店舗併用住宅とは?土地・間取り選びのコツ、住宅ローンや税金で知っておきたい基本
本記事では、店舗併用住宅の定義から、後悔しないための土地・間取り選びのコツ、ローンや税金の基本まで徹底解説します。理想のライフスタイルを実現するための第一歩として、ぜひお役立てください。
記事の目次
店舗併用住宅とは

店舗併用住宅とは、ひとつの建物のなかに居住スペースと店舗スペースの両方を備えた住宅です。自宅でカフェや美容室などを開業したい方に人気があります。例えば、1階を店舗や事務所にして2階を家族の住まいとするケースがあるでしょう。
ただし、建築基準法による法規制があるため、建てる際にはルールを正しく理解しておくことが必要です。ここでは、店舗併用住宅の基本的な定義や、一般住宅・店舗兼用住宅との違いを解説します。
建築基準法の定義と条件
建築基準法で店舗併用住宅は、ひとつの建物のなかに居住と業務の空間が共存する形態を指します。
建築基準法上の「第一種低層住居専用地域」に指定されたエリアでは、原則として店舗併用住宅を建てられません。他の用途地域では建築可能ですが、床面積や業種に制限があります。
一般住宅との違い
店舗併用住宅と一般住宅のおもな違いは、以下のとおりです。
| 店舗併用住宅 | 一般住宅 | |
|---|---|---|
| 目的 | 事業・生活の両立 | 居住のみ |
| 法規制 | 住宅基準+非住宅基準 (防火や避難経路など) |
住宅基準のみ |
| 住宅ローン | 事業計画が必要 | 事業計画が不要 |
店舗併用住宅は、設置できる用途地域が限定されるだけでなく、店舗設備によって建築費が割高になる傾向があります。住宅ローンを利用する際も、一般住宅より審査が厳しくなる点に注意が必要です。
店舗兼用住宅との違い

店舗併用住宅と店舗兼用住宅のおもな違いは、以下のとおりです。
| 店舗併用住宅 | 店舗兼用住宅 | |
|---|---|---|
| 内部の行き来 | 可 (可否を問わない) |
必須 |
| 第一種低層住居 専用地域での建築 |
不可 | 可 |
| 店舗部分の賃貸 (貸し出し) |
可 | 不可 |
店舗併用住宅は店舗部分と居住部分をそれぞれ独立させる必要がありますが、内部が行き来できるかは問われません。一方で、店舗兼用住宅は、住宅と店舗部分が構造的にも機能的にも一体となっていることが求められます。
店舗併用住宅のメリット

店舗併用住宅のメリットを5つ解説します。
固定費を削減できる
店舗併用住宅の大きなメリットは、店舗を借りる場合のテナント料を削減できる点です。
毎月の賃料負担がなくなることで、売上が不安定な時期でも経営の安定性を保ちやすくなります。また、通勤に必要な交通費やガソリン代も削減でき、家計と事業の両面で節約効果が見込めるでしょう。
店舗部分の建築費・光熱費を経費計上できる
店舗併用住宅では店舗部分に関わる費用を経費として計上できるため、節税につながります。建物の建築費や固定資産税を面積比率に応じて減価償却費などで処理できるだけでなく、光熱費も事業分を按分して計上できます。
住宅ローンが利用できる
店舗併用住宅は、一定の条件を満たすことで金利の低い住宅ローンを、店舗部分を含めて利用できます。
一般的に金利が高い事業用ローンに比べ、長期かつ低金利で資金を調達できるため、月々の返済額を抑えられます。住宅ローン控除が適用されるケースもあり、資金計画を有利に進められるでしょう。
ワークライフバランスが向上する
店舗併用住宅の場合は通勤時間がゼロになるため、自分の時間を確保しやすいでしょう。
仕事の合間に家事や育児をこなしたり、家族との時間を増やしたりと柔軟な働き方も可能になります。ワークライフバランスが向上するのは、店舗併用住宅の大きなメリットです。
将来的に店舗部分を賃貸に出せる
店舗併用住宅の場合、店舗部分を第三者に貸し出して家賃収入を得られます。
住宅と店舗の入り口を分けておけば、プライバシーを守りながら賃貸運営が可能です。ライフステージの変化に合わせて、資産を柔軟に活用できる点は大きな魅力でしょう。
店舗併用住宅のデメリット

