横並びダイニングは後悔する?メリット・デメリットとおしゃれな建築実例を紹介
記事の目次
横並びダイニングとはどんな間取り?

横並びダイニングとは、その名のとおり、ダイニングテーブルをキッチンに横付けするタイプの間取りを指します。DKといえば、キッチンに対して垂直方向に食事をするスペースを配置する、縦並びダイニングを思い浮かべるかもしれません。それに対して横並びダイニングは、キッチンに対して並行させるレイアウトになります。調理と食事の空間をすっきりとまとめることができるため、おしゃれで開放的な間取りとして人気を集めています。なお横並びダイニングは、台所をリビングと向かい合わせに配置する、対面キッチンで取り入れられるのが一般的です。
横並びダイニングのメリット

では実際に、横並びダイニングによってどのような利便性や効果があるのか、具体的なメリットを見ていきましょう。
配膳・食器の片付けが楽
横並びダイニングでは、キッチンと食事をするテーブルが同じライン上に位置するため、料理を運んだりお皿を片付けたりする動線がスムーズになります。調理が終わったものからどんどんテーブルに置いていきやすいため、料理中の作業スペースを確保しやすいメリットもあります。
ダイニングテーブルで料理作業がしやすい
広めのスペースが必要な料理をしたい時には、キッチンだけでなく、すぐ隣に位置するダイニングテーブルも含めて活用しやすいメリットがあります。例えば餃子を包んだり、揚げ物の油を切ったり、完成品をなるべく重ねずに並べて置いておきたい料理がしやすいのも利点。またお菓子づくりなど、使う調理器具が多い時にも、横並びダイニングなら広いテーブルで作業がしやすく便利です。キッチンのすぐそばに広いテーブルがあることで、料理の下準備や仕込みがしやすくなります。
家族とのコミュニケーションがとりやすい
家族が集まりやすいダイニングテーブルがキッチンのすぐ横にあることで、家事をしながらお子さんに声をかけやすいメリットもあります。横並びダイニングを使って、お子さんがお絵描きしたり勉強したりするスペースにすれば、調理中でも気軽にコミュニケーションを取ることが可能。家族団らんの時間と家事の同時並行がしやすいのも利点です。
リビングが広くとれる
キッチンとダイニングを一体化させることで、コンパクトに空間を使いやすく省スペースがしやすいメリットもあります。キッチンとダイニングを縦並びにした間取りだと、リビングを合わせて、同じ空間を3つのスペースに分ける必要が出てきます。一方で横並びにして台所・食事スペースを集約すれば、キッチン・ダイニングとリビングの2つのスペース分けで済むため、LDKが広く見えやすい効果にも期待ができます。LDKの面積が取りづらい場合でも、横並びダイニングなら、狭い空間でもリビングを開放的な印象に見せやすいのも利点です。
統一感のあるデザインにできる
横並びダイニングなら、食事に使うテーブルを建築段階で取り付けることも可能です。縦並びダイニングだと、キッチンと空間が分かれるため、テーブルは単独の家具で配置する必要があります。一方で横並びダイニングなら、キッチンに併設させるようにテーブルを取り付けることもでき、デザイン性を統一させてスマートに見せやすいメリットも。例えばキッチンとダイニングテーブルのカラーリングや素材感を合わせることで、それぞれのテイストにまとまりを出すことができ、スタイリッシュな印象にしやすい効果も見込めます。おしゃれにこだわったLDKにしたい時にもおすすめです。
横並びダイニングのデメリット

