3階建ての物件はやめたほうがいい?後悔しない家選びをするポイント
本記事では「3階建てはやめたほうがいい」と言われる理由や後悔しないためのポイントを解説します。メリットとデメリットを比較して、自分に合っているかを確認しましょう。
記事の目次
3階建てはやめたほうがいいと言われる理由

3階建ての住宅にもメリットがある反面、メリットを上回るデメリットを感じる方もいるようです。特に狭小3階建てでは、居住性や快適性に不満を感じやすく、生活の質を下げてしまう可能性もあるでしょう。後悔を防ぐには、実際の生活を綿密に想像し、長期的なライフプランに照らし合わせて判断することが重要です。本章では、「3階建てはやめたほうがいい」と言われる理由を解説します。
毎日の階段移動がしんどい
3階建ての住宅で多く聞かれる後悔の声が「階段がしんどい」です。特に、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、安全性や移動の負担が大きな問題になるでしょう。洗濯物を干すために毎日上り下りする、トイレや浴室が別フロアで使い勝手が悪い、夜間にトイレで階段を使うのが怖いなど、日常的なストレスが積み重なります。
若い頃は問題なくとも、将来的にその生活を続けられるかを慎重に考える必要があります。階段移動は、日々の積み重ねで大きな負担になることを覚えておきましょう。
老後に向かない間取りになりやすい
3階建て住宅は、老後の生活には不向きとの意見も見られます。年齢を重ねるごとに足腰の負担が増し、階段の上り下りが困難になるため、将来的に介護が必要になった際に、在宅介護の難易度が高まる可能性もあるでしょう。
バリアフリーの観点からも不利な点が多く、終の住処としては慎重な検討が必要です。老後に備えた住宅設計をすることが、家づくり全体の質を大きく左右します。
メンテナンス・光熱費がかさむ
3階建ては高さによって足場の設置費用が増すため、平屋や2階建ての住宅より、屋根や外壁のメンテナンス費用が高くなる傾向があります。
また、冷暖房効率が悪く、上下階で温度差が激しくなるため、エアコンの設置台数や電気代も増えやすく、意外と出費がかさむ点は見落とされがちです。配管や電気系統もフロアをまたぐ構造になるため、トラブル時の修理対応も複雑になるでしょう。
地震・災害時のリスクがある
3階建ては地震時の揺れが大きくなる傾向にあり、特に狭小地に建てられた場合は構造上の不安が残ります。耐震等級が高い建物でも、地盤の問題や設計ミスがあると、大きな揺れや倒壊リスクに直結するでしょう。
また、3階部分が寝室になっている場合、緊急時の避難が遅れる可能性もあり、家族の安全を守るうえで注意が必要です。火災や台風時にも逃げ場が限定されることがあるため、災害対策を考えても、フロア構成は慎重に決めなければなりません。
3階建て住宅で後悔しないためのチェックポイント

3階建て住宅に住むうえで後悔しないためには、事前の情報収集とライフスタイルに合った設計が欠かせません。設計段階から細かい部分にまで目を向けておくことで、実際の生活とのギャップを防ぐことができます。本章では、3階建て住宅を選ぶ際に、後悔しないためのチェックポイントを解説します。
間取りと生活動線を最優先に考える
3階建てではフロアごとの使い分けが避けられず、生活動線が複雑になりがちです。
例えば、1階に玄関と水回り、2階にLDK、3階に寝室を設置する家庭が多く見られますが、実際に生活してみると、洗濯や掃除、育児や介護などで、頻繁にフロアを移動する必要が出てきます。事前に自分たちの生活スタイルをシミュレーションし、動線のストレスを抑える間取りを設計することが大切です。
生活が1階と2階で完結できるように工夫することで、階段の上り下りの負担を減らすことができます。
階段の安全性と利便性を確保する
3階建ての住宅で暮らすうえで、階段は日常生活の中心になります。だからこそ、階段の設計は安全性と利便性の両面から考えなくてはなりません。例えば、手すりの設置はもちろん、段差の高さや幅、滑り止め加工なども重要です。
また、将来的に階段昇降機を設置できるスペースを確保しておくと、老後の負担軽減につながります。家族構成やライフステージの変化を見越して、階段を中心とした設計を見直しましょう。
建築会社の実績と信頼性を確認する
3階建て住宅の建築には、2階建てよりも高い設計・施工技術が求められます。構造計算の複雑さや建築基準法への適合など、専門性の高い対応が必要なため、信頼できる建築会社の選定が重要です。施工実績のある会社は、3階建て特有の課題や暮らし方へのアドバイスも充実しているため、よく相談しながら決めることをおすすめします。
完成見学会や施主インタビューを参考にしつつ、見積もりの明確さや過去の施工例、アフターサービスなどから総合的に判断しましょう。
将来の売却を見据えた設計にする
3階建ては狭い土地を有効に活用できる反面、将来的に売却を検討した際は、買い手が限られる場合があります。特に、高齢者や小さな子どもがいる家庭には敬遠されやすく、立地や間取りによっては資産価値が下がるケースも珍しくありません。
そのため、間取りの可変性や収納力、車庫の有無など、幅広い層に受け入れられる設計を意識することが大切です。資産としての価値を長く保つためには、売却時のターゲット層を想定した住宅設計をおこないましょう。
3階建て住宅と他の選択肢との比較

