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HEMS(ヘムス)とは?仕組みからメリット、導入の注意点や補助金まで完全解説

家庭で使うエネルギーを可視化できるHEMSとは?具体的な仕組みや補助金について解説
注文住宅を建てる際に、HEMS(ヘムス)の導入を検討している方や、仕組みや機能について具体的に知りたい方もいらっしゃると思います。この記事では、HEMSの概要についてわかりやすく解説します。導入の注意点や活用までの流れ、HEMSで利用できる補助金について紹介しますので、検討中の方はぜひ最後までお読みください。

HEMS(ヘムス)とは?

HEMSとはどのようなシステムなのでしょうか?
HEMSとはどのようなシステムなのでしょうか?

HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使うエネルギーを「見える化」し、家電を自動制御する管理システムのことを言います。政府は2030年までに、全世帯へのHEMS設置、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指していますが、HEMSによるエネルギーの可視化により、節電意識の向上と、電気消費の抑制が期待されています。

HEMSの仕組み

HEMSの仕組みとは?
HEMSの仕組みとは?

はじめに、HEMSの基本的な仕組みについて解説していきます。

データ収集

家電の使用量や太陽光発電の発電量などのデータは、HEMSコントローラー(中央制御装置)に集約されます。専用モニターを中心に、パソコンやスマートフォン、タブレットなどでも確認することができるため外出先でもデータを手軽にチェックすることが可能です。

データ分析・表示

時間や部屋ごとのエネルギー消費量が表示されるため、節電意識が働き、無駄な電気消費を防げます。またHEMSは収集したデータを分析し、AIやアルゴリズムを活用して、エネルギーの使用状況を最適化します。

自動制御

「ECHONET Lite」(※)に対応した家電と連携すれば、自動制御も可能です。自動制御とは、HEMSが状況を判断して、家電の運転を最適化する仕組みです。室温の変化に反応して、エアコンを運転させたり、太陽光発電で発電した電気を売電するか、それとも蓄電池に貯めるかなどの判断をしてくれます。

(※)異なるメーカーの家電・設備機器を接続して、相互接続や遠隔制御するための共通通信規格

HEMSの主な機能

HEMSの機能とは?
HEMSの機能とは?

次に、HEMSの主な機能について説明していきます。

エネルギーの見える化

HEMSは、家庭内の消費電力と電気代を、リアルタイムで確認が可能です。また年・月・週・日・時間帯別のエネルギー消費量を、部屋や家電ごとにチェックでき、節電の効果を数値で実感できます。

エネルギー管理の一元化

HEMSを導入すれば、エネルギーの使用状況を把握・制御でき、一元管理できます。

家電の自動制御

HEMSの導入によって、電気料金が安い時間帯に、洗濯機や乾燥機を運転させるような使い方もできます。また、蓄電システムや充電式バッテリーを活用すれば、電気使用量が安い時間帯に蓄電(充電)しておき、電気の使用が高まる時間帯に使えます。

家電の遠隔操作ができる

HEMSコントローラーを導入すれば、スマートフォンやタブレットで遠隔操作が可能です。帰宅前に玄関照明を付けておく、お風呂を沸かしておく、エアコンのスイッチを入れて室内の温度や湿度を調整することも可能です。

水道代やガス代も一元化

HEMSは、電気代だけでなく、水道やガスの使用量や料金も見える化できます。月々の水道光熱費を一目でチェックできるので、家計の支出予測や低減に役立ちます。

省エネ性能の向上

エネルギーの見える化により、家族の節電意識が高まれば、省エネ性能はさらに向上します。自動制御や遠隔操作も上手に活用して、楽しみながら節電を心がけましょう。

HEMSのメリット

HEMSのメリットとは?
HEMSのメリットとは?

HEMSにはさまざまなメリットがありますが、ここでは代表的なメリットを4つ紹介します。

光熱費を削減できる

HEMS導入のメリットとして、光熱費の削減が挙げられます。電気の使用量を家電ごとに確認できるため、無駄な消費を発見しやすく、省エネ意識も向上します。また、電気料金が安い時間帯に家電を稼働させれば、光熱費の削減につながるでしょう。

利便性が向上する

HEMSの導入は、生活の利便性も向上します。エアコンを遠隔操作できるため、快適な室温になった状態で帰宅できます。また外出先から給湯器の操作もできるので、帰宅後すぐのタイミングで入浴も可能です。電気代だけでなく、待ち時間も減らせます。

防犯対策になる

HEMSは防犯対策にもなります。例えば、照明を遠隔操作でオン・オフすれば、不在時も在宅しているようにみせられます。また、スマートロックと連携すれば、家族が帰宅した時間を知らせてくれるので、小さな子どもがいる家庭も安心です。

災害時の備えになる

HEMSと太陽光発電を連携すれば、停電時も発電した電気を使えます。また、蓄電池を導入すれば、発電しない夜間も、電気の利用が可能で、災害時の備えにもなるでしょう。

太陽光発電の導入後の効果については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

HEMSの導入から活用までの流れ

HEMSを導入して活用するまでの流れとは?
HEMSを導入して活用するまでの流れとは?

