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【実例】コートハウスとは?種類やメリット・デメリット、後悔しないためのポイントも徹底解説

コートハウスとは?種類や失敗しないためのポイントなど詳しくご紹介します!
注文住宅を建てるうえで、外からの視線を気にせず開放感を味わえる、コートハウスに憧れる方は少なくないでしょう。コートハウスは中庭を中心に光や風を取り込みながら、プライベートな空間を確保できるのが魅力です。本記事では、コートハウスの種類やメリット・デメリットに加え、後悔しないための設計ポイントや注意点までを詳しく解説します。デザイン性と機能性を兼ね備えた住まいづくりの参考に、ぜひご覧ください。

コートハウスとは?

コートハウスはプライバシーも守られ、憩いの場として利用できます(出典:三洋ハウス(株))
コートハウスはプライバシーも守られ、憩いの場として利用できます(出典:三洋ハウス(株)

コートハウスとは、建物や塀に囲まれた中庭のある住宅です。外空間でありながらプライバシーが守られ、開放的な暮らしが望めます。また、BBQやプール、ヨガなど用途もさまざまで、家族の憩いの場として利用可能です。自然光や風を室内に取り入れやすく、都市部でも自然とのつながりを感じられる住まいとして人気があります。

コートハウスの種類

コートハウスには、大きく分けて「ロの字型」「コの字型」「L字型」の3種類のレイアウトがあります。土地の広さやライフスタイルに見合った動線を考えることが大切ですので、具体的に見ていきましょう。

ロの字型

ロの字型のコートハウス
ロの字型のコートハウス

ロの字型は住宅の中心に中庭を設置し、建物で四方を囲うレイアウトです。中庭に面する部屋にそれぞれ窓を設ければ目も届きやすく、小さな子どもやペットを安全に遊ばせることができます。外部からの視線を遮ることができるため、完全なプライベート空間をつくることができるでしょう。プライバシーや防犯面を重視したい方におすすめです。

コの字型

コの字型のコートハウス
コの字型のコートハウス

コの字型は三方向を建物で囲い、一方向を開放したレイアウトです。プライバシー面やメンテナンス面のバランスがよいのが特徴です。また、中庭に面する室内に自然光や外気をたっぷりと取り込めます。外とのつながりを感じながらも安心感のある空間が生まれ、子育て世帯やペットとの暮らしにも適しています。

L字型

L字型のコートハウス
L字型のコートハウス

L字型は、建物がアルファベットの「L」のような形をしたレイアウトで、もっとも開放的です。間取りの柔軟性が高く、敷地条件も緩いため取り入れやすいでしょう。他の型に比べるとオープンですが、塀や植栽で目隠しすることができ、建物の角や壁が少なくコストを抑えやすいのも魅力といえます。

コートハウスのメリット

コートハウスのメリットとは?
コートハウスのメリットとは?

コートハウスのメリットをお伝えしますので、レイアウトや間取りを考える時に参考にしてください。

住宅街でもプライバシーを確保できる

コートハウスは建物や塀に囲まれた設計のため、外部からの視線を気にする必要がなく、住宅街でもプライバシーを確保できます。タイプによってはまったく外から見えない、完全なプライベート空間にすることも可能です。

半屋外空間により開放感がある

中庭を設けることで半屋外空間が生まれ、家の中にいながら開放感を味わえます。中庭と室内の床をフラットにすれば、広さをより感じられるでしょう。視線が外へ抜けることで圧迫感が軽減され、日々の暮らしにゆとりと心地よさをもたらしてくれます。

採光性・通風性に優れている

コートハウスは住宅の内側にも窓を増やせるため、採光性や通風性に優れています。住宅密集地といった隣家との距離が近い場合も、採光や通風を確保しやすいでしょう。日中は照明に頼らなくても自然光で明るく、風の流れも生まれるため、心地よく快適な室内環境を実現できます。また、省エネにつながるのも一つのメリットです。

防犯性が高まる

中庭は外から見えにくい構造のため、プライバシーを守りながら住宅の防犯性向上が期待できます。夜間でも外から在宅かが分かりにくく、不在時の不安も軽減されるでしょう。また、人目を気にせずに洗濯物を干せるのもうれしいポイントです。子どもが安全に遊べるスペースとしても活用でき、安心感のある住まいが実現します。

周辺環境の変化の影響を受けにくくなる

コートハウスは建物が敷地の内部に面しているため、周辺環境の変化による日当たりや風通しの悪化の影響を受けにくいと考えられます。さらに、外部との接点が少ない設計により、周囲の騒音も遮断されやすく、静かで落ち着いた暮らしができるのも魅力です。視線や音のストレスが軽減されることで、家の中にいながらも穏やかで安心感のある空間をつくれます。

スペースの有効活用ができる

アウトドアリビングとして読書や食事、BBQ、子どもの遊び場と活用用途も多岐にわたります。ヨガやストレッチを楽しめる場所へと、使い方を広げることも可能です。室内と緩やかにつなげることによって、家族が自然と集まるスペースへと生まれ変わります。

コートハウスのデメリット

コートハウスのデメリットとは?
コートハウスのデメリットとは?

