未公開物件とは？探し方やメリット・デメリット、注意点を解説

未公開物件って存在するの？

実際に未公開物件は存在します。未公開物件とは、不動産会社のみが閲覧できる「レインズ」への登録や、不動産ポータルサイトに掲載されていない物件のことです。通常、売主が不動産会社に物件の売却を依頼すると、依頼を受けた不動産会社は５～７日以内に物件情報をレインズに登録しなければなりません。しかし、一定期間内や売主と不動産会社の媒介契約の内容などによっては、レインズへ登録されないケースもあります。レインズに登録されれば全国の不動産会社が閲覧でき、それぞれの顧客へ物件を紹介することが可能です。反対にレインズに登録されない物件は、売主から媒介依頼を受けた不動産会社のみが知る物件情報となり、これが未公開物件と呼ばれます。物件の条件によっては、未公開のまま成約となるケースも少なくありません。

未公開にしている理由は？

未公開物件を紹介してもらえることは耳寄り情報だと感じる一方で、なぜ未公開なのか理由がわからなければ、購入してもよいのか疑問や不安に感じることもあるでしょう。そこで、以下では未公開物件が未公開となっている主な理由について解説していきます。

市場に出さずとも買主・借主が見つかる優良物件

物件を未公開にしている代表的な理由として、ポータルサイトなどの市場へ出さずともすぐに売れる優良物件であることが挙げられます。売却を依頼された不動産会社が自社で買主を見つけることができれば、売主からも買主からもそれぞれ仲介手数料を支払ってもらうことが可能です。自社で売買が完結すれば利益が２倍になるほか、広告を出さずに済むためコストカットにも有効です。

市場に出しても成約できそうもない物件

前述の反対のケースも考えられるでしょう。市場に出したところで反響を見込めず、成約が難しい可能性が高い物件も未公開物件として扱うケースが多いです。広告掲載にも費用がかかり、見合う反響がなければ掲載しても意味がありません。市場では成約できないクセのある物件の場合は、不動産会社同士のやり取りのなかで物件紹介がおこなわれるケースが多い傾向にあります。

一般媒介契約でレインズに登録する義務がない

売主が不動産会社に売却を依頼した際、売主と不動産会社の間で交わされる媒介契約には種類があります。「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の３つに分けられ、それぞれ契約条件が異なるのが特徴です。なかでも、一般媒介契約はもっとも縛りのないタイプであり、レインズへの登録義務がありません。そのため、一般媒介契約が締結された物件はレインズ登録が任意のため、不動産会社が登録をしなければ未公開物件となります。

レインズに登録する準備ができていない

あえて未公開物件としているのではなく、レインズに登録するための準備が整っていないことも理由の一つです。レインズ登録を完了させるには、物件に関する詳細な情報を入力するだけでなく、販売図面の作成、物件の写真撮影・掲載まで含まれます。専任媒介契約や専属専任媒介契約の物件の場合は、不動産会社は媒介契約締結日から５～７日以内にレインズ登録を完了させなければなりません。

建設中・未完成な物件

建物を建設中の未完成物件も、未公開物件としているケースが多いです。建物が完成していない状態だと、引き渡しまでに間取りや内装が変わるなどしてトラブルに発展する可能性があります。建物が未完成の物件を販売するには十分注意が必要なため、完成するまでは未公開物件として買主を探す方法が採用されます。この場合の売主は、不動産会社であることがほとんどです。

売主・貸主の都合で近隣住民に知られたくない

売主の都合により未公開物件となるケースも少なくありません。主な理由は、近隣住民に住宅を売りに出していることを知られたくないからです。また、アパートなどの賃貸物件の入居者募集においても未公開でおこなうケースがありますが、その場合は入居中の方に家賃を値下げしている事実を知られたくない、といった理由が挙げられます。

居住中で引越し先が未定

買い替えなどの理由により、物件に住みながら販売活動と住み替え先の物件探しを同時におこなうケースがあります。物件を探している途中や住み替え先が建設中の場合は、引き渡し前まで売主が物件に住み続けることはめずらしくありません。ただし、売主が居住中の物件で特に一戸建ての場合、物件情報が公開されていると興味を持った方が物件まで足を運んで現地確認することがあります。家族のプライバシーに影響するほか、近隣住民に売却していることを気づかれる可能性もあります。このような事態を避けるために、引越すまでは未公開物件として一部にのみ情報を開示して販売活動をおこなうのが一般的です。

未公開物件のメリット

未公開物件を選ぶと、以下のようなメリットを享受できます。それぞれ詳しく解説していきます。

優良物件に出合える可能性が高い

先述のとおり、優良物件のため未公開にしているケースが多いです。不動産会社がレインズに掲載する前のタイミングで出合うことができれば、お得に物件を購入できるでしょう。

周辺の相場より価格が安いこともある

周辺相場より価格が安い物件に出合えることもあります。売主の都合によって未公開にしている場合や、ポータルサイトからの反響が見込めないようなクセのある物件の場合などに、相場より価格を下げて販売されているケースが多いでしょう。

競争相手が少ない傾向にある

一度ポータルサイトに物件を掲載すると、全国多数の物件を探している方が競争相手となるため、競争率は高めです。そのため、気に入った物件があっても、他の物件と比較検討している間に成約となっていることもあります。しかし、未公開物件であれば、不動産会社が紹介する方を限定しているケースが多いでしょう。そのため、一般公開している物件と比べると競争相手は少なくなるはずです。

