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住宅ローン3,000万円を組めるのはどういう人?年収や返済シミュレーションを徹底解説!

マイホームを考えたとき、気になるのは予算のことでしょう。マイホーム購入の一つの目安となるのが、3,000万円という金額です。今回はそんな3,000万円のローンを組むために必要な年収や、注意点等を詳しく解説します。

3,000万円の住宅ローンが組める年収とは?

住宅ローンを組むにあたり、もっとも重要視されるのが、ローンを返済できる収入があるかどうかです。それでは、3,000万円のローンを組むにはどの程度の収入が必要なのでしょうか?諸費用についてもしっかり見込んだうえで、いくらのローンまでなら組むことができるか確認していきましょう。

住宅ローン契約時にかかるお金

住宅ローンを組む際には、さまざまなコストがかかります。ローンの融資を受ける際には融資手数料やローンの保証料が求められ、火災保険の加入も原則として住宅の引き渡し時に必要です。また、購入した翌年には不動産取得税や固定資産税も発生します。建物や土地の価格だけでなく、こういった諸費用も含んだ金額がマイホーム購入に必要となる費用です。

住宅購入後にかかるお金

住宅購入後にも、住宅の修繕費やリフォームなどの費用が必要となります。購入時に支払う火災保険料や固定資産税も発生しますので、これらのコストを見込んで返済計画を考えたり、費用を準備したりすることが大切です。

住宅の契約時や購入後にかかるコストについては、下記リンク先に詳細を記載しておりますのでご参照ください。

3,000万円の住宅ローンが組める年収のボーダーラインは350万円

3,000万円のローンを組むには、どの程度の年収が必要なのでしょうか?住宅ローンの審査は、年収に占める1年間の返済額の割合で決まります。金融機関によって審査の基準は異なりますが、年間の返済額が年収の30%~35%までとされています。
仮に3,000万円を年利1%、元利均等返済で35年返済とするとしましょう。この場合、1年間の返済額は約102万円です。返済負担率30%で計算した場合、年収は350万円程度が目安となります。なお、フラット35の審査の基準は年収400万円以上の場合に返済負担率35%まで、400万円未満の場合には30%までです。

ただし、年齢によってはローンの返済期間を35年では組むことができず、短い期間で返済しなければならないケースもあるでしょう。そのため、返済負担が変わることには注意が必要です。

安定して返済できる年収の目安は500万円

年収350万円でも3,000万円の住宅ローンを組むことは可能です。ただし、たとえローンを組むことができても、必ず余裕をもって返済していけるとは限りません。

年収350万円だと、手取りの収入では多くても270万円程度、毎月の手取り額では20万円程度になるでしょう。一方、毎月のローンの返済額は8.5万円程度になりますので、毎月11.5万円しか生活費等に使うことしかできません。この状態で3,000万円のローンを組むのは、危険といわざるをえないでしょう。こうしたことから、「いくら借りられるか?」ではなく、「いくらなら余裕を持って返済できるか?」を考える必要があります。

そのためには、一生のスパンでの収入と支出をシミュレーションし、無理せずに返済できるかを「見える化」しチェックしてみることが重要です。一般的に、1年間の返済総額が年収の20%以内が余裕を持って返済できる目安とされています。大体500万円程度となりますので、一つの目安とするとよいでしょう。

しかし、年収は同じでも人それぞれライフスタイルは違います。また、当然ながら支出の状況も一生でかかるお金もまったく異なりますので、ご自分にあったローンの金額を知る必要があります。たとえ年収が500万円あっても、しっかり家計管理していかないと返済が苦しくなるかもしれません。自分のライフスタイルや、将来設計に合った金額でローンを組んでいきましょう。

【年収別】3,000万円のローンを組んだ場合の返済額と負担率

 

年収 年間返済額 毎月返済額 返済負担率
350万円 1,016,220円 84,685円 約29.03%
400万円 約25.41%
450万円 約22.58%
500万円 約20.32%
550万円 約18.48%
600万円 約16.94%

※元利均等返済、年利1%、35年返済の場合

年利1%で計算すると、上記のような返済負担率になります。

家計の支出の状況はそのご家庭によって異なりますので、返済負担率はあくまで参考として考えてください。人生設計や現在の支出の状況から、一生のスパンで無理せず返済できるかどうかを考えることが大切です。

