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ハクビシンを見つけたら?自分でできる対策や駆除方法を徹底解説

可愛い顔のハクビシンですが、日本では害獣とされ対策が必要です
ペットにしたくなるくらい、カワイイ顔をしているハクビシン。しかし、家に侵入して問題を起こすことから、日本では害獣とされています。「ハクビシンなんて郊外にしかいないんじゃないの?」と思う方も多いかもしれません。しかし、実は都会にも生息していて、家の中に侵入してくることも……。天井裏がある一戸建てに住んでいる・住むことを検討されている方は、特に気を付けて対策したい害獣です。
本記事ではハクビシンの侵入経路、見つけた時の対策などを解説します。

ハクビシンを見つけたら?やってはいけないこと

見た目はとても愛らしいハクビシンですが、野生動物であることに変わりはないので、取り扱いには注意が必要。特に次のような点には気を付けましょう。

ハクビシンに近づいたり触ったりしない

もともとハクビシンは、森や山間部などの草木が多い場所に生息しています。そのためダニやノミが付着していたり、こうした寄生虫から感染症になっていたりする可能性が高め。人間にうつる病原菌や寄生虫を運んできてしまうので、安易に近づいたり触ったりするのは非常に危険です。絶対にやめておきましょう。

自分でハクビシンの捕獲や駆除をしない

ハクビシンは、自然環境を守る「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」の対象となっている野生動物です。害獣ではありますが、法律で保護されている生き物でもあるため、個人的に駆除や捕獲をすることは禁止されています。もし退治したい場合には、あらかじめお住まいの自治体に申請して許可を得てから、対処する必要があります。

もちろんハクビシンに餌をあげて餌付けするような行為もNGです。
まずは、ハクビシンの特徴についてみていきましょう。

ハクビシンの特徴

ハクビシンは、ジャコウネコ科の野生動物。猫のように長いしっぽ、グレーがかった茶色の毛色、鼻から額にかけての白い筋、スリムな体型が特徴です。

ハクビシンの生態

胴長は60~65cm・尾の長さは40cmほどの小動物で、体重も3kg程度と小柄です。優れた身体能力が大きな特徴で、高所や狭い場所でも難なく移動が可能。また嗅覚も非常に敏感です。ちなみに夜行性のため、普段は物陰に隠れています。

ハクビシンの生息場所

ハクビシンは山間部から市街地にかけて幅広く生息していますが、日中は人目に付かない暗く狭い場所にいるのが基本。屋外なら、木のすき間・岩穴・洞窟などを住処にします。また建物に侵入した場合、屋根や天井の裏に住み着くケースが多く見られます。

ハクビシンの繁殖時期

春から冬にかけて、ほぼ通年で出産して繁殖します。さらに妊娠期間がかなり短く、多くて1回に4頭ほど産むこともあり、繁殖力が高いのも特徴です。

ハクビシンの食性

ハクビシンは雑食で基本的に何でも食べますが、特に果実や種子(豆やナッツなど)を
好みます。その他、野菜・昆虫・魚・肉などもエサになるため、人間の残飯を漁って食べるケースも多く見られます。

ハクビシンに似ている動物

ハクビシンに間違われる、よく似た動物もいます。見分けるポイントを見ていきましょう。

アライグマとの見分け方

ハクビシンとアライグマを見分けるポイントは目元としっぽにあります

目を囲う仮面のような黒い模様があり、その周囲や口元は白い顔をしているのがアライグマです。ハクビシンには鼻筋に長い縦の白線が入っていますが、アライグマは目元の黒模様が帯のようにつながっているのが大きな違い。また他の似たような小動物にはない特徴として、アライグマは横縞のしっぽを持っています。この縞模様のしっぽは、ハクビシンを含めた、似たような動物と見分けやすい部分でもあります。

アナグマとの見分け方

アナグマとハクビシンもよく似ています

顔が比較的長く、両目に対して、額から鼻にかけて2本の縦の黒模様が入った顔をしているのがアナグマです。アナグマは全体的にこげ茶っぽく、白模様がない点がハクビシンとの大きな違い。また胴全体も、ハクビシンに比べると太くどっしりしています。

タヌキとの見分け方

ハクビシンとタヌキは鼻筋と目元で見分けられます

タヌキはアライグマにもよく似ていて、目の周りが黒く、顔の周囲や口元は白っぽくなっています。アライグマと同様に、ハクビシンとの見分け方としては、鼻筋に入った白い縦線がない部分。また目元の黒模様が両目でつながっておらず、それぞれ丸で囲ったようになっているのがタヌキです。ハクビシンに比べるとしっぽがかなり短い点も、大きく違っています。

ハクビシンが引き起こす被害

ハクビシンによる被害は、騒音や悪臭などの物理的被害、感染症などによる健康被害、農作物への被害などさまざま。ここでは一戸建ての住宅に住み着かれた場合と、庭を荒らされた場合の2つに分けて被害例を具体的にご紹介します。

