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マンション価格の高騰はいつまで続く?購入のタイミングやポイントも解説

マンション価格の高騰はいつまで続く?購入のタイミングやポイントも解説
「マンションの価格高騰はいつまで続くのだろうか」と、マイホームの購入に踏み出せない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、マンション価格が高騰している理由や今後の見通し、そして価格高騰時でも後悔しない購入のポイントを具体的に解説します。

過去10年で見るマンション価格高騰の状況

マンション価格は2013年頃から上昇を続けています
マンション価格は2013年頃から上昇を続けています

国土交通省が公表する不動産価格指数を見ると、マンション価格は2013年頃から上昇を続けています。不動産価格指数とは、2010年の平均価格を100として現在の価格水準を示す指標です。

不動産価格指数によると、特にマンションの価格上昇は顕著で、2025年には全国平均で2倍以上の水準に達しました。

不動産価格指数(住宅)(令和7年6月分・季節調整値) ※2010年平均=100

出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年6月・令和7年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比 0.7%増加、商業用は前期比 0.4%増加~」
出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年6月・令和7年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比 0.7%増加、商業用は前期比 0.4%増加~

不動産価格指数(マンション)

2025年4月 2025年5月 2025年6月
212.2 215.1 216.8

出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年6月・令和7年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比 0.7%増加、商業用は前期比 0.4%増加~

ここでは新築と中古に分けて、価格高騰の具体的な状況を解説します。

新築マンション

新築マンションの価格は、特に首都圏で過去最高水準まで上がっています。これは、特に東京23区で高価格帯の物件が増えたことによる影響が大きいとみられています。

不動産経済研究所の調査によると、2023年の首都圏の新築マンション平均価格は8,101万円となり、バブル期の最高値を超えました。なかでも東京23区は平均1億1,483万円に達し、初めて1億円を突破しています。

一方で、首都圏の新築マンションの供給戸数は、2013年の28,340戸から2023年は11,909戸と、10年間で半分にまで減少しました。このように、供給戸数が減るなかで高額物件の割合が増えた結果、全体の平均価格が押し上げられていることがわかります。

参考:経済産業省「高騰するマンション市場」

中古マンション

中古マンションの価格も、新築に引っぱられる形で上昇を続けています。価格が高騰した新築マンションの購入をあきらめ、中古マンションを検討する人が増えているためです。

東日本不動産流通機構のデータを見ると、首都圏の中古マンション成約価格は2014年の平均成約2,727万円に対し、2024年は4,890万円と、2012年以降右肩上がりの状況です。特に2020年以降は上昇ペースが加速しています。

さらに、新築の供給が10年間で半減した一方で、2014年の成約件数33,798件に対し、2024年は37,222件と、中古マンションの成約件数は増加傾向にあります。このように、中古マンションの価格も上昇しているものの、新築に比べれば手頃な物件も見つけやすい状況です。

参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」

2025年の中古マンションの価格動向

出典:不動産情報サイト アットホーム「2025年8月 首都圏における「中古マンション」の価格動向」<図表 2> 首都圏 8 エリア 平均価格指数の推移(2017 年 1月=100)【中心4エリア】
出典:不動産情報サイト アットホーム「2025年8月 首都圏における「中古マンション」の価格動向」<図表 2> 首都圏 8 エリア 平均価格指数の推移(2017 年 1月=100)【中心4エリア】

2025年の中古マンション市場は、首都圏全体で価格上昇が続いています。アットホームの最新調査では、2025年8月の首都圏の中古マンション平均価格は4,749万円でした。前月、前年同月と比べても13カ月連続での上昇となります。

価格上昇の動きは首都圏の広い範囲で見られます。特に東京都(23区・都下)と千葉県の一部エリアでは、2017年1月以降の最高額を更新しました。

なかでも東京23区の上昇は顕著で、前年の同じ月と比較して35.0%も価格が上昇しています。これはアットホームの調査開始以来、もっとも高い上昇率です。

このように、2025年の中古マンション価格も上昇が続いていることがわかります。特に都心部ではその傾向が強く、価格が高止まりしている状況です。

出典:不動産情報サイト アットホーム「2025年8月 首都圏における「中古マンション」の価格動向」

マンション価格が高騰している理由は?

