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無垢材とは?特徴とメリット・デメリット、お手入れ方法を徹底解説

無垢材とは?特徴とメリット・デメリット、お手入れ方法を徹底解説
マンションや一戸建てなど、家族が快適に過ごすためのマイホームに、無垢材を採用することが近年増えつつあります。無垢材は心や体の健康によいとされていますが、具体的にどのような魅力があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。無垢材について理解を深めることで、効果的に取り入れて快適な暮らしを実現できるようになります。
そこで、本記事では無垢材の基礎知識やメリット・デメリット、長く保つためのポイントについて解説します。無垢材を取り入れた家の事例も紹介していますので、これから家づくりを始める方はぜひ参考にしてください。

無垢材とは?

無垢材とは?
無垢材とは?

無垢材とは、自然の木をそのまま切り出して使用した天然無垢の木材のことで、天然木本来の質感や風合いを楽しめます。住宅に取り入れる場合は、フローリングや建具、家具などに用いられるケースが多いです。なかでも多いのは「無垢フローリング(無垢床)」で、丸太から切り出した木を貼り合わせずに1枚の板に加工します。木の種類によって異なる質感や色、経年変化を、子どもの成長と同じように楽しめるのが魅力です。

集成材とは?

集成材とは?
集成材とは?

一方、集成材とは複数の板を貼り合わせてつくる人工の木材のことをいいます。無垢材とは異なり環境による変化が少ないため一定の品質を確保でき、大量生産が可能です。集成材は住宅の柱や梁などの構造に使われる「構造用集成材」と、内装や家具などに使われる「造作用集成材」の2種類に分けられ、多くの一般住宅で採用されています。

無垢材のメリット

無垢材のメリット
無垢材のメリット

無垢材は自然素材であることから、採用することでさまざまなメリットを享受することが可能です。以下では、無垢材を採用する4つのメリットについて解説していきます。

天然木の風合いを楽しめる

天然木をそのまま使用している無垢材は、独特な風合いを楽しめます。木の種類によって異なる素材や雰囲気は、経年変化により長期間愛着を持って使用できるでしょう。木材が持つリラックス効果も期待でき、室内が癒しの空間となります。

経年変化を楽しめる

無垢材は、経年変化によって色合いや艶、形状が変わる味わい深い素材です。どのように変化するかは素材ごとに異なり、長年住み続けることで自分や家族の成長と合わせて無垢材の変化を楽しめるでしょう。

調湿効果がある

天然木を使用する無垢材は、呼吸を続けているため調湿効果が期待できます。湿気が多いと水分を吸収し、乾燥すると水分を空気中に放散するため、自然と過ごしやすい空間を維持することが可能です。

暑さや寒さを緩和できる

木は調湿効果に加え、鉄やコンクリートと比べて熱伝導率が低く、外部の暑さや寒さに影響されにくい傾向にあります。木は空気を多く含む性質があり、空気が断熱材の代わりとなって過ごしやすい室温にしてくれます。寒さを感じやすい冬場でも、足元からの冷えを軽減することが可能です。

無垢材のデメリット

無垢材のデメリット
無垢材のデメリット

上述のような多くのメリットを得られる一方で、無垢材ならではのデメリットも存在します。主に考えられる無垢材のデメリットを以下で紹介するので、メリットに加えてデメリットについても理解しておきましょう。

お手入れが必要

無垢材は木そのものの油分を持ち、油分がなくなると表面の傷や汚れが目立ちやすくなります。綺麗な状態を長く保つには、定期的にお手入れすることが大切です。無垢材の艶を維持しつつお手入れの手間を最小限に抑えるには、自然塗装のワックスをかけておくとよいでしょう。

膨張・収縮を起こしやすい

先述のとおり、無垢材は調湿機能があるため湿気を吸収すると膨張し、放湿すると収縮します。膨張や収縮によって、隙間ができたりひび割れ・反りが発生したりする可能性があります。ひび割れや変形することを避けるには事前の対策が必要になるため、施工会社にあらかじめ相談しておきましょう。

傷付きやすい

無垢材は、一般的に素材がやわらかく傷が付きやすいです。重たいものや先が尖っているものがぶつかったときに、傷やへこみが生じてしまうかもしれません。傷が付くと見た目が損なわれるうえに耐久性の低下にもつながってしまうため、木の種類の選び方や塗装による対策が必要です。

水分に弱い

無垢材は水に弱い性質を持っているため、濡れた場合はシミになる可能性があります。色の濃いコーヒーやワインだけでなく、普通の水であってもすぐに拭き取りが必要です。表面をコーティングするだけでは防水対策として不十分なので、こまめな手入れが欠かせません。水回りに無垢材を採用しないなどの配慮も必要です。

