アライグマを見つけたら?駆除の相談先やすぐにやるべき対策を解説

本記事ではアライグマについて、見つけた時の対策や自分でできる忌避の方法、駆除についてなどを解説します。
記事の目次
アライグマを見つけたら?やってはいけないこと
アライグマに遭遇したら、まず一番に「かわいい!」と思ってしまう方は多いかもしれません。しかし実は畑や家屋を荒らす害獣で、以下のような注意が必要です。
アライグマに近づかない
アライグマはかなり攻撃的な性格で、気性も荒い動物です。爪や牙も鋭く、噛む力も強いため、襲われてしまうと非常に危険。大きなケガをしたり、傷口から病気に感染したりする恐れがあります。安易に近づくだけでも、何かしら危害を加えてくる可能性があるため、むやみに触ろうとするのはNGです。
アライグマに手を出さない
前述のような攻撃性に加えて、アライグマは病原菌を媒介する危険もあります。人間にも感染する菌やウイルスを持っているうえに、体や排せつ物にはダニや寄生虫が付着していることも。いずれにしてもアライグマに触ることで、病気を引き起こす可能性があり、かわいいからといって撫でようとするのは絶対にやめておきましょう。
自分でアライグマの駆除をしない
アライグマは、外来生物法により特定外来種に指定されており、駆除対象となる害獣でもあります。しかし自然環境を守る目的がある「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」の関係から、アライグマは無断で駆除や捕獲はできない規定になっています。事前に各自治体から許可を得る必要があり、個人で勝手に退治することはできません。また地域によって取り扱いも異なるため、まずは自治体のホームページなどを確認してみましょう。
アライグマの特徴
1970年代に大ヒットしたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」の影響で、日本にアライグマブームが起こり、一時は人気のペットになりました。しかし、一般家庭での飼育は難しく、放逐されたり逃げ出したりして野良に。先述のように現在アライグマは特定外来生物に指定されていて、無許可で飼うことはできません。たぬきに似た体型で、毛色は灰色から明るい茶褐色。目の周りがパンダのように黒いマスクになっていること、太いしましま模様のしっぽが特徴です。
アライグマの生態
アライグマは、胴長40~60cm前後・尾の長さが30cm前後で、体重7~8kg程度の大きさです。頭がよく身体能力も高く、比較的生命力が強いのも特徴。泳いだり高い場所に登ったりも器用にできます。また基本的には夜行性ですが、昼間に活動することもあります。
アライグマの生息場所
もともとは森林や水辺に住んでいて、特に湿地を好みますが、都市部にも生息しています。基本的には、木や岩などにできた穴などを巣とする他、家屋の屋根裏や床下、畜舎に住み着く場合も多々見られます。
アライグマの繁殖時期
1~3月頃の冬場に繁殖期を迎えて、4~6月頃に子どもを産みます。出産は1年に1回のみですが、1度に複数匹産みます。その半数以上は生存するため、繁殖力が高い特徴もあります。
アライグマの食性

肉類・野菜・果実・穀物など、何でも食べる雑食性です。植物はもちろん、小動物・魚・虫・両生類など、とにかくエサにできるものが豊富にあります。例えば環境に合わせて摂取しやすいものをエサにしたり、季節に応じて食べ物を変えたりなど、柔軟性があるのも特徴。賢くエサを選ぶ食性もあります。
アライグマに似た動物の見分け方
アライグマに間違われる、よく似た動物もいます。見分けるポイントを見ていきましょう。
ハクビシンとの見分け方

ハクビシンは黒地の顔に対して、額から鼻先にかけて白く長い縦模様が入っているのが特徴で、ここがアライグマとの違いです。アライグマは両目周りの黒模様がつながっており、仮面を付けたような顔をしています。また双方ともに長いしっぽを持っていますが、横縞が入っているのはアライグマだけなので、見分けるポイントです。
タヌキとの見分け方

タヌキとアライグマは、顔付きがとてもよく似ていて見分けが難しいですが、先ほどのハクビシンとの違いで出てきたしっぽがわかりやすいでしょう。アライグマは長い尾に横縞が入っていますが、タヌキは尾が短く無地です。また顔の模様も、タヌキは目元の黒模様が楕円形になっていて、両目でつながっていないという違いもあります。
アナグマとの見分け方

