
タウンハウスリノベーション事例「ベンチのある廊下と開放的なプレイルームを子どもの居場所に」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は埼玉県所沢市Dさんの事例をご紹介。子育て環境を整えるためにご主人の実家もあるタウンハウスをリノベーション。リビングからプレイルーム、寝室まで一体化した空間や廊下にベンチを設置することで家族の居場所が増えたそうです。
(text_ mamiko tonoki photograph_ hiroshi kiyonaga)
- 工事費:約600万円(税・設計料込み)
- 夫40歳(会社員) 妻41歳(会社員) 長男8歳 長女5歳(当時)
- 築年数:32年(1991年築)
- 施工面積:約53㎡
- 設計・施工:HandiHouse project/楽工隊
子どもたちの個室は大きくなってからでOK。2階に楽しい居場所を
肩を寄せ合う子どもたちの等身大イラストが印象的なDさんのお宅。そこから飛び出してきたかのような元気いっぱいの子どもたちが出迎えてくれたDさん一家の家は、ご主人の実家があるタウンハウス内にあります。タウンハウスとは、2つ以上の住宅を1棟に建て連ねた集合住宅のこと。「持ち家派の妻に『こんな家があるよ』と提案したのがきっかけ」と言うご主人は、実は賃貸派でした。しかし、「共働きで子育てする環境を整えるのに、実家近くのタウンハウスは結果として最適でした」と夫妻。リノベーションを依頼したのは、イベントがきっかけで知り合ったハンディハウスプロジェクト/楽工隊の大石義高さん。子どもたちの個室はもう少し大きくなってからつくればいい、と今回はLDKのある2階を重点的にリノベすることにしました。

廊下に洗面台とベンチを新設。ちょっとした居場所になると同時に、リビングとプレイルームをつなぐ役割を果たす。洗面と一体化したベンチは、壁とドアの間の幅に対して洗面台の奥行きが深かったため、途中から緩くカーブしている
現在は建具なしでオープンに。将来は個室や書斎にする可能性も

もとは納戸だった場所は、建具を外して床にコルクタイルを敷き、子どもたちのプレイルームに。壁の絵は、イデーのアートプロジェクトでも知られるクリエイターの舞木和哉さんのイベントに参加したときに、子どもたちの「人拓」を取って描いてもらったもの
家族が必ず通る廊下はリビングとプレイルームをつなぐ役割も

階段と廊下の一部は吹き抜けになっていて、明るく開放感がある
キッチンの小窓越しに子どもたちを見守れるから何かと安心!

キッチンから廊下へ回遊できなくなった代わりに、洗面台の上部に小窓を設けた。廊下に出なくても、キッチン側からベンチやプレイルームにいる子どもたちの様子を見ることができて便利
ベンチを設置して廊下も子どもたちの居場所に
奥さまが「子どもたちに手洗いの習慣がつくように」とまず希望したのが洗面台。廊下に設置するとせっかくのキッチンからの回遊動線がふさがってしまいますが、それよりも「廊下にベンチがあればちょっとした居場所になっていいなと思ったので」とご主人。そこで、大石さんは洗面台と一体になったベンチを造作することに。回遊動線をあえて閉じたことで、リビングからプレイルーム、寝室までが一体化し、家族の居場所が増えました。廊下への動線を閉じたキッチンは、洗面台上の開口と小窓で緩やかなつながりを。1階は洗面脱衣室だけ改修し、2つある個室はしばらくそのままにしておくことに。ご主人は「今は1つを私が仕事部屋として使っていますが、子どもたちが大きくなったら2階の寝室も含めて3室をどう使うのか、そのとき改めて考えればいい」と柔軟に捉えているそうです。


トイレは、位置はそのままで内装をリフレッシュし、設備を入れ替えた



2階の奥にある寝室。現在は家族全員が川の字で寝ている。廊下とプレイルームがつながったことによって、寝室もときには子どもたちの遊び場になる

建物データ
<建物規模>木造2階建てタウンハウス<設計期間>2020年7月〜9月<工事期間>2020年10月〜11月<設計・施工>HandiHouse project/楽工隊

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.48に掲載されたものを転載しています。
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