無垢材の種類6選

無垢材の種類6選
無垢材の種類6選

無垢材は、「広葉樹」と「針葉樹」の2種類に大別されます。広葉樹は葉が広く平たい形をしており、暖かい地域に分布しています。木材の表面が硬く耐久性の高さが特徴的で、成長が遅いため比較的高価です。一方、針葉樹は針のように細く尖った形状の葉で、寒い地域に分布しています。表面はやわらかく体への負担が少ない素材で、広葉樹よりも成長が早いため安価で供給量も多いです。

広葉樹と針葉樹の無垢材の主な種類について、以下の表にまとめました。

種類 特徴 メリット デメリット 価格相場
(平方メートル単価)
オーク
【広葉樹】
・ブナ科コナラ属
・黄色味がかったベージュ色
・ナラ(ミズナラ)、ホワイトオーク、レッドオークと種類がある
・耐久性・耐水性が高い
・伸縮性が少ない
・比較的安価
・熱伝導率が高め
・定期的なメンテナンスが必要
12,000~
20,000円程度
チーク
【広葉樹】
・クマツヅラ科
・黄褐色
・高級木材として人気が高い
・耐久性が高い
・経年変化を楽しめる
・お手入れが簡単
・乾燥に時間がかかる
・高価
12,000~
35,000円程度
チェスナット
【広葉樹】
・ブナ科クリ属
・栗色
・独特の香りを持つ
・耐久性に優れている
・木目が美しい
・害虫に強い
・膨張や伸縮がある
・比較的高価
・加工しづらい
10,000~
15,000円程度
スギ
【針葉樹】
・ヒノキ科スギ属
・黄色味がかった明るい色
・日本を代表する無垢材で広く使われている
・調湿性、断熱性、衝撃吸収性・吸音性が高い
・軽量で扱いやすい
・経年変化を楽しめる
・傷が付きやすい
・アレルギーの原因になる可能性がある
6,000~
12,000円程度
ヒノキ
【針葉樹】
・ヒノキ科ヒノキ属
・淡い黄色、クリーム色
・日本固有の高級木材
・強度・耐久性が高い
・水に強い
・香りがよい
・比較的高価
・変形する可能性がある
8,000~
18,000円程度
パイン
【針葉樹】
・マツ科
・基本的に白っぽい明るい色
・節が多い
・調湿作用があり快適に過ごせる
・安価
・香りがよい
・衝撃吸収性が高い
・傷が付きやすい
・変形しやすい
5,000~
10,000円程度

無垢材の種類別特徴とメリット・デメリット

以下で、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

オーク【広葉樹】

オークは広葉樹の一種で、「ナラ」の名称でも親しまれています。耐久性や耐水性が高いうえに、「板目」「柾目」「虎斑」の模様もあり見た目の美しさが特徴的です。フローリングや家具、建具などに使われ、幅広い年代に人気があります。木肌にムラが少なく変色も起こりにくいため、長期間見た目の美しさを保つことが可能です。

チーク【広葉樹】

チークは、主に東南アジアに分布する広葉樹の一種です。比較的硬いため傷に強く、天然油分の効果でなめらかな肌触りや艶を感じられます。使い込むほどに色味の深さや光沢が増し、加工性にも優れていることからフローリング以外にも、テーブルなどの高級家具や楽器などにも使われる素材です。

チェスナット【広葉樹】

チェスナットは世界の広範囲に生息する広葉樹の一種です。チェスナットは日本では「栗」と呼ばれ、栗の木よりも食べられる栗の実のほうが注目を集めています。しかし、栗の木は家づくりで使用する素材として人気があります。チェスナットは耐久性に優れており、タンニンを多く含むため腐食や害虫被害が少なく、水回りにも使用しやすい素材です。色ムラが少なく味わいのある栗色が魅力ですが、希少性があり高価な点には注意しましょう。

スギ【針葉樹】

スギは、日本を代表する針葉樹です。国内で広く利用されており、やわらかく傷がつきやすいのが特徴です。調湿性や断熱性が高いため、フローリングに採用されるケースが多い傾向にあります。リラックス効果のある香りによって、ストレスを和らげたり清潔な環境を維持したりするのに役立ちます。だんだんと色味が深まり、長く使用するほど味わいが増して愛着を持てるでしょう。

ヒノキ【針葉樹】

ヒノキはスギと同様に針葉樹の一種で、日本で広く利用されています。ヒノキは浴槽に使われるほど水に強く、耐久性の高さから建材や内装材に多く使われる人気の素材です。また、ヒノキ独特の香りはリラックス効果があるほか、虫除けとしても効果があります。希少性が高く、高価な点には注意が必要です。

パイン【針葉樹】

パインは世界各国に分布する針葉樹で、マツの木を指します。やわらかい肌触りが特徴的で、湿度や温度の影響を受けやすい傾向にあります。フローリング以外にはテーブルや椅子といった家具に多く採用されるなど、幅広い用途に使われるのが特徴です。比較的安価ですが、産地によって加工性や強度などの特徴が大きく異なります。