アナグマは、アライグマやタヌキに比べて顔が細長く、体は太めです。全体がこげ茶色で、顔には両目に沿って平行するような、縦長の黒模様が入っています。アナグマはハクビシンやタヌキよりも、アライグマとの見分けは付きやすいでしょう。
アライグマが引き起こす被害
アライグマによる被害は、騒音や悪臭などの物理的被害、感染症などによる健康被害、農作物への被害などさまざま。ここでは一戸建ての住宅に住み着かれた場合と、庭を荒らされた場合の2つに分けて被害例を具体的にご紹介します。
住宅に侵入し屋根裏に住み着かれる
アライグマは、より安全に生息できる場所を求めて、家屋に侵入して住み着きます。アライグマの住処になりやすいのが屋根裏で、夜中になるとバタバタと動き回る音がすることも。特に屋根裏は断熱材で温度が一定に保たれているため、季節に関係なく過ごしやすく、繁殖場所にも適した環境です。
そしてアライグマに住み着かれてしまうと、例えば家のなかの食べ物やごみ、ペットのエサなどを漁って食べられるなどの被害が発生。さらにアライグマは決まった場所でトイレをするので、気が付かないうちに排せつ物がどんどん溜まり、非常に不衛生です。他にもアライグマに住み着かれることで、次のような悪影響があることも考えられます。
人間やペットへの健康被害
先ほども出てきたように、アライグマは病原菌・寄生虫など、感染症の原因を持ち込みます。例えばカンピロバクターやサルモネラによる食中毒をはじめ、臓器に障害が発生する可能性のあるレプトスピラ症や日本脳炎など。またダニやノミなどの寄生虫により、神経障害につながるアライグマ回虫症、致死性も高いSFTSなどを引き起こすケースもあります。
さらに海外ではアライグマに襲われたことから、狂犬病になる例も見られており、人間にとってもペットにとっても大きな危険があります。
家屋の破損や汚損
前述にもあるように、アライグマは仮に屋根裏に住み着いた場合、同じところで排せつをします。そうすると不衛生なだけでなく、建物の構造部分が腐食して劣化してしまいます。さらに汚れがずっと残った状態になっていると、そのままシミが付いて汚損するケースも。また配管を引っかいたり、断熱材をはがしたり、アライグマによって家屋の基礎がどんどん傷んでしまいます。
大規模なリフォームが必要になってしまう可能性も高く、不動産の資産価値が下がる・高額な費用がかかるなど、経済的な負担が生じる懸念もあります。
庭や家庭菜園に侵入し作物を食い荒さられる
アライグマはとにかく何でも食べるため、農作物や植物を食い散らかす食害も発生します。特に野菜や果物は好んで食べるので、せっかく収穫できるまで育てても、アライグマに荒らされてしまうケースは少なくありません。
家畜やペットの被害
アライグマは動物もエサにするため、小さな動物なら捕食してしまうこともあります。例えばペットの小動物が食べられそうになったり、家畜を襲ったりすることも。またニワトリの卵も食べられてしまうケースがあり、アライグマの食害は深刻です。
アライグマが嫌うもの
アライグマの危険性について、ご理解いただけたのではないでしょうか。アライグマは勝手に捕獲できませんし、感染症の恐れを考えると、うかつに近寄ることもできません。まずは、アライグマが嫌うものを知っておきましょう。
- アライグマ用忌避剤
- 燻煙剤
- 木酢液・ハッカ油
- 大きな音(掃除機の音など)
- ストロボなどの強い光
- 獲物避け線香
これらを利用して、アライグマが寄り付かないよう対策をしていきましょう。
自分でできる アライグマを寄せ付けない対策
アライグマにとって、外敵から身を守れて雨風を防ぐことができ、エサもふんだんにある民家は安心できる住処です。住みつかれないように、アライグマを寄せ付けない住環境を整えましょう。
侵入口になる隙間を塞ぐ
家への侵入口となる隙間をすべて塞ぎましょう。アライグマは器用な手先で穴を広げたり、こじ開けたりして侵入します。1カ所でも隙間があれば、そこから出入りされるので、しっかりと隙間のある場所をチェックしてください。よくある侵入箇所は、以下のとおりです。
- 屋根まわりの隙間
- 換気口
- 増改築部分の継ぎ目
- 基礎コンクリートの通風口
- 外壁の穴や隙間
屋根に上りやすい植栽を切る
アライグマは手先が器用なことから意外にも木登りが得意でジャンプ力もあります。そのため、屋根につたって来られるような高い樹木の枝は剪定しておきましょう。
ペットのエサなど食べ物を放置しない
アライグマは優れた嗅覚で、ペットフードや残飯、生ごみのニオイを嗅ぎつけてやってきます。アライグマはスナック菓子が好きで、とくにキャラメル味のスナック菓子が大好物なのだとか。ペットフードは出しっぱなしにしない、生ごみは速やかに処理するほか、食べかけのスナック菓子は密閉する、仏壇のお供物は夜には下げておくなど、アライグマのエサになるものを放置しないようにしましょう。
アライグマはエサ場の近くにねぐらを作ります。根本であるエサをなくすことで、家をアライグマから守りましょう。
庭の作物に網をかける
農家では、アライグマによる被害が深刻です。家庭菜園でせっかく育てた作物や実をつけた果実を取られないよう、ネットをかけて覆うか早めに収穫するようにしましょう。もし、庭の野菜や果物などに被害があったら、足跡を探してみてください。5本の指が長く爪の跡が残る場合はアライグマである可能性が高いでしょう。原因がわかれば、対策が練りやすくなります。
忌避剤など市販のグッズを使用する
アライグマを見つけたら、忌避剤などの市販グッズを使うことも効果的です。アライグマが嫌いなニオイや成分を配合した薬剤を、侵入口や通路になる場所に置いて追い払います。
また、獣避けの線香も有効です。アライグマは嗅覚にすぐれているためもちろん効きますが、これらのニオイは人間やペットにとっても強烈。屋内用と室外用があり、屋内では使用を禁じられているものもあるので、間違えないよう注意書きをよく読み使用場所に応じて選ぶようにしましょう。
アライグマは強い光を嫌うので、人感センサー付きのLEDライトも効果があります。
市販のグッズを利用してうまく追い出すことができればいいですが、ニオイや煙は屋根の隅や奥まで行き届かない場合もあるため、かえってアライグマを閉じ込めてしまう可能性も。また、追い出せたとしても一時的なもので、すぐに戻ってきてしまう可能性もあります。さらに、天井裏など目につきにくい場所で排泄をしている場合、すべてを除去するのは素人には難しい上に、感染症などのリスクも考えられます。
アライグマの捕獲に関しては許可が必要で、徹底して駆除・殺菌をするには、自治体や駆除の資格を持つプロに相談したほうが安心でしょう。早く対応するほど、被害は少なく処理費用も抑えられます。
アライグマの駆除は自治体やプロに相談する