3階建てがベストな選択肢かを判断するためには、他の住宅スタイルと比較して考えましょう。例えば、建物の敷地面積やメンテナンス、将来性などの観点からメリットとデメリットを比較して判断することが大切です。それでは、3階建て住宅と他の選択肢とを比較していきましょう。
【平屋との比較】バリアフリー・安心感が強み
| 比較項目 | 平屋 | 3階建て |
|---|---|---|
| 階段移動 | なし(バリアフリー) | 多く、老後に負担になる |
| 敷地の必要面積 | 広い土地が必要になる | 狭小地に適応 |
| メンテナンス性 | 良好(足場不要) | 高所作業でコストが増える |
| 将来性 | 老後まで快適に過ごせる | 老後には不便になる傾向がある |
| 需要 | 高齢層・バリアフリー物件を求める方にも需要がある | 限定的 |
平屋住宅は、すべての生活がワンフロアで完結するため、階段の少ないバリアフリーな構造が特徴です。高齢者や小さな子どもがいる家庭にとっては、安全面・利便性の両方で優れており、老後も安心して暮らせる住まいとして人気があります。
一方、広い敷地が必要になるため、土地価格の高い都市部では実現が難しい場合もあります。しかし、将来的なメンテナンスや光熱費のコストパフォーマンスのよさを考慮すれば、平屋の選択は合理的な判断といえるでしょう。
【2階建て】バランスの取れた選択肢が強み
| 比較項目 | 2階建て | 3階建て |
|---|---|---|
| 階段移動 | 適度 | 多く、負担が大きい |
| 敷地の必要面積 | 中程度で柔軟 | 狭小地に適応 |
| メンテナンス性 | 高所作業になる可能性がある | 高所作業でコストが増える |
| 将来性 | 高齢期にも対応しやすい | 老後には不便になる傾向がある |
| 需要 | 幅広い層に安定した需要がある | 限定的 |
2階建て住宅は、土地をある程度有効活用しながらも、生活動線が複雑になりにくい点でバランスが取れた構造です。LDKを1階、寝室を2階に配置するスタイルは、多くの家庭に馴染みがあり、3階建てほど移動負担が大きくありません。
また、建築コストやメンテナンス費用も3階建てより抑えられる傾向があり、設計の自由度も高く、将来的な間取り変更にも柔軟に対応できます。都市部であっても、敷地条件次第では2階建てが最適解となることも多いでしょう。
3階建てで後悔する人の共通点

