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平屋間取りの成功例を紹介!坪数別での間取りアイデアやおしゃれに見せるコツを解説

近年人気を集める平屋住宅
「平屋」というと、サザエさんの家やおじいちゃん・おばあちゃんの住んでいる田舎の家など、昭和レトロな住宅をイメージする方も少なくないと思います。しかし最近では、「平屋」が若い世代を中心にじわじわと人気を集めているといいます。長引くコロナ禍でのリモートワーク等で家にいる時間が長くなった結果、あえて都心のマンションに住まずに、郊外でゆったりと生活したいという方が増えてきているようです。そこで今回は、平屋が選ばれる理由や、おしゃれな平屋を造るポイントを実例とともにご紹介します。

記事の目次

平屋ってどんな家?

そもそも「平家」とは、一階建ての家のことを指し「1階建て(いっかいだて)」とも呼ばれています。庭付きの物件も多く、超高層マンションとは対極にある住まいのカタチといえるでしょう。

平屋の建築数が10年で1.8倍に!

10年の間に建てられた平屋の数(出典:国土交通省「建築着工統計調査」)

国土交通省の「建築着工統計調査」によると、2021年に建てられた平屋の建設数は55,828件でした。2012年の30,604件に比べて、1.8倍も増えたことがわかります。2012年から緩やかに上昇していますが、2020年と2021年を比べてみると120%も急増していることから、近年の新型コロナウイルス感染症の影響によって人々のライフスタイルが変化したことも要因のひとつだということが伺えます。

平屋間取りの成功例!坪数別で紹介

最近人気の平屋は、どのくらいの広さ(坪数)でどのような間取りが選ばれているのでしょうか? 実例でご紹介します。

家事を効率的にこなせる2LDKの平屋の間取り

31坪(105.58平米)2LDKの間取り
31坪(105.58平米)2LDKの間取り

赤いガルバリウムの大波板と、レッドシダーを張り分けた外壁が特徴的な平屋。九十九里浜の近く、海辺の街にあった古民家をセンスよくリノベーションしています。サーフボードやウェットスーツ、海風で錆びやすい自転車まで収納できる、広い玄関土間を増築。天井板を外して梁を現わして天井を高く、キッチンカウンターは家中が見渡せて、来客もすぐに見える向きに設置されています。居心地のよさが人を呼ぶ快適な家になっています。

リビングの横にあるモルタルの土間。友人たちを招きお酒を飲んだり、煮炊きなどをして盛り上がっているそうです
リビングの横にあるモルタルの土間。友人たちを招きお酒を飲んだり、煮炊きなどをして盛り上がっているそうです

玄関からLDKを通って子ども部屋へつながる1LDKの間取り

73.63平米(22.3坪)の1LDKの間取り
73.63平米(22.3坪)の1LDKの間取り

ご夫婦とお子さん1人の3人家族。こちらのお宅は築60年の3LDKの古民家を2LDKにリノベーション。玄関入ってすぐにリビングと繋がり、その奥には子ども部屋を配置。玄関から入ってリビングを通らないと子ども部屋には行けない間取りは、親の目が届きやすくなるうえ、親子のコミュニケーションも取りやすくなります。リビングと子ども部屋の仕切りはドアを設置せずにあえてゆるく設けている理由は、いつか子どもが自立した時のことを考えて、夫婦2人の生活を軸に考えたからだそう。ライフプランの変化をしっかり考えて作られた間取りですね。

天井板を外した開放的なリビング。吐き出し窓からはたくさんの光が注ぎます
天井板を外した開放的なリビング。吐き出し窓からはたくさんの光が注ぎます

猫2匹と共存するワンルームの平屋

75.65平米(22.8坪)ワンルームの間取り
75.65平米(22.8坪)ワンルームの間取り
平屋リノベーション事例「筋かいや梁を猫の遊び場に活用。開放的な平屋で大らかに住まう」
平屋リノベーション事例「筋かいや梁を猫の遊び場に活用。開放的な平屋で大らかに住まう

「人も猫も自然体でいられる家」をテーマにLDKから寝室まで仕切りのないワンルームの間取りは、開放感を出すため、天井は取り払って吹き抜けに。梁まで上れるステップを備えて、キャットウォークにすることで猫が自由に歩き回れるようにしています。また、LDK以外のスペースは猫NGゾーンにして、猫の脱走を防いでいます。猫と快適に過ごせるために作られた贅沢な間取りです。