アライグマ対策をおこなっていたとしても、侵入されてしまう可能性はゼロではありません。また、アライグマが住み着いてしまったら、たとえ追い出せたとしても天井裏などの糞尿を除去し、消毒殺菌をするのは素人では難しいでしょう。駆除や対処は自治体やプロに相談することをおすすめします。
自治体に相談する
いずれにせよ、アライグマは個人的に駆除したり捕まえたりはできない動物です。そのためまずは、一度お住まいの自治体に相談してみましょう。自治体ごとに異なりますが、アライグマなどの害獣駆除を専門とする受付窓口を設置している場合もあります。また害獣用の捕獲箱の貸出など、自治体でアライグマ対策の支援をしていることも。
とはいえ自治体が直接的に対処してくれるわけではなく、また捕獲には狩猟免許が必要となるのが原則なので、自ら退治するのは非常に難しい点には要注意です。
農作物の被害は自治体の許可を得て捕獲可能
アライグマの捕獲は通常であれば禁止ですが、例えば農作物に甚大な被害が出ている場合など、特別に許可が下りる可能性もあります。これも自治体次第ではありますが、被害状況をきちんと確認して、どう対処すべきなのか相談してみましょう。
害獣駆除の専門業者に依頼する
アライグマをはじめとする害獣駆除の資格を持った専門業者に依頼すると安心です。住み着いたアライグマを徹底的に駆除したうえで、天井などの隙間に入ってボロボロになった断熱材を廃棄し、糞尿を処理して清掃・除菌・消臭。そして再発も防ぎます。
また、侵入口を閉鎖し、シミのついた天井を修繕するなどの対応もしてもらえるので、そのあとは安心して生活できるでしょう。
駆除にかかる料金は住み着いたアライグマの数や建物の敷地面積、住み着いた期間によっても大きく異なります。そのため、複数の業者に見積もりを依頼してみるといいでしょう。
この記事のまとめ
最後に、アライグマについてよくある質問をまとめました。
アライグマは勝手に駆除してもいいの?
アライグマは特定外来種に指定された駆除対象となる害獣ですが、鳥獣保護管理法に基づき無断で駆除や捕獲はできない規定になっています。事前に各自治体から許可を得る必要があり、個人で勝手に退治することはできません。捕獲したアライグマを生きたまま運搬することもNGです。
ただし、例えば農作物に甚大な被害が出ている場合など、特別に許可が下りる可能性があります。まずはお住まいの自治体に確認してみましょう。
アライグマが嫌がるものは何?
アライグマが嫌がるものは、アライグマ用忌避剤をはじめ燻煙剤や木酢液・ハッカ油、獲物避け線香のほか、掃除機の音など大きな音やストロボなどの強い光を出すものが挙げられます。
自分でできるアライグマ対策は?
アライグマは器用な手先を使って侵入するため、換気口や外壁の穴など家への侵入口となる隙間をすべて塞ぐこと、器用に木登りをするため屋根につたって来られないように植栽を切ること、ペットのエサなど食べ物を放置しないこと、敷地内の落ち葉や雑草を撤去すること、庭の作物に網をかけることなどが挙げられます。そのほか、アライグマ用の忌避剤など市販のグッズを使用するのも効果的です。
アライグマを見つけたらどこに相談すればいい?
アライグマには無断で駆除や捕獲はできない規定があるため、自治体や駆除の資格を持った専門業者に相談するとよいでしょう。警察に相談しようという考えもあるかもしれませんが、鳥獣保護管理法に守られているため警察でも駆除することはできないことを覚えておきましょう。
郊外だけではなく、都心でも深刻化しているアライグマの被害。一戸建てに住んでいる方、これから一戸建てへの住み替えを検討している方なら、誰しも無関係ではないかもしれません。本記事を参考に、アライグマの被害に遭わないようあらかじめ対策しましょう。
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