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3階建ての住宅を選ぶデメリットは?後悔しないためのポイントを解説!

都市部では土地が高騰しており、広い土地の確保が難しい状況にあります。3階建て住宅は、狭い土地であっても十分な居住スペースを確保できるメリットがありますが、デメリットもあります。3階建て住宅の欠点を理解したうえで選ばなければ、建ててから後悔するかもしれません。

本記事では、3階建て住宅のデメリットと後悔しないためのポイントを紹介します。記事を読むことで、3階建て住宅を選ぶうえで気を付けるべきことがわかるようになるでしょう。

3階建ての住宅を選ぶデメリット

3階建て住宅のデメリットを紹介します
3階建て住宅のデメリットを紹介します

3階建ての住宅を選ぶデメリットは以下です。

階段移動が負担になる

3階建て住宅の生活は、若い時はそれほど気にならなくても、年を重ねるほど階段移動が負担になります。また、小さなお子さんがいる場合にも、階段から転落するなどのリスクがあるでしょう。高齢の親と同居するケースや、小さなお子さんがいる場合、階段中心の生活はリスクが高くなります。さらに、自身が年を重ねた際のことも考慮する必要があるでしょう。
また、家事・生活動線に上下移動が絡むと複雑化しやすくなります。例えば、洗濯機が1階、物干し場が3階、衣服を収納するクローゼットが2階にある家は、洗濯で階段を何度も上り下りする必要があります。日々の生活に欠かせない家事を億劫に感じてしまうと、毎日の暮らしの満足度にも影響するかもしれません。

建物の揺れを感じやすい

3階建ての住宅は、地震や強風で揺れを感じやすい構造です。特に木造住宅では、建物の重心が高くなるため、振動が大きく伝わりやすい傾向があります。上階ほど揺れを大きく感じやすく、地震のたびに不安を感じるかもしれません。

また、1階部分をビルトインガレージにするケースでは、1階部分が空洞で間口が狭いため、通常の3階建てよりも耐震性に不安があります。3階建て住宅は他の構造の家と比較して、耐震性を高めることを重視して建てる必要があるでしょう。

上下階で温度差が激しい

空気は、暖かいと密度が小さく軽いため上に溜まり、冷たいと密度が大きく下に溜まる性質があります。縦に長い3階建てでは、上下階で温度差が激しくなりやすく、快適な室温を保つことが難しくなるでしょう。

光熱費が高くなりやすい

先述のとおり、3階建てでは上下階の気温差が激しくなりやすいため、それぞれの階で快適な室温にするために冷暖房の使用頻度が高くなるでしょう。また、階数が多い分、部屋数も多くできるのが3階建ての魅力ですが、部屋数が増えればその分電気代も高くなります。複数個の洗面台やトイレを設ければ水道代もかかるでしょう。結果、光熱費がかさみやすいデメリットがあります。

家具の搬入が難しい

3階建ての住宅は、階段や通路が狭くなりやすいため、大型家具や家電の搬入が難しくなることも。2階・3階に搬入する場合、大型の家具が階段・通路を通らず、クレーン車を使用して窓やベランダから搬入するケースも珍しくありません。将来的に家具を買い替える際にも、搬入方法を考慮しなければならないでしょう。

一部の部屋で光が入りにくい

3階建ての住宅は高さがあるため、1階・2階部分には光が届きにくいことも。都心では隣家との距離が近く、建物に囲まれて日当たりが悪くなるケースもあります。

昼間でも外の光が届かず暗い部屋ができてしまう可能性も。採光が確保できない部屋は、湿気やカビの発生リスクも上昇するため、各部屋の光の入り方も考慮して設計する必要があるでしょう。

Wi-Fiがつながらない場合がある

3階建ての住宅の1階部分にケーブルを引くと、Wi-Fiルーターの電波が上階に届きにくいため、つながりにくいケースがあります。

在宅勤務をはじめ、インターネットを多用する場合は、3階建ての暮らしはストレスになることも。Wi-Fiの中継器を活用したり、3階建て対応のルーターを使用したりするなどして、通信環境に気を配る必要があるでしょう。

家族のコミュニケーションが取りにくい

3階建てはフロアが分かれるため、家族が別々の階で過ごす時間が長くなり、コミュニケーションが取りにくい傾向にあります。例えば、子どもが成長し、3階の個室にこもりがちになり、顔を合わせる機会が減ることも。