物件の選択肢の幅が広がる

人生の大きな買い物であるマイホームを購入するとなると、多数の物件を見て比較検討したいと思うものです。ポータルサイト等で公開されている物件に加えて未公開物件も情報収集できれば、より多くの選択肢の中から家探しができるでしょう。

未公開物件のデメリット

複数のメリットがある一方で、未公開物件にはデメリットも存在します。具体的には、以下のような点を押さえておきましょう。

物件情報が入手しづらい

未公開物件というだけあり、なかなか出合えるものではありません。未公開物件を取り扱っていない不動産会社もあります。未公開物件を多く取り扱う不動産会社を探したり、掘り出し物件を紹介してもらえるように不動産会社と関係を築いたりすることが大切です。

内見できない場合もある

売主が居住中など、場合によっては物件を内見できないケースもあります。建物を解体するのであれば内見は不要ですが、中古住宅として利用するには内見は欠かせません。不動産会社に相談し、どうしても内見できない場合は写真を複数枚送ってもらうなどして確認しましょう。

訳あり物件の可能性がある

未公開物件は優良物件ばかりでなく、なかには訳あり物件もあります。心理的瑕疵物件や近隣住民のトラブルが多い物件などもあるため、未公開の理由を聞いたり物件の状態を詳しく確認したりすることが大切です。

未公開物件を探す際の注意点

上述のような未公開物件のデメリットもあるため、物件を探すときには注意しましょう。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。

必ずしも優良物件とは限らない

先述のとおり、未公開物件は優良物件ばかりではありません。心理的瑕疵物件や欠陥住宅の可能性もあります。一般公開されている物件以外にも、さまざまな事情があり売りに出ている物件があることを理解しておきましょう。

おとり物件の可能性もある

注意したいのは、おとり物件の可能性がある点です。ポータルサイトに掲載されているケースもありますが、反響が多くなるような好条件の物件を掲載し、実際は成約済みの物件だったり存在しない物件だったりするのが「おとり物件」です。おとり物件を掲載する不動産会社は、顧客を集めることが目的です。未公開物件にもおとり物件はあるため十分注意しましょう。

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相場より価格が割高な可能性もある

相場よりも安い物件が未公開物件として紹介されることがある一方で、相場より高いケースもあります。一般公開しないことで希少価値の高い物件のように紹介され、購入を促されることもあるかもしれません。すぐに判断せず、周辺相場を調べるなどして対策しましょう。

建築中の場合は、変更が生じる可能性もある

先述したとおり、未公開物件のなかには建設中の物件もあります。建物が完成していない場合、イメージ図が掲載されてデザインや間取りが決まっているものの、実際に建設を進める中で変更が生じることもあるでしょう。売主と買主の間でトラブルに発展しやすいケースでもあるので、未完成物件は変更する可能性があることを理解したうえで検討しましょう。

未公開物件を探す方法は？

未公開物件の情報を得るには、不動産会社と関わることが欠かせません。未公開物件の探し方を以下でそれぞれ解説していきます。

地域密着型の不動産会社に相談する

地域密着型の不動産会社は、周辺エリアの物件や人と密接な関わりを持っています。大手不動産会社と比べて規模が小さい分、地域のあらゆる情報を細かく把握しており、地主との関係性もあるため未公開物件を持っているケースもあるでしょう。地域密着型であれば交渉しやすい可能性もあるので、購入したいエリアの不動産会社に相談してみましょう。

不動産会社のホームページやメールマガジンをチェックする

不動産会社のホームページを確認したり、不動産会社が独自で発信するメールマガジンに登録したりすることで、未公開物件を見つけられる可能性があります。ポータルサイトに掲載せず、自社サイトや顧客に届けるメールマガジンのみで紹介する物件もあるため、競争率が低いなかで優良な情報を得たい場合は確認してみましょう。

不動産会社のチラシをチェックする

前述と同様に、不動産会社が発行する物件情報が掲載されているチラシを確認しましょう。新聞の折り込みチラシで入っていたり、チラシのみがポスト投函されていたりすることがあります。特に物件周辺エリアに居住する方に情報が届きやすい傾向にあるため、居住エリアを変えずに物件を探している場合は特に意識して確認するのがおすすめです。

未公開物件に関するよくある質問

最後に、以下で未公開物件に関するよくある質問について回答します。

未公開物件とは？

未公開物件とは、不動産会社のみが閲覧できるレインズや、一般の方でも閲覧できるポータルサイトに掲載されていない物件のことです。未公開物件は、売主から売却を依頼された不動産会社のみが扱えます。

未公開物件のメリット・デメリットは？

未公開物件は、優良物件に出合える可能性が高い、周辺相場より価格が安いことがある、競争相手が少ない、選択肢の幅が広がるなどのメリットがあります。一方で、物件情報が入手しづらい、内見できない可能性がある、訳あり物件の可能性がある点には注意が必要です。

未公開物件を探す際の注意点は？

未公開物件を探すときは、優良物件ばかりではないことや、おとり物件の可能性があること、相場より割高の可能性もあること、建設中の物件の場合は変更の可能性があることを理解したうえで検討しましょう。

まとめ

普通の探し方では未公開物件と出合う機会は少ないですが、実際に未公開物件は存在し、公開物件よりも好まれる傾向にあります。優良な情報を得るには、不動産会社との関係性が重要です。未公開物件を選ぶメリット・デメリットや注意点を理解し、複数の物件情報を見て検討するようにしましょう。