このページの一番上へ

固定資産税が高くなる家の設備とは?評価の仕組みと節税対策を解説!

固定資産税の評価の仕組みと固定資産税が高くなる設備を解説します
固定資産税は、家の設備の選び方一つで、数千円から数万円単位で変動することがあります。知らずに導入した家の設備が、予想外の税額アップを招くケースもめずらしくないでしょう。

特に、ホームエレベーターやキッチン、床暖房などのグレードによっては、固定資産税が高くなりやすい傾向にあるため、利便性と税負担のバランスを見極めることが重要です。

本記事では、固定資産税が高くなる仕組みと、実際に課税額が上がりやすい家の設備の具体例を解説します。高額な設備を取り入れる前に、税負担を知って賢く計画しましょう。

固定資産税の評価の仕組み

固定資産税の評価の仕組みを解説します
固定資産税の評価の仕組みを解説します

固定資産税は、建物や土地などの固定資産に対して課される税金です。住宅の場合、建物の構造や仕様、設備によって評価額が変わり、税額に直結します。建物の評価方法には、再建築価格方式が用いられ、使用されている設備や仕上げ材のグレードが評価点数に影響します。

例えば、一般的なキッチンや洗面台でも高級仕様であるほど評価額が上がり、結果として毎年の税負担が増すことになるため、注意しましょう。

固定資産税の評価額は随時見直される

「一度決まった固定資産税の評価額は、ずっと変わらない」と思っている方も多いかもしれません。しかし、固定資産税の評価額は、原則3年に一度のタイミングで見直される「評価替え制度」があります。

加えて、建物に増改築や大規模なリフォーム、特定設備の追加・撤去があった場合には、3年を待たずに随時見直されるケースもあります。例えば、あとからビルトインエアコンやソーラーパネルを設置した場合、評価対象と判断された際は、課税額が途中から上がることもめずらしくありません。

反対に、減築や設備の撤去などで資産価値が下がれば、評価額が下がる可能性もあるでしょう。住宅の価値は変動するものであり、税額も固定されるわけではないと理解しておくことが大切です。

固定資産税の評価額は設備によって左右される

固定資産税評価額に影響する設備を確認しましょう
固定資産税評価額に影響する設備を確認しましょう

固定資産税の評価額は、土地や建物の広さだけではなく、設置された設備によっても大きく変動します。特に、建物内部の設備は、グレードや仕様によって課税評価に与える影響が顕著です。つまり、同じ広さや構造の家であっても、設備の選び方一つで毎年の税負担に数万円単位の差が生じる可能性も。

高機能な設備が快適な暮らしを提供する一方、税金面でのコストになるケースも多く、十分な理解と計画が必要です。本章では、固定資産税の評価額に影響を与える設備と課税ポイントを整理します。

固定資産税評価額に影響する家の設備

固定資産税の課税評価では、住宅に設置された設備の種類や仕様が、建物の評価額を大きく左右します。特に快適性や利便性を高める高機能な設備は、建物の資産価値を高める要素として評価点が加算され、税額の増加につながるケースが多く見られます。

注意したい点が、住宅に標準的に備え付けられている「固定設備」です。オプションや家電とは異なり、建物の一部と判断されるため、課税対象になる点に注意しなければなりません。

また、キッチンや浴室、トイレ、洗面台などの水回り設備は、設置された種類やグレードによって評価点が変動します。さらに、ビルトイン型のエアコンや換気システム、床暖房なども評価対象となり、利便性が高くなるほど税額も増える傾向にあるでしょう。

住宅に組み込まれた設備は、快適性を向上させる一方で、毎年の固定資産税を押し上げる原因にもなります。どの設備が評価額に影響するのかを把握しておくことで、コストと快適性のバランスの取れた賢い住まいづくりを実現できるでしょう。

家電製品は固定資産税の課税対象にならない

ほとんどの家電製品は、固定資産税の課税対象にはなりません。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、テレビなどの一般的な家電は、建物とは独立しており、簡単に移動・取り外しができるため「動産」として扱われるからです。よって、家電製品が課税評価に影響を与えることはありません。

一方で注意が必要なものは、ビルトイン型の設備です。キッチンに組み込まれた食洗機、オーブン、ビルトインエアコンなどは、建物と一体化しているため「建物附属設備」として評価の対象になります。つまり、設置方法次第で同じ機能の製品でも課税対象になるか否かが分かれます。