3,000万円の住宅ローンの組み方

3,000万円のローンを組む場合のポイントとして、下記のような点があります。

金利タイプを見極める

住宅ローンを選ぶ際は、自分に合った金利タイプを選択しましょう。住宅ローンには全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型という、主に3つのタイプのローンがあります。

全期間固定金利型は、返済が終わるまでに契約時の金利が変わらないタイプのローンです。世の中の金利が上がっても返済額が増えず、返済計画を立てやすいことがメリットといえるでしょう。その反面、変動金利型、固定金利期間選択型のローンと比べると金利が高いことがデメリットです。

変動金利型はその時々の金利の情勢により、返済額が変わるタイプのローンです。金利が上がると返済額が増えることがデメリットですが、固定金利型に比べ金利が低いというメリットがあります。

そして、固定金利期間選択型は当初3年や5年、10年などの間は金利が固定され、その後は変動金利型か固定金利型かを選択できる、固定金利と変動金利の特徴を併せ持ったローンのこと。全期間固定金利型よりも金利負担が少なく、当初期間の金利が固定されるのがメリットです。ただし一方で、固定金利期間終了時にはその時点での金利で見直しされるため、金利が上昇していると返済額が増えることがデメリットとなります。

このように、ローンの種類別でそれぞれに特徴があります。金利が上昇しても家計に余裕を持っていられるかどうかが、金利選びのポイントになります。金利が上昇して返済額が増えた場合でも無理なく返済できるようであれば、金利の低い変動金利型を選んでも問題はありません。しかし、途中で金利が上昇して返済が苦しくなる可能性があれば、全期間固定金利型を選ぶ方がよいでしょう。固定金利期間選択型は、当初の固定金利期間において金利が上昇し、返済額が増えるのを抑えたい場合におすすめです。

繰り上げ返済の活用をする

返済計画を考える際、繰り上げ返済も同時に検討しておきましょう。繰り上げ返済とは、ローンの返済中にある程度まとまったお金で残ったローンの一部、もしくは全部を返済することをいいます。早期にローンの残高を返済することでその分の金利の負担が少なくなり、その後の金利負担を抑えることで返済総額を減らすことが可能です。

特に変動金利型や固定金利期間選択型といった途中で金利が変わるタイプのローンを組む場合には、途中で金利が上昇した場合に繰り上げ返済することで、金利上昇による負担増を抑えることができます。そのため、いつでも繰り上げ返済できるよう、ローンを返済しながらも繰り上げ返済のための資金も同時に貯蓄しておく必要があります。

定年までに完済できる額を知る

ローンを組む際には、定年までに完済できるか考えておきましょう。ローンの返済終了時に75歳、80歳になっているという場合もありますが、それだけの期間のローンを組むことはできても、そこまで働いて収入を得ることができるかどうかは別です。特に会社員であれば定年退職がありますので、それまでに返済できるのかを考えることが大切になります。仮に定年退職の年齢を超えてローンを組む場合には、繰り上げ返済をおこない完済できるように返済計画とあわせ、繰り上げ返済の貯蓄計画もセットで考えておきましょう。

ライフプランから返済計画を考える

ローンを組む前に、いくらまでなら余裕を持って返済できるか、ライフプランから返済計画を考えましょう。ライフプランを考えることで、たとえばお子さんの進学でお金がかかる時期や車の買い替えの時期、役職定年などで収入が下がる時期など、お金がかかるタイミングがある程度見えてきます。また、ご自分の生活スタイルや現在の支出の状況から、いつ、いくらくらい収入・支出があり、どの程度余裕を持って返済できるかを予測することができます。家の購入を考えはじめたら、まずはライフプランを考えることからはじめてみましょう。

3,000万円の住宅ローンの返済シミュレーション

返済年数ごとに返済額をシミュレーション

3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、何年でいくらくらいの返済になるでしょうか?年数に応じた返済額、総返済額を計算して以下にまとめました。

 

返済年数 年間返済額 毎月返済額 返済総額
20年 1,655,616円 137,968円 33,112,320円
25年 1,356,732円 113,061円 33,918,300円
30年 1,157,892円 96,491円 34,736,760円
35年 1,016,220円 84,685円 35,567,700円

3,000万円の住宅ローンを組んだ後によくある失敗

3,000万円のローンを組んだ後、よくある失敗を挙げていきます。誰にでも起こりえることばかりですので、ローンを組んだりマイホームの予算を考えたりする前に確認しておいてください。

