【実例】コンパクトハウスとは?メリット・デメリットや間取りの例をご紹介

記事の目次
コンパクトハウスとは

「コンパクトハウス」に明確な定義はありませんが、おもに延床面積30坪未満を目安とした小さな住宅のことです。小さいながらも機能性や快適さを備えた住まいとして注目されています。都市部に多い狭小住宅(ペンシルハウス)とは異なり、間取りやデザインの自由度が高く、さまざまなタイプのコンパクトハウスがあります。
コンパクトハウスのメリット

コンパクトハウスは、その名の通り小さな住まいのことです。ただし、単に面積が狭いだけではありません。暮らしやすさや効率性を重視した設計により、多くのメリットがあります。たとえば、建築費用や維持費が抑えられるほか、掃除やメンテナンスも手軽です。ここでは、コンパクトハウスの主なメリットを解説します。
費用が抑えられる
コンパクトハウスは建築費用や維持費など、さまざまなコストを抑えられます。多くの場合、延床面積が30坪未満であるため、必要な建築資材や施工の手間が少なく、土地代や基礎工事費用も軽減されます。また、床面積が小さい分だけ冷暖房の効率が高く、光熱費を節約しやすいのも特徴です。
さらに、固定資産税や都市計画税についても、延床面積が一定以下の住宅には軽減措置が適用されるため節税効果を見込めます。ただし、コンパクトな家は坪単価でみるとやや高くなる傾向にあり、建築会社の工夫やプランによってトータル費用の確認が必要です。初期費用が抑えられるので、内装やインテリアに予算をかけられ、費用面での自由度が高い住まいといえるでしょう。
掃除・メンテナンスが楽
コンパクトハウスは空間が限られている分、掃除やメンテナンスの負担を軽減できるのが大きな魅力です。生活動線が短くて掃除範囲も少ないため、日々の家事が効率化されます。外壁塗装などのメンテナンスも費用を抑えやすく、平屋なら足場が不要なケースもあります。手間もコストもかからない、シンプルで快適な暮らしを実現できるでしょう。
家族との距離が近い
限られた空間で暮らすからこそ、家族とのコミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。リビング階段を採用すれば、子どもの様子を日常的に確認しやすく、自然と会話も増えるでしょう。また、リビングを広めに確保して寝室などをコンパクトに設計することで、家族が自然と集まる空間が生まれます。特に、日々のつながりを大切にしたい家庭に向いています。
コンパクトハウスのデメリット

コンパクトハウスには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。たとえば、空間が限られているために狭さを感じやすかったり、坪単価が高くなったりする傾向があるでしょう。ここでは、コンパクトハウスの主なデメリットを解説します。
狭さを感じやすい
限られた床面積で設計される住宅は、間取りや家具配置によっては狭さを感じることがあります。とくに、生活動線や収納が十分に考慮されていない場合、圧迫感や不便さにつながります。リビングを広く確保し、個室を最小限にするなど空間にメリハリをつけたり、視線が抜ける中庭を設けたりすることで、狭さが軽減されるでしょう。
坪単価が割高になりやすい
小規模な住宅ほど、仮設設備や申請費用などの固定費に対して、全体に占める割合が大きくなります。そのため、坪単価が割高になる傾向があります。コンパクトハウスでも、施工内容によっては「意外と高くついた」と感じることがあるかもしれません。
対策としては、リビングなど優先度の高い空間には予算をかけ、寝室や水回りはシンプルに抑えるなど、空間ごとにコスト配分のメリハリをつけることが大切です。施工会社の担当者と相談しながら計画を立てると安心です。
プライバシーが確保しにくい
コンパクトハウスは空間が限られるため、家族との距離感が近くなってプライバシーの確保が難しくなります。特に子どもが成長すると、それぞれの時間や空間を求めるといったケースもあるでしょう。人が集まるリビングと個室の配置を工夫したり、視線や音を遮る仕切りを設けたりするなどの対応が求められます。ライフスタイルに合わせて、必要なプライベート空間を確保できる間取りの検討が重要です。
コンパクトハウスがおすすめの人

