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【画像ぼかし付】コウガイビルとは?害はある?コウガイビルを見つけた時の対処法を徹底解説

コウガイビルについて見つけた時の対処法を徹底解説します
クネクネとした独特の細長い見た目が気持ち悪く、もし自宅付近で遭遇してしまったら、思わずギョッとしてしまいそうなコウガイビル。名前に「ヒル」と付いているものの、実は田んぼなどに生息する血を吸うヒルとはまったく異なり、人間に危害を加えることはほとんどありません。むしろナメクジやカタツムリを餌として食べてくれることから、益虫のような一面もあります。
とはいえ、いざ見つけてしまうと何となく怖いですし、できれば退治したいと思う方もいるかもしれません。そこで今回は、コウガイビルの駆除方法や予防策をはじめ、詳しい生態などもあわせて解説していきます。

コウガイビルとは?

細長く、頭部はハンマーのような扇形をしている見た目の「コウガイビル」
細長く、頭部はハンマーのような扇形をしている見た目の「コウガイビル」

コウガイビルはどことなくグロテスクなフォルムで、害虫のようにも見えてしまいますが、さほど危険な生き物ではありません。では、コウガイビルとはどのような生物なのか、その実態について見ていきましょう。

コウガイビルの生態・特徴

コウガイビルは、にょろにょろと細長い見た目をした、扁形動物の陸生三岐腸(りくせいさんきちょう)亜目に分類される生物です。金づちやハンマーのような、扇形の小さな頭部が付いているのも特徴。ちなみに扁形動物とは、平たいひも状の内蔵や血管は持たない生き物で、例えばサナダムシやプラナリアなどが仲間にいます。またコウガイビルもプラナリアと同じく、再生能力に非常に優れた生物で、体がちぎれても分裂し、それぞれで生存できます。

コウガイビルのなかにもいくつかの種類はありますが、国内に生息するのは、主に全体が黒っぽい「クロイロコウガイビル」と、黄色ベースに黒の縦模様が入った「オオミスジコウガビル」の2つ。体長は55cm前後から1m近くにもなる大型まで、幅広く存在しています。

コウガイビルの餌

コウガイビルは肉食性の生き物で、基本的には小さな昆虫を餌にします。特に、植物を食べて枯らしてしまうナメクジやカタツムリを好むので、益虫と見られるケースもあります。ただし土を耕してくれるミミズも、コウガイビルの餌になってしまうので、家庭菜園などをしている場合には注意が必要です。

コウガイビルの生息地

コウガイビルは、暗くジメジメとした場所に住む夜行性の生き物で、基本的には餌が豊富にある、農業や酪農地域を好むとされています。また餌を求めて市街地に出てくることも多く、一般的な住宅周りで見られることも少なくありません。例えば、落ち葉の溜まりやすい庭や芝生・ガーデニングのプランターや石の下・コンクリートブロックの隙間・排水口などに住み着くことも。普段は狭く湿った暗所に隠れていますが、捕食のために出てきて、玄関や自宅の壁などを這う姿を目にする場合もあります。

ヒルとの違い

そもそもヒルは、ミミズやゴカイなどが分類される環形動物で、コウガイビルとは別の生き物です。コウガイビルは名前にヒルが付いているだけで、見た目も種別も異なります。ちなみに見た目としてコウガイビルと大きく違う部分は、ヒルのほうがぷっくりとした厚みのある筒状になっていて、頭部もない点です。コウガイビルのほうが平べったく、ひょろっとした細長い形状をしています。

コウガイビルの由来

コウガイと聞くと、「郊外」や「公害」などの言葉を思い浮かべるかもしれませんが、実はどれも違います。コウガイビルのコウガイは、漢字で「笄」と書きます。この笄とは、武士が髪をかき上げたり結ったりする、日本古来の整髪道具です。笄の耳かきにも使える先端部分や、平たく細長い全体像の形状が似ていることから、コウガイビルの由来になったとされています。

コウガイビルは害がある?