HEMSを導入する場合、具体的にはどのような流れになるのでしょうか。ここでは、HEMS導入検討から運用開始までの流れを、6つのステップで紹介します。

  • STEP 1目的を明確にする
  • STEP 2施工会社を選定する
  • STEP 3契約をする
  • STEP 4工事を実行する
  • STEP 5初期設定・運用開始する
  • STEP 6運用改善を継続する

STEP 1. 目的を明確にする

まず、HEMSを導入する目的を明確にしましょう。どのような設備が欲しいのか、また何を重視するのかなど、優先順位も含めて考えておくと、スムーズに計画できます。

STEP 2. 施工会社を選定する

次に、HEMSを依頼する施工会社を選定します。HEMSの施工実績が豊富で、信頼できると感じた専門の会社を選びましょう。依頼先が決まったら、現地調査をしてもらい、プランの提案と見積作成を依頼します。

STEP 3. 契約をする

工事内容や工事費に納得できたら、契約を締結します。補助金を利用する場合は、契約前に交付申請手続きを進めておきましょう。

STEP 4. 工事を実施する

専門の会社と工事日を調整し、設置工事を実施します。補助金の交付を受ける際は、通常完了報告として、必要書類の提出が求められます。ハウスメーカーや販売事業者と相談しながら、補助金の申請手続きを進めましょう。

STEP 5. 初期設定・運用開始する

工事が完了したら初期設定をし、HEMSの運用を開始します。初期設定や操作方法などで、わからないことがあれば、担当者に早めに相談し、疑問があれば解消しておきましょう。

STEP 6. 運用改善を継続する

HEMSは、設置したら終わりではありません。電気代を節約できる方法がないか、家族で日々話し合い、節電の意識は忘れないようにしてください。

HEMSを導入する際の注意点

HEMSを導入する際、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?
HEMSを導入する際、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?

HEMSを導入する際は、どのような点に気を付けたらよいのでしょうか。ここでは、注意すべきポイントを5つ紹介します。

費用対効果を検討する

HEMSを導入する際は、費用対効果を考えて計画しましょう。導入する機器やシステムが増えれば、その分コストがかかります。HEMSの導入コストは、10万~35万円が目安です。

年間で数万円の節約につながれば、5年ほどで回収できる可能性があります。しかし、太陽光発電を設置する場合は、100万円以上かかることも珍しくありません。HEMSを導入する目的やその優先順位、予算を考えて、計画するようにしましょう。

システムの操作に慣れる

HEMSの初期設定や操作に、戸惑う可能性があります。工事完了後に、初期設定や操作方法をレクチャーしてもらい、日々の操作はできるようにしておいてください。工事後にサポートを受ける場合は、有償サービスになるのか、事前に確認しておきましょう。

メンテナンスの手間と費用を考慮する

HEMSの導入には、導入時の初期費用以外に、メンテナンス費用と手間が発生します。また、連携する家電が故障すれば、修理や交換の費用もかかります。

機器はいつごろ交換が必要になるのか、またメンテナンスにいくらぐらいの費用がかかるのか相談しておきましょう。

主体的な節電努力は続ける

HEMS導入後も、ぜひ節電の努力は続けるようにしてください。HEMSの家電の自動制御や、エネルギー最適化による効果も期待できますが、家族の節電意識が低下すれば、その効果も半減してしまいます。HEMSはあくまでもサポートであり、主体は家に住む家族だと心得ましょう。

太陽光発電・オール電化・IoT家電と組み合わせる

HEMSと太陽光発電やオール電化、IoT家電を組み合わせれば、電気代抑制につながり、環境への負荷を低減できます。快適で質の高い生活を実現するためにも、HEMS導入にあたっては、相性のよいシステムや家電の採用も検討してみてください。

HEMSの導入で活用できる補助金は?

国のHEMS導入に対する補助金は、平成23年と25年に交付された実績があります。しかし、今現在(2025年12月時点)は、HEMS単体に対する補助金制度は残念ながらありません。ただしZEH住宅の新築や省エネリフォームを対象とする補助金があり、HEMSの導入が要件に含まれています。

例えば、国の「子育てグリーン住宅支援事業」のGX志向型住宅の補助要件として、HEMSコントローラーや対応機器の設置があります。

また自治体によっては、HEMS導入を対象とした補助金制度があります。しかし予算額に到達したタイミングで締め切られ、年度によって予算額や要件、補助率などが変わります。HEMSの導入を検討する際は、直近の情報を確認するようにしてください。

HEMSの普及を促進させるために、全世帯設置の目標期限である2030年に向けて、補助事業をおこなう可能性もあります。政府の今後の動向に注目しましょう。

出典:国土交通省「高度エネルギーマネジメントの導入

まとめ

最後に、HEMSの仕組みや導入するメリット、注意点のおさらいをします。

HEMSの意味や仕組みは?

HEMSとは、「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使用するエネルギーを見える化し、家電を自動で制御するシステムです。家電の使用量や太陽光発電の発電量など、HEMSが収集したデータを、パソコンやスマートフォンでチェックできます。

HEMSのメリットは?

HEMSは、無駄な電気代を節約できるのがメリットです。またスマホと連携すれば、外出先から家電を操作できるため、生活の利便性が向上します。災害などで停電した際も、太陽光発電で発電したエネルギーを利用でき、蓄電池を併用すれば災害に備えられます。

HEMSを導入する際の注意点は?

HEMSの導入にはコストがかかり、メンテナンスに手間と費用がかかります。費用対効果を考えて、導入を決めるようにしてください。またHEMSは“設置したら終わり”ではありません。節電の意識は、持ち続けるようにしましょう。

補助金を利用できれば、HEMSの導入コストを低減できます。しかしHEMSの補助金交付決定の前に契約や工事をしてしまうと、補助金を受けられなくなります。補助金制度は、国や自治体のホームページや窓口で確認し、ハウスメーカーや販売事業者にも相談するようにしましょう。

桜木 理恵

執筆者

桜木 理恵

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。

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