住宅に侵入し屋根裏に住み着かれる

ハクビシンは、いつの間にか家の中に侵入していることがあります。夜になって天井の上を「ドン、ドン」「ノシノシ」とゆっくり歩く音が聞こえたら、それはハクビシンかもしれません。雑食で、生ごみをあさったりペットフードを食べたりするので、民家は格好のエサ場。器用に木に登り、枝を伝って天井裏に入り込みます。天井裏の断熱材に使われるグラスウールはふかふかのベッド。眠るのにも、子育てにもぴったりの環境です。

人間やペットへの健康被害

先ほども出てきたように、ハクビシンはダニやノミ、病原菌を媒介します。こうしてハクビシンが病気の根源を持ち込むことで、人間やペットに健康被害が生じることも。例えばダニやノミが原因となる皮膚疾患をはじめ、運んできた菌やウイルスによっては、食中毒・肝炎などを引き起こすケースもあります。

またハクビシンの排せつ物などは、アレルギーのもとにもなるため要注意。このように自分や家族の体に対して、さまざまな悪影響をおよぼすリスクがあります。さらにハクビシンは、夜中に音を立ててバタバタと動くため、騒音によって不眠になってしまう危険もあります。

家屋の破損や汚損

例えば、排せつ物が溜まることで建物の基礎部分が腐食したり、巣をつくる材料として建材をほじってボロボロにさせたりなど。ハクビシンが住み着くことで、家屋の構造部分が破損してしまう恐れがあります。さらにハクビシンは、決まった場所にトイレをするため、どんどん汚れが染み付いて汚損してしまうケースも。

場合によっては、大幅な修繕が必要になるなどの可能性もあり、経済的な被害にもつながってしまいます。

庭や畑に侵入し作物を食い荒らされる

ハクビシンの好物は甘い果実。芋類も好きなので、こういった野菜や果物を育てていると被害に遭いやすいでしょう。せっかく育てた野菜や果物が荒らされるのは、もちろん悲しいものです。

家畜やペットの被害

ハクビシンは雑食で肉もエサにするため、家庭菜園などの農作物に加えて、ニワトリの卵を食べてしまうことがあります。さらに小鳥やハムスターといった、特に小さな動物は、ハクビシンに攻撃されてしまう危険も。またハクビシンに襲われると、何かしらの感染症がうつる被害も考えられます。

ハクビシンが嫌うもの

ハクビシンの危険性について、ご理解いただけたのではないでしょうか。ハクビシンは勝手に捕獲できませんし、感染症の恐れを考えると、うかつに近寄ることもできません。まずは、ハクビシンが嫌うものを知っておきましょう。
ハクビシンが嫌うものは以下の通りです。

  • 燻煙剤
  • ハッカ油木や酢液のニオイ
  • ニンニクやトウガラシの刺激的なニオイ
  • 石油系のニオイ
  • 明るい場所
  • 超音波
  • ハクビシン用駆除忌避剤
  • 爆竹などの威嚇音

これらを利用して、ハクビシンが寄り付かないよう対策をしていきましょう。

自分でできる ハクビシンを寄せ付けない対策

ハクビシンにとって、外敵から身を守れて雨風を防ぐことができ、エサもふんだんにある民家は安心できる住処です。住みつかれないように、ハクビシンを寄せ付けない住環境を整えましょう。

侵入口になる隙間を塞ぐ

家への侵入口となる隙間をすべて塞ぎましょう。ハクビシンは柔軟な細い体で、わずかな隙間からでも侵入してきます。1箇所でも隙間があれば、そこから出入りされるので、しっかりと隙間のある場所をチェックしてください。よくある侵入箇所は、以下のとおりです。

  • 屋根まわりの隙間
  • 換気口
  • 増改築部分の継ぎ目
  • 基礎コンクリートの通風口
  • 外壁の穴や隙間

屋根に上りやすい植栽を切る

ハクビシンは木登りが得意。電柱などにも登って移動します

ハクビシンは木登りが得意です。そのため、屋根につたって来られるような高い樹木の枝は剪定しておきましょう。

ペットのエサなど食べ物を放置しない

ハクビシンは優れた嗅覚で、ペットフードや残飯、生ごみのニオイを嗅ぎつけてやってきます。特に果物が大好物で、ほかに、じゃがいもやさつまいもなどの芋類も好みます。
ペットフードは出しっぱなしにしない、生ごみは速やかに処理するほか、食べかけのスナック菓子は密閉する、仏壇のお供物は夜には下げておくなど、ハクビシンのエサになるものを放置しないようにしましょう。なお、ハクビシンはエサ場の近くにねぐらを作ります。根本であるエサをなくすことで、家をハクビシンから守りましょう。

落ち葉や雑草を撤去する

ハクビシンは、自分の身を隠せる薄暗い場所を好みます。落ち葉や雑草によって、うっそうとした環境ができていると、そこを巣にして住み着いてしまうケースがあるので要注意です。さらにハクビシンが住みやすい場所ができていると、繁殖もしやすくどんどん増えてしまう可能性もあります。そして屋外からエサを求めて、近くの建物に入ってきてしまうので、そもそも家の周りに住処をつくらせないことも大切です。