収入が減ってしまった

住宅ローンを返済中に、収入が減ってしまうこともありえます。ローンを契約する時点では残業代や賞与を含む年収で融資を受けたり、返済計画を考えたりしてしまいがちです。しかし、不況で仕事が少なくなり残業が減ってしまった、賞与が払われなくなったなど、いつ不測の事態が起きるかはわかりません。実際、コロナショックやリーマンショック等を経験された方も多いでしょうし、勤務先が倒産し失業してしまう可能性もあります。そのため、少なくとも残業代や賞与がなくとも、余裕を持てる金額で返済計画を考えることが重要です。

また、ケガや病気で仕事を休まなければならない場合もありますし、場合によっては長期間就業不能になってしまうこともあります。ローンを組む際にはそういったリスクも考慮し、住宅ローンの団体信用生命保険や生命保険の契約を考えてみましょう。

ペアローンを組んだ相手が仕事を辞めてしまった、離婚した

ペアローンや連帯債務では、配偶者とペアでローンを組んだり、配偶者の年収を合算したりすることで借入額を増やすことが可能です。一人の年収だけでは希望額を借り入れることが難しい、あるいは夫婦で住宅ローン控除を使いたい場合などに使われます。
しかし、ペアローンや連帯債務でローンを組んだ場合、相手が仕事を辞めたり離婚した場合、一人でローンを払っていかなければならないこともあります。
一人でも余裕を持って返済できる範囲で借りられるなら問題はありませんが、一人の年収では希望額を借りることができない場合には、収入に対する借入額が多いために余裕を持って返済できないことが想定されます。今後収入が増える確証が持てる、あるいは住宅ローン控除を夫婦で活用したいという場合を除き、ペアローンや夫婦で連帯債務を負うことは注意が必要です。

子どもが生まれて必要以上に出費が増えてしまった

お子さんが産まれたことにより、当初予定していた以上に支出が増える場合もあります。子育てにはとても大きなお金がかかるものです。大学や短大・専門学校への進学時には特に大きなお金が必要になるため、あらかじめ想定して計画的に資金を準備しておかなければなりません。養育費や教育費にどの程度お金がかかるかを知り、その上で余裕を持って返済できるか、あらかじめシミュレーションしておきましょう。
また、産休や育休の取得で収入が減少する場合もあります。特に奥さんが社会保険や雇用保険に加入していないパートや自営業の場合、出産手当金や育児給付がありませんので注意しましょう。

修繕費やリフォーム資金が用意できない

マイホームを持つと、とくに一戸建てでは外壁や屋根の塗装、雨どいの修繕、シーリングの補修など、修繕やリフォームが必要になります。外壁や屋根の塗装をおこなうと数十万円~数百万円の費用がかかりますので、計画的に準備しておきましょう。
また、何十年かするとキッチンやバス、トイレなど、入れ替えを考えることもあるでしょう。こういった資金も想定し、貯蓄できるように余裕を持って返済計画を考えることが大切です。

住宅ローンの返済が苦しくなった場合の対処法

住宅ローンの返済が苦しくなった場合には、下記のように対策しましょう。

支出を見直す

まずやるべきことは、支出の見直しです。住宅ローンの返済が苦しいというご家庭でよくあるのが、そもそも毎月何にいくら使っているかを把握できていないケース。こうした場合には、まず家計簿をつけて支出を把握しましょう。そうすれば、自然と改善できるポイントも見えてきます。特に、生命保険料や通信費等は大きな見直しができるポイントです。

お金を借りた銀行に相談する

家計を見直しても対処しきれない場合、お金を借りた銀行に相談しましょう。元金の返済の猶予や毎月の返済額を軽減できるよう調整してもらえる場合があります。この際、しっかり今後の収入と支出の見通しを立てて、どのようにすれば家計が改善されて返済していけるかをしっかりシミュレーションしたうえで依頼しましょう。

両親や祖父母から支援をしてもらう

両親や祖父母から支援してもらうことも検討しましょう。金融機関に申し出をすれば返済を猶予してもらった分だけ利息の負担が発生し、返済総額が増えてしまうことになります。両親や祖父母からお金を借りて返済すれば利息の負担が少なく済み、信用情報にも傷がつきません。頼みにくい気持ちもあるでしょうが、一度頼んでみることも大切です。

個人再生も視野に入れる

あらゆる手段を尽くしても返済が難しい場合、個人再生も視野に入れてみましょう。個人再生とは、裁判所の認可を得て、住宅を手離さなくても借り入れを減額することができる手続きのことです。ただし、信用情報にその履歴が残るなどのデメリットもありますので、可能な限り使わないことが大前提です。

ここまで返済が苦しくなってしまった場合の手段をご紹介しましたが、まずは家計を把握し、支出の削減を検討したりしっかり返済できる計画を考えたりすることが大切です。

また、余裕を持って返済できる返済負担率の目安を20%とお伝えしましたが、住宅金融支援機構の調査(住宅ローン利用者調査2022年4月)によると変動金利型の利用者のうち42.2%が返済負担率20%を超えており、固定金利期間選択型の利用者も同程度で42.4%が20%を超えた返済負担率になっています。
このデータから、40%以上の人が返済負担率20%以上であるにもかかわらず、金利が途中で変動するタイプのローンを組んでいることがわかります。実際に住宅ローンが支払えなくなるケースは少ないですが、このように返済負担率が高く、金利が上昇した場合に返済が苦しくなる潜在的なリスクのあるご家庭は多数存在することがわかるでしょう。決して他人事ではありませんので、ローンの仕組みを理解して、余裕を持てる予算でご自分に合ったタイプのローンを選びましょう。

年収が350万円以下の場合はどうする?

収額を増やす(ペアローンを組む)

収入合算を増やす

配偶者に収入がある場合には、ペアローンや連帯債務者に設定することで融資の上限を引き上げることが可能です。特に20代で家を買う人には、30代や40代の人に比べ年収も低いためペアローンを組む割合が高くなっています。

頭金をより多く用意する

頭金を多く用意することで借入額を減らし返済負担率を引き下げ、融資を通りやすくすることができます。ローンの返済額をシミュレーションし、審査が通る水準まで返済負担率を引き下げられるよう頭金を入れることも検討しましょう。

両親や祖父母から資金援助を受ける

貯蓄が少なく頭金を多く用意することが難しい場合には、ご両親や祖父母から援助を受けることも検討してみてください。住宅取得資金に関する贈与については、贈与税が非課税で受けられる特例があるため活用するとよいでしょう。

参照:国税庁 ホームページ「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

購入する物件を見直す

人生設計の変化や収入の減少、支出の増加などによって余裕を持って返済することが難しい場合、購入する物件の見直しも考えましょう。将来的に返済に困ったり、お子さんの教育費や修繕費が準備できなくなっては、家を買うことが家族にとっての幸せではなく不幸になってしまう場合があります。それでは本末転倒ですので、希望する物件を諦めて物件を見直すのも大事なことです。

まとめ

住宅ローンは、長い期間をかけて返済していくことになる借金です。将来設計と収入、支出の見込みから、無理せず返済できる範囲で組むことがとても大切になります。特に3,000万円は、住宅購入の一つの目安になる数値です。「家賃を払うよりローンを払った方がいい」と考え、諸費用やローンの金利、修繕費や維持費のことを考えず、ローンの返済額のみで考えて家を購入してしまう場合もあるでしょう。しかし、結果的にローンが支払えなくなったり、生活が圧迫されたりするのは避けたいはずです。ご自分やご家族にとってどのような人生を送ることが望ましく、何に重点的にお金を使いたいのか、ご夫婦やご家族でしっかり話し合った上で余裕を持てる範囲で購入しましょう。
本記事を参考に、住宅ローンの知識をしっかり身に着け、しっかり返済計画を考えて自分に合ったローンを選んでください。

小川洋平

執筆者

小川洋平

合同会社clientsbenefit代表、CFP1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

25歳でお金の知識・営業経験ゼロから保険営業の世界に飛び込み、6年半従事。2年目に将来の資産形成のため金融知識が必要なことに気が付き、FPの勉強を始めて金融・経済の知識を学ぶ。その後、保険に限らずあらゆるお金の面でクライアントにとってベストな提案をしたいという想いで、商品販売ではなく相談業務を開始。住宅ローン相談も得意とし、自身が自宅の新築時に学んだ知識や、工務店のネットワークを活かし住宅購入のアドバイス等も行っている。

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