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ムクドリの駆除・巣の撤去方法は?自分でできる対策も紹介

都市部に住む人たちにお馴染みの鳥といえば、スズメやハト、カラスなどでしょうか。それに続いて、「ムクドリ」の名前が挙がってくるかもしれません。ムクドリはスズメより大きくてハトより小さく、全国各地で一年中見かける野鳥です。最近ではムクドリによる街の汚染・騒音被害が急増し、手を焼いている自治体も多いようです。中には、家に巣を作られて困っている人も少なくありません。この記事では、そんなムクドリへの対策についてご紹介します。

ムクドリはどんな鳥?

ムクドリはスズメ目ムクドリ科の鳥。人里や農耕地、公園の芝生、草地などでよく見られる身近な野鳥の一種です。

ムクドリの特徴

ムクドリはハトとスズメの中間くらいの大きさで、全長は約25cm。全身は黒褐色で、目の周囲から頬にかけて白い斑模様があるのが特徴です。くちばしと足は黄色。普段は「キュリリ、キュリリリ」とかわいらしくさえずります。

ムクドリの生息地

ムクドリは、アジア大陸の温帯に生息する留鳥(りゅうちょう)です。北海道のような寒冷地では、冬の間南の地域へ移動します。乾燥して開けた場所を好み、人家や人家近くの林で繁殖するため、市街地でもよくその姿を見かけるでしょう。樹木の洞や建物の隙間などに巣を作ります。

ムクドリの習性

仲間同士が集まり大きな集団を作ります。群れの数は数百羽〜数千羽にもなるといわれており、群れで飛ぶ姿は圧巻です。1回の産卵で4〜7個ほどの卵を産み、12日ほどで孵化。卵を産んでから巣立ちまでの期間は約35日と早いため、繁殖数は多くなります。雑食で、昆虫や木の実、果実などを食べます。

ムクドリがもたらす害

ムクドリは可愛らしい見た目ですが、実は人間にとって害をもたらす一面もあります。

鳴き声による騒音

ムクドリは集団で行動することが多く、群れを成しているときの「ギャアギャア」と鳴く声は非常に大きく、騒音問題となっています。夏の夕方に集団で鳴くムクドリの音を測定した結果、77〜81デジベルあったという例も。この音は鉄道の線路脇や、窓を開けた状態の地下鉄の車内ほどの大きさです。また、ヒナの鳴き声もかなり大きく、もし家に巣を作られたとすると、隣の家にまで響き渡るほどの騒音になります。

糞による健康被害

ムクドリの糞や羽には鳥インフルエンザやオウム病、ニューカッスル病などの病原菌が潜んでいます。乾いた糞の粉とともにこれらの細菌を吸い込むと、呼吸器系などの症状が出る場合もあるのです。糞のニオイもキツく、マンションのベランダなどに巣を作られてしまえば、臭くて窓を開けられない状態になりかねません。

羽虫やダニの侵入

ムクドリはダニやノミ、羽虫などの害虫、病原菌やウイルスを媒体します。生体だけではなく、巣の中の抜け毛や糞にも害虫やウイルスなどがたくさん。ヒナが巣立ち空になった巣をそのまま放置しておくと、ダニやノミはどんどん繁殖していきます。戸袋や庭の樹木に巣を作られた場合、巣から家の中にそれら害虫が侵入してくる恐れがあります。

ムクドリの巣はいつ頃、どこにできる?

ムクドリが集団で過ごす際のねぐらは、夏と冬で分かれています。これまで夏は雑木林や笹の茂みなどで過ごしていましたが、最近では都市部の街路樹がねぐらに使われることが多いようです。この集団で過ごす間にペアが作られることも多く、ペアは3月下旬から7月の間に1〜2回繁殖をおこないます。繁殖がはじまる3月頃には快適な巣場所を巡って、ムクドリ同士で激しい争いがおこなわれることもあります。

巣として選ばれる場所には、木がまばらに生えた林の樹洞や建物の隙間などが挙げられます。一軒家の場合、もっとも狙われやすいのが雨戸をしまう戸袋。最近では、ソーラーパネルの下に巣を作られるという被害も増えているようです。そのほか、エアコンがあった場所の穴、換気扇、天井裏など、ちょっとした隙間や穴を見つけて巣作りします。マンションの場合は、敷地内の植木やベランダに巣をつくることがあるでしょう。

ムクドリの巣ができていた!撤去してもいい?

