
リノベーションマンション事例「家具や小物が映える白が基調。 トーンをそろえて素材をミックス」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、原田さんご夫妻の事例をご紹介します。リノベーションでシンプルな白い箱をつくり、好きな家具やアイテムをコーディネート。プロの技術が詰まったセンスあふれる住まい。(text_ Kiyo Sato photograph_ Osamu Kurihara)
べイクルーズに勤める原田さんご夫妻。夫の陽介さんは12年前にjournal standard Furnitureを立ち上げ、現在コンセプターとして携わっている。インテリアのプロでもある陽介さんが、中古マンションのリノベーションでテーマにしたのは「白い箱」だ。リノベーション会社のスマサガ不動産に依頼した部分はLDKが中心。それ以外の居室は既存を活かしながら家具や小物で自分好みに味付けしている
「店舗をつくるときと基本的に同じ感覚です。レンガやタイルなどのテクスチャ―で見せるのも素敵ですが、飽きると変えづらいので内装はつくり込み過ぎずシンプルにまとめて家具が映えるようにしました」

以前はアメリカのデザイナー家具もありブレンド感があったが、新居では厳選してシンプルに。新居用に用意した1960~70年代のデザイナー物のソファやダイニングセットに、買付先のヨーロッパで見つけたヴィンテージや自社製品をミックス。陽介さんが選ぶ物は、経年と共に表情に変化が出る鉄、ステンレス、皮など素材感のあるものが中心だ。



存在感のあるユニークな動物のオブジェはMARNIのもの。

[右]・同じくjournal standard Furnitureの「GUIDEL 12DRAWERS CHEST」。
「自宅なので計算はしていませんが、絶対条件は色ですね。白、ベージュ、茶を基本に黒やグレーをアクセントにしています。色に統一感があれば素材が違ってもまとまりやすいですね。ファッションも部屋のコーディネートも同じだと思います」
既存の壁にピクチャーレールを取り付けてラグを吊ったり、アートを飾ったりと白い壁を活かしたディスプレイ方法にもセンスが感じられる。

[右]・窓際に置いたヴィンテージのトランクに観葉植物を並べてグリーンコーナーに。
「その時にしか手に入らない作家物はとりあえず買ってしまう」
という陽介さんが集めたオブジェや照明も、これまで倉庫に眠っていたが、新居ではイキイキと存在感を放っている。 空間になじむステンレスキッチンは、フード部門のコンセプターである奥さまのこだわりで、動作が少なくてすむオープン収納が中心。調理器具や食器はヴィンテージの棚やラックを使って見せながら収納している。


アパレルで使用していた鉄と木を組み合わせたヴィンテージの什器を食器棚として使用。器好きのご夫妻が集めた物は普段使いしやすい作家物の和食器が中心。
「キッチンを決めてから照明や棚の配置を図面に描いて設置してもらいました。生活感のある物以外はオープンにすることで抜け感が出て広く感じます」
コーディネートを楽しみながら自分好みに仕上げた原田邸。そこには空間づくりのヒントがたくさん詰まっている。

ファブリック類はjournal standard Furnitureのものが大半。


玄関と居室が分かれた珍しいメゾネットタイプ。天井高のある階段室に飾った照明は沖縄在住ガラス作家・おおやぶみよさんの作品。
建物データ
〈専有面積〉70 ㎡〈バルコニー面積〉14 ㎡〈主要構造〉鉄骨鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1968年〈リノベーション竣工〉2019年〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉1.5ヶ月〈設計〉スマサガ不動産

※この記事はLiVES Vol.107に掲載されたものを転載しています。
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