マンション価格高騰の7つの理由を解説します
マンション価格高騰の7つの理由を解説します

マンション価格の高騰は、さまざまな要因が複雑に絡み合って起きています。ここからは、主な7つの理由を解説します。

建築資材・燃料費の上昇

マンション価格が高騰している要因のひとつは、建築コストの上昇です。

特に、鉄筋やコンクリートなどの建築資材の価格が世界的に上がっています。この要因となっているのは、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする国際情勢の不安定化や、世界的なインフレの進行です。

さらに、近年の円安も輸入資材の価格を押し上げています。日本は建設資材の多くを輸入に頼っているため、円安による影響を避けられません。ドル建てで取引される輸入資材の日本円での価格が上がり、その分、建築コストが増大します。

このように、資材価格と燃料費の上昇が、マンション価格の高騰につながっています。

地価の上場

地価の上昇もマンション価格を押し上げる要因です。特に、駅近や都心部などの利便性が高い土地は人気が集中しています。

マンションを建設するための用地取得では、商業ビルやホテル業界とも競合します。そのため、立地のよい土地では取得競争が激しくなるのは必然的なことです。

マンションデベロッパーは、売れると見込める土地を高くても確保しようとします。この土地代の上昇分がマンション価格に反映されるため、特に都心部の新築マンション価格が高騰する要因となっています。

建設業界の人材不足

建設業界における深刻な人材不足も、建築コストを押し上げる要因です。建設現場では職人の高齢化が進む一方で、若手の担い手が不足しています。

需要に対して、働き手が少数です。この影響で、一人当たりの労働時間が増え、賃金や労務費の上昇につながっています。

2025年の大阪・関西万博のような大規模プロジェクトがあると、人材の取り合いがさらに激しくなります。マンション建設には、多くの職人や技術者が必要です。

多くの人材を確保するためにコストが上昇し、それがマンション販売価格に反映されています。

新築マンションの供給量調整

新築マンションの供給量が絞られている点も、価格が高止まりしている理由です。マンションデベロッパーは、一度に大量の物件を供給して値崩れが起きないように、販売時期を複数回に分けて供給量を調整しています。

近年は建築コストの高騰もあり、売れ残りのリスクを避けるべく慎重に供給せざるをえません。その結果、市場に出回る新築マンションの数が減少し、需要が供給を上回る状況が続くため、価格が下がりづらくなっています。

住み替え需要の増加

テレワークの普及による住み替え需要の増加も、マンション価格が高騰している一因です。新型コロナウイルスの影響により在宅勤務が広まり、広い家や仕事部屋を求めて住み替えを検討する人が増えました。

賃貸マンションは、自由に間取りの変更をできません。しかし、分譲マンションであれば自分のライフスタイルに合わせてリフォームが可能です。

このような新たな需要が生まれたことで、特に郊外や地方都市のマンションにも購入希望者が増え、市場全体でマンション価格が上昇しました。

長期的な低金利

マンション価格高騰の背景として、長期にわたる低金利政策も挙げられます。住宅ローンの金利が低い水準で推移しているため、購入者は以前よりも多くの資金を借り入れやすくなっています。

住宅金融支援機構のフラット35の金利を見ると、2008年6月の借入期間21年~35年の最低金利が3.05%に対し、2025年10月の同金利は1.89%です。

出典:フラット35「【フラット35】借入金利の推移」

同じ返済額でも、低金利であれば高額な物件のローンを組めます。これにより、高価格帯のマンションでも購入できる層が増え、市場全体の購買意欲が高まりました。

海外投資家の参入

海外投資家による日本の不動産購入の活発化も、マンション価格高騰の要因です。近年の円安により、海外の投資家から見ると日本の不動産の割安感が増しました。

日本の不動産は資産としての安全性が高いと評価されており、投資対象として人気を集めています。そのため都心のタワーマンションは、居住目的だけでなく、国内外の富裕層による投資目的の購入が増えています。

居住目的以外の購入が、特に都心部の高額物件の需要を押し上げて、価格の上昇につながっています。

マンション価格の高騰はいつまで続く?

