【実例】狭小地とは?メリット・デメリット、間取りや家を建てる際の工夫ポイントをご紹介
記事の目次
狭小地とは?

先述のとおり「狭小地」に明確な定義はありませんが、一般的に15~20坪(約50~66平方メートル)以下の土地を狭小地と呼びます。
狭小地は土地開発や道路の拡幅、相続による土地の分割の過程などでできるため、不整形であったり、間口が狭かったりするのが特徴です。比較的地価が高い都市部で見かけることが多くあります。
狭小地の種類
狭小地はさまざまな種類がありますが、大きく分類すると3つのタイプに分けられます。
変形地(三角地・台形地など)

1つ目は、三角地や台形地などの変形地です。もともとは四角形だった土地を分割することで三角形や台形の土地が生まれることがあります。なお、角度が鋭角になるほど、有効に使える部分が少なくなる傾向にあります。
旗竿地

2つ目は、旗竿地(はたざおち)です。宅地を分割する際、道路から見て手前と奥で分けるケースがあり、奥側の土地の接道義務を果たすために、L字にすると旗竿地が発生します。道路に面する間口部分は狭く、通常は通路や駐車スペースとして利用する場合が多いです。
傾斜地

3つ目は、道路と高低差のある傾斜地(けいしゃち)です。崖地は土地の面積が広くても、家が建てられる面積は狭いケースがあります。擁壁を作ってフラットな部分を増やす方法もあります。
狭小地に家を建てるメリット

狭小地に家を建てるメリットを5つご紹介します。
購入費用を抑えられる
1つ目は、土地の購入費用を抑えられるのがメリットです。狭小地は物理的に狭いため、整形地に比べて土地の価格が低い傾向にあります。
地価が高く難しいと諦めていたエリアでも、狭小地であれば予算内で見つかるかもしれません。また、狭小地を選べば、固定資産税や都市計画税の税負担も小さくなり、購入後の支出も抑えられます。
利便性の高いエリアに住める
駅や商業施設の近くなど、利便性が高いエリアは土地の相場が高くなります。しかし、狭小地も視野に入れることで選択肢が増え、予算に合った土地を見つけやすくなるでしょう。
家事の負担が軽減される
狭小地に家を建てれば、必然的にコンパクトな間取りになります。平均的な大きさの家に比べて、掃除する面積は小さく、家事動線は短くなります。掃除や洗濯など、家事にかかる時間や労力を削減できるでしょう。
光熱費の節約につながる
部屋数が少なければ、冷暖房器具や照明器具も少なくて済むうえに、家がコンパクトな事で効率よく冷暖房を使用することができます。そのため光熱費を節約できるのがメリットでしょう。
建物のデザイン・インテリアにこだわれる
狭小地を選択して土地の購入費を抑えられれば、その分建築費やインテリアに費用をかけられます。こだわりを詰め込んでおしゃれなデザインの家を建てたい方におすすめです。
狭小地に家を建てるデメリット

狭小地に家を建てると、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。ここでは、特に注意したいデメリットを紹介します。
居住空間が狭い
1つ目のデメリットは、居住空間が狭いことです。土地面積が小さい狭小地には大きな家は建てられないため、人によっては窮屈な印象を受けるかもしれません。
採光・通風が難しい
狭小地は、採光や通風が望めないのがデメリットです。土地面積が小さい狭小地は、隣地との間に採光や通風のための空間を確保するのが難しいからです。また、周囲も住宅密集地であるケースが多く見られます。
生活動線が作りにくい
狭小地に建てる家は、限られた床面積のなかに間取りを配置しなければならず、複雑な生活動線になる可能性があります。また3階建てや地下室を採用すると、空間は縦に伸びるため、上下移動が必要になり、億劫に感じてしまうかもしれません。
建築費・メンテナンス費用が高くなりやすい
家の建築費用は、同じ構造・仕様であれば、狭い家ほど坪単価は高くなる傾向にあるので注意が必要です。比較的コストが高くなる水回りの設備が、建築費に占める割合が大きくなるからです。また、土地が狭く大きな重機が使えない場合は、工事や部材の運搬に手間や時間がかかり、人件費などがかさみます。これは新築する際だけでなく、改修工事の際も同様です。
庭や駐車場の確保が難しい
狭小地の形状や建物の配置、道路に面する間口によっては、庭や駐車場の確保が難しいのがデメリットです。駅に近い立地であれば、自動車を持たないのもひとつの方法でしょう。また、バルコニーを庭のように活用するなど、発想を転換してプランニングしてみてください。
売却しにくい
狭小地は、一般的な広さの土地に比べて需要が低い傾向にあります。また、金融機関の担保評価が低く、ローンが組みにくいことも、購入希望者が購入を断念する要因のひとつとなってしまうかもしれません。そのため、売却までに時間がかかる可能性も想定しておきましょう。
狭小地に家を建てる際のポイント
ここからは、狭小地に家を建てる際に押さえておきたい8つのポイントを解説します。
吹き抜け

部屋の狭さと暗さが気になるときは、吹き抜けの採用を検討してみましょう。吹き抜けは空間を縦方向に広げられるため、限られた床面積でも開放感を演出できます。また上階とつながる空間は、太陽光の明るさを取り込みやすくなります。このとき太陽光が反射するような白いクロスを選ぶのも、広さを感じさせるのに有効なテクニックのひとつです。
オープン階段

