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住宅ローン返済中にリフォームする場合の選択肢は?借り換えの利点や注意点を徹底解説

住宅ローンの返済中にリフォームする場合のリフォームローンや借り換えの概要を解説します
住宅を購入すると、長期間にわたってローンを返済しますが、返済期間中に自宅のリフォームが必要になる可能性があります。築30年近く経てば、キッチンや浴室などの水回り、外壁、屋根の修繕が必要になるケースは少なくありません。さらに、自身のライフスタイルや加齢にともない、バリアフリー化や間取りの変更を検討するケースもあるでしょう。

しかし、住宅ローンを返済中の場合、リフォーム費用をどう確保するのかは大きな課題です。「ローンの上乗せは可能?」「リフォームローンを別で組むべき?」「住宅ローンの借り換えとセットにできる?」などの疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、住宅ローンの返済中にリフォームする際の資金調達の方法を解説します。リフォーム資金の調達にはいくつかの選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。どの方法が自分に最適かを判断するためのポイントも紹介するため、リフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。適切な資金計画を立てて、住宅ローンの返済とリフォームの両方を無理なく進めましょう。

記事の目次

住宅ローン返済中にリフォームする場合の資金調達の選択肢

住宅ローン返済中にリフォームする資金調達の方法にはどのような選択肢があるのでしょうか
住宅ローン返済中にリフォームする資金調達の方法にはどのような選択肢があるのでしょうか

住宅ローンを返済中の場合、リフォーム費用をどう確保すればよいのかと思われる方もいるでしょう。資金調達の方法には、主に2つの選択肢があります。

  • 住宅ローンにリフォーム資金を上乗せして借りる方法
  • 住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える方法

それぞれ詳しく解説します。

住宅ローンにリフォーム資金を上乗せして借りる方法(リフォームローン併用)

リフォームローンは、リフォーム資金を借りるための専用のローンのこと。住宅ローンとは異なり、リフォーム専用の資金調達として利用できます。リフォームローンの用途は、住宅の改修や修繕、設備の入れ替えなどです。特徴は、10万円程度と少額から融資を受けられる点。そのため、少額のリフォームや、設備の入れ替えだけで済む場合には、このローンが役に立つでしょう。また借り入れの目的がリフォームに特化しているため、比較的かんたんに借りられる点も有用です。

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える方法(借り換え)

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える方法とは、現在の住宅ローンを完済し、新たにリフォーム資金を上乗せしたローンを組む方法です。住宅ローンとして借り換えるため、住宅ローンに適用される金利水準となり、リフォームローン併用よりも低金利で資金調達できる可能性があります。ただし、借り換えには金融機関の審査が必要となり、手数料や諸費用がかかる点に注意しましょう。

住宅ローンを返済しながらリフォームローンを併用する場合のメリット・デメリット

住宅ローンを返済しながらリフォームローンを併用する場合のメリットとデメリットは何でしょうか
住宅ローンを返済しながらリフォームローンを併用する場合のメリットとデメリットは何でしょうか

住宅ローンを返済しながら、リフォームローンを併用する場合のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・比較的審査に通過しやすい
・抵当権の設定が不要
・金利が高い
・借入金額の上限が住宅ローンより低い
・返済期間が短い
・団体信用生命保険が付かない場合がある
・住宅ローンと二重に返済する期間が発生する

それぞれ解説します。

メリット1:比較的審査に通過しやすい

住宅ローンは借入金額が高額になるため、収入や信用情報の厳格な審査がおこなわれます。一方、リフォームローンは借入金額が少額になる場合が多く、金融機関側のリスクも低いため、審査のハードルが下がります。

特に無担保型のリフォームローンは、不動産の担保評価が不要なため、住宅ローンほどの厳しい審査はおこなわれません。そのため、すでに住宅ローンを組んでいる方や、個人事業主、契約社員の方でも比較的申し込みやすいというメリットがあります。ただし、借入金額が高額になると審査基準が厳しくなる傾向があるため、事前の確認が重要です。

メリット2:抵当権の設定が不要

住宅ローンの場合、不動産を担保にするために抵当権を設定する必要があり、その際に登記費用や司法書士報酬などの諸費用が発生します。しかし、無担保型のリフォームローンであれば、不動産を担保にする必要がないため、抵当権設定の手続きや費用が不要です。結果、初期費用を抑えつつリフォーム資金を調達できるでしょう。