マンション価格の高騰はいつまで続くか、4つのポイントを解説します
マンション価格の高騰はいつまで続くか、4つのポイントを解説します

ここからは、今後のマンション価格を占う上で重要な4つのポイントを紹介します。

今後の金利政策

マンション価格は、金利政策によって左右されています。日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除しているため、今後も段階的に金利を引き上げる可能性があるでしょう。

住宅ローン金利が上昇すれば、購入者の返済額が増え、購買意欲が減ります。そうなれば、マンション需要が落ち着き、価格が下がる要因となります。

為替相場

為替相場の動向は、マンション価格に影響を与えます。海外の投資家にとって日本の不動産を割安にしているのが、近年の円安トレンドです。円安が加速したことで、都心部の高額物件を中心に、海外から投資マネーが流入しました。

また、輸入される建築資材の価格は、円安により上昇するため、建築コストが高騰しています。もし今後、円高に転換すれば、海外投資家の購入が減少し、資材価格も落ち着くことで、マンション価格の上昇に歯止めがかかる可能性があるでしょう。

経済状況

マンション価格を見る際は、国内の経済状況にも注目しましょう。特に、賃金の上昇が物価高に追いつくかがポイントです。

近年、マンション価格だけでなく、食料品やガソリン、光熱費など、さまざまなものが値上がりしています。物価高のトレンドを上回るペースで賃金が上昇すれば、家計に余裕が生まれ、マンション購入の意欲も維持されます。

しかし、物価高に対し賃金が伸び悩めば、マンションのような高額な買い物は控えられ、需要が下がるでしょう。景気の先行きや個人の所得がどう変化していくかが、今後のマンション市場を左右します。

地政学リスク

地政学リスクにも目を向けなければなりません。万が一のことが発生した場合には、市場を大きく変動させる要因となります。地政学リスクとは、戦争や紛争、大規模な自然災害など、特定の地域で起こる出来事が世界経済に与える影響を指します。

例えば、海外での紛争が激化すれば、資材の調達や製造の流れが混乱し、建築資材の価格が高騰する恐れがあります。また、過去のリーマンショックのような金融危機が起これば、不動産市場が急落することも考えられるでしょう。

2026年はマンション買い時?価格・金利・市場動向を分析

2026年はマンションを購入するのによい時期になる可能性があります
2026年はマンションを購入するのによい時期になる可能性があります

2026年はマンション購入すべきでしょうか?結論からいうと、2026年はマンションを購入するのによい時期になる可能性があります。価格は高止まりが予想されるものの、さらに急騰することは考えにくく、金利も本格的に上昇しない可能性が高いためです。

建築費や人件費は依然として高く、価格が大きく下がる要因は見当たりません。つまり、価格が高騰して「新築マンションは手が届かない」と感じていた層にとって、価格上昇が緩やかになる2026年は、じっくり物件を吟味できるチャンスです。

金利も日本銀行は利上げに慎重な姿勢を見せているため、2026年に住宅ローン金利が急激に跳ね上がる可能性は低いと見られています。低金利の恩恵を受けられるうちに購入を決断することも検討してみてください。

大切なのは、タイミング以上に「どの物件を選ぶか」です。マンションが高騰している今、将来にわたって資産価値が落ちにくい立地や管理状態のよい物件を冷静に見極める必要があります。

条件のよい物件に出合えたのであれば、金利が本格的に上昇する前に購入を前向きに検討する価値は十分にあるでしょう。

マンション価格の高騰時は購入を見送るべき?

