
リノベーションマンション事例「規格外のサイズで好きな世界を表現する176㎡超のマンション」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、大阪府豊中市のご夫妻の事例をご紹介します。インテリアをとことん楽しみたいと、限りなく広いマンションを購入。巨大キッチンを暮らしの中心に据えて、豊かな時間を紡ぎ出す。(text_ Makiko Hoshino photograph_ Takashi Daibo)
インテリアとアートをこよなく愛し、自分の美しいと感じる世界を自宅で存分に表現したいと思っていたご主人。これまで住んでいたのは、大阪都市部にある60㎡の賃貸マンション。奥さまと二人で暮らすだけなら十分な広さだったが、思い描く空間を叶えるにはもの足りなかった。
「面積に限りがあるゆえに、せっかく揃えた家具たちの置き場所が固定されるのが嫌で…。余白があるほどアレンジの自由度が上がり、気軽に模様替えができます。美術館のように美しくしつらえた空間で暮らせたら素敵だなと思いました」(ご主人)
ホームパーティを開くことが多い夫妻は、住まいを快適な会場とするためにも、物理的なゆとりが欠かせなかった。「部屋で自転車を乗り回せるくらいの物件があれば」と、半ば冗談を言いながら、郊外も視野に入れて探し始めたところ、幸運にも176㎡超のマンションに巡り合う。間仕切り壁をなくせば、ほぼワンルームにできるうえ、隣家と接する部分が少ないため、多少賑やかにしても迷惑はかからない。しかも専有庭付きだ。これ以上の物件はないと即決した。

リノベーションはスクールバス空間設計に依頼。「とにかくLDKを広く」という夫妻のリクエストで、メインスペースは60㎡ほどになった。
「スペシャルサイズの部屋とはいえ、普通につくっても、ただ広いだけの味気ない空間になってしまう。ダイナミックさを際立たせる、何か存在感のあるモノが必要だと思いました」
そう話すのは、設計を担当した田中将司さん。大胆にも、間口約6mという桁外れのキッチンを提案する。キッチンの背後には、ほぼ同じ大きさのパントリーを設置。アイアンの格子窓で隔て、照明はボリュームのあるシャンデリアタイプに。絵になる脇役が雰囲気を盛り立て、洗練されたムードが漂う。
リビングには、2つのソファと65インチの大画面テレビを揃えた。一般的なリビングをそのまま巨大化したような、のびやかで贅沢な空間は、ゲストにも好評だ。




キッチン内側は見せたくないものを大量にしまえる扉付きの収納。内部にはコンセントが備えられているので、カウンターでたこ焼きを焼いて食べることもできる。

「子連れの友だちも多いのですが、キッチンがこれだけ長いとみんなで料理ができて、その傍らで子どもがお菓子を食べるなど、いろいろなことができて面白いです。ひとつの空間にいても距離が取れるので、のびのび過ごせますね」(奥さま)
「キッチンはずっと見ていても飽きず、本当に気に入っています。好みは変わるので、インテリアは常に未完成。でも、空間に余裕があるとその変化に対応できて、一緒に成長できると感じます」(ご主人)


将来は、ワークショップやヨガ教室など、人の集まる機会を企てていきたいと笑顔を見せる奥さま。暮らすほどに夢が膨らむ住まいだ。


スマートスピーカーの導入で、すべての照明は話しかけて操作。

玄関横にWICがあるため、帰宅してすぐ上着をかけられる。洋服の丈の長さに合わせてハンガーバーを設置するなど、予めしまい方を想定してつくってもらった。



●BEFORE
昭和レトロ感漂う二世帯仕様の物件。個室が多かったが、風通しが良く、壁を撤去すれば広くできると分かり、即決した。
建物データ
〈専有面積〉176.64㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1975年〈リノベーション竣工〉2018年〈設計期間〉4ヶ月 〈工事期間〉2ヶ月〈設計・施工〉スクールバス空間設計

※この記事はLiVES Vol.107に掲載されたものを転載しています。
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