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借金ありでも住宅ローンの審査は通る?嘘をついたらバレる?

借金があっても住宅ローンを借りられるのか解説します
住宅の購入を考えている方のなかには、すでにマイカーローンや教育ローンなどの借金を抱えている方もいるでしょう。借金がある状態でも住宅ローンの審査が通るのか不安に思うのではないでしょうか。

実際のところ、借金の種類や返済額によっても審査に通るかが変わります。本記事では、借金がある場合でも審査に通りやすくするための対策もご紹介します。できる対策から始めて、マイホーム購入の夢を叶えましょう。

借金ありでも住宅ローンの審査に通る?

住宅ローンの審査では返済負担率が重視されます
住宅ローンの審査では返済負担率が重視されます

借金がある状態でも、住宅ローンの審査に通ります。しかし、審査では申込者の返済能力が重視されます。そのためすでに借金がある場合、ローンの返済にあてられる金額が少なくなることから、返済能力が低いと判断される可能性が高くなります。

返済負担率が審査で重視される

国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、住宅ローンの審査で重視される項目は、次表のとおりです。1位から10位までをご紹介します。

審査項目 金融機関が重視する割合
完済時年齢 98.7%
健康状態 97.9%
借入時年齢 97.2%
担保評価 96.1%
勤続年数 93.2%
連帯保証 93.1%
返済負担率 93.0%
年収 92.9%
金融機関の営業エリア 90.7%
国籍 73.3%

住宅ローンの審査で重視されるのは返済能力で、きちんと完済できるかが問われます。それを図るのに使われる一つの項目が返済負担率です。返済負担率とは、収入のうち、住宅ローンを含めた借金の返済にあてられる金額の割合を示したものです。

例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」では、返済負担率の割合が次の基準を満たしていなければ申し込めません。

年収 総返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

年収によって返済負担率を変えており、年収が高ければ、返済負担率が高くても返せると判断していることがわかります。この総返済負担率には、マイカーローンや教育ローン、クレジットカードのキャッシングなども含まれています。

一般的に、無理なく返済できる返済負担率は20%以下となっています。住宅ローンだけでなく、他の借金とも合わせた返済負担率を計算する必要があります。

借金の種類や金額は住宅ローンの審査に影響する?

借金の種類や金額は住宅ローンの審査に影響を与えます
借金の種類や金額は住宅ローンの審査に影響を与えます

借金の種類や金額によって、住宅ローンの審査が通るかが変わってきます。何が影響を与えるのかみていきましょう。

借金の種類

借金の種類によって住宅ローンの審査の通りやすさが変わります。例えば、マイカーローンや教育ローンなど、目的が明確で、借入時に審査を受けているものの場合は、問題なく通るでしょう。

しかし、消費者金融やキャッシングの場合、使用目的が不明であり、経済的に安定していれば借りる必要性がないため、返済能力が低いとみなされる可能性があります。なかには返済が終わっていても、借入履歴があるだけで不可とする金融機関もあります。ただし、審査基準は明確に公表されているわけではないため、金融機関によっては通る可能性も。最初から一つの金融機関に絞るのではなく、複数申し込むのも一つの方法です。

借金の返済額

借金の返済額も審査の通りやすさに影響します。他に借金があれば、住宅ローンの返済額と合わせると、収入に対する総返済額は多くなります。すでにある借金の金額が高ければ、返済が滞るリスクが高いと判断し、審査に通さない可能性があります。しかし、同じ返済額でも収入が多ければ、返済負担率が下がるため、通る可能性は高まります。

住宅ローンの審査に落ちる借金関連の要因は?

借金関連の要因があると住宅ローンの審査で落ちてしまう可能性があります
借金関連の要因があると住宅ローンの審査で落ちてしまう可能性があります

住宅ローンの審査では、返済能力が重視されます。特に本審査では、返済計画に無理がないかを、借入時の年齢と完済時の年齢、収入の安定性など幅広い観点からチェックされます。また、物件自体についても担保価値があるかを評価します。本章では、審査される項目で借金が関係するものを解説します。

返済負担率が高い

返済負担率が高いと、審査に落ちる可能性があります。繰り返しになりますが、返済負担率が高ければ、返済が滞る可能性があるため、金融機関からするとリスクが高いからです。

例えば、月々の返済額が10万円の借金があるAさんとBさん2人の収入が、25万円と50万円だった場合を見てみましょう。返済負担率はそれぞれAさんが40%とBさんが20%となります。収入が25万円のAさんは、収入の半分近くを借金が占めていることになります。一方、収入が50万円のBさんは20%でまだ余裕があると判断できます。

このように、返済負担率が高いと、返済が滞る可能性があることから、審査に落ちてしまうのです。住宅ローンだけでなく、他の借金と合わせた総返済負担率を考えるようにしましょう。

個人信用情報に異動の記録がある

個人信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの契約内容や返済状況が記録されているものです。住宅ローンの審査では、この個人信用情報を確認し、返済能力があるかを判断します。

61日以上、または3カ月以上の支払い遅れがあった場合には「異動」と記録されます。債権がクレジットカード会社など債権回収会社に異動したということです。いわゆるブラックリストに載った状態になってしまいます。

