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ハウスメーカーと工務店の違いは?どっちがいい?それぞれのメリット・デメリットを解説

ハウスメーカーと工務店の違いは何でしょうか
憧れのマイホームを建てるにあたり、「どこに依頼するか」は大きな悩みとなるでしょう。家づくりは一生に一度であるため、できれば後悔したくないと考えることは自然なことです。今回はハウスメーカーと工務店の違いや、それぞれに依頼するメリット・デメリットを解説します。納得のいく家づくりのためにも、それぞれの特徴を理解したうえで判断しましょう。

家づくりの3つの依頼先

家づくりの依頼先は3種類あります
家づくりの依頼先は3種類あります

家づくりの依頼先には、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の3種類があります。まずは、3つの特徴を押さえておきましょう。

ハウスメーカー

ハウスメーカーとは、設計や施工方法を規格化し、全国規模で住宅を建築・販売している会社のこと。独自の生産設備を持つことで、建材や部品を大量生産し、建材の質が一定に保たれています。テレビCMを放映し知名度の高い会社もあります。

工務店

工務店とは、地域に密着し、施主の要望に合わせて家づくりをする会社です。全国展開をするハウスメーカーと比較して規模は小さいですが、新築だけでなく、リフォームや増築などもおこなってくれます。また、工務店のなかにも、次の3種類があります。

  • 地域密着型
  • フランチャイズ型
  • 中堅ビルダー型

地域密着型はその名のとおり、地域に密着した経営をおこなう工務店です。フランチャイズ型は、加盟している本部の工法や規格を使用し、施工する工務店のこと。加盟先は一つではなく、複数に加盟してさまざまな工法や規格で施工をおこなうところもあります。

中堅ビルダー型は、地域に密着しながらも、営業エリアが広い工務店です。広い土地を購入し、建売住宅や分譲住宅を施工している場合も。また、住宅展示場やモデルハウスを保有していることもあります。

設計事務所

設計事務所は、建築士が施主の要望をヒアリングし、オーダーメイドの住宅を設計するところです。施工は提携する別の会社がおこないますが、設計どおりに建てられているかを設計事務所が監理します。

ハウスメーカーと工務店の違い

ハウスメーカーと工務店の違いを6つの項目で解説します
ハウスメーカーと工務店の違いを6つの項目で解説します

ハウスメーカーと工務店にはさまざまな違いがあります。下表に、6つの項目で違いを簡単にまとめました。

項目 ハウスメーカー 工務店
施工対応エリア 全国 地域密着
建築費用 高め 低め
一般的な工期 3~4カ月 4~5カ月
プランの自由度 低め 高め
品質の安定性 一定している ばらつきが出やすい
アフター
メンテナンス
保証が充実 臨機応変な対応

具体的にどのように違うのかを見ていきましょう。

施工対応エリア

ハウスメーカーと工務店の大きな違いの一つは、施工対応エリアです。ハウスメーカーは全国展開していることが多く、施工対応エリアは広くなっています。そのため、遠方の転勤先で家を建てたいという場合でも、ハウスメーカーに依頼すれば対応してくれるでしょう。

一方、工務店は地域密着型のため、エリアが限られています。しかし、なかには工務店がある地域だけでなく、近隣県まで対応している工務店もあります。

建築費用

ハウスメーカーと工務店は、建築費用でも違いがあります。一般的にハウスメーカーは比較的高く、工務店は低めに抑えられる傾向があります。これは一般的に、広告費用や開発費用に違いがあるためとされています。

しかし、建築費用は住宅の規模やデザイン、使用する建材、オプションなどによっても変動します。そのため、あくまで一般的な傾向であることを理解しておきましょう。

工期の長さ

工期の長さも、ハウスメーカーと工務店では異なります。一般的に、ハウスメーカーの工期は3~4カ月、工務店が4~5カ月程度です。これは、ハウスメーカーの家づくりはシステム化されているため。例えば、建材は工場で大量生産・加工し、現場ではそれを組み立てる作業が中心となるため、効率化されています。

一方、工務店の場合は、設計に合わせて建材の加工から工事が始まります。そのため、ハウスメーカーと比較して工期が長くなります。

プランの自由度

プランの自由度においても、ハウスメーカーと工務店では違いがあります。一般的にハウスメーカーはあらかじめ決められたパターンや仕様から自分に合ったものを選ぶため、選択肢が限られています。

一方、工務店の場合は、その土地の気候や特性、施主のライフスタイルなどに合わせてゼロから設計するため、自由度が高くなっています。木の風合いを活かしたデザインにしたいなど、こだわりのある家づくりが可能でしょう。

品質の安定性

ハウスメーカーと工務店は、品質の安定性でも大きな違いがあります。一般的に、ハウスメーカーは均一で安定しており、工務店は品質にばらつきが出やすい傾向にあります。先述したように、ハウスメーカーは建材を工場で生産しているため、品質が一定です。また、組み立てる工程も標準化されていることから、職人の技術力の差が出ることがありません。

