不動産購入時にかかる仲介手数料とは?相場や計算方法について徹底解説

この記事では、不動産購入時の仲介手数料とは何のための費用で、どれぐらいかかるものなのかを解説します。
記事の目次
不動産購入時の仲介手数料とは?

「仲介手数料」とは、中古一戸建て・マンション、土地を売買する時に不動産会社に支払う費用です。
新築マンションは売主(ディベロッパー)が販売するため、仲介手数料はかからないでしょう。また、新築の一戸建てを購入する際に必要か否かはケースバイケースで、分譲会社から直接購入する場合は仲介する不動産会社がいないため、仲介手数料は発生しません。
仲介手数料とは何のために支払う費用で、いつ、どの程度の金額を支払う必要があるのか説明していきます。
家の売却を検討している方は、不動産の売却時にかかる仲介手数料について解説しているこちらの記事をご覧ください。
仲介手数料とはどのような費用?
仲介手数料とは、不動産仲介会社が売主と買主の間に立って、安全に取引履行をするために、各手続きをおこなうことに対する成功報酬を指します。
資料の準備や役所への確認、重要事項の説明、契約書の作成が挙げられ、司法書士と連携して、本人確認や所有権移転登記などもおこないます。
具体的には、下記に記載している内容に対する手数料となります。
- 購入希望者への物件案内
- 売買条件の交渉
- 重要事項説明書・売買契約書の作成
- 役所・諸官庁への法令等の確認
- 重要事項説明
- 住宅ローンの手続き
- 不動産の引き渡し
- 司法書士との連携
なお物件の紹介・内見のみで購入していない場合、仲介手数料を不動産会社に支払う必要はありません。
仲介手数料を支払うタイミング
買主が仲介手数料を支払うタイミングは、大きく分けて2パターンあります。
- 売買契約書の署名捺印が完了し、手付金を支払うタイミングに50%、残金決済が終了し、不動産の所有権移転登記の資料が司法書士に渡されたタイミングで50%を支払う
- 残金決済が終了し、不動産の所有権移転登記の資料が司法書士に渡されたタイミングで全額支払う
仲介手数料は、物件の紹介・案内をした不動産会社(買主側の不動産会社)に全額支払います。買主側の不動産会社には2つの取引パターンが考えられます。「片手取引」と「両手取引」です。
不動産を売買する際、一般的に売主側の物件図面を作成し、他の不動産会社に営業をかける売主側の不動産会社と、不動産を購入したい人に物件を案内する買主側の不動産会社がいます。売主・買主双方に不動産会社が付いている状態を、片手取引といいます。
これに対する取引が両手取引です。両手取引は売主側と買主側の仲介を同じ不動産会社がおこなうもので、大手不動産会社との取引でよく見られます。詳細は後ほど述べます。
仲介手数料の上限
仲介手数料は、宅地建物取引業法第四十六条によって上限が定められています。仲介手数料は物件価格に応じて、下記の計算式で求めることが可能です。
売却価格(税別) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
800万円以下 | 30万円+消費税 |
800万円超~ | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料がいくらになるかは物件価格や不動産会社との契約によって変わるため、正確な金額が知りたい場合は仲介を依頼する不動産会社にお問い合わせください。
低廉(ていれん)な空き家の売買における仲介手数料の特例
国土交通省が2018年に導入した「低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬額の特例について、2024年7月1日に特例の改正がおこなわれ、対象範囲が400万円以下から800万円以下まで拡大しました。
報酬額の上限も18万円(税別)から30万円(税別)まで引き上げられ、仲介手数料の支払いについても、今まで売主のみ対象としていましたが買主からも受け取ることが可能となりました。
仲介手数料の計算方法とは?
具体的な物件価格を例として、前章の計算式をもとに仲介手数料の上限額を計算してみます。
例)物件価格:5,000万円
➡ 5,000万円×3%+6万円+消費税(適用税率10%)
= 156万円+消費税(適用税率10%)
= 156万円+15万6,000円
= 171万6,000円
上記の計算によって、5,000万円の物件の仲介手数料は、171万6,000円となります。
仲介手数料の上限早見表
次に、物件価格による仲介手数料の上限早見表をご紹介します。
先に説明したとおり、物件の価格によって仲介手数料は異なります。
どの程度費用がかかるのか簡単にご理解いただけますので、ぜひこの早見表を物件購入時の参考にしてください。
物件価格 | 仲介手数料の上限(税抜) |
---|---|
800万円以下の物件(特例適用) | 一律30万円 |
1,000万円の物件 | 36万円 |
2,000万円の物件 | 66万円 |
3,000万円の物件 | 96万円 |
4,000万円の物件 | 126万円 |
5,000万円の物件 | 156万円 |
6,000万円の物件 | 186万円 |
7,000万円の物件 | 216万円 |
8,000万円の物件 | 246万円 |
9,000万円の物件 | 276万円 |
1億円の物件 | 306万円 |
不動産売買の仲介手数料の注意点