高さ3mの吹き抜けの梁で猫もリラックスして過ごしています
高さ3mの吹き抜けの梁で猫もリラックスして過ごしています

離れまでウッドテラスで繋がった3LDKの間取り

母屋 68.84平米(20.2坪)、離れ 17.08平米(5.16坪)の3LDKの間取り
母屋 68.84平米(20.2坪)、離れ 17.08平米(5.16坪)の3LDKの間取り
平屋リノベーション事例「文化の香るレトロな街でアートの映える簡素な家を持つ」
平屋リノベーション事例「文化の香るレトロな街でアートの映える簡素な家を持つ

ご夫婦とお子さん2人の4人家族。ダイニングからはリビングと子ども部屋のようすがうかがえるので、家事をしながら家族にむけた声が届きやすい空間になっています。また、子ども部屋には床を掘り込んで、上部にロフトを新設。縦にスペースを広げ、壁一面に収納を設けるなどの工夫を凝らし6畳でも2人で使うのに十分なスペースを確保しています。

右がリビング、左が子ども部屋。食事の用意の声がけもすぐに届きます
右がリビング、左が子ども部屋。食事の用意の声がけもすぐに届きます

平屋のメリット

それでは、なぜ一戸建て住宅のなかでも、あえて平屋を選ぶ方が増えているのでしょうか?平屋にはどのようなメリットがあるのか具体的に見ていきましょう。

ワンフロアで子どもやシニアにも安心

平屋が選ばれるもっとも大きな理由は、家のなかに階段がないことです。家全体に目が届きやすいため、小さなお子さんがいる家庭でも安心です。また、子育てが終わったミドル世代の方たちも、老後の生活を考え、住み替えや減築リフォームをおこなっているようです。

生活動線・家事動線がシンプル

2階建てや3階建ての場合、食事やお風呂などの日常生活はもちろん、掃除機の持ち運びや洗濯物を干すなど家事をおこなう際にも階段の昇り降りはやや面倒に感じることも。平屋はフラットなので、生活動線や家事動線がシンプルになるのもポイントです!

家族のコミュニケーションが取りやすい

平屋はフラットな空間に家族全員が過ごすため、コミュニケーションが取りやすいのも魅力です。どの部屋にいても家族の声が聞こえやすいことから有事の際にも安心です。少子化や核家族化が進んだ現代では、マンションのようなコンパクトな間取りの庭付きの平屋で、シンプルな暮らしを選ぶファミリーも増えています。

地震や強風に強い

地震が起きた際、建物の高さが高いほど揺れは大きく、揺れている時間も長くなります。平屋は建物の高さが低い分、マンションなどに比べて揺れにくいと考えられるでしょう。さらに、消防署などの防災拠点の基準となる「耐震等級3」の家を設計する際に、2階建てでは壁が厚くなり、はめ込み式など小さな窓しかつけられない場合があります。しかし、1階建であれば「耐震等級3」でも大きな窓をつけることが可能です。また、平屋は強風に強い家の造りといわれているので、台風の多い地域などにも向いています。万が一、地震などにより火災が発生した際にも、上下移動がないため避難もスムーズです。

屋根の形状が選べる

平屋には上階がない分、屋根の高さや傾斜などのデザインを選びやすくなります。屋根の種類には以下のようなものがあります。

切妻(きりづま)屋根

三角形のシンプルな屋根。建設費およびメンテナンス費も抑えることができます
三角形のシンプルな屋根。建設費およびメンテナンス費も抑えることができます

一般的に見られる三角形の屋根です。一枚の紙を山折りにした形を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。壁面より屋根を外に出して軒下を作り、雨風や直射日光から壁を守ります。

寄棟(よせむね)屋根

切妻屋根にやや似ていますが、傾斜面が切妻屋根よりも短いのが特徴です
切妻屋根にやや似ていますが、傾斜面が切妻屋根よりも短いのが特徴です

最上部の棟から4つの屋根面が勾配します。4方向すべての外壁を保護することが可能で、三角形と台形の屋根面で構成されます。建設費は切妻屋根よりもやや高い傾向にあります。

