
リノベーションマンション事例「青赤をテーマカラーに分散型の造作収納でシンプルに整えた空間」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都練馬区の久保さんご夫妻の事例をご紹介します。建具や収納、照明など、インテリアの要所に青と赤を取り入れたメリハリのある空間。趣味のCDコレクションは壁面の造作シェルフにすっきり収めた。(text_ Satoko Hatano photograph_ Takuya Furusue)
音楽とサッカー観戦が趣味の久保守弘さんと、カメラや美術鑑賞が趣味の真実さん夫妻の家を訪ねた。結婚後、賃貸暮らしを続けていたが「そろそろ家を持とう」と考え、建物の仲介からリノベーションまで手がけるエコデコと共に中古物件探しを開始。築32年のマンションを見つけて、念願だったリノベーションによる住まいを完成させた。

寝室からキッチンとダイニングを見る。引き戸を開け放てば風が通り抜け、キッチンを中心に回遊動線が生まれる。キッチンの壁面カウンターは調理の補助台に重宝。
「とにかく物が多くて、以前の小さな賃貸マンションでは整理がつかなくなっていたので、収納はしっかり確保したいと思いました」
そう話す守弘さんは、筋金入りのCDコレクター。ほかにもJリーグの応援ユニフォームや服や帽子、スニーカーにも目がないという。真実さんも音楽の趣味を共有するほか、カメラや美術書、靴など、お気に入りの物はなかなか手放せない様子だ。
「お二人からは、インテリアのイメージや友人が集える空間、風通しなどの要望がありました。収納に関しては、おおよその物量を把握して造作収納を充実させています。収納棚などの増減ができるので、将来の物量や生活の変化にも対応できます」
そう話すのは、エコデコと協働で設計を担当したG・アーキテクツ・スタジオの田中亮平さん。細かく仕切られていた間取りは、キッチンを中心に回遊できる1LDKに。床面積が68㎡とコンパクトなため納戸のような集中型の収納は設けず、壁面の収納棚や寝室天井にハンガーパイプを吊るすなど、シンプルな分散型の収納を採用している。リビングの壁に造作したオープンシェルフには2500枚超のCDが収まるが、棚にはまだ2割ほど余裕があった。

右・梁下まで玄関収納を造作。奥は合板の引き戸。


寝室天井にパイプを吊るしたシンプル収納。

リビングの壁面につくり付けたオープンシェルフ。棚板は収める物や量に合わせて高さや枚数を変えられる。この棚板の裏面にも、さり気なく青と赤の塗装が。
「以前は物が増えたら収納アイテムも買い足して、部屋が狭くなる一方でした。今は壁に棚を増設できるので部屋を広く使えます」
と真実さん。収納ルールも決めていて、「サッカーアイテムはプライベートゾーンまで」ときっぱり。共働きで忙しい日々を送るが、リビングダイニングは真実さん好みの「かわいいカフェの雰囲気」を保っている。しかし、よく見ると守弘さんが応援するサッカーチームのカラーである青と赤が、インテリアの至るところに。

ダイニングの造作カウンターの下には、小さなコンテナBOXを積んだ。「家具を置くより圧迫感がない」と真実さん。カメラや文具など、小物が種類ごとに収まる。



リビング天井の照明コードも青と赤。引き戸や収納棚の裏面にも、青と赤が隠し味のようにあしらわれている。 お二人で異なる趣味を満喫しながら好みの住まいに整えた、遊び心満載の住まいなのだった。

壁の飾り棚や照明のコードにも、テーマカラーの青と赤があしらわれている。


右・洗面台のカウンター収納も合板でカジュアルに仕上げた。
建物データ
〈専有面積〉68.34㎡〈バルコニー面積〉13.08㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉 1984年〈リノベーション竣工〉2015年〈設計期間〉4ヶ月 〈工事期間〉2ヶ月〈設計〉EcoDeco+G architects studio

※この記事はLiVES Vol.89に掲載されたものを転載しています。
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