設備を選ぶ際には、利便性だけではなく「固定資産として評価されるか」という視点も持っておくと、税負担の想定がしやすくなるでしょう。

固定資産税が高くなる設備の具体例

固定資産税が高くなる設備の具体例を見ていきましょう
固定資産税が高くなる設備の具体例を見ていきましょう

固定資産税は、設備の種類やグレードによって、思わぬ差が生まれることがあります。同じカテゴリの設備でも、仕様やグレードによって課税額が大きく変動します。設計段階で気付かず導入してしまうと、あとから税負担を背負うことになりかねません。
建築プランやリフォーム内容を検討する際、見た目や機能性だけで判断せず、将来的な税負担も踏まえて選択することが重要です。それでは、固定資産税が高くなる設備を解説します。

ホームエレベーター

ホームエレベーターは利便性の高い設備ですが、課税上は高評価となります。一戸建て住宅に設置された場合、数十万円単位で評価額が上がることがあり、結果として年間の固定資産税が2〜3万円増加するケースもめずらしくありません。

また、3人乗りタイプや高速タイプなど、グレードが高くなるほど評価点も上がる傾向にあります。バリアフリー目的で設置されることが多い設備ですが、税負担を考慮すると、代替手段として昇降機の導入なども検討するとよいでしょう。

システムキッチン・洗面台

システムキッチンは標準仕様でも評価点が付きますが、間口が広い大型タイプや高機能仕様になると、さらに評価額が上がります。特に、ビルトイン型の食洗機やIHコンロ、収納付きカウンターなどが一体化している場合は、固定資産としての評価が高くなります。

洗面台も同様で、造作カウンターや2ボウルタイプなど高級仕様になると評価対象になる場合が多いでしょう。既製品のシンプルなユニットを採用すると、評価を抑えることが可能です。

外装材・屋根一体型ソーラーパネル

タイル外壁や漆喰仕上げのような高級な外装材は、見た目の美しさや耐久性と引き換えに、評価額が上がる傾向にあります。特に、全面タイル貼りは大幅な加点対象となり、建物全体の評価額を高める要因になります。

また、屋根と一体化したソーラーパネルは、屋根材と判断され、課税対象となるため注意が必要です。あと付けのソーラーパネルは課税対象外なケースが多いため、よく検討することが重要です。

天窓

天窓は採光やデザイン性の向上に貢献する設備ですが、開閉式のものは固定式よりも評価点が高くなります。開閉式の天窓は、通常の窓と同様に機能性が加わるため、建築評価の点でも加点されやすくなります。

一方で、固定式の天窓であれば評価は比較的抑えられるため、費用対効果を考えるうえでは固定式の採用が有利。小さな設備でも評価に与える影響が大きいため、慎重に選びたい部分です。

住宅の構造

住宅の構造が鉄骨造やRC造の場合、木造住宅よりも評価額が高くなります。耐久性や断熱性には優れますが、固定資産税の面では不利です。また、床の間の仕様が豪華なほど、課税評価が上がる傾向にあります。Low-Eガラスを使用した断熱窓や樹脂サッシなど、機能性の高い建具も評価点が高くなるため注意が必要です。断熱性能を優先するあまり、評価額が高額になるケースもあるため、バランスを見極めた仕様選びをしましょう。

ビルトインエアコン・換気システム

ビルトインエアコンは壁掛けタイプと異なり、建物に組み込まれているため、課税対象になります。設置箇所や台数に応じて評価点が加算されるため、広いLDKなどに複数台設置すると税負担が重くなるため注意しましょう。

また、換気システムも、第一種換気(給排気ともに機械式)は、第三種(排気のみ機械式)よりも高評価となる傾向があります。快適性と税負担のバランスを見ながら選定することが大切です。

水回り設備が固定資産税に与える影響

水回りが固定資産税に与える影響を見ていきましょう
水回りが固定資産税に与える影響を見ていきましょう

水回りの設備は、住宅の使い勝手を左右する要素です。しかし、トイレや洗面台などの水回りの設備は、意外にも固定資産税の評価に大きなウェイトを占めています。どの程度のグレードの製品を選ぶか、どこまで造作を加えるかによって、税負担に差が出ることもめずらしくありません。本章では、トイレや洗面設備への固定資産税の影響をポイントに分けて見ていきましょう。

トイレ設備の仕様による影響

トイレは住宅の基本設備であり、仕様によって評価が大きく変わる場合があります。例えば、自動開閉機能や温水洗浄便座、手洗いカウンター付きのモデルなど、高機能・高価格帯のトイレは評価点が上がります。

