
マンションリノベーション事例「収納、ベンチ、客室…多目的に使える約3畳の小上がりが大活躍」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は神奈川県横浜市Sさんの事例をご紹介。「自分たちの思いどおりに家をつくりたい」と、中古マンションの購入とリノベーションをおこなったご夫婦。リビングの一角に設けた多目的な小上がりをはじめ、夫婦それぞれの居場所も確保した、居心地のいい住まいが実現しました。(text:mamiko tonoki photo:koji yamada)
- 工事費 1600万円(税込み、設計料別)
- 神奈川県横浜市 Sさんの家
- 夫35歳(会社員) 妻35歳(会社員)(取材時)
- 築年数 20年(2003年築)(取材時)
- 専有面積 約74㎡
- 設計・施工 スタイル工房

自分たちの思いどおりの家づくり
リビングの一角に設けた畳の小上がりが印象的なSさんのお宅。障子戸や名栗(なぐり)加工の板の間、リビングの壁の石タイル、板張りの天井など自然素材を多く用いて、和の雰囲気が漂うどこか懐かしい空間となっています。以前は賃貸マンションに暮らしていた夫妻。「自分たちの思いどおりに家をつくりたい」と、中古マンション+リノベーションを検討。物件探しからワンストップで依頼できるリノベ会社を探し、施工事例のデザインが好みだったスタイル工房に依頼することに。「ほぼ一択でした」と夫妻。奥さまの地元の横浜で、通勤にも便利な沿線中心に物件を探しました。
ともにウェブ系の仕事をしている夫妻は、リノベの希望をすり合わせるため、好みのデザインだけでなく「これは嫌」と思ったものも併せて画像を集めたそう。さらに、それぞれの意見を出し合ってコンセプトシートを作成しました。
「デザインや細部を決定していくときにぶれない指針をつくりたかった」
とご主人が言えば、奥さまも
「仕事みたいですごく楽しい作業だった」
と笑います。結果、清潔感・快適な空間・お互いの居場所・独自性の4つをテーマに、リノベすることになりました。

ロールスクリーンを下ろせば客間としても使える!

客間としても使えるよう、ロールスクリーンを2面に設置してある
床下には季節家電などをたっぷり収納

小上がりの床下はあますことなく収納として活用。手前は引き出し式、奥は畳と板を外して使用する。壁面に造作した収納には本や書類などを収めていて、下部には間接照明も仕込まれている


ウォークスルークロゼット(WTC)の奥にある奥さまの書斎は、障子戸を介して小上がりとつながる
天井高を生かして使用頻度の低いものの収納スペースに

WTCの天井高を生かして、上部にも収納を設けた
ふたりの時間を大切にしながら、それぞれの居場所もある理想の住まいに
まず希望したのが畳の小上がり。「小上がりにすればベンチのように腰掛けられて、下は収納にもなるのでスペースを有効に使えそう」(奥さま)と考えたから。また、ほぼフルリモートで働くご主人は個室を強く希望。奥さまの居場所である書斎は、寝室へ通り抜けできるWTCの奥に設けました。書斎の天井は2mと低くして、上部をWTCとつながった枕棚とし、天井高を生かして収納量もたっぷり確保。
「細部まで自分たちで決めることができて大満足」
とご主人。ふたりの時間を大切にしながら、それぞれの居場所もある、居心地のいい家をリノベで手に入れました。






小上がりをつくった理由は?
「以前住んでいた賃貸マンションにも和室があって何かと便利だったので、畳の部屋はぜひつくりたかったんです」
と奥さま。リノベでは約3畳ほどの小上がりを実現した。収納量を確保しつつ、ベンチとしても使いたいと考え、小上がりの高さを決めるときには座りやすさも重視。もともとオープンな空間にするつもりだったため、LDKとの相性をふまえて内装にもこだわっている。
気に入っているポイントは?
「和の雰囲気を取り入れたくてこだわったのは、板の間に採用した名栗(なぐり)加工のカラ松。にじり口風の小さな障子戸も気に入っています」
とご主人。扉は「曲線をどこかに入れたい」と希望していたご主人の希望を受けて角をアールに。随所に取り入れた自然素材ともあいまって、落ち着ける空間づくりにひと役買っている。床下の大容量の収納にも、大いに満足しているそう。
建物データ
<建物規模>地上14階建ての5階<設計期間>2021年6月~8月<工事期間>2021年8月~10月<設計・施工>スタイル工房

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.47に掲載されたものを転載しています。
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