省エネ型給湯器のメリットは?賃貸集合給湯省エネ2024事業についても解説

また最近では、円安による物価高や原料費高騰などの影響もあり、日々の光熱費の値上がりも大きな社会問題になっています。そこで高い注目を浴びているのが、今回ピックアップする省エネ型給湯器。省エネ型給湯器は、燃料を効率的に使ってお湯を沸かすことができ、一般家庭の日常生活にもさまざまな効果をもたらします。さらに現在はエネルギー供給が厳しい状況に対する措置として、既存の集合住宅を対象に政府によって省エネ型給湯器の導入を支援する、「賃貸集合給湯省エネ2024事業」も進められています。
今回は、この省エネ型給湯器がある賃貸物件の具体的なメリットや、政府による賃貸集合給湯省エネ2024事業の概要を解説していきます。
記事の目次
省エネ型給湯器とは?

省エネ型給湯器とは、前述にも少し出てきたように、高いエネルギー効率でお湯を沸かすことができる住宅設備です。給湯器は、エネルギーを使って熱を発生させることで、水を温めてお湯を沸かす仕組みになっています。このお湯を沸かすための熱を発するのに、必要なエネルギー(ガスや電気)を少なく抑えられるのが、省エネ型給湯器の大きな特徴。従来の給湯器に比べて、お湯を沸かすのに使用するエネルギー使用量を大幅に減らせる点で注目を集めています。効率よく給湯ができることから、より安定性の高いエネルギー供給や環境保護などにもつながる住宅設備です。
ちなみに経済産業省資源エネルギー庁が発表した「エネルギー白書2024」によると、一般家庭でのエネルギー消費量のうち、全体の27.2%が給湯に使われているとの結果が出ており(2022年度)、給湯器は家庭における最大のエネルギー消費源となっています。こうした背景からも、省エネ型給湯器によってお湯を沸かすのに必要なエネルギーを削減することで、光熱費の節約や地球環境保全などの効果が期待されています。

省エネ型給湯器のメリット
実際に省エネ型給湯器が備わった物件に住むことで、どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
光熱費を削減できる
先ほども出てきたように、省エネ型給湯器ではお湯を沸かすために使うエネルギー(ガスや電気)を削減できることから、光熱費の節約効果が期待できます。
ちなみに一般社団法人 日本ガス協会「ガスの節約につながる省エネ方法のご紹介」によるデータでは、従来型から省エネ型給湯器に切り換えた場合に、削減できるガスの使用量は全体の約13%。また経済産業省 資源エネルギー庁「家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約」によるガス料金の目安は、1立方メートルあたり162円としており、実際に算出してみると次のようなイメージでコストを抑えられます。

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(例)1カ月平均30立方メートルのガスを使用するケース
162円(1立方メートルあたり)× 30立方メートル = 4,860円 / 月
4,860円 × 約13%(0.13)= 約632円
上記の例で考えると、月ごとに約632円のガス料金を抑えることができ、年間にして約7,584円の節約が可能。もし省エネ型給湯器を5年使ったら約3万8,000円、10年使うと約7万6,000円のガス料金を節約できる計算です。特に世帯人数が多い家庭では、給湯量も増えやすく、節約効果も高いといえるでしょう。
最近では光熱費が高騰してきており、今後さらに料金が上がって、家計をひっ迫する可能性も少なくありません。そこで、こうした省エネ型給湯器を活用しておくことで、日々の光熱費を抑えて節約につなげられるメリットがあります。
環境にやさしい

地球環境保全で大きな問題になっているのが、二酸化炭素(CO2)の排出による温暖化です。地球温暖化が進んでしまうと、気候が厳しい異常気象の頻発化など、人間を含めた生物の住環境に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。そこで近年は世界各国において、地球温暖化の一因ともされている、二酸化炭素(CO2)の排出量の削減施策が推進されています。
さらに日本は、世界的に見ても二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、外務省が発表した「世界いろいろ雑学ランキング 二酸化炭素(CO2)排出量多い国」では第5位とされるほど(2021年時点)。こうした背景からも、国内全体でCO2を減らすべく、さまざまな措置がおこなわれています。
二酸化炭素(CO2)は、ガスや電気といったエネルギーを生成する際に、燃料を燃やすことで発生する気体です。つまり必要なエネルギー量が増えれば、二酸化炭素(CO2)も増えることになります。そこで少ないエネルギーでお湯を沸かせる省エネ型給湯器を活用すれば、二酸化炭素(CO2)排出量も抑えることができ、環境保全に役立てることが可能。地球にやさしい生活ができるメリットがあります。賃貸物件を選ぶ際には環境にやさしいうえに経済的な省エネ型給湯器にも注目してみるのもおすすめです。
省エネ型給湯器の種類
省エネ型給湯器には、お湯を沸かす仕組みや性能などが異なる、いくつかの種類が存在しています。省エネ型給湯器として知られているのは、次のような3つの種類があります。
エコジョーズ・エコフィール

