住宅ローン借り換えの注意点とは?後悔しないタイミングも紹介

今契約しているものよりも低金利な住宅ローンに借り換えすれば、返済額を減らせる可能性があります。 しかし、住宅ローンの借り換えにはデメリットもあるため、本当に得するのかを正しく判断することが大切です。
本記事では住宅ローンの借り換えにおける注意点や、メリット・デメリットを解説します。 記事を最後まで読み、住宅ローンの借り換えを成功させましょう。
記事の目次
住宅ローン借り換えにおける4つの注意点

「住宅ローンを借り換えすれば必ず得する」と思っている方もいるかもしれません。しかし、住宅ローンの借り換えを検討する時は、注意すべき点があります。
後悔しないためにも、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
借り換えする目的を明確にしておく
住宅ローンの借り換えを検討する際は、あらかじめ目的を明確にしておくことが大切です。
「何となく得しそうだから」「金融機関に勧められたから」と、漠然とした理由で借り換えてしまうと、後悔につながるかもしれません。
例えば、総返済額や毎月の返済負担を減らしたいのであれば金利の低さを重視、金利上昇リスクに備えたいなら全期間固定タイプに絞って借り換えを検討するといいでしょう。
「なぜ借り換えをしたいのか」を明らかにしたうえで、本当に借り換えるべきか、どのタイプに借り換えるのがいいかなどを検討しましょう。
返済額だけでなく諸費用も含めて検討する
住宅ローンの借り換え時は、総返済額や毎月の返済額だけでなく、諸費用も含めて得するか考える必要があります。
借り換えには事務手数料や保証料、印紙税、登録免許税など、さまざまな諸費用がかかります。
返済額を抑えられても、諸費用によってかえって負担が増えてしまうこともあるでしょう。
金利や金額だけでなく、コストを含めて総合的に得になるかを判断することが大切です。
審査に通過できない可能性も考慮する
借り換え時の状況によっては、審査の段階で落ちてしまう可能性があることを把握しておきましょう。
住宅ローンの借り換える場合は、新規で申し込む時と同様、審査に通過する必要があります。
住宅ローン契約者の収入や他社からの借入状況などによっては、返済能力が低いと判断され、借り換えの審査に落ちてしまうことも少なくありません。
また、返済能力に問題がなくても、健康状態によっては団体信用生命保険(以降、団信)に加入できず、住宅ローンの借り換えが難しいケースもあります。
借り換えを検討する時は、あらかじめ金融機関等に収入や他社からの借入状況、健康状態について相談しておきましょう。
住宅ローン控除の条件を確認する
住宅ローンの借り換えをする前に、税金面の影響がないか確認しておくことが大切です。
借り換え後の条件によっては、住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)が適用できないことがあります。
例えば、借り換えによって完済までの期間が10年未満になった場合、住宅ローン控除の対象外です。
所得税や住民税などの還付が受けられなくなり、年間数十万円の税負担が増えることもあるでしょう。
住宅ローンの借り換えを考える時は、返済面だけでなく税金面の負担も視野に入れておくことをおすすめします。
住宅ローン借り換えのメリット

住宅ローンの借り換えにはさまざまなメリットがあります。
毎月の返済負担が大きいと感じている方や、ライフプランが変わって返済計画を見直したい方は、住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。
本章では住宅ローン借り換えによるメリットを5つ紹介します。
返済額を減らせる
住宅ローン借り換えの最大のメリットは、返済額を減らせることです。借り換えをおこなうことで、住宅ローンの総返済額や、毎月の返済額を抑えられる可能性があります。
現在の住宅ローンよりも金利が低いものに借り換えできれば、別の出費や貯蓄に回せるお金が増えるでしょう。住宅ローンの返済で家計が圧迫されている方や、返済計画の見直しがしたい方は借り換えを検討してみてください。
返済期間を短縮できる
借り換えによって、住宅ローンの返済期間を短縮することもできます。
金利の低い住宅ローンに借り換えると、利息の負担が減らせるため、総返済額も抑えられます。ライフプランを見直し、借り換えのタイミングで返済完了期間を短縮し、予定より早く完済することも視野に入れておきましょう。毎月の返済額とのバランスを考慮しながら返済期間を調整することが大切です。
金利上昇リスクに備えられる
変動金利から固定金利に借り換えする場合は、金利上昇リスクを減らせるのもメリットです。
住宅ローンの固定金利は10年国債の利回りに連動します。
一方、変動金利は政策金利に基づいて決定される短期プライムレートに連動しています。
そのため、市場金利が上昇する局面で、住宅ローンの金利は変動金利より固定金利のほうが先に上昇することが一般的です。変動金利が上がってから借り換えを検討しても間に合わない可能性が高いので、金利上昇リスクに備えたい方は早めに借り換えを検討しましょう。
団信の保障内容を見直すことができる
住宅ローンの借り換えによって、団信の保障内容を見直せるのもメリットといえます。
借り換え時には、借り換え先の金融機関等が取り扱う団信に加入し直すケースが一般的です。
そのため、すでに契約しているものよりも保障内容を充実させられる可能性があります。
金利の上乗せにより、特約をつけて保障を厚くできる場合もあるため、自分に必要な保障内容は何か考えておきましょう。
住宅ローンの借り換え時は、返済額とのバランスをみながら団信の保障内容も調整することがおすすめです。
リフォーム費用を上乗せで借り入れできる場合がある
金融機関によっては、借り換え時にリフォーム費用を上乗せして借り入れできることもあります。
借り換え時にリフォーム費用を上乗せすると、リフォームローンを単体で申し込むよりも低金利かつ返済期間も余裕を持てる可能性があります。
リフォーム費用を上乗せする場合は、一定の条件が求められるケースが多いため、借り換え時に確認しておきましょう。
例えば、SBI新生銀行でリフォーム費用を上乗せして借り換えする場合の条件は以下のとおりです。
- 住宅ローン(住宅購入資金またはお借り換え資金)と同時に申し込むこと
- 購入する(または現在居住中)物件に対するリノベーション(リフォーム)であること
- リノベーション(リフォーム)資金と住宅ローンの融資実行が同日であること
金利など条件によっては上乗せして借り入れしても毎月の返済額を抑えられることもあります。
近々リフォームを検討している方は、上乗せで借り入れることを選択肢に入れておきましょう。
住宅ローン借り換え時のデメリット

住宅ローンの借り換えは返済額を減らせるなどメリットがある一方で、デメリットがあるのも事実です。
メリットとデメリットの両方を把握したうえで、借り換えをおこなうべきか検討しましょう。
住宅ローンの借り換えの主なデメリットは以下のとおりです。
ローン手数料などの諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えには、新規で契約する時と同様、諸費用がかかる点はデメリットです。
借り換えによって返済額を減らせても、コスト面を考慮するとメリットが少ないケースもあるでしょう。
住宅ローンの借り換えにかかる諸費用は以下のとおりです。
借り換えに 必要な諸費用 |
詳細 | 費用相場 |
---|---|---|
事務手数料 | 借り換え先の金融機関、現在住宅ローンを契約中金融機関・保証会社へそれぞれ支払う |
・定率型の場合:
借入金額の2.2%(税込) ・定額型の場合:
金融機関によって異なる |
繰上げ返済手数料 | 現在住宅ローンを契約中の金融機関へ支払う | 金融機関によって異なる |
保証料 | 借り換え時の保証会社へ支払う | 借入金額の0~2% |
印紙税 | 借り換え先の金融機関での契約書にかかる印紙 | 2,000円~6万円程度 (契約金額ごとに異なる) |
登記関連 | 抵当権設定・抵当権抹消登記にかかる費用(登録免許税・司法書士への報酬を含む) |
・抵当権設定の登録免許税:
借り換え後の住宅ローン額の0.4% ・抵当権抹消登記:
不動産1つに対して1,000円 ・司法書士への報酬:
5〜10万円程度 |
これらの手数料を加味して住宅ローンの借り換えをおこなうべきか検討しましょう。
審査に通るとは限らない
住宅ローンの借り換えには、新規契約時と同様、審査がある点もデメリットです。
借り換えの時の健康状態や年齢などによっては、審査に通過できない可能性があります。
また、リフォーム費用を上乗せで借り入れる場合は、借入金額が増えるため審査が厳しくなるでしょう。
「せっかく借り換えしようと思ったのに審査に落ちてしまった」とならないためにも、審査項目を事前に確認しておくことが大切です。
手続きに時間と手間がかかる
借り換えの手続きに時間と手間がかかる点もデメリットといえるでしょう。
借り換えの手続きは完了まで1カ月程度かかるのが一般的です。
住宅ローンの借り換えに必要な手順は以下のとおりです。
- STEP 1借り換え先の金融機関を選ぶ
- STEP 2事前審査
- STEP 3本審査
- STEP 4既存住宅ローンの繰り上げ返済
- STEP 5借り換え先の住宅ローン契約
- STEP 6融資
本人確認書類や収入・物件などの各種証明書、住宅ローン返済予定表、返済用通帳コピーなど用意する書類が多いので手間がかかります。
不備があると、融資実行まで2カ月以上かかってしまう場合もあるため、書類の記入や提出は慎重におこないましょう。
住宅ローンの借り換えにおすすめのタイミング

「住宅ローンの借り換えはいつ検討すべき?」と、タイミングに悩む方も多いかもしれません。
借り換えのタイミングを誤ると、審査に通らなかったり、メリットが減ったりしてしまう可能性があります。
住宅ローンの借り換えにおすすめのタイミングは以下のとおりです。
転職する前
転職を検討している場合は、その前に住宅ローンの借り換えを検討しておきましょう。
借り換え時は、新規契約と同様審査を受ける必要があります。
勤続年数や年収額は審査に影響するため、転職してから借り換えを申し込むと審査に落ちてしまう可能性があります。
タイミングを逃さないためにも、住宅ローンの借り換えは転職前に完了させておきましょう。
変動金利タイプを借り入れている、もしくは固定期間が終了する時
変動金利タイプを契約している場合や、固定金利期間選択型を契約中で、固定期間が終了するタイミングは、借り換えを検討しましょう。
変動金利タイプや固定金利期間の終了後は、定期的に金利の見直しがおこなわれるため、将来の支払額が変動する可能性があります。
金利が上昇すると総返済額が大きくなるだけでなく、返済額に対する利息の割合が高くなり、返済を続けても元金が減りにくいのがリスクです。
金利上昇リスクに備えたい方や、ライフイベントなどによって返済計画を見直したい方は、ぜひ借り換えを選択肢に入れておきましょう。
住宅ローンの返済期間が残り10年以上・残高が1,000万円以上ある時
借り換えは完済までの期間が10年以上、残高が1,000万円以上あるタイミングで検討しましょう。
住宅ローンの借り換えによって返済期間が10年未満になってしまった場合、住宅ローン控除の適用外となり、税負担が増えてしまいます。
また、住宅ローン残高が1,000万円未満の場合は、利息部分よりも借り換えにかかる費用のほうが大きくなる傾向があり、メリットが少ないでしょう。
住宅ローンの借り換えを検討している方は、返済期間や残高を確認したうえで、本当に借り換えをするべきか判断してください。
まとめ
本記事では住宅ローンを借り換える際の注意点やメリット・デメリットを紹介しました。
住宅ローンの借り換えを検討する時は、何のために借り換えしたいのかを明確にし、審査や諸費用、税金面、タイミングなども考慮する必要があります。
住宅ローンの借り換えにはメリットだけでなくデメリットもあるため、両方を踏まえて自分が本当に借り換えすべきか判断しましょう。
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執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