気になる場合は、必ずリビングを通らないと上階に上がれない設計にするなど、家族間の交流をうながす間取りの設計が求められるでしょう。

法規制で思い通りの家を建てにくい

高さがある3階建ては、法規制の制約を受けやすいデメリットがあります。例えば、建物の高さ制限、北側斜線制限により天井の高さや屋根の形が制限されることも。法規制は自治体によって異なりますが、建物を建てる前の土地を購入する段階で、規制を正しく理解して土地を選ばなければ、思い通りの家を建てられないかもしれません。

補修に手間と費用がかかる

3階建ての住宅は、高さがあるため補修の難易度が高くなります。外壁や屋根の補修・塗装をおこなう際には、足場を組む必要があり、他の構造の住宅と比較して費用が高騰しやすいでしょう。足場の費用は建物の階層が高くなるほど上昇する傾向にあります。頻回にメンテナンスが必要になると費用もかさんでしまうため、新築する段階で耐久性・防汚性の高い建材を選ぶなど、できる限りメンテナンスの頻度を減らす工夫をしましょう。

3階建ての住宅を選ぶメリット

3階建ての住宅を選ぶメリットを紹介します
3階建ての住宅を選ぶメリットを紹介します

3階建ての住宅を選ぶメリットは以下のとおりです。

限られた土地を最大限に活用できる

都市部は住宅が密集しているうえに、近年では土地の価格が高騰しているため、地域によっては広い土地の購入が難しい場合も。3階建ての住宅は、狭い土地であっても縦に延床面積を広げられるため、都市部でもゆとりのある生活空間を実現可能でしょう。

3階建ては土地価格が高い都市部で、限られた土地を最大限に活用できる方法です。

目的に応じてフロアを使い分けられる

3階建ての住宅は、フロアごとに用途を分けやすいメリットがあります。例えば、在宅で勤務する人であれば、1階部分をワークスペース、2階・3階部分をプライベートな空間にする設計が考えられるでしょう。フロアごとに空間を区切ることで、仕事とプライベートを分離しやすく、ストレスの少ない暮らしが可能です。
フロアと部屋数が多ければ、将来的に子どもが生まれた場合や、高齢の親と同居する場合も柔軟に対応しやすいです。子どもが成長して家を出た場合は、子ども部屋として使用していた部屋を別の目的で部屋を使用できるでしょう。3階建ては将来のライフスタイル・家族構成の変化に合わせて、柔軟に対応しやすい住居です。

プライバシーを確保しやすい

3階建ての住宅は、上下の階層構造によってプライバシーを確保しやすいことが魅力です。都市部では住宅同士の距離が近く、隣家・道路からの視線が気になる場合もあります。しかし、リビングや寝室を上階に配置すれば外からの視線を遮ることができるでしょう。

また、家族間のプライバシーを確保しやすい点もメリットです。例えば、1階部分を親の居住スペース・寝室、2階部分をリビング、3階部分に子ども部屋を設置する間取りが考えられます。リビングで適度にコミュニケーションを取りつつ、家族同士でそれぞれの空間を独立させやすいでしょう。

水害のリスクに強い

台風・豪雨による浸水被害が発生した場合、3階建ての住宅は、他の構造の家と比較しても水害リスクに強いです。浸水の被害に遭った場合も、2階・3階部分に逃げられるため、安全を確保できます。建物が高いほど、水害に備えやすくなるため、水害の被害に遭いやすい低地エリアに住む場合も、3階建ての構造は選択肢になるでしょう。

上階は虫が少なく窓を開けやすい

3階建ての住宅の上階は、地上からの距離が遠いため、害虫が侵入しにくいメリットがあります。

また、上階は日差しが入りやすく、カビやダニの発生を防ぎやすい利点もあるため、虫による被害が発生しにくいです。前の住居で虫に悩まされたことがある人にとっては、実感しやすいメリットになるでしょう。

3階建てを選んで後悔しないためのポイント

3階建てを選んで後悔しないためのポイントを解説します
3階建てを選んで後悔しないためのポイントを解説します

3階建てのデメリットを理解して対策をすることができれば、後悔するリスクを減らせます。本章では、3階建てを選んで後悔しないためのポイントを解説します。

生活動線を意識した間取りを考える

3階建て住宅は縦に空間を使う構造のため、日常生活の階段移動が多くなることは避けられません。しかし、間取りを工夫すれば、動線を短くして生活しやすい設計にできます。例えば、洗濯の動線を考えるなら、洗濯機と干し場の距離をできる限り短くすれば、階段の上り下りの負担も減ります。