エコジョーズでは、この後ご紹介するエコキュートとは異なり、通常の給湯器と同じくガスを使います。従来型の給湯器は、ガスを燃焼させることで発生する熱を使わずに捨てていました。エコジョーズはこの発生する熱を有効に利用し水を予備加熱することができるため、従来型給湯器よりも効率良くお湯を沸かせる利点があります。
そのためエコジョーズでは、通常の給湯器よりも少量のガスしか使用しない分、光熱費をカットでき、節約効果が見込めます。なおかつ通常の給湯器に比べて、ガスを燃焼する量も少なくなるため、二酸化炭素(CO2)の排出量も十分に抑えることが可能。家計にも環境保全にも役立てることができる省エネ型給湯器です。「エコフィール」はエコジョーズとほぼ同じ仕組みで、ガスではなく灯油を燃焼させる仕組みです。
その他の高効率給湯器
主に一戸建てや新築集合住宅向けにはさらに高効率な給湯器があります。あわせてご紹介しましょう。

「エコキュート」は、ヒートポンプと貯湯タンクの2つの機器ユニットで構成される、電気でお湯を沸かすタイプの高効率給湯器です。ヒートポンプと呼ばれる、空気を圧縮して高温をつくり出す機器を使い、貯湯タンクに熱を伝えることでお湯を沸かす仕組みになっています。
エコキュートの特徴は、ガスではなく電気を使用する点です。通常のガス給湯器では、機器内でガスを燃焼させることで、熱を発生させて水を温めます。そのためガス燃焼時に、二酸化炭素(CO2)が発生します。一方でエコキュートの場合、電力によって熱を発生させるので、機器使用時には二酸化炭素(CO2)が生じません。この点から、地球環境にやさしい高効率給湯器とされています。
ちなみにエコキュートでは、屋外の大気中にある熱をヒートポンプに取り込み、高温の空気を生成してお湯を沸かすシステムになっています。すでにある外部の熱を活用するため、省エネルギー性能が高いのも大きな利点。また貯湯タンク内のお湯は、基本的には断熱材によって温度維持するので、保温のための電気も使いません。このように給湯にかかる電力がかなり少ないため、ガスだけでなく電力の節約にもつながります。
エネファーム

「エネファーム」は、自宅で電気を生成すると同時に、その発電時に生じた熱を活用してお湯を沸かすことができる高効率給湯器です。別名で家庭用燃料電池とも呼ばれており、実際に発電する燃料電池と貯湯タンクの2つの機器ユニットで構成されています。
エネファームの発電ではガスを使用しますが、燃焼させるのではなく、化学反応によって電気を発生させるのが大きな特徴。ガスに含まれる水素と大気中の酸素を用いて、それぞれの化学反応を起こすことで、発電できる仕組みになっています。さらに電気を発生させる際に生じた排熱は、貯湯ユニットで回収してお湯を沸かすのに活用します。こうした発電と給湯の二重システムにより、エネルギー効率が高くなり、光熱費の節約につなげることが可能。また給湯にかかるエネルギー量も少ないので、地球環境にもやさしい高効率給湯器です。
またエネファームは自家発電システムのため、停電時の電気の備えにできる機種もあります。地震などの災害で停電した時にも、エネファームが発電した電気を使うことができ、万が一の事態にも対応できるのが利点。防災にも役立つのがエネファームの大きな特徴です。
賃貸集合給湯省エネ2024事業とは?

「賃貸集合給湯省エネ2024事業」とは既存の賃貸集合住宅を対象とした、省エネ型給湯器導入を支援する制度です。政府の支援事業から、省エネ型給湯器の備わった賃貸物件が増えることにも期待できるでしょう。省エネ型給湯器がある賃貸物件を選ぶことで、できるだけ光熱費を抑えて、日々の節約に役立てることも可能です。また、一般家庭においてエネルギー効率の高い高効率給湯器を導入する際に、その設置工事や購入などにかかる費用を政府が補助する「給湯省エネ2024事業」も同時に進行中。なかでも寒い地域では、冬場には高額な光熱費がかさんでしまいやすいでしょう。さらに近年のガス代や電気代の高騰が続いている現状に対処するためにも、光熱費削減に向け、省エネ型給湯器の普及を促進すべく本事業が実施されています。
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