マンションの最上階って実際どう?メリット・デメリットを徹底解説
ただし、最上階にはメリットだけでなくデメリットもあります。また、低層階や中層階にもよさがあるため、階層ごとの特徴を比較した上で購入を決断しないと、「思っていたのと違った」と後悔してしまうかもしれません。
本記事では、最上階のメリットやデメリット、マンション購入時のチェックポイントについて解説します。この記事をお読みいただくことで、最上階がご自身に適した階層か判断できるようになるでしょう。
記事の目次
マンションの最上階って実際どう? 価格が高い理由は?

マンションの最上階の価格が高い理由は、階数が高くなるほど資産価値も高くなる傾向にあるためです。階層ごとにどの程度の差が出るのかについてはマンションによって異なりますが、一般的な数値の目安は以下のようになります。
| 階層 | 価格差の目安 (低層階を基準とした場合) |
|---|---|
| 低層階 | 基準値(0%) |
| 中層階 | +3~8% |
| 最上階 | +5%~15% |
階数が1階高くなると0.5~2.5%上昇するという指標もあり、マンションの総階数が多くなるほど、低層階と最上階の価格差が広がりやすくなります。
また、最上階には専用ルーフバルコニーが付属していたり、メゾネットになっていたりと希少性の高い部屋もあり、一つ下の住戸よりも価格が跳ね上がる場合もあります。ただし、最上階の価格はマンションの階数や築年数、部屋の希少性など多くの要素に影響を受けるため、どの程度価格が上昇するかは一概には言えません。
マンション最上階のメリット

マンション最上階が人気の理由としては、主に以下のようなメリットが挙げられます。
- 眺望がよく開放感がある
- 上階からの騒音がない
- 日当たり・風通しがよい
- 虫との遭遇率が低い
- プライバシー性が高い
- 資産価値が高い
- 高級感のある特別仕様になっているケースもある
それでは、マンション最上階のメリットについて解説します。
眺望がよく開放感がある
最上階は周囲の建物よりも上にある場合が多く、視界が遮られにくいため、眺望のよさや開放感を得やすくなります。仮に低層階や中層階でも眺望がよいとしても、階数が高いほど窓から見える景色の広がりに差が出ます。例えば低層階からは見えない富士山が、最上階からだと望められることもあるでしょう。そうすれば、日常生活のなかでも「リゾート感」を得られます。こうした眺望のよさは心理的な満足度にもつながりやすく、「最上階を購入したよかった」と感じる理由になります。
上階からの騒音がない
最上階の上には居住者がおらず、上階からの騒音に悩まされません。マンションは隣接住戸と壁で仕切られているため、防音性が低いと上階の足音や落下物の音など、生活音に悩まされる場合があります。また、意外と水回りの排水音が気になる方も少なくありません。排水は流れる際に配管に当たり、微弱な振動を発生させるため、大きな音を発しているように聞こえるためです。最上階には上階からの生活音の影響を受けにくく、静かで落ち着いた暮らしができるでしょう。
日当たり・風通しがよい
最上階は日当たりや風通しがよい部屋が多く、快適で明るい室内で過ごしやすくなります。日が入らない主な原因は近接した建物による影ですが、上階のバルコニーも日当たりを遮る一つの要因です。最上階の場合は上階のバルコニーがなく、室内に直接日が差し込みやすくなります。また、高い場所ほど風が強くなるため、室内の自然換気がおこなわれやすく、湿気による結露やカビ対策にも。日当たりや風通しのよさは生活満足度にも直結するため、大きなメリットになります。
虫との遭遇率が低い
最上階は低層階に比べて、虫との遭遇率が低くなります。虫は一般的に地面やゴミ置き場、排水溝などで発生し、発生地点から遠くなるほど遭遇率は下がります。最上階はマンションの中で発生地点からもっとも遠い場所であることが多く、低層階よりも虫と遭遇する機会が少ないです。
ただし、エレベーター内に虫が侵入したり、居住者に引っ付いたりして部屋に入る場合もあります。そのため、最上階だとしても、虫との遭遇率がゼロになるわけではありません。
プライバシー性が高い