一方、工務店は現場で建材を加工、組み立てることから、職人の技術力で仕上がりが左右さやすいです。また、工務店によって得意分野が異なるため、工務店を選ぶ際は、どのような施工が得意なのか、過去の建築事例などを確認し、自分に合った会社を選びましょう。

アフターメンテナンス

アフターメンテナンスにおいても、ハウスメーカーと工務店で違いがあります。家は建てて終わりではなく、住み始めてからがスタートです。そのため、アフターメンテナンスは長く快適に暮らすためにも重要なポイント。一般的にハウスメーカーは企業規模が大きいことから、メンテナンスが手厚くなっています。例えば、基礎や外壁などの30年保証や、5年ごとの無償の定期診断など。各ハウスメーカー独自のサービスが用意されており、長期間安定して受けられる安心感があります。しかし、保証は充実しているものの、保証適用には細かな制約が設けられている場合もあります。家に不具合が出た場合でも、保証の範囲内か、確認する必要があるかもしれません。

一方、工務店は地域密着型のため、万が一の際にはすぐ駆けつけてくれる安心感があります。地域密着型の工務店は施主との関係が近くなりやすく、家の細かな不具合にも臨機応変に対応してくれる場合があります。しかし、企業規模が小さいことから、時期によっては対応が遅くなることもあるでしょう。

工務店に依頼するメリット・デメリット

工務店に依頼するメリットとデメリットを解説します
工務店に依頼するメリットとデメリットを解説します

ハウスメーカーと工務店には、施工対応エリアや建築費用など、さまざまな点で違いがあります。工務店はゼロから設計するため自由度が高く、こだわりのある家づくりを期待できまる工務店にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

工務店に依頼するメリット

工務店に依頼するメリットは、次の3つです。

設計の自由度が高い

ハウスメーカーとの違いでも見たように、工務店に依頼するメリットは、設計の自由度が高いことです。施主の要望に合わせて、ゼロから設計をおこなうため、こだわりのある家づくりができるでしょう。例えば、間取りやデザイン、使用する素材まで、自分たちで自由に決められます。

建築費用を抑えられる

建築費用を抑えられる点もメリットとして挙げられます。工務店は、ハウスメーカーのように広告宣伝費をかけておらず、規模も小さいことから人件費も少なくなり、その分建築費用を抑えられます。人生のなかでも大きな買い物である家の建築費用を抑えられることはメリットでしょう。

きめ細かい対応を期待できる

きめ細かい対応を期待できる点も、工務店に依頼するメリットです。工務店は地域に根ざして経営しているため、地域特有の気候や法的規制に合わせた家を提案してくれるでしょう。例えば、豪雪地帯なら雪の積もりにくい形の屋根を設計してくれるケースなどがあります。

また、家を建てたあとも、物理的に距離が近いことから、すぐに対処してもらうことができるでしょう。このように、地域や一人ひとりに合ったきめ細やかな対応を期待できる点は、工務店に依頼するメリットです。

工務店に依頼するデメリット

次に、工務店に依頼するデメリットを見ていきましょう。

品質にばらつきが出る可能性がある

工務店は、ハウスメーカーのように標準化された工法を持っていないこともあり、品質が職人の技術力や経験に左右されることがあります。なかには、高い技術力を持つ職人が在籍しているか、見極める必要があるでしょう。

完成した物件を確認しにくい

完成した物件を確認しにくいこともデメリットです。ハウスメーカーであれば、モデルハウスや住宅展示場などで、すでに完成している物件を自分の目で確かめることができます。

しかし、工務店の場合、カタログでしか確認できない場合もあり、完成後をイメージしにくいこともあるでしょう。ただし、最近では実際に建てた方の家を訪問できる機会を設けている工務店もあります。そのような機会がある場合は、積極的な参加をおすすめします。

倒産のリスクがある

工務店に依頼するデメリットとして、倒産のリスクがあることが挙げられます。工務店は企業規模が小さいことから、人材不足や後継者不在などで倒産する可能性が大手ハウスメーカーよりも高くなってしまいます。もし倒産してしまうと、工事を中断せざるをえなくなったり、アフターサービスを受けられないこともあるでしょう。

工務店に依頼する際には、住宅完成保証制度に登録しているかを確認しておくと安心です。住宅完成保証制度とは、住宅が完成する前に工務店が倒産して工事ができなくなった場合に、追加で発生する工事費を保証するなどして、住宅を完成させる制度です。保証料は工務店が支払うため、施主が支払う必要はありません。しかし、なかには建築費用に含まれている場合もあるため、見積書でよく確認しておきましょう。

ハウスメーカーに依頼するメリット・デメリット

ハウスメーカーに依頼するメリットとデメリットを解説します
ハウスメーカーに依頼するメリットとデメリットを解説します

全国規模で事業を展開しているハウスメーカーには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。納得のいく選択をするためにも、理解しておきましょう。