続いて、コートハウスのデメリットをお伝えします。デメリットもしっかりと把握して、理想の住居に近づけましょう。

建築費用が高くなる

中庭を設けることで建物の形状に凹凸が生まれ、構造が複雑になるため、一般的に建設費用が高くなる傾向にあります。さらに、中庭が広くなるほど、それに面する外壁や窓の面積も増えるため、資材や施工のコストが上がる点にも注意が必要です。
これに加えて、断熱や防水といった性能面での配慮も求められるため、設計段階でしっかりと予算と機能性のバランスを検討することが大切です。理想の住まいを実現するには、デザイン性だけでなく、予算との兼ね合いを見極めながら計画を進めることが重要となります。

メンテナンスの手間がかかる

中庭にウッドデッキを設置したり、シンボルツリーを植えたりしたいと考える方も多いでしょう。ウッドデッキは雨風や湿気で腐食しやすく、定期的な塗装や補修が必要です。また、シンボルツリーは成長に伴って剪定(せんてい)や病害虫対策が求められ、手間がかかります。そのため、見た目の美しさや風情を楽しむ一方で、維持管理に費用と時間がかかる点も考慮することが大切です。

家の耐震性・耐熱性が低下しやすくなる

採光性や通風性を高めるために大開口窓を設置すると、壁が少ない構造となり、どうしても耐震性が低くなります。これにより、地震や強風などの外的要因に対する安全性が確保しにくくなる可能性があるでしょう。そのため、鉄構造や耐震補強を施した住宅づくりを検討することが重要です。
耐震性を強化することで、安全で長持ちする住まいを実現し、快適さと安心感を両立させられます。そのためには、設計段階での慎重な計画が大切です。

居住空間が狭くなる

中庭をつくることで、住居空間が狭くなる場合があります。十分な広さを保ちながらプライバシーや開放感も確保するためには、設計が重要です。生活してから不便を感じないように、コートハウスの実績豊富な建築会社に依頼し、間取りや動線を工夫することが求められます。

排水対策が必要になる

中庭は通常の庭に比べて、雨水がたまりやすいのが特徴です。排水の流れが限定されるため、台風や集中豪雨時には水はけが悪くなり、床下浸水や建物へのダメージにつながる恐れがあります。そのため、勾配(こうばい)の確保や排水口の設置、透水性の高い素材の採用など、事前の排水対策をしっかり整えることが肝心です。

おしゃれなコートハウスの建築【実例5選】

コートハウスのある住宅について実例を5つ紹介します。ご自身の暮らしをイメージしながらご覧ください。

【平屋/3LDK】移住で叶えた中庭のある平屋の暮らし

家族の時間を楽しむコミュニケーションの場として自由に使えます 出典:(株)子育て安心住宅
家族の時間を楽しむコミュニケーションの場として自由に使えます 出典:(株)子育て安心住宅

中庭を中心に家中を回れる回遊動線を設けた、平屋のロの字型の間取りです。6畳の中庭ではピクニック気分で食事をしたり、本を読んだりしているそうです。自由に使える中庭が、家族のコミュニケーションを育みます。周囲を気にせずにBBQやプールも楽しむことができ、子どもたちものびのびと過ごせます。

【平屋】 禮(れい)のいえ

広々とした空間で、心地よい開放感を実現したコートハウスです 出典:フィアスホーム藤枝店 (株)SNJ
広々とした空間で、心地よい開放感を実現したコートハウスです 出典:フィアスホーム藤枝店 (株)SNJ

広々とした中庭には芝生とシンボルツリーが植えられ、四季の移ろいを感じられる自然豊かな空間に仕上がっています。ウッドデッキに置かれた椅子に腰掛け、朝はコーヒーを片手に静かな時間を過ごし、昼は読書や日光浴を楽しむなど、暮らしのなかで自然と触れ合える贅沢なひとときが味わえるでしょう。夜にはライトアップされた植栽が幻想的な雰囲気を演出し、心身ともにリフレッシュできる癒しの空間として活躍します。

【平屋/4LDK】家族一緒にのびのび過ごせる明るく開放感のある「コ」の字型の平屋の家

家庭菜園やプールなどお子さんと一緒に自然を感じられるプライベート空間です 出典:(株)子育て安心住宅
家庭菜園やプールなどお子さんと一緒に自然を感じられるプライベート空間です 出典:(株)子育て安心住宅

中庭を中心に、明るく開放感のあるコの字型の間取りです。中庭では周囲に気兼ねなく、家庭菜園やプールも楽しめます。ウッドデッキはLDKと子ども部屋、和室とつながっています。そのため、子どもたちが部屋を行き来しながら、自由気ままに遊ぶことが可能です。コの字型の平屋なので、どの部屋にも明るい光が注ぎます。