最上階は通行人や隣接した建物からの視線が入りにくく、プライバシーが守られやすい住戸です。低層階では通行人の目線に居住スペースがある場合が多く、周辺環境によっては高い場所から見下ろされることもあります。一方、最上階は居住スペースと同じ高さの建物がない限り、なかなか室内を見ることはできません。下から見上げたとしても、下の階のベランダが邪魔となり、室内の様子を確認するのは困難です。人の視線が入りにくい部屋であれば、日中はカーテンを開けたまま、日差しが入る部屋でゆったりと過ごすこともできます。
資産価値が高い
住環境のよさや希少性の高さから、最上階は資産価値が高くなる傾向にあります。最上階は他の階層にはないメリットがあり、そのメリットを得たいと考える方も多いです。そのため、マンションの中でも需要が高くなる傾向にあり、需要の高さから資産価値も高くなります。
また、希少価値が高いため代わりとなる物件が少なく、競合による価格の下落が発生しにくい点も資産価値の安定化につながります。資産価値が高い最上階の物件を購入すれば、子どもに資産を残せる、万が一の時の備えになるなどのメリットが得られるでしょう。
高級感のある特別仕様になっているケースもある
最上階は他の階にないような、特別仕様で設計されている場合があります。具体的な例として挙げられるのは、以下のような内容です。
- 1部屋分もあるような広い専用ルーフバルコニーがある
- 他の階より天井が高い
- 付属している設備のグレードが高い
- マンションの中で専有面積が一番広い
- メゾネットになっている
特別仕様の箇所が多くなるほど価値が付加され、資産価値や住環境の向上が望めます。
マンション最上階のデメリット

マンション最上階にはいくつものメリットがありますが、デメリットもあります。最上階を検討する際は、以下のデメリットも考慮した上で購入するかを判断しましょう。
- 価格が高い
- 夏は暑くなりやすい
- 風が強い
- エレベーターの待ち時間が長い
- 災害時に避難しづらい
- 地震の揺れを感じやすい
- エレベーター故障時に階段の上り下りが大変
それでは、マンション最上階のデメリットについて解説します。
価格が高い
最上階は希少性や眺望のよさなどからの影響を受け、他の住戸よりも売出価格が高く設定される傾向にあります。価格が高くなるほど、住宅ローンの借入額が増える可能性も高くなり、借入額によっては審査に通らなくなる可能性もあります。
また、最上階は管理費や修繕積立金が高く設定されている場合が多いです。さらに、専用ルーフバルコニーなどの設備が付属している場合は、使用料がかかることもあります。最上階は購入価格も維持費も高くなる傾向にあるため、購入できる方が限定される物件とも言えます。
夏は暑くなりやすい
最上階の上には住戸がなく直接日差しが当たるため、夏は暑くなりやすい傾向にあります。隣に住戸があれば、その住戸内の空気が断熱材の役割を果たし、室温の上昇を抑えてくれます。たとえば、中住戸であれば外気から侵入する熱量は最上階よりも少なく、室温が高くなりにくい環境でしょう。
一方、最上階は天井から直接熱が入り込むため、室温が高くなりがちです。しかも、マンションの構造は蓄熱しやすいコンクリートが使われており、昼に蓄積された熱が夜まで放射されます。そのため、一日中エアコンを稼働させないと過ごしにくくなる場合もあります。
風が強い
最上階は周囲に風を遮る建物が少なく、強い風が当たりやすくなります。突風のような強い風が吹くと窓が「ガタガタ」と音を立てたり、洗濯物が飛散したりしやすくなります。特に、台風が接近すると風で揺れる場合もあり、生活するなかで不安に感じる場面があるかもしれません。
また、強い風が吹くと窓まわりから隙間風が侵入しやすくなり、冷暖房効率が下がる場合もあります。最上階は風の影響を受けやすいため、風による騒音や振動も考慮しておくべきでしょう。
エレベーターの待ち時間が長い
最上階でエレベーターを利用する場合は待ち時間が長くなり、到着を待つ必要があるケースが増えます。朝の通勤時間帯や夕方の帰宅時間帯は、多くの住人がエレベーターを利用するため、1階ごとにエレベーターが停止することもあります。最上階にエレベーターが到着するまでに、数分以上待たされるケースはめずらしくありません。
しかし、時間がないため階段を利用しようと考えても、1階までは長いため余計に時間がかかることが多く、結局はエレベーターを待つことになる場合も多いでしょう。特に、朝の数分は貴重な時間であり、待たされることにストレスを感じる方がいるかもしれません。
災害時に避難しづらい
災害発生時にエレベーターが停止すると避難しづらくなり、さまざまなリスクが生じます。たとえば、高齢の方や体調が悪い方が最上階から階段で降りる場合、転倒するリスクやより体調が悪化するリスクが高くなります。
また、豪雨時、地上に到着した時には時間の経過により大雨の被害が進行し、浸水の深度が深くなっているケースもあるでしょう。災害時には素早く、安全な時に避難することが大切であるため、避難に時間がかかるのは大きなデメリットかもしれません。
地震の揺れを感じやすい
最上階は建物の高層階にあるため、揺れを感じやすい傾向にあります。建物は高くなるほど揺れの振れ幅が大きくなり、ゆっくりと大きく揺れます。小さな地震でも、高層階だと揺れが大きくなって家具が転倒したり、収納物が飛散したりしやすくなるため注意が必要です。
マンションが免震構造や制振構造になっていたとしても、完全に揺れを防ぐことはできず、最上階は比較的地震の影響を受けやすい住戸と言えます。大きな地震が発生した場合、被害が大きくなりやすいため、家具の固定や窓ガラスの飛散防止など十分な対策が不可欠です。
エレベーター故障時に階段の上り下りが大変
最上階に居住する場合、エレベーターの故障時の上り下りを考慮しなければなりません。居住する階数が高くなるほどエレベーターに依存する度合いが強くなり、最上階に住む場合は生活に必要な物を運ぶのにもエレベーターの利用が不可欠です。
故障時には食品や日用品を階段で運んだり、小さな子どもがいる場合は背負ったりして上り下りする必要があります。故障が長引くと生活に大きな影響を与えてしまうため、最上階の購入を検討する際は、エレベーターの停止リスクも考慮することが大切です。
マンション最上階が向いている人

マンション最上階が向いている人は、以下のようにご自身の希望が最上階のメリットとマッチしている方です。
- 資産価値やステータスを重視する人
- 景色や開放感を重視する人
- どうせ買うなら妥協をしたくない人
- 親戚や友人をよく招く人
- 静かな環境で暮らしたい人
- 日当たり・風通しを重視する人
最上階は資産価値が高く、希少価値があるため、資産性やステータスを重視する方におすすめです。住環境を重視する方にも向いており、眺望や日当たりのよさを感じたり、上階からの音を気にせず生活できたりするなどの利点があります。また、最上階は専有面積が広めに設計されていることが多く、大勢の人が訪れても狭さを感じにくいでしょう。
マンション最上階が向いていない人

マンション最上階が向いていない人は、以下のような方です。
- 価格を抑えたい人
- 小さな子どもや高齢者がいる家庭
- エレベーターの故障や停電に不安がある人
- 高いところが苦手な人
- 災害リスクを抑えたい方
最上階は他の階層よりも高額になりがちであり、マンションの購入費用を抑えたい方には向いていません。また、災害や故障などによるエレベーター停止の影響を受けやすく、小さな子どもや高齢者がいる家庭は、階段の上り下りに関するリスクを考慮する必要があります。そして、当然ながら最上階は高い位置にあるため、高いところが怖いと感じる方にはおすすめできません。
階数だけではない!マンションを買う際に確認すべきポイント

マンション購入を検討する際には階数に関係なく、以下のような点をチェックしましょう。
- 部屋の位置・向き
- エントランスへの動線
- エレベーターの位置
- ゴミ捨て場の位置
- 共用施設までの距離
周辺環境や交通利便性、資産価値などを調査するだけでなく、マンション自体の使いやすさの確認も重要なポイントとなります。
部屋の位置・向き
部屋の位置や向きは、資産価値にも影響します。位置や向きによる資産価値への影響は、以下のとおりです。
| 位置 | 低層階⇒中層階⇒高層階⇒最上階の順に高くなる |
|---|---|
| 中住戸⇒角住戸の順に高くなる | |
| 向き | 北⇒西⇒東⇒南の順に高くなる |
このような価格差が出る理由は、日当たりや眺望、風通しのよさに影響を受けていることが挙げられます。北向きよりも南向きのほうが、中住戸よりも角住戸のほうが日当たりや風通しがよいためです。
ただし、物件によっては資産価値の差に違いがある場合もあります。たとえば、南向は隣の建物に遮られており、東向きは眺望や日当たりがよい場合、東向き住戸のほうが高価格で売買されることもあるため注意が必要です。
エントランスへの動線
物件を内覧する際は、エントランスへの動線を確認しましょう。不動産会社が作成する物件資料には、エントランスから駅や施設までの距離が掲載されます。ただし、これはあくまでエントランスからの距離であり、住戸からの距離ではありません。大規模マンションの場合は住戸からエントランスまで到達するのにも時間がかかる場合があり、動線を確認しないと荷物の運搬、日々の移動などに苦労する恐れもあります。エントランスから住戸への動線は生活の快適さに影響を与えるためチェックが必要です。
エレベーターの位置
エレベーターの位置は、住環境や利便性に影響を与えます。住戸からエレベーターが近い場合、荷物を運ぶ距離が短くなり利便性が向上します。しかし、あまりにもエレベーターの位置が近いと、機械音が響いたりエレベーター待ちの人の声が聞こえたりするなど、住環境が悪化する可能性があるため注意が必要です。
内覧時、エレベーターを稼働させて住戸内から音は聞こえるか、重い物を持ってエレベーターから住戸まで移動した時にストレスを感じるかを、実際に試してみるとよいでしょう。そうすれば、自分に適したエレベーターまでの距離がわかるはずです。
ゴミ捨て場の位置
ゴミ捨て場の位置は住環境に大きな影響を与えます。住戸からゴミ捨て場が近いとゴミ出しが楽になり、体に負担がかかりにくくなります。しかし、距離が近すぎると夏場に悪臭を感じたり、虫が部屋に入り込んだりするなどの問題が発生するかもしれません。そのため、内覧時、ゴミ捨て場までの距離が適切かを確認する必要があります。
また、ゴミ捨て場の位置を確認する際には、ゴミ捨て場の状態も併せて確認しましょう。ゴミ出しルールが守られていない、ゴミ回収の後も細かなゴミが散乱しているなど、管理状態が悪いと距離があっても悪臭や虫の被害が発生しやすくなります。
共用施設までの距離
内覧時には共用施設までの距離を確認しましょう。共用施設の中には、宅配ボックスや郵便受けなど日常的に利用するものがあります。また、人によっては毎日フィットネスジムや駐車場など、特定の施設を日常的に利用する人もいるでしょう。
住戸からそれらの施設まで距離が長い、動線が悪いなど問題がある場合、生活の快適性に大きな影響を与えます。特に、大規模なマンションになると共用施設までの距離が長くなる傾向にあるため、距離の確認が不可欠です。
まとめ
ここからは、マンションの最上階について簡単に整理します。
マンションの最上階ってどう?価格が高い理由は?
最上階の価格が高い主な理由は眺望や日当たりがよい、専有面積が広いなどさまざまな要因があるためです。その結果、低層階の価格と比べると+5%~15%ほど高くなると言われています。また、特別仕様になっている場合は、価格が跳ね上がることもあります。
マンションの最上階に住むメリットは?
マンションの最上階に住むメリットには、「眺望がよく開放感がある」「上階からの騒音がない」「資産価値が高い」などが挙げられます。高い建物の一番上にある住戸であり、その位置の特性がメリットにつながっています。
マンションの最上階に住むデメリットは?
マンションの最上階に住むデメリットには、「価格が高い」「夏は暑くなりやすい」「地震の揺れを感じやすい」などが挙げられます。高い位置にあることにはメリットも多いですが、一方でデメリットもあるのです。
マンションを買う際に階層以外で確認すべきポイントは?
階層以外で確認すべきポイントは、「エントランスへの動線」「エレベーターやゴミ捨て場の位置」「共用施設までの距離」などです。購入を検討する際は住戸に目が向きがちですが、それ以外の要因も生活の快適さや資産価値に影響するため、内覧時に確認しましょう。
マンションの最上階は眺望がよい、専有面積が広いなどメリットが多く、マンションの階層のなかでも「憧れの部屋」とイメージされがちです。ただし、メリットばかりに目がいきがちですがデメリットもあるため、最上階が自分に適しているかをしっかり見極めることが大切です。最上階が自分に合っていると判断できれば、「最上階を購入してよかった」と感じられることでしょう。
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