リノベーションマンション事例「住み替えも視野に。都心マンションリノベで仕事と子育てを両立」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都江東区のTさんご家族の事例をご紹介します。通勤の利便性を優先し、都心部に建つマンションのコンパクトな空間を家族4人の住まいに。水まわりと収納、寝室を集約し、ゆったりとしたLDKを実現。(text_ Aya Fukuda photograph_ Osamu Kurihara)
都内に建つヴィンテージマンションをリノベーションして住んでいるTさんご家族。もともとこの物件は、ご主人の親族が所有していたものだった。
「このマンションは幼い頃からの思い出がたくさん詰まった、僕にとって思い入れのある場所なんです。家族4人の家としては、ややコンパクトですが、職場から近く立地もいいので、手放してしまうのは惜しかった。長男が幼稚園に通うまでに生活の基盤を整えたい思いと、手間は掛かりますが、自身の経験値も高まるため、個人間売買に踏み切りました」
そう話すご主人は、大手住宅設備機器メーカーに勤めるデザイナー。仕事を通じて・8/tenhachiの佐藤圭さん、佐々木倫子さんと知り合い、自宅のリノベーション設計を依頼することにした。
ご夫妻が特に望んだのは、「広いLDK」と「素敵なバスルームにしたい」ということ。佐藤さんと佐々木さんは、限られた空間にパズルのピースをはめるように生活に必要な空間と機能を無駄なく組み込み、収納、水まわり、寝室を2つの箱に集約させたプランを提案。アイランドキッチンと大きなダイニングテーブル、ソファを配置しても余裕の広さのLDKが実現し、バスルームは洗面、トイレと一体化することで、ホテルのような広々とした空間となった。
「ご主人のデザイナーとしての感性や意見を尊重したかった」
と話す佐藤さん。ご主人にも建材やパーツの手配の一部を依頼し、積極的に家づくりに関わってもらった。
「予定どおりの物がちゃんと届いて収まるのか、最後の最後までドキドキでしたね」(佐藤さん)
設計者と施主の協働と苦労の甲斐あって、想像を遥かに超える仕上がりに、ご夫妻も大満足の様子だ。
「法的な手続きや建材の手配など、家づくりを通じて多くのことを学び、視野が広がりました。今後の仕事や生活にも役立つと思うので、30代のうちに経験できてよかったと感じています」(Tさん)
ご夫妻は郊外にある実家や親のことを考え、週末などを利用した二拠点居住の可能性も考えているそう。
「働き盛りの今は、都心に家を構えていたほうが何かと都合がいい。また、将来のライフスタイルに柔軟に対応できるように、不動産としてさまざまな運用価値を追求したいと思っています」(ご主人)
寝室につながるステップの幅は人ひとりがギリギリ通ることのできる38㎝。グリーンコーディネートは、ゆずりはの 西美奈さんが担当。
寝室下の納戸とつながるクローゼット。
無印良品の棚を入れて下足棚に。ベビーカー置き場も確保。
建物データ
〈専有面積〉55.18㎡〈バルコニー面積〉6.65㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1978年〈リノベーション竣工〉2017年〈設計〉.8/tenhachi〈設計期間〉8ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈施工〉シームレス
※この記事はLiVES Vol.98に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