また、担保を設定しないため、住宅ローンの借り換えより手間が省け、融資実行までのスピードも早くなります。ただし、有担保型のリフォームローンを利用する場合は、住宅ローンと同様に抵当権設定が必要になるため注意が必要です。

デメリット1:住宅ローンに比べて金利が高い

リフォームローンは、住宅ローンよりも金利が高く設定されています。住宅ローンの金利が1%台であるのに対して、リフォームローンの金利は、2%~7%程度に設定されることが一般的と考えましょう。これは無担保型のリフォームローンは抵当権を設定しないため、金融機関が資金回収できなくなるリスクを考慮して金利を上げるためです。金利の違いは、長期的に見れば返済額に大きな影響を及ぼすため、慎重に選ばなければなりません。

デメリット2:借入金額の上限が住宅ローンより低い

リフォームローンは、住宅ローンよりも借入金額の上限が低くなっています。通常、リフォームローンは高くても数百万円程度が上限となっていて、住宅ローンのような高額の融資は受けにくくなっています。そのため、大規模なリフォームをおこなう場合には、他の融資方法と組み合わせる必要があるかもしれません。

デメリット3:返済期間が住宅ローンに比べて短い

リフォームローンの返済期間は、住宅ローンよりも短期間のものが一般的です。最短で6カ月から、最長でも15年程度の期間で返済が求められます。住宅ローンの返済期間が30年近くに設定されることを考えると、リフォームローンはかなり短期間で返済を終えなければならない点に注意しなければなりません。

デメリット4:団体信用生命保険が付かない場合がある

住宅ローンには団体信用生命保険(以降、団信)が付いており、契約者が死亡した場合にローンが完済されますが、リフォームローンには団信が付帯していない場合があります。これはリフォームローンが住宅ローンとは異なり、住宅そのものを担保にしていない場合が多いためです。そのため、万が一の事態に備えた保険の加入を考慮する必要があるでしょう。

デメリット5:住宅ローンと二重に返済する期間が発生する

リフォームローンを利用すると、現在の住宅ローンに加えて新たな返済が発生し、一定期間は二重のローンを支払わなければなりません。そのため、毎月の返済負担が増え、家計を圧迫するリスクが高まります。特に、リフォームローンは住宅ローンより金利が高く、返済期間も短いため、月々の返済額が大きくなるでしょう。

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換えるメリット・デメリット

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えするメリットとデメリットは何でしょうか
住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えするメリットとデメリットは何でしょうか

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換える場合のメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
・リフォーム資金が比較的低金利で借りられる
・リフォーム資金にも団体信用生命保険が付く
・リフォーム資金を長い返済期間で借りられる
・ローンの一本化で家計管理がしやすくなる
・通常の住宅ローンより審査が厳しくなる
・金利が低くなるとは限らない

それぞれ解説します。

メリット1:リフォーム資金が比較的低金利で借りられる

先述したように、リフォームローンの金利は2~7%程度なのに対し、住宅ローンは1%台と低く抑えられることが多いです。リフォーム費用を住宅ローンに組み込んで借り換えれば、低金利の住宅ローンの条件でリフォーム資金を調達でき、総返済額を大きく抑えられるでしょう。

例えば、リフォーム費用500万円を年利4%で借りた場合と、住宅ローンの一部として年利1%で借りた場合では、10年間の利息負担が数十万円単位で変わります。低金利で借りられると、家計の負担をより軽減しながら、理想の住まいへのリフォームが可能です。

メリット2:リフォーム資金にも団体信用生命保険が付く

リフォームローン単体では、団信が適用されない場合が多く、万が一の際には、家族が返済を引き継がなければならないことも。しかし、住宅ローンにリフォーム費用を組み込めば、住宅ローンの団信が適用され、契約者に万が一のことがあっても、保険で残債がカバーされます。

例えば、家の維持やリフォームを目的にローンを組んでいても、もし契約者が亡くなったり高度障害になった場合、リフォームローンだけが残ってしまうでしょう。団信が適用されれば、遺族に負担をかけるリスクを回避でき、より安心してリフォーム計画を進められます。