一般的なローグレードの製品であれば、大きな評価加算にはなりませんが、見た目や機能性にこだわると、結果的に税負担が増える可能性があるでしょう。

洗面スペースの設計による影響

洗面化粧台も、ユニットタイプと造作タイプで評価が分かれます。ユニットタイプであれば評価点は抑えられますが、カウンター造作や収納付き、大型ミラーなどが一体化している場合、設備としての価値が高く、評価されやすくなります。さらに、手洗いカウンターがトイレとは別に設けられている場合も、設備面での加点対象となるでしょう。水回りのグレードアップは生活の質を上げる反面、固定資産税への影響も無視できません。

税負担を抑える水回り設備の選び方

水回りは毎日使う場所であるため、利便性やデザイン性を優先したくなるでしょう。しかし、結果として評価額が上がり、固定資産税の負担が重くなることもめずらしくありません。特に、トイレや洗面所といった場所は空間が小さい分、予算に余裕があるとついグレードアップしてしまいがちですが、小さな仕様変更が税評価に大きく影響する可能性があります。

評価を抑えたい場合は、既製品のユニットタイプを活用したり、最低限の機能にとどめることも選択肢の一つです。設計段階で設備のグレードが評価に影響するかを事前に把握し、自治体の評価基準や建築士の助言を参考にしながら、機能とコストのバランスを取ることが重要です。快適性を損なわずに、将来の税負担も抑える設備選びを心がけましょう。

家にかかる固定資産税を抑えるための対策

固定資産税を抑えるための対策を解説します
固定資産税を抑えるための対策を解説します

固定資産税は避けて通れないコストですが、設備や構造の選び方によって、ある程度コントロールが可能です。無理にグレードを落とす必要はありませんが、評価基準を理解し、不要な加点を避ける工夫をおこなうことで、長期的な税負担を抑えることができます。本章では、課税を抑えるための設備選びの工夫や、制度を活用した方法を紹介します。

家の設備を見直して評価点を抑える

固定資産税を抑えるためには、設備選びの工夫が重要です。例えば、天窓を固定式にすることで評価点を抑えられ、ホームエレベーターの代わりに昇降機を選べば課税額を大幅に減らせます。

キッチンや洗面台は、あえて標準仕様を選ぶことで税負担を軽くできます。建築の初期段階から評価額を意識して設備を選定すれば、長期的に税負担を軽減できます。

建物の構造を見直す

構造による評価額の違いは、意外と見落とされがちです。鉄骨造やRC造は耐久性や遮音性が高く人気ですが、木造と比べて評価額が高くなる傾向にあります。結果、年間の固定資産税が数万円単位で増えることもあるでしょう。

税負担を重視するのであれば、木造をベースに耐震補強を施すなど、構造選びを工夫することでコストパフォーマンスのよい住宅設計が可能になります。

固定資産税の軽減措置を活用する

各自治体には、固定資産税の軽減措置が複数用意されています。代表的なものには、新築住宅に対する「新築軽減措置(3年間1/2軽減)」や「長期優良住宅に対する軽減措置」、小規模住宅用地は土地評価額が1/6になる特例などがあります。

固定資産税の軽減措置を活用すると、設備や構造による加算を一部相殺することも可能です。事前に自治体の制度を確認し、該当する措置があれば申請をおこないましょう。

固定資産税評価額の確認・異議申立てをする

住宅の完成後に送付される「固定資産税課税明細書」や「評価証明書」を確認し、評価額が想定以上であれば、自治体に説明を求めたり、場合によっては固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることが可能です。

固定資産評価審査委員会とは、評価額に対する納税者からの不服を審査・決定するために、地方税法に基づき設置された機関です。固定資産評価審査申出書と提出書類を揃え、固定資産評価審査委員会に提出すると、評価に誤りがある場合は修正されるケースもあります。

書類は申請期限が設けられているため、早めにチェックすることが重要です。

まとめ

固定資産税が高くなる設備を正しく理解し、導入前にしっかりと計画を立てることで、長期的な税負担を抑えられます。豪華な設備を選ぶことで快適性や満足度につながりますが、固定資産税が増加しやすい側面も忘れてはなりません。

家の建築やリフォームを計画する際は、設備の評価点や税額への影響を事前に確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、納得のいく住まいづくりを進めていきましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る