
リノベーションマンション事例「ブリックタイルをポイントに、愛すべきN.Y.スタイルを再現」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、愛知県名古屋市の堀さんご夫妻の事例をご紹介します。カフェのようなオープンキッチンと、ダミーの扉、秘密の小部屋など、あちこちにある仕掛け。大人の粋な遊びゴコロが生んだオリジナル空間。 (text_ Shiho Ikeda photograph_ Takuya Furusue)
「新しいものを買うより、古いものを好きなようにアレンジする方がわくわくします。だから、家を持つなら中古マンションをリノベーションしようと、はじめから決めていました」
愛知県名古屋市に住む堀健太さん、亜樹さんご夫妻が、地元のリノベーション会社、エイトデザインとつくり上げたのは、さまざまな素材と色を散りばめた、個性あふれる空間。なかでもひときわ目を引くのが、海外のカフェのような雰囲気を放つオープンキッチンだ。


「お2人が大好きなニューヨーク・ブルックリンの古き良き時代の建物をイメージしています。ブリックタイル、コンクリートブロック、屋根の下地材などに使われる野地板といった粗っぽい材料を取り入れることで、ヴィンテージ感のある雰囲気にまとめました」(エイトデザイン)
人工的な素材を多用しながらも、それぞれの質感が重なり合うことで、味わい深い、落ち着きのある空間となっている。ブリックタイルは敢えてラフな表情に仕上げるなど、ハンドメイド感のあるディテールにもこだわった。


コンロ横にアイアンバーを設置。

キッチン背面の棚。タイル用ドリルで穴を空け、棚受けをビスで打ちつけた。
キッチン一帯は、一列に並べた業務用オールステンレスのシンクとコンロ、背面につくり付けの収納棚や家電を乗せる台を設置しただけのコンパクトなつくりだが、洗面室、ウォークインクローゼット、玄関へとアクセスできる一直線の快適な裏動線が確保されている。


玄関から土足のまま入れるウォークインクローゼット。床の2枚の板は室内履きで歩くためのもの。

「親戚や友人を招いてホームパーティをする際、ここを通れば、お客さんとぶつからずに玄関とキッチンを行き来できるので、とても便利なんです」(亜樹さん)
また、この家に堀さんご夫妻らしさを添えるのが、各所に施されたちょっぴり可笑しな小細工。チョーク絵で埋め尽くされた黒板塗装の壁に、よく見るとトイレの扉が隠れていたり、アンティークの扉を開けると、部屋ではなく姿見が現れたり…。

玄関からLDKにわたる黒板塗料の壁には、トイレの扉が隠されている。



「“大人の秘密基地”をテーマに押谷さんとアイデアを出し合い、いろいろなトリックを計画しました。実際に住んでみて、毎日が本当に愉快ですね」(健太さん)
こだわりのスタイルを追求したキッチンと、ユーモアがたっぷり詰まった唯一無二の空間。オリジナリティあふれる堀さんご夫妻の暮らしが、これからも重ねられていく。


建物データ
〈物件名〉堀邸〈所在地〉愛知県名古屋市〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上4階建て(3階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉2000年〈専有面積〉71.15㎡〈バルコニー面積〉11.33㎡〈設計・施工〉エイトデザイン〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉1ヶ月〈竣工〉2012年

※この記事はLiVES Vol.70に掲載されたものを転載しています。
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