メリット3:リフォーム資金を長い返済期間で借りられる

繰り返しになりますが、リフォームローンの返済期間は一般的に6カ月~15年程度と短いため、月々の返済額が多くなる傾向にあります。一方、住宅ローンにリフォーム費用を組み込むと、最長35年の返済期間が適用されるため、毎月の返済額を抑えられます。

例えば、500万円のリフォーム費用を返済期間10年、金利4%で借りると、月々の返済額が5万円以上になるでしょう。しかし、住宅ローンと統合して35年返済にすれば、リフォームに対する返済額を月々1万円台にまで抑えられます。返済期間を長くすると、毎月の家計管理がしやすくなり、無理のない資金計画になるでしょう。

メリット4:ローンの一本化で家計管理がしやすくなる

住宅ローンとリフォームローンを別々に組むと、それぞれ異なる返済日や金利条件が適用されるため、管理が煩雑になります。しかし、住宅ローンにリフォーム費用を含めて一本化すれば、毎月の返済が一本化され、家計管理が格段に楽になるでしょう。

例えば、住宅ローンとリフォームローンの引き落とし口座が異なる場合、それぞれの残高管理が必要になりますが、一本化すればその手間がなくなります。さらに、リフォームローンの金利変動リスクもなくなり、将来の返済計画が立てやすくなる点もメリットです。一本化すると、無駄な手数料や管理コストを削減し、家計の見通しを明確にできるでしょう。

デメリット1:通常の住宅ローンより審査が厳しくなる

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換える場合、通常の住宅ローンよりも審査が厳しくなるかもしれません。これは、借り換えで借入金額が増加し、金融機関が返済能力を慎重に判断する必要があるためです。特に、リフォーム費用を加えローンの借入総額が高額になると、借入希望者の年収や信用情報、他の債務状況などがより厳しくチェックされます。

また、リフォームの内容や工事の必要性も審査の対象になる場合があり、金融機関によってリフォームの詳細な計画書や見積書の提出を求められるかもしれません。さらに、すでに住宅ローンを抱えている場合、延滞履歴があると、審査に通らない可能性もあります。そのため、借り換えを検討する際には、事前に自身の信用状況を確認し、計画的に進めましょう。

デメリット2:金利が低くなるとは限らない

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えると、金利が低くなると期待するかもしれませんが、実際には必ずしもそうなるとは限りません。なぜなら、借り換え時の金利は、市場の金利動向や借入者の信用力、金融機関の審査基準によって決まるためです。もし、以前の住宅ローンの契約時より金利が上昇している場合、新しいローンの金利がかえって高くなる可能性があります。

また、借り換えにともない諸費用(事務手数料、保証料、登記費用など)が発生するため、それらを考慮すると総支払額が増えてしまう可能性があります。特に、変動金利から固定金利へ変更する場合は、金利が高く設定されるかもしれません。したがって、単純に借り換えが得になるとは限らないため、現在の住宅ローンの金利や諸費用を総合的に比較し、慎重に判断しましょう。

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換えた場合に住宅ローン控除は使える?

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えた時に住宅ローン控除は使えるのでしょうか
住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えた時に住宅ローン控除は使えるのでしょうか

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えた場合、住宅ローン控除は使えるのか疑問に思われる方もいるでしょう。本章では、住宅ローン控除の適用を受ける条件と具体例を見ていきます。

借り換え後に住宅ローン控除を受ける要件

住宅ローン控除は、一定の要件を満たす住宅ローンの年末残高に控除率を適用し、その金額を所得税や住民税から差し引く制度です。借り換えをおこなった場合でも、条件を満たせば引き続き適用できます。ただし、借り換えても控除期間が延長されるわけではなく、もともと住宅購入時に設定された期間内での適用になる点に注意しましょう。

なお、借り換え後も住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 新たに組むローンが、以前の住宅ローンの返済を目的としている
  • 借り換え後のローンも控除対象となる最低返済期間(10年以上)を満たしている

控除額の上限は、物件の種類や性能によって異なります。借り換えで借入残高が変わった場合は、新たなローンの年末残高をもとに控除額を計算します。そのため、借り換え前よりも借入金額が増えても、控除上限を超えた分は適用されません。

借り換え後の年末残高の計算方法

住宅ローンを借り換える際に、リフォーム資金を含めて借り換えた場合、住宅ローン控除の適用額がどのように決まるのかを理解しておくことが重要です。新しい住宅ローンの年末残高は、そのまま控除対象になるわけではなく、一定の計算式に基づいて算出されます。