方形(ほうぎょう)屋根

ピラミッドを低くしたような形が特徴で、神社や寺院などにも使われています
ピラミッドを低くしたような形が特徴で、神社や寺院などにも使われています

方形屋根は寄棟屋根の一種で、三角の屋根面が1つの点で集まっている屋根です。上から見ると正方形の形になる、特別な屋根の形状です。

片流れ(かたながれ)屋根

雪や雨による漏水や落雪のリスクを抑えることができます。太陽光発電パネルを設置しやすいのもポイントです
雪や雨による漏水や落雪のリスクを抑えることができます。太陽光発電パネルを設置しやすいのもポイントです

一枚の屋根面で構成された、シンプルな屋根です。大きな屋根面が美しいと人気が高まっている屋根の形状です。おしゃれに見せられるうえ、建設費およびメンテナンス費も抑えることが可能です。

陸(ろく)屋根

屋根裏のスペースが必要ないため、部屋の天井も三角屋根に比べて高く感じられます
屋根裏のスペースが必要ないため、部屋の天井も三角屋根に比べて高く感じられます

角度のない、フラットな屋根を陸屋根といいます。屋根を屋上として利用できるのが、陸屋根タイプです。屋根部分を屋上バルコニーなどに活用できる点も魅力です。

メンテナンス費用が抑えられる

平屋のメンテナンス費用が抑えられる理由のひとつは、屋根が低いため、不具合があった場合に早期の発見がしやすいことです。早めに発見できれば、修理費用も抑えられることが多いでしょう。また、屋根や壁などのメンテナンスで補修費以外にかかる費用として、高所で作業をするための足場代があります。平屋の場合は足場を組まずに作業できることも多いため、この点でもメンテナンス費用が抑えられます。

デッドスペースができにくい

2階建ての場合、階段下などに利用したくても利用できないデッドスペースが生まれてしまいます。しかし、平屋ならフラットな設計となっているため、デッドスペースができにくいとされています。

平屋のデメリット

では、逆に平屋にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

広い敷地が必要

平屋の場合、「建築面積=延床面積」になります。建築面積とは建物が建っている部分の面積のことで、「坪数」などといわれるものです。延床面積は、建物各階の床面積の合計です。階数があるほどたくさんの部屋を作れることになるため平屋で2階建てと同じ延べ床面積を造るとなると、単純に2倍の面積が必要になってきます。

土地や建設費用が高くなりやすい

さきほどもお伝えしたようにある程度の部屋数を確保するとなると、広い敷地が必要になるため土地の購入費用がかかります。また、基礎工事や屋根の面積が増える分だけ建築費用も高くなりがちに。しかし、先ほどお伝えしたようにメンテナンス費用が抑えられるため、長く住み続けるようであればむしろ平屋のほうがお得かもしれません。

周辺環境によって日当たりが悪い

隣家や周辺の建物の高さによっては日陰になり、日当たりが悪くなる場合があります。内見をする際には、近隣環境もしっかり見ておきましょう。今後高い建物が建ちそうな空き地などはないかあわせてチェックしておくことが重要です!

冷暖房がききにくい

平屋の場合は天井の上が屋根なので、熱がダイレクトに伝わりやすくなります。そのため、夏は暑く、冬は寒い傾向にあるでしょう。ただし、温度が一番漏れやすい場所は窓なので、断熱タイプの窓を選べば、そこまで冷暖房の効きが悪いと感じることはないはずです。

水害に遭うリスクがある

平屋は、集中豪雨等による水害が発生したとき、床下・床上浸水の被害が起こりやすいといえます。平屋を建てる場合は国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を確認して、水害に遭いにくい場所を選びましょう。

空き巣に狙われやすくなる

一戸建て住宅の空き巣被害の侵入口は、窓からが圧倒的に多くなっています。平屋は、在宅か不在かもわかりやすいうえ、足場がなくても窓から入れるため空き巣が入りやすい傾向にあります。対策として、人感センサーをつけたり、ホームセキュリティに加入したりするなど予防しておくと安心です。

平屋をおしゃれにするコツは?

若い世代にも人気が集まっている平屋。機能的かつおしゃれにするには、どういうデザインを選べばよいのでしょうか?