3階建て住宅で「後悔した」と感じている方は、購入前や設計段階で十分なシミュレーションをおこなわなかったり、将来のライフステージを見据えずに目先の利便性だけで判断したりと共通の失敗点があります。それでは、3階建てで後悔しやすいポイントを見ていきましょう。
建築前のシミュレーションが不足していた
実際の生活を十分にイメージせずに家を建ててしまった方は多く見られます。例えば「朝の支度で家族が階段ですれ違うのがストレス」「洗濯や掃除の動線が思った以上に大変だった」などの後悔が代表的です。モデルルームや図面上では便利に見えても、実際に暮らしてみると日常の動きに不便が多く発生することも珍しくありません。生活導線や家具配置、採光や風通しまで含めてシミュレーションすることで、理想の暮らしやすさを実現できます。
将来設計が甘かった
今の生活にばかり目を向けて設計した結果、将来の変化に対応できず、後悔するパターンも見られます。特に子育て世帯では、子どもの成長に合わせた空間設計や、独立後の空き部屋問題などを想定しておく必要があります。
また、老後や親の介護を想定していなかったために、階段が大きなハードルになってしまうケースも多いでしょう。ライフステージごとの暮らし方をあらかじめ想定し、変化があった時でも対応できる設計にすることが不可欠です。
家事動線を軽視していた
家事のしやすさを軽視した結果、毎日の生活に無駄な動きが増えてしまったケースもあります。例えば、洗濯機が1階、物干しスペースが3階、キッチンは2階など、家事に必要な設備が階ごとに分散していると、何度も階段を上り下りすることになり、効率が悪くなります。
動線の悪さは、短期的には気にならなくとも、長期的には疲労やストレスの原因になります。共働きや子育て世帯にとっては、貴重な時間を削ることにもつながるため注意しましょう。
家族の成長を見越していなかった
家を建てる時は今の家族構成に最適化してしまいがちですが、数年後の後悔につながることがあります。例えば、小さい子どもが成長して高校生や大学生になると、それぞれのプライバシー空間が必要になったり、部屋の使い方が大きく変化したりします。
また、子どもが独立して夫婦二人になったあとには、広すぎる空間や不要になった部屋の管理に手を焼くケースもあるでしょう。
3階建ては空間が縦に分断されているため、変化に柔軟に対応しにくい弱点があり、結果的に「もっとフレキシブルな設計にしておけばよかった」と悔やむ方も多くいます。
購入エリアから見る3階建ての向き不向き

3階建て住宅が適しているかは、建てる地域の特性や規制によって異なります。都市部では狭小地を活かすために3階建てが選ばれやすい一方、郊外や地方では広い敷地が確保しやすいため、あえて3階建てを選ぶ必要性はないでしょう。本章では、購入エリアから見る3階建ての向き・不向きを解説します。
都市部の場合
都市部では土地価格が高く、敷地も限られているため、3階建て住宅が有力な選択肢になります。縦に空間を活かすことで、延床面積を確保できる点は大きなメリットでしょう。
一方で、隣家との距離が近くなり、日照や通風の確保が難しくなることも珍しくありません。騒音問題やプライバシーの確保、駐車場スペースの確保など、都市部特有の課題も考えられます。
また、都市部では斜線制限や建ぺい率・容積率などの都市計画による規制が多いため、自由な設計がしにくい点もデメリットとなるでしょう。
郊外や地方の場合
郊外や地方では、比較的広い土地が手に入りやすく、2階建てや平屋といった低層住宅が主流です。低層住宅が実現できるエリアであえて3階建てを選ぶと、生活動線の煩雑さがむしろデメリットになってしまう可能性があります。
また、需要が少ないため、将来的に売却や賃貸を検討する際に、市場価値が下がりやすい点にも注意が必要です。自身でデメリットを上回るメリットがなければ「なぜ3階建てにしたのか」と後悔する結果になりかねません。
エリアごとに需要が変動する
3階住宅の価値は、建てる地域によって異なります。都市部のように土地が狭く高価な場所では、3階建てのニーズが高く、資産価値も維持されやすい傾向にあります。
しかし、郊外や地方では土地に余裕があるため、階数にこだわらない住宅が好まれるケースが多く、3階建ては逆に敬遠されることもあるでしょう。
ニーズを把握していなければ、将来的に売却を検討した際に買い手が見つかりにくく、資産としての評価が下がる可能性も考えられます。売却価格を重視する場合は、地域の市場動向をリサーチすることが重要です。
3階建て住宅にかかるコスト