具体的な計算例を見てみましょう。

元の住宅ローン残高 :3,000万円
借り換え後の新しい住宅ローン借入金額 :
3,500万円(うち500万円がリフォーム費用)
借り換え後の住宅ローン年末残高 :3,450万円

借り換え後の住宅ローン借入金額が、借り換え前の住宅ローン残高より多い場合、住宅ローン控除対象となる金額は以下の式で求められます。

控除対象額 =
3,450万円 × 3,000万円 ÷ 3,500万円

これを計算すると、以下になります。

控除対象額 = 2,957万円

上記のケースでいうと、借り換えによって増えたリフォーム資金分の500万円が、そのまま控除の対象になるわけではないとわかります。

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える際の注意点

住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える際の注意点は何でしょうか
住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える際の注意点は何でしょうか

借り換えを活用すれば、住宅ローンの低金利を適用できる可能性があり、リフォーム費用を長期間の返済プランに組み込めますが、一方で注意すべき点もあります。本章では、住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換える際の注意点を解説します。

着工済み・完了したリフォームは融資の対象外になる

リフォーム資金を住宅ローンに含める場合、リフォーム工事が開始される前に契約することが条件になります。すでにリフォーム工事が始まっている、または完了している場合、その費用を住宅ローンに組み込めないかもしれません。

これは、金融機関が工事の進捗状況を把握し、適切な融資をおこなうためのルールになっているためです。そのため、リフォーム計画を立てる段階で、住宅ローンとリフォーム資金の一体化を考えている場合は、事前に金融機関に相談し、適用条件を確認しておきましょう。また、リフォーム契約の際に、資金調達のスケジュールを考慮して、契約時期や工事開始日を調整する必要があります。

リフォーム資金と住宅ローンの融資実行日は同日にする

住宅ローンとリフォーム資金をセットで借り換える場合、金融機関の方針により、両方の融資実行日を同日にするよう求められるでしょう。これは、住宅ローンとリフォーム資金が一体のものとして取り扱われるためです。融資実行までのプロセスは複雑で、審査、契約手続き、口座振替設定、契約書類の提出など、複数の工程を経る必要があります。

また、金融機関の混雑状況によっては、融資実行までに通常より時間がかかる可能性があるため、計画的に準備を進めましょう。特に、リフォーム会社との契約時には、資金がいつ手元に入るかを確認し、工事スケジュールとのズレが生じないように調整しておくとスムーズです。余裕を持ったスケジュールを立て、金融機関とのやり取りを早めに進めるようにしましょう。

居住している住宅のみが対象となる場合がある

リフォーム資金を含めた住宅ローンの借り換えは、通常、契約者が現在居住している住宅に対して適用されます。そのため、親の住んでいる家をリフォームしたい場合や、投資用物件のリフォーム資金に利用したい場合は、融資の対象外となるでしょう。

金融機関によっては、親族が居住する住宅に対しても融資を認める場合がありますが、その条件は厳しく、特定の要件を満たさなければなりません。例えば、リフォーム後に契約者がその住宅に居住する意思があるか、親と同居する計画があるかなどが審査のポイントになります。このような制約があるため、住宅ローンにリフォーム資金を組み込む際には、あらかじめ金融機関に確認し、居住要件を満たしているかをチェックしましょう。

他の金融機関でローンを組んでいると利用できない可能性がある

住宅ローンとリフォーム資金を組み合わせる場合、借り換え先の金融機関が現在の住宅ローンを完済する形となるため、借入中の住宅ローンが別の金融機関の場合、借り換えが制限される可能性があります。特に、現在の金融機関が独自の住宅ローンプランを提供している場合、他の金融機関で借り換えができないかもしれません。

また、新たな金融機関での審査に通過できても、既存の金融機関のローン契約で違約金や手数料が発生する可能性があるため、事前に契約内容を確認しておきましょう。まずは現在の住宅ローンを提供している金融機関に相談し、リフォーム資金を組み合わせた借り換えが可能かどうかを確認します。もし同じ金融機関で借り換えが可能であれば、手続きがスムーズに進むだけでなく、金利や諸費用の面でも有利になる可能性が高いため、慎重に比較・検討しましょう。

リフォームで住宅ローンの借り換え利用に関するよくある質問

リフォームで住宅ローンの借り換え利用に関するよくある質問をまとめました。

住宅ローン返済中にリフォームする場合の融資にはどのような選択肢がある?