色使いをシンプルにする

平屋は年をとってからも住みやすい、特徴のある住まいです。そのため、長期に渡って住むことを考えて、飽きがこず愛着を持って過ごせる家にしたいものです。とくに外観は、リノベーションするのに費用が嵩みます。シンプルな色使いで、年齢を重ねても落ち着いて暮らせるものにするとよいでしょう。

屋根の形にこだわる

先ほど「平屋のメリット」でご紹介したとおり、縦の空間を自由に使える平屋ですから、屋根の形にこだわるのもひとつのポイントです。ただし、屋根の形にはそれぞれ機能面での役割がありますので、住む地域の気候にあったものを選びましょう。

窓やドアのデザイン性を高くする

窓やドアなどのパーツは、こだわりを出しやすいポイントです。デザイン性に優れたものを選ぶのもよいですし、断熱効果に優れたものを選んで「冬に寒くなる」平屋のデメリットをカバーするとよいでしょう。

テラスやウッドデッキを設ける

平屋の魅力の一つは、大地との繋がり。最近では、敷地面積いっぱいに建物を建てるよりも、建物をコンパクトにして庭の空間を活かした建築設計が人気です。テラスやウッドデッキを設ければ、庭との繋がりをより感じることができます。

天井高にする

上階がない分、天井高の家を建てることができます。天井が高いと解放感が生まれますし、照明などの選択肢が増えて、おしゃれな空間を演出することが可能です。

ロフトを設ける

天井高を利用して、吹き抜けやロフトを設けるのもおしゃれ。ロフトをどのように使うかによって、生活もグレードアップしそうです。また、天気の悪い日など子どもの遊び場にも適しています。

平屋で失敗しやすいポイントは?

住んでみてから、「こうすればよかった……」「失敗だった……」と後悔はしたくないですよね。平屋でありがちな失敗点を学んで、家づくりに役立てましょう。

プライベート空間が配慮されてない

平屋の魅力であるフラットでシンプルな生活動線。そして、家族のコミュニケーションが取りやすい点ですが、逆に考えるとプライベート空間が少ないことに繋がります。なるべくLDKと寝室を離したり、L字に部屋を設けるなど、自分たちのライフスタイルに合わせた間取りを選びましょう。住みながらライフスタイルの変化に対応できるよう事前に設計しておくのもひとつの方法です。

生活動線・家事動線が悪い

フラットな空間で、生活動線や家事動線がシンプルなことを先ほどメリットにあげました。しかし、建築面積の広すぎる家の場合、部屋の端から端までの移動距離が長くなるかもしれません。例えば、玄関とキッチンが離れていたら、重いお米や荷物などを運ぶのが大変です。生活導線や家事動線のよい間取りにするようにしましょう。

収納が足りない

平屋に開放感ばかりを求めると、家族や趣味が増えて収納が足りなくなることも考えられます。ある程度、余裕をもって収納スペースを確保しておくほうがいいですよ。キッチンまわりにパントリーを設けるなどの工夫も必要です。

日当たりや風通しが悪い

隣の家や周辺環境によっては、日当たりや風通しが悪くなる場合があります。周りに高い建物が多くて昼間でも日陰になる土地や、隣との距離が近くて風の通りが悪い土地は湿気もたまりやすいので、平屋向きではないかもしれません。

食べ物のにおいが家じゅうに広がる

2階建てに比べて、食べ物のにおいが家中に広がるという声もあります。キッチンの換気扇や窓の位置を考慮するほか、風通しのよい間取りにするなどの工夫も必要です。

外から丸見え

道路に面している土地では、通行人からの視線を感じやすいかもしれません。玄関を少し奥まった場所にしたり、樹木を植えて目隠しをつくるとよいでしょう。

生活パターンが把握されやすい

平屋は、窓やドアがすべて1階部分にあります。そのため、在宅中か留守なのか、起きているのか就寝中なのかが把握されやすいといわれます。外からの視線が気になる方は、外に光が漏れないような雨戸やカーテンを設置するのも一つの方法です。

まとめ

近年、日本人の昔ながらの住まいであった平屋が見直されています。昔とは違い、「建坪はコンパクトなミニマムは平屋」に人気が集まっており、都心のマンションから離れ自分たちのライフスタイルに合わせた暮らしがしたいと考えている方が増えているようです。
不動産情報サイト アットホームでは、住みたいエリアはもちろん間取りや広さ・設備にこだわって平屋を探すことも可能です。また、土地を購入してゼロから平屋を建てたい方にも「坪数」や、「予算」に合った土地を探すこともできるので、ぜひ利用してみてください。

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執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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