ハウスメーカーに依頼するメリット

ハウスメーカーに家づくりを依頼するメリットは、次の3つです。

品質が安定している

ハウスメーカーに依頼するメリットは、品質が安定していることです。ハウスメーカーの多くは自社工場を保有し、主要な建材や構造部材の多くを生産。徹底した品質管理がされているため、品質が均一で安定しています。施工もマニュアル化・標準化されており、どの現場でも一定以上の品質を保つことが可能です。

住宅の性能が高い

住宅性能が高いことも、ハウスメーカーのメリットです。ブランドイメージを守り、競合他社と差別化を図るために、それぞれが住宅性能の向上に力を入れています。例えば、耐震性や耐火性を高め、自然災害や火事などの被害を最小限に抑えることをコンセプトにしているハウスメーカー。太陽光発電システムを積極的に設置し、環境にやさしい暮らしを提案するハウスメーカーなど、多種多様です。家を建てる際には、ご自身が重視したい性能を考えるといいでしょう。

アフターサービスや保証が充実している

ハウスメーカーは、アフターサービスや保証が充実していることもメリットの一つです。経営基盤が安定していることから、法律で定められているものだけでなく、多くのハウスメーカーが独自のアフターサービスや保証を用意しています。家の完成で関係を終わりにするのではなく、充実したアフターサービスや保証によって長期的な関係を築くことで、顧客満足度を高めています。ただし、各ハウスメーカーによってアフターサービスや保証の期間、内容が異なることに注意しましょう。

ハウスメーカーに依頼するデメリット

ハウスメーカーに依頼する際のデメリットを見ていきましょう。

建築費用が高くなる傾向にある

ハウスメーカーは企業規模が大きいため、経営維持のための費用も多額になります。例えば、住宅展示場の維持費や広告宣伝費、研究開発費用などです。これらを建築費用に上乗せされることから、建築費用が高くなりやすい傾向にあります。

設計の自由度が低い

設計の自由度が低いことも、ハウスメーカーのデメリットでしょう。先述したように、ハウスメーカーは規格化された建材を使用するため、ある程度プランが決まってしまいます。そのため、理想とする間取りを実現できない可能性もあるでしょう。

メンテナンス費用が高額になる可能性がある

メンテナンス費用が高額になる可能性があることも、ハウスメーカーに依頼するデメリットです。先述したように、ハウスメーカーは建材や部品を自社工場で生産するため、ハウスメーカー独自のものである可能性もあります。そのため、一般に流通しているものでは代替ができず、ハウスメーカーから直接取り寄せるしかない場合も。結果として建材や部品代が高くなり、メンテナンス費用が高くなる可能性があります。

ハウスメーカーと工務店どっちがいい?選び方のポイント

ハウスメーカーと工務店を選ぶ時のポイントを解説します
ハウスメーカーと工務店を選ぶ時のポイントを解説します

これまでハウスメーカーや工務店のメリット・デメリットを見てきました。本章ではどちらを選ぶべきか、判断するためのポイントを解説します。

品質や安心感を重視したい場合

住宅の品質の安定性や安心感を重視したい場合、ハウスメーカーに依頼するといいでしょう。繰り返しになりますが、ハウスメーカーは主要な建材や部品を自社工場で生産しており、施工もマニュアル化されていることから、職人の技術力に左右されにくくなっています。

また、保証期間も法律で定められているよりも長く、アフターサービスも充実していることから、長く安心して住めるでしょう。さらに、企業規模が大きいことから、経営基盤が安定しており、倒産のリスクも低い傾向にあります。そのため、保証やアフターサービスを長期にわたって継続して受けられる点も、安心感につながるでしょう。

自由度や安さを重視したい場合

デザインや間取りの自由度の高さを求める場合は、工務店に依頼するといいでしょう。工務店はハウスメーカーのように画一的なラインアップを持たず、施主の要望に応じてゼロから設計をおこなうのが一般的です。例えば、対面型キッチンにしたい、ロフトを作りたいなど、家族の要望をうまく形にしてくれるでしょう。

また、建築費用を抑えたい場合も、工務店が適していると考えられます。ただし、建物の広さや設備のグレードなどによって、建築費用は変動します。同じ内容でも、ハウスメーカーや工務店など依頼先で違うことがあるため、複数社を比較して検討するようにしましょう。

まとめ

今回は、ハウスメーカーと工務店の違いを解説しました。施工対応エリアや品質の安定性など、さまざまな点で違いがあります。しかし、これらの違いはあくまでその傾向があるというもので、確実に言い切れるものではありません。

ハウスメーカー、工務店それぞれが、施主の希望を叶えるために、日々企業努力をしています。大切なことは、ご自身やご家族がどのような家を作りたいかを明確にし、それを形にしてくれる会社を選ぶことです。今回ご紹介した違いを参考にしながら、自分に合った依頼先を決めましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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