オープン階段とは、段板の間に蹴込み板がなく、骨組みと踏板で構成された階段です。スケルトン階段やシースルー階段とも呼ばれます。上部から注ぐ光や風を遮らないため、圧迫感がないのが特徴です。リビングに配置すれば、吹き抜けのような効果もえられます。
天窓・高窓

狭小地では隣家の窓や壁が近く、十分な採光や通風を得るのが難しいケースがあります。状況に応じて天窓(屋根に設ける窓)や高窓(高い位置に設ける窓)も設置して、光や風を取り込む工夫をしましょう。
地下室

床面積が足りないときは、地下室を作って居住空間を広げる方法があります。地上に比べて、地下室は建築費が高くなりますが、道路との高低差を利用すれば、コストを抑えることも可能です。温度や湿度が安定しやすく、防音性が高いのも、地下室ならではのメリットもあります。
中庭
明るさが足りないと感じたら、中庭の設置を検討してみてください。周囲が建物に囲まれていても、上部からであれば比較的簡単に光を取り込めます。
L型キッチン

狭小地に家を建てる場合、条件によっては大きなキッチンを設置できないケースもあります。「小さいキッチン=I型」と連想する方が多いかもしれませんが、コーナーを利用してL型キッチンを設置するのもおすすめです。家事動線が短いうえ、コンパクトなキッチンが成立しやすいでしょう。
3階建て

狭小地で床面積を増やしたいときは、3階建てを検討しましょう。3階建ては居住空間を増やせるのがメリットですが、実はそれだけではありません。建物を高くすることで太陽光を取り込みやすくなり、空間を縦に延ばすことで、開放的な空間になるからです。
スキップフロア・ロフト

「床面積を増やしたいけれど、予算的に地下室や3階建てが難しい」とお悩みの方には、スキップフロアやロフトがおすすめです。床と天井の間に第二の床を造作できれば、書斎やプレイルーム、収納スペースなど、異なる用途で活用できます。
狭小地に建つおしゃれな注文住宅の実例3選
狭小地に建てられた、おしゃれな注文住宅の実例3選を紹介します。
スムーズな動線で生活しやすい家

こちらは、1階だけで生活できるように、LDKや水回り、寝室をすべて1階にレイアウトした間取り。さらに、寝室からリビングにもトイレにも行ける回遊動線にしたことで、日々の生活が機能的になりました。勾配天井の吹き抜けがあるリビングは、明るく開放的な印象を演出でき、この家の魅力のひとつとなっています。
耐震性・耐熱性を高めた安心できる家

築50年のご自宅を、スタイリッシュな3階建てに建て替えた実例です。土地面積は約20坪ですが、家族5人が暮らすのに十分な空間を確保しています。見た目だけではなく、耐震性のある2×4(ツーバイフォー)工法と、断熱性能が高い樹脂サッシを採用して、暮らしやすさも実現しました。
狭さを活かしたスタイリッシュな外観の3階建て

車2台分のスペースと4LDKを入れるために試行錯誤した結果、3階建てを選択した実例です。1階には2部屋、2階にはLDKと水回り、3階に2部屋とバルコニーをレイアウトしました。狭小地ながら、見事に4LDKを実現しています。
狭小地に建つおしゃれな注文住宅を動画でもご紹介【アットホームTV】
狭小住宅に建つおしゃれな住宅を、動画でもご覧ください。
【ライクスホームの超狭小住宅#1】土地を最大限に活かしたLDK
わずか46平方メートルの土地を限界まで使って、家族がゆったりくつろげるLDKを実現した実例です。内装デザインや間接照明にもこだわっています。超狭小地に建てられた、おしゃれな注文住宅をご覧ください。
【ライクスホームの超狭小住宅#2】壁に設置された本棚の秘密とは……?
超狭小地に建つ3階建ての注文住宅には、随所にマネしたくなる工夫やこだわりが詰まっています。何の変哲のない本棚に見えますが、実はある秘密が隠されています。ぜひ本編でご確認ください!
まとめ
最後に、狭小地のおさらいをします。
狭小地とは?
狭小地とは、一般的に15~20坪以下の土地を意味します。土地開発や道路の拡幅、相続による土地の分割の過程などでできるため、不整形であったり、間口が狭かったりするのが特徴です。
狭小地の種類は?
狭小地といってもさまざまな種類がありますが、主に変形地、旗竿地、傾斜地の3つに分類できます。
狭小地に家を建てるメリット・デメリットは?
狭小地を選択すれば、駅近など条件のよい土地も、予算内で見つけやすくなります。また、土地の購入費用を抑えた分、建築費に配分できるので、こだわりの詰まったおしゃれな家を建てられるでしょう。ただし狭小地に家を建てると、居住空間は狭く、日当たりや通風が望めない可能性があります。
狭小地にはメリット・デメリットがありますが、その特徴を理解して、デメリットも生かす工夫が大切です。狭小地に対するノウハウと、提案力があるハウスメーカーや工務店に相談するようにしてください。
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