コンパクトハウスは、必要最低限のスペースで快適に暮らしたい方に適した住まいです。掃除やメンテナンスがしやすく、建築費や光熱費なども抑えられるため、コスト面でも魅力があります。ここでは、コンパクトハウスに向いている方の特徴について解説します。
ミニマルライフを送りたい人
必要最低限のモノで暮らすミニマリストにとって、コンパクトハウスは理想的な住まいです。必要なものだけに囲まれて暮らせるため、心も空間もすっきりと整います。自分の持ちものに合った量だけを設けることで、無駄のない暮らしが実現します。シンプルで快適な生活を目指す方にぴったりです。
一人暮らしの人
コンパクトハウスは一人暮らしにも適しています。1DKや1LDKといったシンプルな間取りを採用すれば、掃除もメンテナンスも手軽です。無駄のない空間設計で、必要な機能を過不足なく備えられるのも魅力といえるでしょう。一人分の暮らしに合った広さで、コストを抑えながら快適な住環境を実現できます。一人暮らしでのはじめてのマイホームとしてもおすすめです。
定年退職後の人
定年退職後の暮らしには、管理しやすく快適なコンパクトハウスが適しています。子どもが独立して部屋が不要になったり、掃除や家事・移動の負担を減らしたいと感じたりするシニア世代にとって、平屋のコンパクトハウスは理想的です。バリアフリー設計にしやすく、将来の身体的負担を軽減できます。夫婦二人で過ごす空間として、安心感を大切にした住まいを実現できるでしょう。
費用を抑えたい人
費用をできるだけ抑えたい方には、コンパクトハウスがおすすめです。建物が小さい分、土地代や建築資材、基礎工事などの初期費用を軽減できます。また、冷暖房効率が高いため、光熱費の節約も可能です。
また、将来的な修繕やメンテナンス費用も抑えやすく、長期的に考えても経済的です。シンプルな設計にすることで、さらにコストダウンが見込められ、限られた予算内でも理想の住まいが実現しやすくなるでしょう。
コンパクトハウスを作る時のポイント

コンパクトハウスを建てる際には、限られた空間をどう活用するのかが重要です。実際の広さを体感できるモデルハウスの見学や、縦に空間を使う複雑階建ての検討、将来の暮らしに対応できる可変性のある間取り設計が快適な住まいづくりのポイントです。ここでは、主な3つのポイントを解説します。
モデルハウスで広さの感覚をつかむ
実際の広さや動線を体感するには、図面では難しいでしょう。コンパクトハウスの計画は、必ずモデルハウスを見学することが大切です。廊下幅や天井の高さ、家具との距離を実際に確認すると、生活シーンをリアルにイメージできるでしょう。モデルハウスでは遮光や通風、設計の工夫もチェックできるため、小さな家でも快適に暮らせるかどうかを見極める絶好の機会となります。
複数階建てで縦に大きくする
限られた敷地を有効に活かすには、建物を縦に広げる工夫が必要です。たとえば、2階建てや3階建てにすることで、延床面積を確保しながら快適な居住空間を実現できます。また、吹き抜けやロフト、スキップフロアを取り入れると視覚的な広がりが生まれ、実際の面積以上に開放的な印象になります。採光や通風の面でも、明るく風通しのよい住まいづくりが可能です。
間取りを変えられる設計にする
ライフステージが変わっても快適に暮らすためには、可変性の高い間取りの採用が重要です。可動間仕切りや引き戸を使えば、子どもが小さいうちは広いワンルームとして、成長後は2部屋に仕切るなど自由に変更ができます。
また、水回りや収納を一か所に集約しておくと将来的にリフォームがしやすくなり、趣味の部屋や在宅ワーク用スペースへの転用も簡単です。変化に対応ができる設計であれば、コンパクトハウスでも長く快適に暮らせます。
コンパクトハウスの相場