店舗併用住宅にはメリットがある一方で、デメリットもあります。店舗併用住宅のデメリットも併せて確認しましょう。
初期費用が高くなる
店舗併用住宅は、店舗設備や防火設備などの工事が必要になるため、一般住宅よりも建築費が高くなります。
店舗と住宅それぞれの玄関を分ける設計にする場合も、コストの負担が大きくなる要因のひとつです。
住宅ローンが利用できないことがある
「居住部分が面積の2分の1以上」「登記簿上の床面積が50平方メートル以上であること」など、いくつかの条件を満たせない場合、住宅ローンを利用できない可能性があります。
店舗の面積が広すぎると金利の高い事業用ローンを組む必要があり、返済負担が大きくなります。住宅ローンを利用する際は、融資条件を細かく確認しておきましょう。
建てられる用途地域に制限がある
店舗併用住宅は、建築可能な用途地域に制限があります。例えば、第一種低層住居専用地域内(※)には、店舗併用住宅が建てられません。希望する地域に建てられるかを事前に確認しましょう。
(※)都市計画で定められた低層住宅(高さ10m以下)の良好な住環境を保護するための地域
住まいと仕事の境界線が曖昧になる
仕事とプライベートのオンとオフを切り替えにくくなるのは、店舗併用住宅のデメリットのひとつです。仕事場がすぐ隣にあるため、営業時間外でもつい仕事をして、家族との時間や休息を十分に取れなくなるおそれがあります。
仕事をする時間帯や休日を決め、メリハリをつけることをおすすめします。
騒音やプライバシーの問題が発生する
不特定多数の人が出入りする環境では、プライバシーや静かな住環境を維持することが難しくなります。
店舗での話し声や調理のにおいが生活スペースへ漏れることは、家族にとってストレスや防犯上の不安につながるかもしれません。設計の段階から遮音対策や動線の分離を徹底し、家族全員が納得できる住まいを目指してください。
将来売却しにくい可能性がある
店舗併用住宅は特定の業種に特化したつくりになりやすいため、将来売却しようとしても買い手を見つけるのが困難な可能性があります。
中古市場では一般住宅を求める層が多く、店舗併用住宅を避ける購入希望者も少なくありません。将来の資産価値を守るためにも、ほかの用途へ転用しやすい設計を検討してみてください。
店舗併用住宅の土地や間取り選びのポイント

ここからは、店舗併用住宅を建てる際の土地や間取り選びのポイントを解説します。
集客力のある利便性が高い立地を選ぶ
集客力を左右する立地選びは、商売をつづけるための重要なポイントです。
駅近や大通り沿いなど、利便性の高い場所でなければ、広告に力を入れても安定した経営が難しいことも。周辺の交通量や時間帯による人の流れを確かめ、無理なく来店できる場所を選定してください。
競合店・ターゲット層の状況を調査する
周辺環境の市場調査を徹底することも、土地選びのポイントです。例えば、ファミリー層が多いエリアなら、ベビーカーのまま入店できるスロープやキッズスペースを設け、通いやすいと感じる設計が競合店との差別化になります。
候補地周辺にどのような層が住んでいるかを調査し、独自の強みを発揮できる環境かどうかを判断しましょう。
1階部分を店舗にする
集客力を高めるためにも、店舗スペースは視認性と入りやすさに優れた1階に配置しましょう。
2階以上の店舗は外から店内の様子がわかりにくく、入店するのに心理的なハードルを感じるおそれがあります。看板や窓の配置を工夫し、立ち寄りやすい店構えを意識しましょう。
顧客動線・従業員動線・生活動線を分離する
顧客と家族の動線を完全に分けることが、プライバシーを守りながら快適に暮らすための秘訣です。
客席から生活空間が見えてしまったり、生活音が店内に響いたりすると、互いに落ち着かない空間になってしまいます。玄関を分けるだけでなく、水回りや階段の配置も工夫して、店舗と生活空間が重ならない間取りにしましょう。
店舗用の駐車場を設置する
車での移動がメインの地域やファミリー層を狙う場合は、専用駐車場を設置しましょう。
近隣にパーキングがなかったり、駐車場に車が停めにくい設計だったりすると、集客しづらくなります。敷地面積にゆとりを持たせ、運転が苦手な方でも安心して利用できる駐車スペースを確保できる土地を選びましょう。車1台分の車室は、一般的に幅2.4m~2.5m以上、奥行き5m以上です。
店舗併用住宅を建てる際の注意点