横並びダイニングを取り入れることで、より快適な空間づくりができるさまざまな効果が見込める一方で、注意しておきたい点もいくつかあります。
キッチンからリビングまでの動線が長くなる
横並びダイニングの場合、リビングまで行くのにテーブルを回り込むような動線になるケースが考えられます。キッチンの片側を壁付けにすると、このようにテーブル側の通路まで迂回する動線になるため要注意。なお壁から完全に切り離したアイランド型にすれば、テーブルのない側面に通路を設けられますが、施工費用が高額になりやすい一面もあります。生活動線とコストとのバランス感を考慮しながら、キッチンの設置方法を検討していくことが必要です。
ダイニングからキッチンが見えてしまう
親族や友人・知人を招いてダイニングテーブルを使おうとする際に、キッチンがごちゃごちゃと雑多に見えるのが気になるケースも。キッチンの整理整とんができていなかったり、調理をしたあとで洗い物が残っていたりすると、生活感が出やすく使いづらいと感じる場合もあります。特にホームパーティなどで料理を出す時に、来客までに慌てて食材や調理器具などを片付けるのは大変です。横並びダイニングでは、キッチンの目隠しや片付けやすい収納なども考慮しておく必要があります。
においや煙、音が気になる可能性がある
キッチンとダイニングテーブルの距離が近い分、調理中のにおいや煙などが気になる可能性も。また、食洗器やディスポーザーなどの音も発生しやすく、ダイニングテーブルで勉強や仕事がしたくても、気が散ってしまうケースも考えられます。ダイニングテーブルで仕事や勉強をする予定がある場合は注意が必要です。
配置に十分なスペースが必要
横並びダイニングにする場合には、テーブル周りの動線がスムーズになるようスペースを設けることになります。そのため、横に大きく広がるようなLDKにする必要があり、敷地が狭い場合には間取りの確保がしづらい可能性も。土地の広さ次第では、キッチンとダイニングを縦に並べないと、敷地に収まりきらないこともあります。横並びダイニングにしたい場合は、まずは十分な広さが取れそうか確認しておきましょう。
レイアウトの柔軟性が低い
横並びダイニングにすると、テーブルの置く場所が固定されるため、リビングのレイアウトが一辺倒になりやすい一面もあります。設計段階で必然的にリビング家具の配置が決まりやすかったり、模様替えがしにくかったりする可能性もあり、レイアウトが限定されやすい点も考慮に入れておきましょう。
【実例5選】横並びダイニングの注文住宅
ここからは、おしゃれな横並びダイニングの実例をいくつか厳選してご紹介していきます。
統一感のある横並びダイニング

こちらは大きなL字型のLDKを活用し、横並びダイニングを取り入れている実例です。L字型の配置により、ダイニングとリビングの双方ともに、落ち着きがありつつも広々とした開放的な空間を確保。シンプルながらも、テーブル周りの動線にも十分なゆとりが設けられています。
パントリーと回遊できる横並びダイニング

こちらは横並びダイニングに加えて、食料などのストックを置くパントリーも、キッチンのすぐ隣に併設するように配置している実例です。キッチン横のパントリーの出入り口を2つに分けることで、リビングまでの動線を短縮。収納兼通路にもなるパントリーにより、家事も移動もスムーズにしやすい間取りになっています。
セラミックトップのキッチンとモダンな横並びダイニング

こちらは、カウンターを設けたキッチンに横並びダイニングを加えることで、飲食や料理をするスペースを広く取っている実例です。アイランド型のキッチンにより、リビングまで移動しやすい動線もしっかりと確保しています。
日当たりのいい横並びダイニング

こちらは横並びダイニングに加えて、段差の異なるリビングとスキップフロアを配置し、複数のゾーンをつくっている実例です。横並びダイニングに対し、半地下のように下がったリビングスペースと、段差の上がったスキップフロアを設置。アイランド型のキッチンを中心に、リビングにもスキップフロアにもスムーズに移動でき、各スペースを見渡しやすく家族の様子を伺いながら家事ができる空間となっています。
コミュニケーションがとりやすい横並びダイニング

こちらは、キッチンに取り付けたカウンターを拡張するような形で、すっきりとした横並びダイニングを設けている実例です。キッチンもカウンターも含めて、ウッド感のある外観に統一し、ナチュラルで温かみのある雰囲気を演出。リビングは、ダイニングと互い違いになる間取りで配置されており、それぞれ広々としたスペースを取りつつ明確な仕切り感が出るような構造になっています。
後悔しない横並びダイニングをつくるためのポイント