コンパクトハウスは、一般的な注文住宅よりも費用を抑えられるのが魅力です。建物本体と土地代を含めた総額の目安は以下の通りです。
住宅タイプ | 延床面積の目安 | 総費用の目安 |
---|---|---|
一般的な注文住宅 | 約35坪 | 約3,000万〜4,000万円 |
スモールハウス (簡易型) |
10〜15坪未満 | 約100万〜500万円 |
コンパクトハウス | 約30坪以下 | 約1,500万〜2,500万円 |
コンパクトな平屋 | 16〜24坪 | 約2,000万円 |
コンパクトハウスは延床面積が少ないため建築費が抑えられ、冷暖房効率もよくランニングコストが低めです。坪単価はローコスト住宅で30〜50万円、大手メーカーでは70〜90万円ほどが相場となっています。さらに、間取りをシンプルにしたり、設備グレードを見直したりすることでコスト削減が可能です。全体の費用を把握したうえで、自分に合った住まいを検討しましょう。
コンパクトハウスの間取り例
コンパクトハウスは、限られた敷地面積でも工夫次第で快適な住まいを実現できます。ここでは、暮らしやすさとデザイン性を兼ね備えた間取り例を3つ紹介します。
【2階建て・3LDK・25坪】の間取り例

延床約25坪の2階建て3LDKの間取りです。1階はリビングと水回りを効率よく配置し、コンパクトながらも暮らしやすい動線が魅力といえます。2階には和室1室・洋室2室とウォークインクローゼットがあり、子育て世帯にも適した間取りです。
【平屋・2LDK・28坪】の間取り例

延床約28坪の平屋・2LDKの間取りです。リビングダイニングは17.7畳と広々としており、キッチンや水回りも効率よく配置されています。主寝室にはウォークインクローゼットがあり、収納力も充実。平屋ながらゆとりある暮らしが実現できます。
【3階建て・3LDK・32坪】の間取り例

延床32坪の3階建て・3LDKの間取りです。1階は物置つきで、寝室を配置しています。また、2階はリビングを中心に、水回りを集約した効率的な設計になっています。3階には和室・洋室とスタディスペースがあり、家族の成長に合わせた柔軟な暮らしが可能です。
コンパクトハウスの実例
暮らしやすさとデザイン性を両立したコンパクトハウスは、多数存在します。ここでは、実際に建てられた23〜30坪の住宅事例を紹介します。断熱性や家事動線に工夫をこらした住まいから、個性あふれるデザイン住宅まで、豊富な事例から理想の住まいを探してみましょう。
【23坪】高断熱高気密のコンパクトハウス

23坪の敷地に建てられた、高断熱・高気密の2階建て住宅です。南面に窓を集めたパッシブ設計で、快適な室内環境を実現しています。外観は黒のサイディングに焼き板を組み合わせたモダンな印象。限られた空間でも、性能とデザインの両立が可能です。
【25坪】絵本の世界のようなコンパクトハウス

間口5mの狭小地に建てられた25坪の平屋は、シンプルながらも温かみのあるデザインが魅力です。うろこ瓦や塗り壁、木製建具がやさしい雰囲気をつくり、ステンドグラスが光を取り込んで室内を明るく演出しています。かわいらしい外観が印象的なコンパクトハウスです。
【27坪】陽の光が差し込むコンパクトハウス

北向きの狭小地に建てられた27坪の2階建て住宅は、採光を工夫することで明るいリビングを実現しています。ダークカラーのタイル外壁は耐久性や耐候性に優れ、長く美しさを保てる仕様です。限られた敷地でも快適に暮らせる、工夫が詰まったコンパクトハウスといえるでしょう。
【30坪】生活・家事動線が考え抜かれたコンパクトハウス

30坪の平屋住宅は、家事のしやすさを重視した動線設計が魅力です。回遊できる間取りで、生活動線もスムーズに工夫されています。玄関は明るく広々としており、ペット対応の床材も採用。モダンな外観と、快適な住み心地を両立したコンパクトハウスです。
まとめ
コンパクトハウスは限られた広さを効率的に活用し、快適でコストを抑えた暮らしを実現できる住まいです。掃除や家事の負担を軽減しつつ、家族との距離を大切にしたい方にぴったりでしょう。暮らし方に合わせた柔軟な間取りで、長く快適に過ごせます。「自分に合っているかも」と感じた方は、新たな住まいの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
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