズンなら、北海道でも沖縄でも発生します。また、冬でも空調などで常に部屋を暖かくしておくと、成虫になって現れるケースも。どの昆虫も寒さに弱いため、春から秋にかけて注意が必要です。
シバンムシの侵入経路
先ほどご説明したように、シバンムシは外から家のなかに侵入することで繁殖します。そのため、玄関や窓の開け閉めで、部屋に入ってくるケースが考えられるでしょう。さらに、シバンムシは小さな虫なので、網戸の網目やほつれ・窓の隙間・換気口などを通り抜けて侵入することも可能です。
また、シバンムシは乾燥したものを好みます。そのため、場合によっては宅配などの段ボールや古本に付着していて、部屋のなかに持ち込まれることも。特に段ボールは暗くて暖かく、虫の住処になりやすいので要注意です。
シバンムシの発生場所
シバンムシは以下のような乾燥物を好んで食い荒らし、さらに卵を産み付けて増殖します。特にかみちぎる力が発達していて、ビニールや紙袋なら簡単に破ってしまえるほど。こうして穴を開けて、食品類などのパッケージのなかに入り込んで大量発生してしまうので、次のようなものには注意しましょう。
乾燥食品
- 乾麺(パスタ、そば、うどん、素麺など)
- 穀物(米、とうもろこし、小麦粉、パン粉、ホットケーキミックスなど)
- 乾燥食材(干し椎茸、かつお節、スパイス、ふりかけ、漢方薬など)
- お菓子(スナック菓子、焼き菓子、せんべい、パンなど)
- ペット飼料(ドッグフード、ペレットなどのドライフード)
どれも保存が効くような食品類が多く、保管には油断してしまいがちですが、シバンムシの大好物なので要注意です。上記に挙げた種類以外にも、とにかく乾燥系の食べものなら何でも好むのがシバンムシの特徴でもあります。
植物性の乾燥物
- 内装類(畳、壁紙など)
- たばこ、吸い殻
- ドライフラワー、標本
- 古本、和紙
- 段ボール など
特に畳で発見した場合には、その下で大量発生している可能性が高いでしょう。そのまま放置しておくと、どんどん畳を食い散らかしてしまいます。一匹でも発見したら、その周辺も必ずチェックしてください。
シバンムシの被害や人体への影響は?
シバンムシは蜂・蚊・ダニとは異なり、直接的に人体に対して何か危害を加えてくる虫ではありません。例えば皮膚を刺したり、病原菌を運んで感染させたりするケースはないのです。では、危険な虫ではないにも拘らず、なぜ家のなかで発生していると困るのでしょうか?以下から、シバンムシによる具体的な害を解説します。
シバンムシによる被害
シバンムシには、あらゆる食材をどんどん食い荒らして増えていく被害があります。さらに、畳・壁紙・布製品などをかじって、穴だらけにされてしまうケースも少なくありません。また、一般的に見られる小さな種類では心配いりませんが、もっと大きなシバンムシは、シロアリのように木材を食べてしまう場合もあります。力が強く、何でもかみちぎってしまう点に注意が必要です。
シバンムシの人体への影響
前述したように、シバンムシが直接人間を攻撃することはありません。ただし、シバンムシの幼虫には、アリガタバチという蜂の一種が寄生する場合があります。アリガタバチはシバンムシを駆除する一方、他の蜂と同様に人間を毒針で刺してくる危険な虫です。アリガタバチに刺されると、アレルギー反応による大きな痛みやかゆみが出たり、最悪のケースではアナフィラキシーショックを引き起こしたりする可能性も。
こうした被害を防ぐためにも、そもそもの発生源となるシバンムシを繁殖させない対策が欠かせません。
シバンムシの予防対策
シバンムシを増殖させないために、一般家庭で効果的な対策方法についてご紹介します。
食材を密閉容器に保管する

たとえば買ったときのままのビニールや紙といったパッケージ、チャック付きの保存袋などは、シバンムシが簡単に破いてしまいます。そのため、シバンムシに食べられそうな食品類は、ガラス・タッパー・缶といった保存容器に入れておくと安心でしょう。容器の隙間から入り込んでしまう可能性もあるので、なるべく強度も密閉性もあるものがおすすめです。
夏場は冷蔵庫に入れる
シバンムシは気温の低い環境での生息が難しいので、シバンムシが好みそうな食材は冷蔵保存する方法もあります。乾麺や乾燥食品などは、常温で置いている場合が多いかもしれません。しかし、いずれもシバンムシの大好物なので、冷蔵庫で保管しておくと安心です。
こまめに掃除をする