マンションの購入は、自分のライフプランに合う物件との出合いが重要です
マンションの購入は、自分のライフプランに合う物件との出合いが重要です

マンション価格が高騰しているからといって、必ずしも購入を見送る必要はありません。価格が下がるのを待つ間にも、住宅ローンの金利が上昇したり、年齢が上がってローンを組める期間が短くなったりするリスクがあるためです。

現在のマンション価格が、すぐに暴落する可能性は低いでしょう。もし物件価格が多少下がっても、金利が上がれば総支払額が逆に増えることもあります。

マンションの購入は、自分のライフプランに合う物件との出合いが何よりも重要です。価格の動向だけにとらわれず、金利や資金計画を総合的に判断して、納得のいく物件が見つかった時こそが、最適な購入タイミングです。

マンションを購入する際に検討したいポイント

マンション購入で後悔しないためのポイントを解説します
マンション購入で後悔しないためのポイントを解説します

価格が高騰している今だからこそ、マンション購入で後悔しないためのポイントを押さえる必要があります。ここでは、特に重要な3つの視点を紹介します。

資産価値の上昇が見込める立地・物件を選ぶ

将来の安心のために、マンションは資産価値の上昇が見込める立地を選びましょう。価格が高騰している時期に購入する場合、将来の住み替えや賃貸に出す可能性も視野に入れておく必要があります。

その点、資産価値が落ちにくい物件であれば、万が一の時も安心です。具体的には、「駅からの距離が近い」「複数の路線が利用できる」「周辺に商業施設や学校が充実している」などのエリアがおすすめです。

また、管理状態が良好なマンションも価値が維持されやすい傾向にあります。目先の価格だけでなく、長期的な視点で物件を見極めることで、マンションを有効活用できるでしょう。

補助金や減税制度を利用する

マンションを購入する際は、経済的な負担を軽減するためにも、補助金や減税制度を積極的に利用しましょう。マンション購入には、国や自治体がさまざまな支援制度を用意しており、これらを活用すれば、数十万から百万円以上のメリットを得られる可能性があります。

代表的な制度が住宅ローン減税です。住宅ローン減税を活用すれば、年末のローン残高に応じて所得税などが控除されます。その他にも、省エネ性能に応じた補助が受けられる子育てグリーン住宅支援事業や、給湯省エネ2025事業があります。

ただし、なかには申請期間や予算の上限が定められている制度もあるため、利用を検討する際は、インターネットで最新情報をチェックしましょう。

中古マンションをリフォーム・リノベーションする

新築だけでなく、中古マンションをリフォーム・リノベーションする方法もおすすめです。新築に比べて物件価格を抑えつつ、自分好みの間取りや設備を導入できます。

同じ予算でも、新築より広い間取りやよい立地の中古物件を選べる可能性があり、内装を自分のライフスタイルに合わせて自由に変更できます。リフォーム費用を含めても、結果的に新築より総額を抑えられるケースもあります。

新築だけにこだわらず、「中古マンションをリフォーム・リノベーションする」視点を持つことで、物件探しの選択肢が大きく広がるでしょう。

まとめ

最後に、マンション価格高騰を解説した記事の内容を振り返ってみましょう。

マンション価格が高騰している理由は?

マンション価格が高騰している理由は、建築コストの上昇や長期的な低金利、国内外の投資需要の増加などの要因が考えられます。他にも、地価の上昇や住み替え需要の増加も理由として挙げられます。

マンション価格の高騰はいつまで続くのか?

価格高騰がいつまで続くかは、今後の金利政策や為替相場、経済状況などの不確定な要素に左右されるため、明確な時期は断言できません。価格が急落する可能性は低いと見られていますが、購入のタイミングを逃さないためにも、情勢を常にチェックする必要があります。

マンションを購入する際に検討したいポイントは?

価格が高騰する今、マンション購入で後悔しないためには、将来的な資産価値が見込める立地・物件を選びましょう。さらに、住宅ローン減税などの補助金や減税制度を最大限活用したり、新築だけでなく中古マンションのリフォーム・リノベーションも視野に入れたりすることも、押さえておくべきポイントです。

現在のマンション価格は、建築コストの上昇や低金利を背景に高騰が続いています。このような状況だからこそ、価格の動向だけに一喜一憂せず、資産価値が期待できる物件を冷静に見極めることが重要です。

また、補助金や減税制度、中古マンションのリノベーションなど、賢く購入するためのポイントを押さえて、マンション購入を検討してみてください。

杉山 明熙

執筆者

杉山 明熙

不動産特化ライター

元不動産営業のWebライター。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士。12年間の不動産営業を経験後、不動産特化ライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

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