3階建て住宅を建てる際は、初期費用だけではなく維持費やメンテナンス費用などのトータルコストを把握しておかなければなりません。特に、3階建ては構造が複雑になりがちで、一般的な2階建て住宅よりも多くのコストが発生する可能性があります。
本章では、3階建て住宅にかかる費用のポイントと確認すべき点を解説します。
初期コストと設計費用を確認する
3階建て住宅は、限られた土地で広さを確保できる反面、構造が複雑になるため、基礎工事や構造計算にかかるコストが増加する傾向があります。
また、耐震性を確保するために鉄骨造を選ぶケースも多く、木造よりもさらにコストが上がることもあるでしょう。設計の自由度は高いものの、その分コストが跳ね上がるリスクがあることを理解しておかなければなりません。
維持費と将来的コストを確認する
建物が高くなることで、足場を組む範囲が広くなるため、将来的に外壁塗装や屋根補修などのメンテナンス費用が増加します。また、上下階の温度差が大きくなることで冷暖房の効率が下がり、エアコンの設置台数や稼働コストも増加する可能性もあるでしょう。したがって、毎月の光熱費も積み重なって家計に影響を与えることになります。
将来的にリフォームやバリアフリー改修を検討する際にも、縦長構造が足かせとなりやすく、コスト・手間ともに負担が増すリスクは避けられません。住宅ローンの返済が長期間に及ぶなかで、予想外の支出が生活を圧迫することがないよう、長期的な予算設計を立てることが求められます。
3階建てに向いている人・向いていない人

土地の条件や家族構成、ライフスタイルによって、3階建てが適しているケースもあれば、むしろ不便を感じてしまうこともあるでしょう。住宅選びで後悔しないためには、自分たちの暮らしに合っているかを冷静に見極めることが大切です。それでは、3階建てに向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
3階建てに向いている人
3階建てに向いている人は、以下の特徴があります。
- 都市部に住みたいが、敷地面積が限られている
- 若くて健康なうちに住宅を建てたいと考えている
- プライベート空間とパブリック空間をしっかり分けたい
- 仕事部屋や趣味スペースなど用途ごとに部屋を分けたい
- 階段移動が苦にならず、運動不足の解消に前向きである
3階建ては、都市部の限られた敷地でも延床面積を確保でき、生活空間と趣味空間を分けることで快適さと機能性を両立できます。
また、若い世代で身体的な負担に対する懸念が少ない方にとっては、階段の上り下りもそれほど問題にならず、むしろ健康維持や運動の一環ととらえることも可能でしょう。プライベート空間をしっかり確保できるため、ワークスペースを別フロアに持ちたいテレワーク世帯にも適しています。
3階建てに向いていない人
3階建てに向いていない人は、以下の特徴があります。
- 高齢者や将来的に足腰への不安を感じている
- 小さな子どもや高齢者など安全性の不安がある
- 家事動線を重視し、効率的な暮らしを求めている
- 介護を見据えたバリアフリー住宅を考えている
- 売却や賃貸を前提に、汎用性の高い住宅を選びたい
将来の身体的負担や生活のしやすさを重視する場合は、3階建て住宅が不向きとなります。高齢者や介護が必要な家族がいる家庭、小さな子どもがいる家庭では階段による移動が障壁となるでしょう。家事や育児に追われる共働き世帯では、家事動線の悪さがストレスにつながりやすく、毎日の生活に影響が出てしまいます。
また、将来的な売却や賃貸を考える場合、3階建ては間取りや立地により敬遠されることがあるため、資産価値の観点からも注意が必要です。
まとめ
3階建て住宅は、狭小地を有効活用できるなどのメリットがありますが、それ以上に「しんどい」「後悔した」という声が多い点も事実です。階段による生活の負担や老後の不便さ、メンテナンスや光熱費の高さなど、見落とされがちなポイントが後悔につながりかねません。
一方、3階建てが最適な選択になるケースもあります。自分たちのライフスタイルや将来の家族構成、老後や資産価値を見据えたうえで選択すれば、理想の住まいを実現することが可能です。
住宅は今だけではなく、数十年後まで見据えて選ぶ買い物です。3階建てを検討している場合は、注意点やチェックポイントを比較して後悔のない暮らしを実現しましょう。
注文住宅を建てる

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ





