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住宅ローンは70歳から組めるって本当?規定と注意点やほかの方法も徹底解説!

70歳から住宅ローンを組むのは可能でしょうか
定年退職や子どもの自立など、自分の仕事を終え子育ても一段落して第二の人生が始まるタイミングに、マイホームを購入したいと考える方もいらっしゃいます。マイホームの購入に住宅ローンを使いたい時、住宅ローンは組めるのでしょうか?

そこで本記事では、マイホームを購入する時、70歳から住宅ローンを組むことができるのか、規定や注意点をわかりやすく解説します。また、住宅ローンが組めない時に対処する他の方法もわかりやすく解説します。

70歳から住宅ローンを組むことはできるのか?

70歳になっても住宅ローンを組めるのでしょうか
70歳になっても住宅ローンを組めるのでしょうか

結論からいうと、70歳で住宅ローンの借り入れは可能です。ただし、いくつかの細かい規定があります。

これまでは住宅ローンを借り入れる時の年齢が30代から40代だと選択肢が多く、上限は65歳未満が主流でした。
しかし今は平均寿命の延びや定年退職の年齢があがったことなどから、住宅ローンの申し込み可能年齢も70歳未満や70歳の誕生日までと引き上げる金融機関が増えてきています。

細かい規定は金融機関や利用する商品によっても違いますが、申し込み年齢上限は70歳まで、住宅ローン完済年齢は80歳までと規定されている金融機関が多くなっています。
そのため70歳になっても、住宅ローンを借りることはルール上可能です。

ルール上借り入れが可能でも、必ずローンが組めるとは限らない

申し込み年齢上限が70歳まで、完済年齢が80歳までとなっているものの、規定ギリギリの年齢では住宅ローンを組みたくても、必ず契約できるわけではありません。住宅ローンが組めるか否かは審査があるので、クリアしなければ借り入れは不可能です。
また金融機関も慎重に審査を進めるので、どうしても時間がかかります。
仮に審査に合格して借り入れができても、返済期間が10年ほどだと借り入れる金額にもよりますが毎月の返済金額が大きくなります。当然、返済負担は大きくなるので自己資金の状況に見合った返済計画を立てることが重要になります。

70歳から住宅ローンを組むと完済年齢が上限を超えてしまう時

仮に、完済年齢の上限を超えてしまって住宅ローンの契約ができない場合には、親子リレー返済制度を利用できます。親子リレー返済が利用できれば、70歳からでも住宅ローンに申し込むことができます。

親子リレー返済とは、親子で1つの住宅ローンに契約し、親が返済を開始し年齢上限に達したら子に引き継ぐ方法です。この場合、引き継ぐ子の年齢と親子全体の収入をもとに審査がなされます。審査が通れば、自分の年齢が完済年齢の上限に引っかかるとしても、70歳から住宅ローンを組める可能性があります。

70歳から住宅ローンを組める金融機関とは?

70歳から組める住宅ローンを提供しているのはどの金融機関でしょうか
70歳から組める住宅ローンを提供しているのはどの金融機関でしょうか

以下に金融機関名と借入年齢上限、完済年齢上限をまとめました。

金融機関名 借入年齢上限 完済年齢上限
りそな銀行 70歳未満 満80歳未満
フラット35 70歳未満 80歳
三井住友銀行 満70歳の誕生日まで 満80歳の誕生日
三菱UFJ銀行 70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
みずほ銀行 満71歳未満 満81歳未満
イオン銀行 満71歳未満 満80歳未満

借入年齢上限や完済年齢上限は、各金融機関で異なります。借入年齢上限が70歳とはいえ、70歳の誕生日までなのか、誕生日を迎えたあとも70歳でいるうちは借り入れができるのかなど細かく違います。完済年齢は細かい違いがありますが、80歳までとなっている金融機関が多いです。

70歳から住宅ローンを借りる時の注意点

70歳から住宅ローンを借りる時の注意点とは
70歳から住宅ローンを借りる時の注意点とは

完済時年齢に注意

住宅ローンを利用する際に注意すべきポイントの一つは、完済時年齢が重視されることです。完済時年齢が80歳までだからといって、ギリギリの年齢だと審査で敬遠されてしまう可能性もあります。完済時年齢は審査で非常に重要な項目とされているため、注意が必要です。