店舗併用住宅を建てる際の6つの注意点を見ていきましょう。
用途地域・法規制を確認する
希望の土地でどのような店舗が建築できるのか、用途地域や法規制を確認してください。
例えば、第一種低層住居専用地域では、原則として店舗併用住宅は建てられません。役所の窓口や専門家に相談し、自身のビジネスプランに合う土地かどうかを慎重に見極めましょう。
店舗と住宅の面積を調整する
店舗併用住宅に住宅ローンを適用するには、住宅部分の面積を全体の2分の1以上に保つ必要があります。
また、店舗部分が50平方メートルを超えると建築基準法や消防法の規制が厳しくなり、建築コストが増加するおそれがあります。資金計画を有利に進めるためにも、設計時に面積比率を調整してください。
防犯・セキュリティ対策をする
店舗併用住宅では、住宅部分のセキュリティ対策が大切です。店舗と住宅が同じ建物にあるため、防犯カメラの設置やスマートロックの導入など、家族の安全を守る対策が欠かせません。
設計の段階で、防犯・セキュリティ対策を具体的に計画しましょう。
プライバシーを確保する
店舗併用住宅を建てる際は、プライバシーを確保できるように設計してください。具体的な対策を3つ紹介します。
店舗と住宅の出入り口を離す
プライバシーを確保するためにも、店舗の出入り口と住宅の玄関は離して配置しましょう。来客を気にせず住宅を出入りできるよう、動線も決めておくと安心です。
防音対策をする
店内の話し声や物音が居住エリアに漏れないよう、壁や床の遮音対策をしましょう。店舗の真上や隣が居室になる場合は、高性能な防音材の採用を検討してみてください。
屋上を活用する
プライバシーを確保しながら外で過ごす時間がほしい場合は、屋上を活用するのもおすすめです。庭をつくるスペースがない立地であっても、屋上なら開放的なプライベート空間を実現できます。
将来の用途も見据えた間取りにする
店舗としての使い勝手だけでなく、将来的な資産価値や用途の変更も考慮した間取りにしましょう。特定の業種に特化しすぎた間取りは、売却時に買い手が見つかりにくい可能性も。
リフォームで一般住宅に戻したり賃貸に出したりしやすいよう、汎用性を持たせたシンプルな構造や間取りを意識してみてください。
近隣住民への配慮をする
住宅地で商売を営む場合は以下のような点が問題にならないように、近隣住民へ配慮しましょう。
- ごみ
- におい
- 騒音
- 駐車
ひとつの苦情が大きなトラブルにつながることもあります。そのため、近隣住民への事前相談や環境対策を徹底してください。
店舗併用住宅を建てる際に知っておきたいローンと税金

ここでは、店舗併用住宅を建てる際に理解しておくべきローンと税金の解説をします。
住宅ローンと控除の適用条件
繰り返しになりますが、店舗併用住宅で住宅ローンを利用するためには、建物全体の床面積のうち2分の1以上を居住用にする必要があります。
これは、自らが居住するための家であることを融資の前提としているためです。住宅部分の割合が半分を下回ると、金利の高い事業用ローンへの切り替えを求められるリスクが生じます。
また、以下のような条件を満たせば、住宅ローン控除を受けられます。
- 住宅取得後6カ月以内に居住すること
- 床面積の2分の1以上が居住用であること
- 床面積が50平方メートル以上であること
- 返済期間が10年以上であること など
ただし、控除を受けられるのは、原則として居住用部分のみである点には注意してください。
固定資産税の軽減措置
店舗併用住宅では、一定の条件を満たすことで、固定資産税の軽減措置を受けられる可能性があります。
居住用部分の床面積が建物全体の2分の1以上であれば、新築から3年間は建物部分の固定資産税が2分の1に減額されます。土地も住居部分の比率に応じて評価額を最大6分の1まで下げる特例が適用されるため、大幅な節税に期待できるでしょう。
まとめ
それでは、店舗併用住宅の概要をまとめていきます。
店舗併用住宅とは?
店舗併用住宅は、ひとつの建物に住まいと店舗を備えた住宅を指します。一般住宅と比較すると、用途地域の制限や住宅ローンが厳格になります。店舗部分と居住部分が独立した構造で、将来的に店舗を第三者に貸し出すなど、柔軟な運用が可能です。
店舗併用住宅のメリット・デメリットは?
店舗併用住宅のメリットは、固定費の削減やワークライフバランスの向上です。一方で、建築費が高くなりやすい点やプライバシーの確保、将来的な売却の難しさなどの課題も理解しておくことが大切でしょう。
店舗併用住宅の土地や間取り選びのポイントは?
店舗併用住宅では利便性の高い立地を選び、店舗部分を1階に配置するのがポイントです。また、生活動線と顧客動線を分ける間取りや防音対策を徹底し、家族のプライバシーを守れる設計を意識しましょう。
店舗併用住宅は、自分らしい働き方と快適な住環境を同時に手に入れられる魅力的な住まいです。法規制への対応や資金計画などの準備を丁寧に進めることが、建築を成功させるポイントとなります。本記事を参考にして、理想の店舗併用住宅を建てましょう。
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