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軒のない家は10年後どうなる?メリット・デメリットや対策法を紹介

軒のない家のメリットやデメリットなどを解説します
昨今、スタイリッシュな見た目や建築費用の軽減などの理由から、軒のない家が人気を集めています。これからマイホームを建てようと考えている方のなかには、そもそもなぜ軒があるのか、軒のない家のメリット・デメリットを知りたい方もいるでしょう。

本記事では、軒の役割から軒のない家のメリット・デメリットを解説します。軒のない家の10年後はどうなるかを知っておくことで、後悔のない家を建てられるでしょう。

軒の役割とは

軒には雨や風の侵入を防ぐ役割があります
軒には雨や風の侵入を防ぐ役割があります

軒とは、建物の屋根が外壁よりも外側に突き出している部分のことです。例えば「家の絵を描いてください」と言われた時に、屋根を家の壁よりも突き出して描く方が多いでしょう。この突き出している部分を軒と言います。

よく混同されるものに庇(ひさし)があります。これは屋根とは独立して、窓や玄関などの上に取り付けられた小さな屋根のことです。本章では、軒の役割を解説します。

雨や風の侵入を防ぐ

軒は、雨や風の侵入を防いでくれます。雨が降った際には、屋根から流れる雨水を外壁に当たる前に地面に落とすことで、外壁に直接当たることを防ぎます。また、軒が出ていることで、風の勢いを弱めます。例えば、強い風をともなう雨の場合、軒が出ていれば風の勢いも弱まり、雨が窓や換気口などに直接吹き込むのを防いでくれるでしょう。

日差しの入り方を調節する

軒には、日差しの入り方を調節する役割もあります。夏は太陽が高く日差しが強くなりますが、軒があることで、日差しをうまく遮ってくれます。一方、冬は太陽が低く、斜めから日差しが入りますが、適切な軒の長さであれば、日差しを遮ることなく、室内に取り込めます。

建物の通気性を向上させる

軒の裏側である軒裏には、換気口を設けることがあります。これによって、屋根裏や室内の通気性を高められ、熱気や湿気が効率よく排出されます。熱気や湿気が排出されることで、結露やカビの発生を防ぎ、木材の腐食が抑えられ、建物の寿命を延ばすことができます。

軒のない家が増えている理由

シンプルモダンなデザインが流行していることが軒のない家が増えている理由の一つです
シンプルモダンなデザインが流行していることが軒のない家が増えている理由の一つです

軒は日差しを調節したり、雨や風の侵入を防いだりと、さまざまな役割を持っています。それでは、なぜ軒のない家が増えているのでしょうか。理由を見ていきましょう。

限られた土地を最大限に活用する

軒のない家が増えている理由は、限られた土地を最大限に活用するためです。特に東京や大阪をはじめとした都市部では、土地の価格が高騰しています。広い土地を確保することが難しいため、軒をなくすことで、建物の面積を最大限まで広げられます。

例えば、軒を設けると、その分建物の面積が狭くなることに。軒のない家にすることで、限られた土地でも居住スペースを最大限に確保できることから、人気を集めています。

シンプルモダンなデザインが流行している

シンプルモダンなデザインが流行していることも、軒のない家が増えている理由の一つです。現在は、ミニマルデザインやキューブ型といった、シンプルモダンなデザインが流行しています。軒をなくすことで、直線的で無駄のないフォルムとなり、洗練された印象を与えられます。また、SNSが普及し、「映える家」として若い世代に人気なことも理由と考えられるでしょう。

軒のない家のメリット

軒のない家のメリットを解説します
軒のない家のメリットを解説します

軒のない家は、土地価格の高騰と流行りのデザインであることなどから、人気を集めています。それでは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

建築費用を抑えられる

軒のない家のメリットは、建築費用を抑えられることです。軒を設ける場合、その分の屋根材が必要になったり、施工の手間がかかったりするでしょう。軒をなくすことで、屋根の構造をシンプルにできるため、建材費や施工費を抑えることが可能です。また、工期の短縮にもつながります。

居住スペースを広く確保できる

居住スペースを広く確保できる点も、軒のない家のメリットです。軒がある家では、軒の出ている部分も建築面積に含まれるため、建ぺい率に影響を与えます。建ぺい率とは、土地に対する建物の面積の割合のこと。軒がなければ、外壁を建ぺい率の上限まで寄せることができるため、軒がある場合よりも居住スペースを確保できます。

シンプルでモダンな外観になる

軒のない家のメリットとして、シンプルでモダンな外観になることも挙げられるでしょう。現在の住宅は、無駄な装飾をなくしたミニマルな美しさが求められる傾向にあります。軒をなくすことで、建物全体がシンプルな形になり、洗練された印象を与えます。

冬場でも日差しを取り込みやすい

軒のない家のメリットに、冬場でも日差しを取り込みやすい点が挙げられます。冬場は太陽の位置が低くなり、斜めから日差しが入ります。軒が出ていると日差しを遮ってしまい、室内が暗くなり寒く感じられるでしょう。一方、軒がなければ日差しを遮ることなく、室内まで入り込みやすくなります。日照時間が短い冬場でも、室内が明るくなり、温かみを感じられるでしょう。

軒のない家のデメリット

軒のない家のデメリットを解説します
軒のない家のデメリットを解説します

建築費用を抑えられたり、居住スペースを広くできたりと、軒のない家にはさまざまなメリットがあります。しかし、一方で建てたことを後悔しかねないデメリットもあります。後悔しないためにも、デメリットもよく理解しておきましょう。