不動産売買の仲介手数料で、いくつか注意していただきたいポイントがあります。下記を参考に、仲介手数料のルールを知っておくと、いざ不動産を購入する際に役立つでしょう。
仲介手数料に下限はない
仲介手数料に下限はありません。仲介手数料は上限額で請求されることが多く、仲介手数料は決まった額であるように思われる方も多いのですが、そうではありません。あくまでも上限額であり、それ以上は請求してはならない法的なルールに基づいています。
仲介手数料に下限がないにも関わらず、仲介手数料の上限額が決まったものであると、適切に仲介手数料の説明をしない不動産会社や担当者もいるため、注意してください。
ただし、仲介した不動産会社には、仲介責任が発生することから一定以上の報酬が必要である考え方もあり、度を超えた価格交渉は難しいでしょう。
不動産会社によって仲介手数料が異なる
不動産売買では、買主・売主で異なる不動産会社が仲介する片手取引と、1社で買主・売主の仲介をする両手取引があります。
取引形態や不動産会社によって手数料が異なる場合があるため、それぞれの取引を詳細に説明します。
片手取引でも両手取引でも、買主・売主がそれぞれに支払う仲介手数料の上限は変わりません。
両手取引だからといって必ずしも仲介手数料が安くなるわけではないことをご理解ください。実際に仲介手数料が変わるのは取引形態ではなく、不動産会社がいくら仲介手数料を請求すると決めているかによります。
片手取引

「片手取引」とは、不動産取引でもっとも多い取引形態です。売主・買主それぞれが別の不動産会社に仲介を依頼します。実際の取引の主な流れは以下のとおりです。


両手取引

「両手取引」とは、売主からの仲介を依頼された不動産会社が、買主を自社で見つけた場合に1社で仲介する取引です。
基本的な流れは片手取引と同じですが、1つの会社が売主・買主双方へ手数料を請求でき、不動産会社としては報酬額が増えます。
そのため、片手取引と比べて売主と買主それぞれに仲介手数料の交渉をしやすくなるでしょう。
「仲介手数料無料」と書かれているケースを見かける場合もありますが、条件や紹介してもらえる物件が限定されるなど注意が必要です。
なかには、買主が想定していた条件とは違う物件をすすめる不動産会社も。値引きや無料の表示に惑わされず、しっかり物件を見極めることが大切です。
不動産購入時の仲介手数料を抑えるコツ
不動産を購入する際、仲介手数料は買主にとって大きな負担となることもあります。どうすれば仲介手数料を抑えられるのか、4つのコツを説明します。
仲介手数料が安い不動産会社を探す
ホームページで、仲介手数料の割引をうたっている不動産会社は多くあります。上限額よりも安く仲介業務をおこなってくれるため、費用を抑えられるでしょう。
しかし、費用が抑えられる分調査がおろそかだったり、説明が不足していたりする可能性があります。しっかりと業務を遂行してくれるのか、会社や担当者を見極めることが大切です。
不動産会社に値下げ交渉をする

基本的には、仲介手数料を上限で提示する不動産会社がほとんどです。しかし、宅建業法ではあくまでも上限額が定められているだけで下限はないため、値下げ交渉をすることが可能です。
ただし、仲介をおこなう不動産会社は大きな仲介責任を負うことから、極端な値下げに応じる会社は多くないでしょう。また、購入したい競合相手が多い物件で、同時に買付申込書を出した場合、値下げ交渉していると購入できないリスクもあります。
契約する意思をはっきりと見せたうえで、相手や物件の状況を見ながら交渉することが大切です。
不動産会社の「自社物件」を選ぶ
不動産会社の自社物件であれば仲介をおこなう不動産会社が存在しない取引になるため、仲介手数料は発生しません。
新築マンションを分譲会社から購入する場合がこれにあたります。もちろん中古物件でも、不動産会社が所有している物件であれば仲介手数料はかかりません。
個人間で売買をおこなう
個人間で売買をおこなう場合も、仲介手数料は発生しません。ただし、重要事項の説明や役所調査などが不十分となり、大きなトラブルのもとになりかねませんので、あまりおすすめはできません。
不動産売買の仲介手数料についてよくある質問

では、不動産売買の仲介手数料に関するよくある質問をご紹介します。
仲介手数料に消費税は発生する?
仲介手数料には適用税率10%の消費税がかかります。
仲介手数料の相場はどのくらい?
仲介手数料は基本的には上限で提示されるでしょう。ただし、宅建業法では上限のみが決められているので、いくらか安い金額で仲介手数料が設定されることもあります。
契約を取り消した場合に仲介手数料は返ってくる?
売買契約が無効や取り消しになった場合には、仲介手数料は返ってきます。
仲介手数料の他に必要な費用は?
仲介手数料以外に買主が支払う必要のある費用をまとめました。
- 手付金
- 登記費用
- 引越し費用
- リフォームをする場合の費用
- 印紙代
- 住宅ローンを利用する場合の手数料
- 火災保険料
不動産を購入する場合、物件価格以外に思ったよりも費用がかかります。余裕をもって資金計画を立てることが大切です。
まとめ
仲介手数料は、買主と売主の間の安全な取引を履行するための費用です。大きな金額ですが、場合によっては費用を減らせます。
しかし、仲介手数料を抑えることにこだわり過ぎると、安心して任せられる不動産会社に対応してもらえなくなったり、希望する物件が購入できなくなったりするリスクが生じることも。
不動産会社や担当者ときちんと話し合って、納得できる仲介手数料で契約できるようにすることが大切です。
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