ムクドリのような野生動物は、鳥獣保護管理法により守られています。ムクドリを駆除することはもちろん、卵があったりヒナがいたりする場合は、勝手に巣を撤去してしまうことは法律違反になります(空の巣を撤去することは問題ありません)。巣を見つけた時点で卵やヒナの姿があれば、各自治体へ有害鳥獣捕獲申請をしてから撤去するか、巣立ちを待ってから撤去をおこないましょう。

ただし、ムクドリの巣には寄生虫やダニ、アレルギー物質や病原菌のついた羽毛や糞がいっぱい。そのため、安易に撤去するのは避けてください。プロに頼むのが安全ですが、自分で撤去するのであれば、事前に準備して正しい手順でおこないましょう。

ムクドリの巣を自分で撤去する方法

ムクドリの巣を撤去するには、まず巣に卵がないか、ヒナがいないかをチェックします。そして、病原菌やダニなどがつかないように、しっかり防御してからおこないましょう。

ゴーグル、マスクなどの装備を整える

巣の中にあるダニ・ノミなどが衣服につかないよう、長袖長ズボンの作業着などを着用して、肌の露出は避けましょう。また、糞や羽毛に潜むウイルスや病原菌が体内に入らないように、ゴーグルや使い捨てのゴム手袋、マスクなどを装着します。

殺虫剤や消毒液を巣に吹きかける

駆除する前に殺虫剤や消毒液を巣にスプレーしておくと、ダニの除去や菌を抑制する効果が期待できます。 巣の中の羽や糞を湿らせておくことで菌が舞うことを抑える役割もありますが、勢いよくスプレーを噴射しすぎてしまうと、逆に菌を撒き散らす可能性があるので注意しましょう。

巣を撤去し、ゴミ袋をしっかり閉じる

巣を撤去したら、撤去の際に用いたキッチンペーパーやティッシュ、新聞紙、撤去した巣などをすべてまとめてゴミ袋に入れて、菌が舞い上がらないようにしっかりと密閉しましょう。

巣があった場所の掃除、除菌

巣にはもちろん、巣があった場所には寄生虫や病原菌、ウイルスなどが残っています。そのため、隅々までよく清掃しましょう。こびりついた糞の掃除には、ぬるま湯が有効です。ぬるま湯でふやかし、キッチンペーパーや新聞紙で念入りに拭き取ってください。糞がきれいに取れたら、エタノールなどの消毒液で消毒しておきます。最後に念のため、もう一度殺虫スプレーをしておきましょう。

部屋でくん煙剤を焚く

巣が戸袋やベランダなど部屋の近くにあった場合は、ヒナが巣立って巣を完全に撤去するまでの間に、ダニやノミが家の中にもどんどん侵入してきています。巣を撤去した後は、家庭用のくん煙剤を焚いて部屋の中も殺虫しておくと安心でしょう。戸袋の中は狭くて奥行きがあり、隅々まで掃除するのは難しいものです。できる限り丁寧に掃除した後は、雨戸に強力なダニ駆除剤を貼って戸袋に収納するなど、ノミ・ダニ対策を万全にしておきましょう。

ムクドリが住み着く前に対策しよう

ムクドリは、人が住む市街地の近くを生息地としています。家やマンションの敷地内を巣作りの場所として選ぶことも、大いに考えられるでしょう。しかし、普段の心がけで防げることもあります。ムクドリが住みつくことがないよう、以下のような対策をしておきましょう。

雨戸は一日一回開け閉めする

雨戸を仕舞う戸袋の狭くて奥行きがある隙間は、ムクドリが巣を作るのに最適な場所。常に雨戸を閉めっぱなしにしていると、戸袋の隙間を利用して巣作りを始めます。狙われないように、日々雨戸を開け閉めして、戸袋がいつも空の状態であることを防ぎましょう。

ガムテープで戸袋を塞ぐ

一度戸袋の存在を知ってしまったムクドリは、また同じ場所に戻ってきて巣作りを始めます。どうしても雨戸を閉めっぱなしにする場合は、戸袋の中にムクドリが入らないよう、ガムテープ等で隙間を塞いでおきましょう。ガムテープだと見た目が気になる方向けに、金属製のガードも販売されています。