【ガレージ/中庭/アメリカン】家族や仲間との時間を楽しむ住まい

道路からの視線を遮りながら大人数でのバーベキューなども楽しめます 出典:なかむら住宅(株)
道路からの視線を遮りながら大人数でのバーベキューなども楽しめます 出典:なかむら住宅(株)

家族や仲間とBBQやホームパーティが楽しめる、開放感のある広い中庭です。周囲を塀で囲んでいるため、道路や隣家からの視線を気にせず、プライベートなひとときを満喫できます。

町になじむ家

木製サッシで内外との調和生み、四季の変化を感じられる空間です 出典:(有)野沢工務店
木製サッシで内外との調和生み、四季の変化を感じられる空間です 出典:(有)野沢工務店

人通りが多い道路に面した住宅に、存在感のある中庭を設けた実例です。リビングからウッドデッキへと続く、大開口の窓がこだわりの一つ。四季の移り変わりを感じられ、室内から植栽の枝と葉が生み出す光と影の変化を楽しめます。外と内との調和性を考え、木製サッシが採用されている点もポイントです。

コートハウス設計時に失敗しないためのポイント

コートハウス設計時に失敗しないためのポイントとは?
コートハウス設計時に失敗しないためのポイントとは?

最後に、コートハウスを設計する時に失敗しないためのポイントをお伝えします。ご紹介する注意点を取り入れて、快適なコートハウスを実現させましょう。

耐震性・断熱性を高める

大開口窓のある家を建てる時は、耐震性や断熱性にも注意しなくてはなりません。柱を入れることで耐震性は高められますが、耐震性の高い工法を採用すると断熱性が低くなりやすいというデメリットがあります。二重サッシの窓や樹脂製のサッシ枠を採用し、断熱カーテンを取り入れて、室内との温度差を和らげる対策を取り入れましょう。

メンテナンスをしやすくする

コートハウスを設計する際は、日々のメンテナンスがしやすいように配慮することが大切です。掃除がしやすい素材を選んだり、手入れしやすい動線を意識したりすることで負担を減らせます。さらに、中庭の水はけを確保し、湿気対策やカビの発生を防ぐ工夫も欠かせません。水場や収納スペースを設けるなど、将来の維持管理まで見据えた設計を心がけると、住まいの快適性が長く保たれます。

生活導線を考慮する

コートハウスは特殊な形のため、生活導線への配慮が不十分であると生活がしづらくなります。また、部屋同士が向き合うと家族間のプライバシーがなくなる恐れがあり、その点も考慮したい部分です。ポイントとなるのが、家族でのライフスタイルをイメージしながら設計すること。水回りをまとめたり、回遊性のある間取りにしたりするなどのアイデアを取り入れて、快適な導線をつくりましょう。

隣家の窓との位置関係も考慮する

隣家の窓の位置関係を考慮することは、プライバシーを守るうえで非常に重要です。隣家の窓から中庭が見えたり、視線が届いたりしないよう、中庭の配置や塀の高さ・素材を慎重に検討しましょう。また、通りからの視線にも配慮し、建物や塀の形状、植栽の配置などに工夫を凝らすことで外部の視線を自然に遮り、心地よく過ごせるプライベート空間をつくることができます。

排水対策をしっかりする

中庭に雨水や湿気がたまらないよう、排水対策をしっかりと整えましょう。台風や昨今増えているゲリラ豪雨に備え、十分な水はけ対策を施すのも重要です。これらはあとからの導入が難しく、設計段階で慎重に検討しなければなりません。太い排水管を設置したり、水はけのよい床材を採用したりと、予算に合わせて確認することをおすすめします。

実績豊富な施工会社へ依頼する

コートハウス設計の経験が豊富な設計事務所や施工会社に依頼することが重要です。中庭を中心とした間取りは、一見シンプルに見えるかもしれません。しかし、採光・通風の確保、外壁面積の増加によるコストや断熱性への配慮、さらには排水や防水といった細部に至るまで、専門的な知識と経験が求められます。
コートハウス特有の課題を熟知している施工会社であれば、デザイン性と機能性の両立が図れて、安心して家づくりを任せられるでしょう。暮らし始めてからの快適さを見据えた、長期的な視点での提案が受けられる点も大きなメリットです。

まとめ

コートハウスとは建物や塀で囲んだ中庭のある住宅のことで、外からの視線を遮りつつ開放感を楽しめるのが魅力です。プライバシーが確保され、採光・通風性、防犯性に優れており、家族や仲間との時間を豊かにしてくれる空間となるでしょう。間取りの種類も「ロの字」「コの字」「L字型」と多彩ですが、排水や耐震性、メンテナンスなどの課題もあるため、設計経験が豊富な施工会社に依頼し、快適な住まいづくりを目指しましょう。

執筆者

西嶋治美

心理教育学科を卒業後、約10年間金融機関にて従事。2016年よりライター活動を開始。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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