より利便性の高い横並びダイニングにするためには、次のようなポイントを考慮したうえで、レイアウトや設備を検討していくのがおすすめです。
家事動線を事前にシミュレーションする
家事動線は、家族構成やライフスタイルなどに応じて変わってくるため、それにともなう横並びダイニングのレイアウトにも正解はありません。ご家庭それぞれの家事動線に合ったレイアウトになっていないと、せっかく横並びダイニングを取り入れても使いづらく感じてしまいます。そのため、横並びダイニングを考える際には、普段どのような動線で動くかシミュレーションしながら、便利なレイアウトを見極めていくことが大切。例えば、「調理と洗濯を同時並行したいからキッチンの近くにランドリールームがほしい」「食材は多めにストックするからキッチン横はパントリーに」など、具体的にイメージしてみましょう。リビングとの距離感や各スペースへの通路なども含めて、LDKの全体像を検討していくのがベストです。
テーブルのサイズ・高さを考える
横並びダイニングであらかじめ検討しておきたいのが、キッチンとテーブルの高さです。基本的にはキッチンと統一するか、もしくはテーブルだけ下げるかの二択ですが、それぞれで使い勝手は異なってきます。次のようなことを考慮しながら決めていくとよいでしょう。
キッチンの高さとテーブルの高さを合わせる
一般的なキッチンは大人が立って作業するのに適した高さになるため、そこにテーブルを合わせようとすると、少しハイタイプの種類になります。なおキッチンとテーブルの高さが統一されていると、それぞれのラインが揃ってスマートな印象に見えやすい特徴があります。
メリット
- 大人でシックな雰囲気が出やすくデザイン性が高く見える
- 調理中でもテーブルで過ごす家族と目線が合うためコミュニケーションがしやすい
デメリット
- テーブルが高くなるので、お子さんが使いづらい可能性がある
- テーブルの高さに合せようとすると椅子が選びづらい(種類が限られやすい)
キッチンの高さよりテーブルの高さを低くする
大人から小さな子どもまで使いやすいダイニングテーブルは、キッチンよりも少し低めになるのが一般的です。もちろんキッチンの高さに合わせない場合でも、テーブルの素材や色味など、横並びダイニング全体のデザイン次第でおしゃれな印象にできます。
メリット
- テーブルと椅子の種類が選びやすい(子どもでも使いやすい高さ)
- 段差部分にコンセントや小さな収納をつくるなどの有効活用ができる
デメリット
- キッチンとの一体感が薄くなる
- 段差があることでテーブルを拭くなどの動作がしにくくなる
キッチン側に手元を隠す「腰壁」を設ける
来客があることを考えるなら、キッチンの手元の目隠しになる腰壁があると、ごちゃっとした雑多な生活感が見えにくくなります。腰壁は、台所の全面や側面を囲うパーテーションのようなイメージで、シンク・コンロ台よりも少し高めに設置された壁です。腰壁があることで、調理中や片付け中の様子が見えづらくなるうえに、調味料などのちょっとした小物を置けるスペースにもできます。
使いやすいコンセントの数や位置を検討する
もしダイニングテーブルで何か作業したいと考えるなら、スマートフォンやパソコンなどの充電・電源用のコンセントも必要です。また、キッチンでは、冷蔵庫・炊飯器・電子レンジ・圧力鍋など、さまざまな家電を使うケースも多いでしょう。どこにどれくらいコンセントがいるのか、あらかじめ十分に考慮しておくことも重要です。コンセントの数や場所が適していないと、思うような動線にできなくなる可能性もあるので、横並びダイニングでの過ごし方もイメージしながら検討しましょう。
片付けやすい収納を整える
横並びダイニングでは、生活感が見えやすいキッチンと食事をするスペースが近く、来客時の片付けが大変に感じやすい一面もあります。横並びダイニングでは、できるだけ整理整とんがしやすい収納を取り入れておき、さっと片付けやすくしておくのもおすすめ。キッチンの背後の壁面なども活用しながら、片付けがスムーズにしやすい収納を検討しましょう。
将来的な家族構成やライフスタイルも考慮に入れる
できるだけ長く快適に活用できる息の長い横並びダイニングにするためには、将来的な家庭環境も考慮しながら、どのようなレイアウトや設備にするべきか検討する必要があります。例えば「お子さんが大きくなってきてもスペース的に窮屈にならないか」「老後でも無理なく使いやすいか」など、今後の生活をイメージしておくことも重要です。
まとめ
では最後に、横並びダイニングを検討する際に知っておきたいポイントを簡単に整理していきます。
横並びダイニングとはどんな間取り?
横並びダイニングとは、キッチンとダイニングテーブルを一直線上に並べた間取りです。キッチンとダイニングを一つの空間に集約させることで、家事動線をコンパクトにまとめられる特徴があります。
横並びダイニングのメリット・デメリットは?
横並びダイニングでは、調理や食事の配膳・片付けが効率的にしやすく、料理中でも家族と話がしやすいメリットがあります。またキッチンとダイニングをまとめることで統一感のあるデザインができ、リビングを広く確保しやすいのも利点です。一方でキッチンとダイニングが同じ場所に集まっている分、リビングからは遠くなる・来客時でも生活感が見えやすい・調理中のにおいや煙などが気になりやすいなどのデメリットも。またキッチンとダイニングを一直線の横長に並べることで、レイアウトが難しくなりやすい一面もあります。
後悔しない横並びダイニングをつくるポイントは?
横並びダイニングで後悔しないためには、ご自身のライフスタイルをイメージしながら、あらかじめ家事がしやすい配置や通路・必要な設備や収納・将来的にも使いやすいレイアウトなどを検討していくことが重要。またキッチンの腰壁やテーブルの高さなど、細かな部分まで考慮した横並びダイニングにできると、より利便性が高まります。
横並びダイニングは、調理と食事のスペースを集約させることで、家事のしやすさや家族との過ごしやすさなどにつながる間取りです。少し変わった間取りなので注意すべきポイントもありますが、横並びダイニングのつくり方次第で快適かつおしゃれなLDKにできます。横並びダイニングを取り入れたい場合には、ぜひ本記事を参考に、理想のライフスタイルを叶える空間にしていきましょう。
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