庭の作物に網をかける

農家では、ハクビシンによる被害が深刻です。家庭菜園でもせっかく育てた作物や実をつけた果実を取られないよう、ネットをかけて覆うか早めに収穫するようにしましょう。もし、庭の野菜や果物などに被害があったら、足跡を探してみてください。丸い手のひらに短い5本指の跡があればハクビシンである可能性が高いでしょう。害獣の種類がわかれば、対策が練りやすくなります。

忌避剤など市販のグッズを使用する

もし、ハクビシンを見つけたら、忌避剤などの市販グッズを使って追い出しましょう。忌避剤を侵入口や通路になる場所に置き、カプサイシンなどの刺激臭やハクビシンが嫌う天敵のニオイで追い払います。また、ハクビシン避けの線香も有効です。ただ、これらのニオイは人間にとっても強烈。屋内用と室外用があるので、間違えないよう使用場所に応じて選ぶようにしましょう。

殺虫剤に使われる燻煙剤はニオイと煙でハクビシンを追い出し、超音波機は人間には聞こえない不快な音でハクビシンを追い出します。いずれもペットにまで影響を与える可能性があるので、ペットを飼っている方は注意書きをよく読んでから使用しましょう。

うまく追い出せればよいですが、煙やニオイは屋根の隅や奥には届きにくいので、かえってハクビシンを閉じ込めてしまう可能性もあります。また、追い出せたとしても一時的な避難で、すぐに戻ってくるかもしれません。天井裏など目につかないところに糞をしている場合、すべて除去するのは素人には難しいですし、感染症などの恐れがあります。
捕獲に関しては許可が必要で、徹底して駆除・殺菌等するには、自治体やプロに相談したほうが安心でしょう。早く対応するほど、被害は少なく処理費用も抑えられます。

ハクビシンの駆除は自治体やプロに相談する

ハクビシンの駆除は無理をせずプロにまかせましょう (イメージ)

ハクビシン対策をおこなっていたとしても、侵入されてしまう可能性はゼロではありません。また、住み着いてしまったら、たとえ追い出せたとしても天井裏などの糞尿を除去し、消毒殺菌をするのは素人では難しいでしょう。そのため、駆除や対処は自治体やプロに相談することをおすすめします。

自治体に相談する

自治体により対応は異なりますが、ハクビシンの捕獲や防除に関してさまざまな対策が実施されています。農林業被害のほか、市民生活被害に関しても相談窓口が設けてありますので、まずは自治体に相談してみましょう。ただし、相談したとしても直接的に捕獲や駆除をしてくれるわけではありません。被害状況によって害獣駆除の許可を与えてくれたり、捕獲器の貸し出しをしてくれたりする場合があります。

害獣駆除の専門業者に依頼する

安心なのは、ハクビシンをはじめとする害獣駆除の専門業者に依頼することです。住み着いたハクビシンを徹底的に駆除したうえで、天井などの隙間に入ってボロボロになった断熱材を廃棄し、糞尿を処理して清掃・除菌・消臭。そして再発を防ぎます。また、侵入口を閉鎖し、シミのついた天井を修繕するなどの対応もしてもらえるので、そのあとは安心して生活できるでしょう。

料金はハクビシンの数や建物の敷地面積、ハクビシンが住み着いた期間によっても大きく異なります。そのため、複数の業者に見積もりを依頼してみるといいでしょう。

この記事のまとめ

最後に、ハクビシンについてよくある質問をまとめました。

ハクビシンは勝手に駆除してもいいの?

ハクビシンは、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」の対象となっている野生動物のため、個人的に駆除や捕獲をすることは禁止されています。お住まいの自治体に相談、または専門の駆除業者に相談して対応してもらうようにしましょう。

ハクビシンが嫌がるものは何?

ハクビシンが嫌がるものは、燻煙剤、ハッカ油木や酢液のニオイ、ニンニクやトウガラシの刺激的なニオイ、石油系のニオイのほか、明るい場所や超音波、爆竹などの威嚇音が苦手といわれています

自分でできるハクビシン対策はある?

屋根まわりの隙間や換気口など家への侵入口となる隙間をすべて塞ぐこと、屋根につたって来られないように植栽を切ること、ペットのエサなど食べ物を放置しないこと、敷地内の落ち葉や雑草を撤去すること、庭の作物に網をかけることなどが挙げられます。そのほか、忌避剤など市販のグッズを使用するのも効果的です。

いかがでしたか?郊外だけではなく、都心でも深刻化しているハクビシンの被害。一戸建てに住んでいる方、これから一戸建てへの住み替えを検討している方なら、誰しも無関係ではないかもしれません。本記事を参考に、ハクビシンの被害に遭わないようあらかじめ対策しましょう。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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