コウガイビルは、虫などを食べる肉食ではあるものの、決して攻撃的ではありません。基本的には、刺したり噛み付いたり、危害を加えられることはない生物とされています。ただし気を付けておきたい危険性も。コウガイビルによる被害について以下からまとめていきます。

吸血はしない

前述にもあるように、名前にヒルが入っているだけで、血を吸うことはありません。人間やペットに対して、直接的に攻撃してくることもない生き物です。例えばスズメバチやムカデのような危険性はないので、見かけても基本的にはさほど大きな心配はありません。

ガーデニングに影響する

コウガイビルは、ガーデニングに悪影響することも
コウガイビルは、ガーデニングに悪影響することも

先ほども少し触れましたが、コウガイビルは良質な土壌をつくり出してくれる、ミミズを食べてしまいます。コウガイビルは肉食なので、植物を食べて荒らす食害を引き起こすことはありませんが、土を肥やしてくれるミミズを餌にしてしまうのが難点です。また野菜や植物に付着しているケースもあり、そこから家屋内に侵入したり、場合によっては誤って食事に入ってしまったりする可能性もあります。
特にガーデニングや家庭菜園などをしている場合には、コウガイビルに遭遇する確率も高く、悪影響を与えることが想定されます。

毒を持つ種類がいる

コウガイビルは、世界中に幅広い種類が存在している生物でもあり、なかには毒を出すケースも発見されています。フグなども持っている、しびれや麻痺などを引き起こす毒・テトロドトキシンを体から発する種類もあり、素手で触るのは危険。テトロドトキシンが誤って体内に入ってしまうと、解毒するのが非常に難しく、重篤な体調不良になる恐れがあります。
ただし現時点で日本に生息するコウガイビルは、毒性のない種類といわれているため、よほどのことがない限りは問題ないでしょう。

寄生虫の宿主の可能性がある

コウガイビルは、寄生虫を持つナメクジやカタツムリを食べます。そうなると捕食した際に、ナメクジやカタツムリの体内にいた寄生虫も取り込んだ、待機宿主(寄生虫を介在する個体)になっている可能性も。なおナメクジやカタツムリにいる寄生虫は、広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)と呼ばれており、人間の体内に入ると好酸球性髄膜脳炎を引き起こす恐れがあります。なお好酸球性髄膜脳炎は、頭痛や発熱などの症状が現れて基本的に1~2週間で完治しますが、なかには死に至るケースもある疾病です。
こうした危険な寄生虫を宿しているコウガイビルもいるので、先ほども出てきたように、素手では触らないようにしましょう。もし誤って触れてしまった場合には、ただちによく洗い流してください。また自家栽培の野菜など、コウガイビルが付いているケースもあるため、しっかりと洗浄して食事に混入しないように注意しましょう。

コウガイビルの駆除方法

ここまでに出てきたように、コウガイビルは直接的な被害を出す生き物ではないため、専用の駆除剤などはありません。誤って触ったり口に含んだりさえしなければ、基本的には無害なので、自宅付近で見かけても放置しておいて問題はないでしょう。

とはいえ、どうしても目にすると不快に感じる場合もあり、できれば駆除したいケースもあるかもしれません。そうした際には、まずはコウガイビルが食べるナメクジやカタツムリを駆除する薬剤を使用し、餌を根絶させる方法が考えられます。またコウガイビルは非常に乾燥に弱く、水分がなくなって干からびると死んでしまう特徴も。そのためコウガイビルに塩をかけて、脱水状態にして駆除するのも可能です。
ただし雨などで水分を取り戻すと、再生してしまう可能性があり、完全な駆除が難しいこともある点には注意する必要があります。もしくは割りばしなどでつかんで、物理的に外に追い出すのも一つの手です。

駆除する時の注意点

コウガイビルは、体が分裂しても個々で再生して増殖する能力を持っています。また体がちぎれやすい面もあり、割りばしなどでつかんだ場所から、2つに割れてしまうことも。体をちぎってしまうと、かえってコウガイビルを増やしてしまうことになります。外に逃がす際には、なるべくコウガイビルの体を傷付けないように注意が必要です。

コウガイビルを発生させない方法

コウガイビルを発生させない方法とは?
コウガイビルを発生させない方法とは?

コウガイビルを発生させないためには、餌になるナメクジやカタツムリが出ないようにするのが大前提です。具体的には、以下のような方法が考えられます。

湿気を取り除く

ナメクジやカタツムリも、コウガイビルと同じく湿度の高い場所を好む習性があります。基本的にナメクジやカタツムリもコウガイビルと同様に、屋外のジメジメした暗所に生息しますが、何かの拍子で家屋に侵入するケースも。そうなると、水気のある場所に集まってきてしまいます。特にお風呂や台所などの水回りには注意し、こまめに掃除をして水気を拭き取ったり換気扇を回したり、湿気がこもらないように対策しましょう。

