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マンションリノベーション事例「機能的な造作家具でほどよくこもれるワークスペース」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は埼玉県川口市Nさんの事例をご紹介します。購入した中古マンションをまっさらな状態にしてリノベーションを実施。ワークスペースには段差を設けてメリハリをつけたり、造作家具でほどよく仕切るなど、暮らしとワークスペースを馴染ませる工夫がたくさん詰まっています。(text:atsuko tanaka photo:susumu matsui )

  • 埼玉県川口市 Nさんの家
  • 夫40歳(会社員) 妻37歳(会社員)(取材時)
  • 工事費:800万円(税込み、設計料別)
  • 築年数:16年(2007年築)(取材時)
  • 専有面積:71.50㎡
  • 設計:建築設計事務所ラジコン

暮らしとワークスペースを馴染ませるリノベーションを実施

Nさんのお宅は、約5年前にご主人が購入した中古マンション。リノベーションを施したのち奥さまを迎え、ふたりで暮らしています。「以前は近くの賃貸住まいでした。持ち家を考え始めてから狙いを定めたのが、駅チカで便利なこの物件。売り出しの情報を知り、実は内覧もなしで購入を決めました(笑)」とご主人。
建築関係の仕事に就くご主人は内装についても詳しく、既存をまっさらの状態にし、好みを反映させたリノベを希望しました。

「テレワークにも対応できるように、リノベではワークスペースもきちんと備えたい、と考えました」(ご主人)。

暮らしとワークスペースをどう馴染ませるかが、N邸のリノベのテーマに。

設計を依頼したのは大学時代の友人である建築家・竹中英臣さん。新築だけでなく、リノベーションにも対応していると知って迷わず依頼したそう。検討を重ねてでき上がったのは、間口をフル活用した長方形のワンルームLDK。LDを挟んでキッチンとワークスペースが向かい合い、造作家具でほどよく仕切る設計です。

「例えば建具の引き手などは目につかない仕様にし、シンプルで生活感を感じさせない、という点にもこだわりました」

とご主人。

Point1 リビングと段差をつけてメリハリを

リビングとのワンルーム空間に、2段の段差をつけることで、さりげなくゾーニング。「ステップを上がるだけでメリハリがつき、さあ仕事しよう!という気分になります」(奥さま)

Point2 圧迫感のない壁で間仕切り

ワークスペースに立ち上げた壁は、ほどよい高さがポイント。デスクに向かっていてもLD側に視線が通り、一体感が保たれる。「壁の上に頭が出るよう高さを測ってもらったので、アイコンタクトもできるし、会話がスムーズ」(ご主人)

Point3 両面から使える家具で省スペース

造作の家具は、ワークスペース側が書棚、リビング側がテレビボードと、両面使いで省スペース化に貢献。書棚の天面はカウンター仕様で、書類を広げるなど様々に活用OK
バルコニー側にあった和室を撤去し、ワイドなLDKにつくり替えてキッチンを対面式に。さらにリビングの一部を緩やかに仕切ってワークスペースを実現した。1室減らして土間仕様の大きな納戸にあてたのも大きな変更点

キッチンはリビングとダイニングを挟んでワークスペースと向き合う位置に。シナ合板の壁を立ち上げ、同素材の収納部と相まって、余計なものが目に入らずスッキリ 

左/大容量のキッチン収納。炊飯器などを扉を閉めたまま使えるよう、蒸気排出ユニットを設置した。分別しながら捨てられる木製のゴミ箱はご主人の手づくり。「コロナ禍で在宅時間が長かったときにつくりました(笑)」とご主人 右/キッチン本体は既存のものを移設して活用。新規の面材で囲んで内装に馴染ませた 

LDKから玄関までまっすぐに視線が抜ける。「極力シンプルなインテリアにして、ホテルっぽい雰囲気を目指しました」(ご主人)

空間の必要性を見極めてストレスなく暮らせる住まいを実現

また特徴的なのは、ワークスペースに設けられた2段の段差。「少し上がることで意識が変わり、公私のメリハリがつきます」と話すのは奥さま。奥さまの仕事はECサイト関係で現在はテレワークが中心。ワークスペースをフル活用しています。

「家にいても集中しやすいのがメリット。リモート会議もほぼ毎日ありますが、雑多なものが画面に映らないのでストレス皆無です」

と大満足。
N邸では、思いきって一室減らし、趣味のキャンプ道具などを収納できる広い土間も実現。空間の必要性を見極め、仕事もプライベートも快適な住まいが完成しました。

以前キッチンだった空間を衣類などの収納スペースに変更。向かいが水回りなので動線がコンパクト 

玄関近くの1室を土間仕様の納戸に。おもな用途は、かさばるキャンプ道具の収納。搬出入と整理がしやすいよう、三方にゆとりを持たせている。「ちなみに物件は、エレベーターを待たずに階段で荷物を出し入れできる2階の居室にこだわりました」(ご主人)
左/洗面室は、洗面カウンターを造作。下部がオープンで足入れしやすく、清潔性をキープしやすい。背面の扉付きの収納には洗濯機がすっぽり収められている 右/トイレはタンクレスタイプで奥行きにゆとりをプラス。手洗器とカウンターはスリムな一体型でシンプルな空間にマッチしている
リビングに隣接する寝室。扉つきだったクロゼットをオープン仕様に変え、日常の使い勝手を高めた。「扉をなくしたことで、マットレスなどの寝具も収納しやすくなりました」(ご主人)

寝室とリビングのつながり。閉めると壁のように見える引き戸は、寝室側につけた吊り戸用のレールや専用金具などを採用。建具の存在感をできるだけ消して非日常性を実現した

建物データ

<建物規模>地上9階建ての2階<設計期間>2018年8月~9月<工事期間>2018年10月~12月
<設計>建築設計事務所ラジコン<施工>田村建設

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.47に掲載されたものを転載しています。
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