ソニー銀行を例に挙げると、完済時年齢の上限は85歳未満と定められています。この上限引き上げの背景には、晩婚化による持ち家の購入時期の遅れや住宅価格の上昇にともなう返済期間の延長が影響しています。金融機関にとって住宅ローンは重要な収益源であり、完済時年齢の上限を引き上げざるを得ない状況にあります。

しかしながら、審査では比較的若い世代のほうが有利とされています。国土交通省の調査によれば、98.9%以上の金融機関が住宅ローン審査で完済時年齢を重要視していることが示されています。

※出典:令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書より、P19融資をおこなう際に考慮する項目(国土交通省 住宅局)[PDF]

住宅ローンを利用する際には、完済時年齢に関して金融機関の基準を把握し、将来的な返済可能性を慎重に考慮しましょう。また、完済時年齢だけでなく、収入や資産状況、返済能力なども審査の要素となるため、総合的に自身の経済状況を見極めることが求められます。

老後資金を確保しておくこと

70歳から住宅ローンを組む際には、老後資金の確保が重要です。日本の平均寿命が延び、老後の期間も長くなっています。自宅の購入資金を確保できたとしても、その後の長い老後生活に必要な生活資金が必要です。老齢になると医療費や介護費用の問題も浮上します。さらに、家の修繕費用や固定資産税などの負担も考慮する必要があります。

家を購入したあとも返済や生活費以外の費用に悩まされず、最終的に家を手放さなくて済むようにするためには、事前にどのような老後生活を送りたいかを考え、生活に必要な資金を年金以外でどの程度確保する必要があるかを把握しておくことが重要です。
そのうえで、家を購入するための資金調達方法や、実際に家を購入するべきかを検討しましょう。

相続や売却を想定しておくこと

高齢での住宅ローン組みに際しては、相続や売却の可能性を考慮しましょう。将来的に相続が発生した場合、相続人が住宅の処分に困る状況を避けるためも、事前に適切な対策を考えておく必要があります。また、介護施設への入居を検討する際にも、将来的な売却のしやすさを考慮しておくほうが賢明です。

もしも認知症などの状態になったら、自身が住宅の売却手続きなどをおこなえないことが想定されます。家族が代わりに適切な処理をおこなえるよう、事前に家族信託などの契約を結ぶことも検討しましょう。相続や売却を想定しておくと、不要なトラブルを避けられたり、介護施設へ入居する場合に迅速な移動ができるメリットがあります。

70歳からの住宅ローンを組む際は、相続や売却の可能性を想定し、将来的なトラブルを回避するための対策が重要です。相続人への負担軽減や介護施設への移動のスムーズさを確保するために、事前の準備をおこないましょう。

一般的な住宅ローン以外に70歳で住宅を買いたい人がとれる手段とは?

一般的な住宅ローン以外で家を買うためにできることは何があるでしょうか
一般的な住宅ローン以外で家を買うためにできることは何があるでしょうか

住宅ローンを利用する以外に、借り入れをする手段はあるのでしょうか?この章では、一般的な住宅ローン以外で借り入れをする手段などを解説します。

リバースモーゲージ型住宅ローン

リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を担保にして資金を調達する方法です。契約者は自宅に住み続けながら、死亡時に担保となる不動産を売却して借入金を返済します。生存中は利息の支払いのみで済み、主な収入が年金の高齢者にとってはメリットがあります。リバースモーゲージ型住宅ローンでは自宅の土地部分が担保評価されるため、戸建て住宅を保有している人に適しています。

リバースモーゲージ型住宅ローンにはリコース型とノンリコース型があります。リコース型では、契約者の死亡後に自宅を売却しても元本額に届かない場合、相続人が残金を返済する義務があります。一方、ノンリコース型では、自宅売却後に残債が残っても相続人は返済義務を免れます。ノンリコース型は金利が高く設定される傾向があります。

リバースモーゲージ型住宅ローンのメリットは、月々の返済が利息のみであり、老後の家計負担が軽減されることです。
しかし、不動産の資産価値が高くない場合は希望する金額までの融資が受けられない可能性や、定期的な不動産評価見直しにより、不動産市場の下落による元本一括返済のリスクがあることに注意が必要です。