住宅ローンの返済中にリフォームをおこなう際の資金調達方法には、住宅ローンにリフォームローンを併用する方法と、リフォーム資金を住宅ローンに一体化して借り換える2つの選択肢があります。

リフォームローンを併用する方法とは、リフォーム専用のローンを使って、少額のリフォームや設備入れ替えをおこなう方法です。少額で簡単に借りられますが、金利が住宅ローンより高いでしょう。

住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンを完済し、新たにリフォーム資金を加えたローンを組みなおす方法です。住宅ローンと同じ低金利で資金調達できますが、審査や手数料がかかります。

リフォームローン併用のメリットとデメリットは?

メリットには、借入金額が少額なため審査に通りやすく、住宅ローンほど審査が厳しくない点が挙げられます。また、無担保型のリフォームローンを利用すれば、抵当権の設定が不要で、登記費用や手続きの手間も省けるため、初期費用を抑えられるでしょう。

一方、デメリットは金利が高く、総返済額が増える可能性があります。さらに、リフォームローンの借入上限は数百万円程度のため、大規模なリフォームには適していません。

また、返済期間が6カ月から15年と住宅ローンよりも短く、毎月の返済額が高くなるでしょう。団体信用生命保険が付帯していない場合もあり、万が一の際にローンが残るリスクがあります。さらに、住宅ローンと並行して返済するため、二重返済の負担が家計を圧迫しやすくなる点にも注意が必要です。

リフォームローンを一体化して借り換えるメリットとデメリットは?

メリットは、リフォームローンに比べて住宅ローンの金利が低いため、低金利で借りられ、総返済額を抑えられる点です。さらに、住宅ローンにリフォーム資金を組み込むと団体信用生命保険が適用され、万が一の際に残債が保険でカバーされるため、家族に負担をかけるリスクを減らせるでしょう。

また、住宅ローンの返済期間が設定されるため、リフォームローンよりも長期間の返済が可能で、月々の返済負担を軽減できます。加えて、住宅ローンとリフォーム資金を一本化すると、返済管理が楽になり、家計管理もしやすくなるでしょう。

一方で、デメリットは、借り換えによって借入総額が増えるため、収入や信用情報に対する審査がより厳しくなる点が挙げられます。また、市場金利の変動や借り換えにともなう諸費用(手数料や登記費用など)を考慮すると、総支払額が増えるかもしれません。借り換えを検討する際には、条件を慎重に確認し、総コストを比較するようにしましょう。

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えた場合にも住宅ローン控除は使えますか?

条件を満たせば利用できます。ただし、控除期間は延長されず、借り換え後もローンの目的が以前の住宅ローンの返済で、返済期間10年以上が条件です。また、借り換え後の控除対象額は、新たなローン残高の全額ではなく、元の住宅ローン残高に基づいて計算される点に注意しましょう。

住宅ローンにリフォームローンを含めて借り換えする注意点は?

リフォーム工事がすでに開始・完了している場合は融資の対象外になる可能性があるため、事前に金融機関に確認が必要です。また、リフォーム資金と住宅ローンの融資実行日は同日となる場合が多いため、資金調達のスケジュールを慎重に調整しましょう。

さらに融資対象が、契約者が居住している住宅に限られる場合があり、親の住居や投資用物件は対象外となるおそれもあります。加えて、既存の住宅ローンが別の金融機関で契約されている場合、借り換えを制限される可能性があり、違約金や手数料の発生にも注意が必要です。これらの点を踏まえ、事前に金融機関と相談し、スムーズな借り換えを進めましょう。

まとめ

本記事では、住宅ローン返済中にリフォームをおこなう資金調達方法で、リフォームローン併用と住宅ローン借り換えの2つの選択肢を解説しました。リフォームローン併用のメリットは審査が通りやすく、手続きが簡単な点ですが、高金利や短い返済期間がデメリットです。

一方、住宅ローンの借り換えでは低金利で長期間の返済が可能となりますが、審査が厳しく、諸費用がかかる点に注意しましょう。まずは自分のリフォーム資金の規模や返済計画を検討し、適切な方法の選択が重要です。借り換え時には、金利や条件を慎重に比較し、家計に負担をかけずにリフォームを進められるようにしましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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