網戸など隙間をなくす

コウガイビルは平たく細長い体をしているので、ちょっとした隙間から家の中に侵入できてしまう可能性は大いにあります。ちなみにナメクジも体の伸縮性から、簡単に小さな穴などの通り抜けが可能。ナメクジが自宅内に侵入してしまうと、同時にコウガイビルもおびき寄せてしまう恐れがあります。例えば網戸の破れなどがある時には、早めに修復するようにしましょう。

ジメジメした暗い場所を作らない

屋外に置くような、バケツ・植木鉢・プランター・ガーデンオーナメントなど、特に地面と接している部分は湿っぽい暗所になりやすいので要注意。コウガイビルはもちろん、ナメクジやカタツムリにとっても絶好の生息場所になりやすいポイントです。定期的に移動させたり、雨水などを溜めないようにしたりなどの対策をしましょう。また雑草や落ち葉が密集する場所にも寄ってきやすいので、適度に掃除をしてキレイに保つことをおすすめします。

コーヒー殻、木酢液、竹酢液、椿油粕を撒く

ガーデニングスペースなどに、コーヒー殻・木酢液・竹酢液・椿油粕のいずれか撒いておけば、どれもナメクジが嫌がるため、結果的にコウガイビルの餌が集まりにくくなって寄せ付けずに済むでしょう。ただし植物によっては、これらの忌避剤が悪影響になるケースも。どの植物と忌避剤の組み合わせなら使えそうなのか、事前に調べておくのが安全です。

市販の忌避剤を使用する

ナメクジやカタツムリの場合は、直接的に植物への食害を引き起こす害虫とされているため、専用の忌避剤が市販されています。コウガイビルの餌になる、ナメクジやカタツムリを駆除できれば、自然消滅的に駆除することが可能。そもそもナメクジやカタツムリのほうが、植物にとっては危険なので、しっかりと対策をしておくのがおすすめです。

銅線を撒く

特にナメクジは、銅を嫌がる習性があります。そのためプランターなどに銅線を取り付けて、ナメクジにとって避けたい環境をつくっておけば、おのずとコウガイビルも近寄ってきません。こうしたナメクジ対策をしておくことで、コウガイビルを防ぐことにもつながります。

コウガイビルについてよくある質問

コウガイビルについてよくある質問に答えます
コウガイビルについてよくある質問に答えます

ここからは、コウガイビルを見つけた時に気になるポイントについて、簡単にQ&A方式でまとめていきます。

コウガイビルは血を吸う?

コウガイビルは、ヒルの仲間ではないため、人間の血を吸うこともありません。基本的に直接的な危害のある生物ではなく、大きな危険はないとされています。ただし土を肥やすミミズを捕食する肉食性なので、ガーデニングや家庭菜園に影響が出る可能性も。またナメクジやカタツムリを食べて、その体内にいた寄生虫を持っている場合もあり、素手で触れるのは避けるようにしましょう。

コウガイビルを見つけたらどうする?

自宅の外壁・玄関付近・庭など、屋外で見かけた時には、そのままにしておいても問題はありません。とはいえどうしても目に付いて気になる時には、塩をかけて干からびさせるか、割りばしなどでつかんで遠くに逃がす方法もあります。またコウガイビルの餌になる、ナメクジやカタツムリの防止対策をしておけば、コウガイビルも寄りにくくなります。そのためナメクジやカタツムリの駆除剤を使って、退治するのもよいでしょう。

コウガイビルの苦手なものは?

コウガイビルにとっては、土の中でも地上でも、ほぼ生物としての天敵はいないとされています。
ただし何よりも苦手なのは乾燥で、干からびてしばらく経つと、基本的には死んでしまいます。例えば地上に這い出てきて、そのまま戻れずに干からびてしまうケースも。コウガイビルにとって、最大の敵は水分を取られることです。

まとめ

コウガイビルは、自分たちの生活にとって何か大きな害を与えるほどの存在ではなく、ナメクジやカタツムリを退治してくれる意味ではよき存在です。とはいえ自宅付近に大量発生しているなど、目に付いて気になりだすと、なんとなく不快ですよね。また園芸の肥料にもなってくれる、ミミズを食べつくしてしまう点は、コウガイビルの大きな難点といえるでしょう。
ただし基本的に駆除する必要はなく、専用の薬剤なども市販されていない生物です。もしどうしても追い出したい時には、物理的に捕まえて逃がすか、餌になるナメクジやカタツムリの予防対策をするのがベスト。できるだけコウガイビルに遭遇しない、心地よく快適な住環境づくりのためにも、ぜひ本記事でご紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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