リースバック型住宅ローン

リースバックは、自宅の所有者が自宅を売却し、賃貸借契約を通じて住み続ける仕組みです。売主はまとまった資金を手に入れることができ、同時に物件の管理費や固定資産税の負担から解放されます。さらに、引越しの手間や近隣に売却を知られるリスクも回避できます。

リースバックの利用には年齢制限はありません。一方、配偶者や子どもへの資産残留が難しく、売却価格は相場よりも低く設定され、毎月の賃料も周辺の家賃相場より高くなる場合もあります。また、賃貸借契約の更新時に断られる可能性もあります。リースバックは不動産を活用した資金調達方法であり、売却後も自宅に住み続けることができるため、住み替えを希望しないがまとまった資金を必要とする人に適しています。

メリットとしては、売却したことを近所に知られずに住み続けることができる点や、資金の使途が自由な点があります。しかし、売却価格が相場よりも低く設定されるため、資金調達額には限りがあります。また、高い家賃を支払う必要があり、周囲の家賃相場よりも高くなることがあります。

リースバックはシニア世代を中心に人気がありますが、売却と賃貸借契約の手続きが複雑で理解しきれないとトラブルが発生します。リースバックを利用する場合は、事業者からの説明をよく聞き、仕組みを十分に理解しましょう。専門家のアドバイスを受けながら、長期的な計画を立てることをおすすめします。

リ・バース60

住宅金融支援機構は、満60歳以上の人を対象に提供しているリ・バース60を取り扱っています。リ・バース60はリバースモーゲージ型住宅ローンと同じ仕組みであり、融資を受けた資金は住宅の建設や購入、リフォーム、住宅ローンの借り換えなど、住宅に関連する用途に利用できます。ただし、生活資金や事業資金としての利用はできません。

利用するには、申し込み時の年齢が満60歳以上であることが条件ですが、満50歳以上でも利用が可能です。ただし、満50歳以上満60歳未満の場合は、融資限度額が低くなる点に留意する必要があります。

リ・バース60の融資限度額は、担保となる不動産の評価額の50%~65%(ただし8,000万円以下)となります。また、申し込み時の年齢が50歳以上60歳未満の場合、融資限度額は担保となる不動産の評価額の30%もしくは8,000万円以下となります。

リ・バース60のメリットとしては、生存期間中の返済が利息のみで済むことや、高齢でも融資を受けられる点が挙げられます。しかし、融資限度額に上限があることや、途中で完済しない限り最終的には契約者および配偶者の死亡まで返済が続くデメリットもあります。

リ・バース60を利用する際には注意が必要です。また、完済するまで返済が続くため、長期的な計画を立てる必要があります。

記事のおさらい

Q:70歳から住宅ローンを組むことはできますか?

A:できます。ただし、完済年齢上限は80歳なので10年程度で住宅ローンを完済する必要があります。また、希望すれば必ず住宅ローンが組めるわけでないので注意が必要です。

Q:70歳から借りられる住宅ローンを提供しているのはどの銀行ですか?

A:三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、イオン銀行などは70歳で住宅ローンの契約者になれます。

Q:70歳から住宅ローン以外で住宅を買うにはどのような手段がありますか?

A:自宅を担保にして資金を調達するリバースモーゲージ型住宅ローンや、自宅を売却して賃貸借契約を継続して住み続けるリースバック型住宅ローンを利用する方法があります。また、リ・バース60を利用する方法もあります。

Q:70歳から住宅ローンを借りる時注意するのはどのようなことですか?

A:規定内とはいえ、金融機関は契約年齢を重視しているので、契約年齢上限ギリギリの年齢だと査定に影響する可能性があります。また、老後の生活資金とのバランスや相続のための資金を残しておくことも大切です。住宅ローンを利用する時は、完済時年齢に関して金融機関の基準を把握し、無理のない資金計画と相続対策に注意しましょう。

まとめ

本記事では70歳で住宅ローンを利用できるか否かを解説するとともに、住宅ローンを利用する際のルールや注意点、その他の方法を解説しました。70歳から住宅ローンを申し込むことは可能ですが注意する点もあります。規定や注意点に留意し効果的に活用しましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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