雨漏りのリスクが高くなる

軒のない家のデメリットは、雨漏りのリスクが高くなることです。軒のない家は、外壁や窓周りに雨が直接当たりやすくなります。そして、壁の亀裂や壁と屋根の隙間などから雨水が侵入し、雨漏りにつながることも。

一般財団法人 住宅保証支援機構の「事例から学ぶ住宅トラブルとその実態」によると、軒の出が300mm〜450mm未満の屋根からの雨漏りするケースと比べると、軒の出が100mm未満では4.71倍起こりやすいことがわかっています。

外壁が劣化しやすい

外壁が劣化しやすい点も、軒のない家のデメリットです。軒がないため、外壁が雨や紫外線に直接さらされることが多くなります。例えば、雨水によって外壁が汚れやすくなったり、紫外線によって塗装が退色したりする劣化が起きるでしょう。

また、雨や紫外線は外壁や窓枠などの隙間を埋めるために使われるシーリング材にも影響を与えます。雨や紫外線によってシーリング材が劣化し、ひび割れや剥離が起こり、雨漏りにつながります。

メンテナンスの頻度が増える

メンテナンスの頻度が増えることも、軒のない家のデメリットです。これまで見てきたように、軒のない家は雨や紫外線などの影響を受けやすくなります。軒のある家と比較して、外壁やシーリング材の劣化が早まるため、短いサイクルで定期的なメンテナンスが必要になるでしょう。

一般的に外壁塗装は10年ごと、シーリング材の交換は5〜10年が目安とされています。軒のない家の場合は、これよりも早くおこなうことが推奨されるでしょう。

夏の強い日差しが室内に入り込む

軒のない家は、夏には強い日差しが室内に入り込みます。夏場には太陽の位置が高くなりますが、軒があれば日差しを遮ることができます。しかし、軒がない家は日差しが直接室内に入り込むため、室温が高くなるでしょう。場合によっては、光熱費が増える可能性もあります。また、強い日差しが床や家具に当たり続けることで、日焼けや変色が起こる恐れもあります。

軒のない家は10年後どうなる?後悔しないためのポイント

軒のない家は雨漏りのリスクが高くなるため対策が必要です
軒のない家は雨漏りのリスクが高くなるため対策が必要です

軒のない家は、雨や紫外線が直接当たりやすくなるため、雨漏りのリスクが高くなったり、メンテナンスの頻度が増えたりする可能性があります。本章では後悔しないためのポイントを解説します。

庇(ひさし)を設置する

軒のない家でも庇を設けることで、雨や紫外線の影響を軽減させられるでしょう。先述したように、庇とは窓や玄関などの上に取り付けられた小さな屋根のこと。適切な部分に設けることで、雨水の侵入を防ぎ、夏場の強い日差しも遮られるでしょう。また夏場であれば、室温の上昇を防ぎ、空調効率も高められます。しかし、庇を付けると外観に凹凸ができるため、外観にこだわりたい方はよく検討しましょう。

高性能な外壁材を使用する

高性能な外壁材を使用することも、後悔しないためのポイントの一つです。繰り返しになりますが、軒がなければ外壁の劣化が早まります。初期費用が高くなっても、高性能な外壁材を使用することで、劣化を少しでも遅くでき、メンテナンス頻度も抑えられるでしょう。特に、ガルバリウム鋼板はアルミニウムの耐食性と、亜鉛の犠牲防食作用・自己修復作用をあわせ持つ、耐久性が高い外壁材です。

また、外壁の塗装材では光触媒コーディングが注目を集めています。これは、光が当たることで化学反応が起き、汚れを分解。雨が当たることで汚れを洗い流すというものです。紫外線を利用するため、耐久性が高く、メンテナンス費用を抑えられるでしょう。

定期的なメンテナンスを心がける

軒のない家で後悔しないために、定期的なメンテナンスを心がけましょう。先述したように、軒のない家は雨や紫外線の影響を受けやすいため、外壁やシーリング材の劣化が早まります。小さな劣化に気付いた時点ですぐに修繕することで、被害を最小限に抑えられるでしょう。適切なタイミングで修繕することで、大規模な修繕の時期を遅らせることができます。

軒に関するよくある質問

軒に関するよくある質問をまとめました。

軒の代わりになるものは?

軒の代わりになるものには、庇(ひさし)があります。窓や玄関などの上に設けることで、雨や紫外線の影響を防げるでしょう。また、家の壁にあと付けするテラス屋根もあります。庇もテラス屋根も、家を建てたあとからでも取り付けられます。住み始めてから雨や日差しが気になる場合は、検討してもいいでしょう。

軒のない家で耐久性を高める方法は?

軒のない家の耐久性を高めるためには、次の方法があります。

  • 庇を設置する
  • 高性能な外壁材を使用する
  • 定期的なメンテナンスをおこなう

これらをおこなうことで、家の寿命を縮める雨や紫外線の影響を抑えられるでしょう。

軒のない家のメリット・デメリットは?

軒のない家のメリットは、スタイリッシュな外観にでき、建築費用を抑えられることです。一方、雨や紫外線の影響を受けやすくなるため、雨漏りのリスクが高くなり、メンテナンスの頻度が増えるというデメリットがあります。

まとめ

本記事では、軒のない家は10年後にどうなるのかを解説しました。軒がなければ、雨風や紫外線の影響を受けやすくなるため、外壁やシーリング材などの劣化が早まります。また、雨漏りのリスクも高まります。

軒のない家で後悔を避けるためには、耐久性の高い外壁材を使用したり、庇を設置したりといった対策が考えられます。また、定期的なメンテナンスも欠かせません。メリット・デメリットを理解したうえで、軒の設置を検討しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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