シバンムシにとっては落ちている食べカスなどもエサになるので、こまめに掃除するのも予防策になります。例えばキッチン・冷蔵庫周り・流しの下・食品棚や引き出しなど、残りものが溜まりやすかったり、虫の好む暗くて狭かったりする場所は、特にキレイにしておきましょう。また、段ボールや古い雑誌・本など虫の住処になりやすいものは、なるべく早めに処分することが大切です。
ヒバ油をスプレーする
ヒバ油は虫除け効果のある精油で、人体にも安心の天然成分で作られています。害虫を寄せ付けない忌避剤として、シバンムシの発生が心配な場所にまいておくのも一つの方法です。市販のスプレーもありますし、自分で作るのも簡単。できるだけ防虫剤を使いたくないという場合にもおすすめです。
シバンムシの駆除方法
もしもシバンムシが発生してしまった場合、どのように駆除するのが安心なのでしょうか。しっかりとシバンムシの発生源を根絶しておかないと、退治しても退治しても出てきてしまいます。できるだけ一度の駆除でシバンムシを繁殖させないためにも、次のような対策をしておきましょう。
発生源の食材を破棄する
シバンムシの発生源を見つけたら、たとえまだ使えそうな食材でも、容器や包装ごと捨てるようにします。仮に成虫がパッケージ内に湧いているときには、中で産卵されていたり幼虫がいたりするケースも少なくありません。また、破棄する場合も、隙間があるとそこから出てきてしまう危険があります。そのため、中で閉じ込めておけるように密閉しましょう。少しもったいないかもしれませんが、被害があったものは丸ごと捨てるようにしてください。
スプレー殺虫剤で駆除する
どうしても発生源がわからない、あるいは出てくる場所が広範囲という際には、市販のスプレー殺虫剤で退治しましょう。食材を保管している場所では使えませんが、例えばキッチンなどでシバンムシが出てくるようなら、見つけるごとにスプレーで噴射して駆除します。また、発生源が見つけられなければヒバ油を使い、置き型の忌避剤を各箇所にセットして食材に寄せ付けないように対策する方法もあります。
くん煙剤で駆除する
例えば長期の旅行や出張など、しばらく家を空けている間に大量発生してしまうことも考えられます。そうした場合には、くん煙剤(煙タイプ・霧タイプ)を使ってまとめて駆除しましょう。一部の食品類などに限らず、広範囲でシバンムシが繁殖している可能性が高いため、部屋全体を一気に殺虫するのが無難です。
くん煙剤にも複数の種類があり、大きく煙・水・霧の3タイプにわかれます。いずれも部屋中に薬剤をまくことになるので、殺虫剤をかけたくないものにはビニール袋などでカバーしておきましょう。また、くん煙剤をまく際には部屋は閉め切り、必ず自分たちやペットなども外に出た状態で使います。薬剤を吸い込んでしまうと、どの生きものにも害になるので気を付けましょう。
専用の駆除グッズを使う
シバンムシをあえて寄せ付けて捕獲する、「フェロモントラップ」を置いておくのも一つの方法です。これは、フェロモンで誘引して粘着トラップに呼び寄せるもので、シバンムシの種類ごとに使用するものが異なる点のみ注意してください。ジンサンシバンムシとタバコシバンムシで商品が分かれているので、まずは自宅に発生しているのがどちらなのか確認します。どうしても見当が付かないようであれば、両方設置しておくと安心でしょう。
プロに依頼する
畳で繁殖している場合には、ノズルを畳に差し込んで噴射できるスプレー殺虫剤で駆除する方法もあります。しかしこの場合、発生源を断絶しきれない可能性があるでしょう。徹底して駆除したいなら、畳の天日干し、または高熱処理で対処するのがおすすめです。この際には、畳熱風乾燥機がある畳専門店や害虫駆除専門会社に相談してみましょう。あまりに大量発生していると幼虫や卵が付いている可能性も高いので、状況に応じて畳の張り替えも検討することをおすすめします。
もしシバンムシを単体で見つけた場合には、粘着クリーナーや掃除機で捕まえるのが早くて便利です。ただし気を付けたいのは、掃除機で吸い込んだあと、そのまま放置してしまわないこと。紙パックなら口を密閉して廃棄、カートリッジなら中身を密閉袋に入れて捨てないと、掃除機の中で増殖して出てきてしまいます。掃除機を使うときには、必ずキレイに処理しましょう。
シバンムシを発生させない暮らしを
ゴキブリなどの害虫と同じように、シバンムシは一匹でもいると、そこから一気に増殖する可能性が高い虫です。知らない間に大量発生しているケースも少なくないので、もし発見したらすぐにでも対処しましょう。できれば普段から、シバンムシを寄せ付けないための予防をしておくことをおすすめします。不快な思いをせずに、気持ち良く毎日を過ごすためにも、こまめな虫対策を心がけましょう。