無垢材を長持ちさせるお手入れのコツ

無垢材を長持ちさせるお手入れのコツ
無垢材を長持ちさせるお手入れのコツ

無垢材を綺麗に長持ちさせるには、こまめなお手入れが欠かせません。お手入れするにも適当な方法を選んでしまうと、逆効果になる可能性もあるため注意が必要です。以下では、無垢材を長持ちさせるためのお手入れのコツを解説します。

水拭きをする際は固く絞った雑巾で

水拭きで無垢材をお手入れする際は、固く絞って水気を取った状態の雑巾で拭くようにしましょう。無垢材は水に弱い性質を持っているため、乾拭きが基本です。水気を多く含んだ雑巾やモップなどで拭くと、膨張や反りの原因となってしまいます。長持ちさせるなら、できるだけ水気を避けましょう。

強い洗剤や化学モップに注意

無垢材は天然木を使用しており、デリケートな素材です。強い洗剤や化学モップを使用すると、シミやひび割れなどが発生する可能性があります。お手入れの際は強い洗剤や薬品の使用は避けるようにし、無垢材に使用できるものをあらかじめ確認しておきましょう。

ワックスは年に1、2回かける

無垢材にワックスを塗装しておくことで、お手入れの手間が楽になります。ワックスをかける際は、無垢材の表面の塗装に合わせたワックスを使用することが大切です。ウレタン塗装がされた無垢材フローリングの場合は、すでに膜が張ってある状態のためワックスがけは基本的に不要です。無塗装のものやオイル塗装のものにワックスをかけるなら、年1~2回程度の頻度を目安にするとよいでしょう。

無垢材フローリング(無垢床)の建築事例

無垢材フローリング(無垢床)の建築事例
無垢材フローリング(無垢床)の建築事例

ここからは、無垢材フローリング(無垢床)を採用した家の建築事例を紹介します。事例を参考にすることで具体的にイメージしやすく、内装の雰囲気やデザインが明確になるでしょう。

無垢材と漆喰でつくる自然素材の家

自然素材にこだわって建てた住宅の事例です。内装は白と暗めのブラウンで落ち着いた印象となっています。漆喰壁やオークの無垢材フローリングを使用することで調湿効果が期待でき、丈夫で健康的な住環境が整っています。

無垢材を贅沢に使用した猫ちゃんと暮らす開放的なお住まい

内装に自然素材をふんだんに使うことで、見た目も体感も温かい室内空間を実現した住宅の事例です。リビングダイニングや玄関ホール、小屋裏収納、廊下などのフローリングはヒノキの無垢材を使用。化粧梁もフローリングとデザインを揃えて空間にまとまりがでています。壁には珪藻土を使用し、家族が快適で健康に過ごせます。

勾配天井で広い空間を演出する、アメリカンスタイルな平屋

憧れのアメリカンスタイルと和の空間を調和させた平屋の事例です。外観は片流れ屋根を採用してスタイリッシュな印象に。内装は無垢材のフローリングや小上がり和室などによって安らげる空間を実現しました。リビングや子ども部屋に採用した無垢材フローリングの赤松は、経年変化で飴色に染まっていく素材です。子どもの健やかな成長と共に、家の変化も楽しめるでしょう。

平屋のように見える二階建て

周囲の環境に溶け込む外観で、控えめな佇まいの住宅の事例です。天窓や高窓から差し込む光と内装の雰囲気がマッチして、温かみを感じられるリビングダイニング空間となっています。建具やフローリングはアルダー材で統一し、まとまりのあるデザインです。外の風景とも調和しており、室内にいながら自然を身近に感じられるためリラックスして過ごせるでしょう。

Mid-Century Modernの家

デザイン性と機能性の高さを両立したバランスのよい住宅の事例です。お気に入りのソファーから全体のインテリアを統一し、リビングダイニングや廊下、寝室などに無垢材フローリングを採用。一部の部屋の天井も木目調にすることで、より落ち着いた印象になりゆったりと過ごせます。

まとめ

まとめ
まとめ

今回はマイホームをつくるときに人気の無垢材について解説しました。無垢材は自然素材でさまざまな効果やメリットを期待できますが、丁寧に取り扱う必要があります。注意点やお手入れのコツもしっかり把握したうえで、プランに取り入れるか検討しましょう。なかには、無垢材が標準仕様となっている建築会社もあります。限られた予算で建てる場合には、無垢材が標準仕様となっているかの確認も大切です。

阿孫 沙綾

執筆者

阿孫 沙綾

不動産エージェントおよびWebディレクター兼ライターのフリーランス。8年間で不動産売買・賃貸の仲介業、実需や収益不動産の仕入れ・販売業務を経験し、現在は個人エージェントとして活動中。また、幅広いジャンルの不動産業務に携わった経験を活かし、不動産・宅建ジャンルを中心に執筆や編集もおこなう。

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