また階段の位置は建物の端ではなく、中央に配置すれば、各階へのアクセスがスムーズになるでしょう。家での生活は移動距離が長くなるほど、不便を感じやすいため、実際に暮らした時の生活動線を想定した設計が重要になります。

将来のバリアフリーを考慮する

3階建ての住宅は、階段の上り下りを中心に将来のバリアフリーを考慮した設計が重要です。階段の段の高さを低く設定し、幅を広く取ると、高齢者や子どもが利用する場合も安全になります。階段の昇降を補助できる手すりの配置も必要になるでしょう。階段の昇降を避けたい場合は、ホームエレベーターの設置も選択肢の一つです。

また、トイレや水回りの設備を複数個設ければ、上下移動の頻度を減らせるでしょう。3階建て住宅は今の快適性だけでなく、将来のバリアフリーも考慮して設計すれば、長く安心して暮らせる住宅になります。

耐震性を重視して設計する

どの構造の住宅にも言えることですが、地震の多い日本で安全に暮らすためには、耐震構造を重視した設計が重要。地震に対する建物の強さを3段階で表す「耐震等級」は数字が大きいほど耐震性が高いことを示し、一般的な住宅では耐震等級2以上で設計すると安心です。ハウスメーカーに相談をして、耐震性を上げるために必要なアプローチを考えましょう。また、上階に重い家具や設備を集中させると重心が高くなり、地震時の揺れが大きくなります。

冷蔵庫などの大きな家具・家電はなるべく1階・2階に配置し、建物全体の重心を下げることも心がけましょう。

温度調整ができるように設備を整える

3階建ての住宅は上下階で温度差が生まれやすいため、温度調整ができるように設備を整えることが重要です。高断熱・高気密を意識した断熱材を採用すれば、外気の影響を減らして、室温の安定性を図れます。

また、部屋ごとに独立したエアコンを設置すれば、階ごとの温度管理がしやすくなります。設備を整えるためには、初期費用は高額になるかもしれませが、快適性を重視するなら、必要な出費でしょう。

実績の豊富な施工会社を選ぶ

3階建ての住宅は他の構造の住宅と比べて法的な規制が多い傾向にあります。設計難易度が高いため、3階建てに実績のあるハウスメーカー・工務店を選ぶことが重要です。

設計段階から、構造・間取り・コストのバランスを考えた提案をしてくれる会社を選ぶと安心でしょう。また、どの構造の住宅にも当てはまりますが、注文住宅を建てる際には施工会社を決めてから土地を選ぶのがおすすめです。土地を選定する段階から相談すれば、失敗や後悔するリスクを大きく減らせます。

3階建て住宅を選ぶ際の注意点

3階建て住宅を選ぶ際の注意点を解説します
3階建て住宅を選ぶ際の注意点を解説します

3階建て住宅を選ぶ際の注意点をまとめました。

土地は安く建設費が高くなる傾向にある

3階建ての住宅を建設する場合、狭い土地でも建てられることから、土地の取得費は安くなりますが、一般的に建設費は高くなります。建物を縦に高く建てるためには、構造的な強度や安全性を確保するための追加コストが発生するからです。

3階建て住宅を建てる場合は、建築基準法に基づいて、構造計算(許容応力度計算)が義務付けられています。これは、建物が地震や風に耐えられるかを専門的に検証するため。2階建ては簡易計算で済む場合もありますが、3階建て住宅では詳細な構造設計が必要になるでしょう。

構造的な強度や安全性を確保するために、地盤が弱い地域では地盤改良工事が必要になり、耐震性を確保するためのコストも発生します。3階建ての住宅を安全で快適な住まいにしようとすれば、建設コストの高騰は避けられないでしょう。

買い手が限られる

3階建て住宅は、維持費の高さや生活・家事動線の複雑さ、バリアフリーでないことなどから売却時の需要が限定される傾向にあります。

将来的に売却を検討している場合は、売りにくい可能性があることを理解しておきましょう。

まとめ

3階建ての住宅はデメリットがある一方で、広い土地の購入が難しい都市部でも限られた土地を有効活用して生活空間を確保できます。住む場所によっては、理想の住宅を建てるために3階建ての構造が必要になることも多いでしょう。

設計次第では、デメリットを緩和して暮らしやすい家を建てられます。経験豊富な施工会社を選び、適切な形で建築できれば、長く安心して暮らせる理想の住まいを実現できるでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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