他にも、借り手でなく保証会社が返済した代位弁済、任意整理や自己破産など債務整理をおこなったときなども記録されます。「異動」と記録されている場合、金融機関は返済能力が低いと判断するため、審査に通りません。

「うっかり口座に入金し忘れていた」という状態であっても、一度記録されてしまうと、完済してから一定期間を過ぎるまで記録は消えないことを理解しておきましょう。

税金の延滞や滞納がある

税金の延滞や滞納があった場合も、返済能力や信用力が低いと判断されるため、審査に落ちる可能性があります。

会社員であれば、源泉徴収票を提出するのが一般的で、給与から税金が引かれていることがわかるため、特に問題はありません。しかし、派遣社員や契約社員など、自分で納めている場合は、払い忘れがないか注意しましょう。

また、自営業の方は納税証明書の提出を求められます。納税証明書は、税金を納めていることを証明するためのもので、未納がある場合にも記載されています。申し込む前に未納分と延滞税を納付しておきましょう。

借金がある状態で審査を申し込む時の注意点

審査を申し込む時には正直に申告しましょう
審査を申し込む時には正直に申告しましょう

借金がある状態で住宅ローンを申し込む時には2つの注意点があります。大切なのは正しい情報を申告することです。

借金を隠さない

まず、借金があることを隠さないようにしましょう。事前審査の申込書には、借入状況を記載する欄があります。本当は借金があるのに、「審査に不利になるから」と隠して申し込むと、金融機関が個人信用情報を照会した際に、隠していたことがバレてしまいます。

住宅ローンは高額なため、返済能力はもちろんのこと、人として信用できるかも大事なポイントです。審査を申し込む際には、借金を隠さず、正直に申告しましょう。

嘘をついたらバレる

少しでも有利になるようにと嘘の申告をすると、審査の時点でバレてしまいます。嘘の申告をすると、信用度が低いとみなされてしまいます。借金だけに関わらず、嘘をつかないことが大切です。例えば、勤続年数や年収など、書類のチェックや在籍確認などを通して見抜かれます。また、もし仮に審査を通ったとしても、申告した内容が嘘であることが発覚すれば、住宅ローンの契約は無効となり、一括返済を求められる可能性もあります。

基本的に金融機関は住宅ローンを貸したいと考えています。それは金額も大きく、付き合いが長く続く、安定した商品だからです。しかし、それはきちんと返済してくれる人であることが前提です。嘘をつく人に貸したいと思う金融機関はないでしょう。審査の時には、正確な情報を申告しましょう。

借金ありでも住宅ローンの審査に通りやすくするための対策

借金があっても対策することで住宅ローンの審査に通りやすくなります
借金があっても対策することで住宅ローンの審査に通りやすくなります

借金があっても対策をすれば、住宅ローンの審査を通りやすくすることができます。ここでは5つの方法を解説します。

借金を減らす

1つ目は借金を減らすことです。一時的に借金の返済額を増額して減らしたり、完済したりすることで、返済負担率を下げることができます。また、返済能力もあると判断され、審査に通りやすくなる可能性が高くなります。

クレジットカードローンの場合は、完済情報が反映されるまでに1〜2カ月程かかります。また、キャッシングローンの場合は翌日までに反映されます。情報が反映されるのを待ってから、申し込むと審査に通りやすくなるでしょう。

頭金を用意する

頭金を用意すると、住宅ローンの審査に通る可能性が高まります。頭金を用意することで、借入金額が減り、返済負担率も低くなり、返済能力が向上すると判断されるためです。

また、頭金を用意することで、金利が優遇される場合もあります。しかし、入れすぎには注意が必要です。病気やケガで働けなくなった時など、一時的にまとまった金額が必要になるかもしれません。ある程度の資金は残したうえで、頭金を用意しましょう。

住宅ローンの返済期間を長くする

住宅ローンの返済期間を長くすることも、住宅ローンの審査に通りやすくするための方法の一つです。返済期間を長くすると、月々の返済額が減るため、返済能力が高くなると判断されます。

しかし、返済期間を長くすると、元本の減りが遅くなるため、その分利息が増えてしまい、総返済額は多くなってしまいます。デメリットも考慮したうえで、返済期間を決めましょう。

購入時期を遅らせる

個人信用情報に異動の記録がある場合には、購入時期を遅らせましょう。完済してから5年経つと、異動の記録が消されます。また、購入時期を遅らせた場合、他の借金が減っていたり、完済していたり、収入が上がっている可能性もあります。そうすると、返済能力が上がっていると判断され、審査に通りやすくなる可能性があります。

申込者を変更する

申込者を変更することも、審査に通りやすくするために有効です。借金がない、返済能力が高い人を申込者にすることで、返済能力や信用力があると判断され、審査に通りやすくなります。しかし、その場合は新しい申込者の審査が必要となります。借入額も変わってくるため、年収に見合った借入額にしましょう。

まとめ

借金があっても住宅ローンの審査を通過することは可能です。しかし、借金の種類や収入に対する返済額の割合がポイントとなります。他の借金が多い場合には、繰上げ返済や完済するなどして、返済負担率を下げることが大切です。審査に有利になるように、よく見せようと嘘をついても、いつかはバレてしまい、信用度が下がってしまいます。正確な情報を申告するようにしましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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