ベランダに防鳥スパイクを置く

ベランダも、ムクドリが巣を作りやすい場所のひとつ。とくに、近くの街路樹がムクドリのねぐらになっているときは注意が必要です。ムクドリが手すりやベランダに止まれないように、トゲトゲのついたネット、防鳥スパイクなどを置いて飛来を防ぎましょう。鳥を傷つけないプラスチック製、頑丈でサビないステンレス製などがあり、トゲの長さもさまざまです。両面テープや結束バンドを使えば、賃貸物件でも傷をつけずに設置できます。

忌避剤を塗る

山火事を連想させる木酢液など、ニオイで動物を寄せ付けない忌避剤を撒いてムクドリを寄せ付けない方法もあります。ただし、危険がないことを学習すると、戻ってくる可能性がある点に注意してください。

ネットを張る

ムクドリが好む場所にネットを張るのは、物理的にムクドリが入って来られないようにする有効な方法です。ムクドリはハトと比べて体が小さいので、ネットを選ぶ際は網目が細かめのものを選びましょう。透明の網を選ぶと、野鳥が網に引っかかってしまうことがあるようです。透明だと見た目はよいですが、できれば色付きのものを選んでください。

木を伐採する

夏季、ムクドリの集団はケヤキの木でよく見られています。空に向かって枝を広げる樹形が、ムクドリに好まれるのかもしれません。ケヤキに限らず庭木にムクドリがよく集まってくる、巣を作られても気づかないような茂みがある場合は、思い切って伐採してしまうのもムクドリの飛来を防ぐ一つの手段です。伐採できなければ、ネットを張ってムクドリが枝に止まれないようにしましょう。

天敵の置物を設置する

天敵であるワシやタカなどの猛禽類のリアルな置物で、ムクドリの飛来を防ぎます。ムクドリはかしこい生き物なので、いつも同じ場所にあると危険ではないと判断します。そのため、ときどき場所を変えるなど工夫しましょう。

ムクドリ対策は自治体でもおこなっている

ムクドリの被害が出るのは、個人宅だけではありません。集団で行動するムクドリは、数百から数千羽が1本の街路樹に集まってねぐらにします。そのため、大量の糞と羽で道路を汚すことから、自治体でも住民の声に応えてさまざまな対策をおこなっています。自治体によっては街路樹の枝葉の剪定(せんてい)をしたり、街路樹をネットで覆って侵入を防いだり、忌避音を流したりとさまざまな対策をおこなっています。

ムクドリの巣の撤去は自治体やプロに相談を

ムクドリの巣ができた場合、プロに相談するのが一番安心でしょう。大量のノミ・ダニから身を守りつつ、完全に退治するのは素人では難しいもの。また、乾いた糞の粉とともにウイルスや病原菌を吸い込み健康被害に合わないためにも、できるだけプロに任せましょう。とくに2階の戸袋などに巣ができた場合は、撤去作業が難しく危ないので、自分ではおこなわないほうが無難です。プロなら巣の撤去から周囲の清掃と除菌、再発防止策など、すべてまとめて依頼できます。巣を作られた場所にもよりますが、撤去費用の相場は10万円程度。そのほかに消臭剤の噴霧やノミ・ダニの駆除、雑菌消毒費用などがかかります。

自治体に相談することもできますが、法律で守られている野鳥のため、積極的な撤去というよりも追い払う、寄せ付けないなどの対応しかしてもらえないことが多いでしょう。なお、家の前の街路樹がムクドリのねぐらになっている場合などは、糞の洗浄のために高圧洗浄機を貸し出している自治体もありますので相談してみてください。

まとめ

遠くから見る分にはかわいらしいムクドリですが、巣を作られてしまった場合の被害は想像よりも大きいものです。巣作りに適した戸袋は狭く奥行きがあり、人の目が届きにくい場所。また、部屋のすぐ近くなので、ダニ・ノミなどの害虫が部屋の中に大量に入ってきます。早朝からエサをねだるヒナの鳴き声に叩き起こされ、巣立ちまでの約1カ月はかなり苦痛な時間になるでしょう。巣を作られてしまうと被害も大きく、撤去するのにも一苦労です。ずっと雨戸を閉めっぱなしにしている人は、巣を作られないよう十分に注意してください。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引っ越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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