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サイディングとは?外壁材の種類・特徴・費用とメンテナンス方法を解説

サイディングとは?外壁材の種類・特徴・費用やメンテナンス方法などを解説します!
新築住宅で使われる外壁材はサイディングが一般的です。しかし、そもそもサイディングとは何なのか、どのような種類があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。サイディングは板状の仕上材で、さまざまな工法や種類があります。

本記事では、サイディングの工法や材質の種類を詳しく解説します。メンテナンス方法や最新の機能も紹介するので、ぜひ最適なサイディング選びの参考にしてください。

サイディングとは

サイディングとは
サイディングとは

サイディングとは、住宅の外壁に使用される板状の仕上材のことです。手頃な価格やメンテナンス性、デザインの豊富さ、施工性の高さなどから、日本サッシ協会の2023年3月版『住宅用建材使用状況調査』によると8割以上の新築戸建住宅の外壁材にサイディングが採用されています。

1980年代まではセメント・砂(細骨材)・水を混ぜ合わせた建築材料であるモルタルで仕上げる塗り壁が主流でしたが、好みのデザインに仕上げられるものの、ひび割れが起きやすく、防水性の低さなどのデメリットもありました。そのため、現在はサイディングが主流となっています。

サイディングの工法の種類

サイディングの工法の種類についてご紹介します
サイディングの工法の種類についてご紹介します

サイディングの工法は、主に「直張り工法」と「通気工法」の2つです。どのように施工するのか、それぞれ見ていきましょう。

直張り工法

直張り工法は、防水シートを張った下地材の上に直接サイディングを張る工法です。シンプルな施工方法のため、工期が短くコストを抑えられます。

一方で、サイディングを直接張っているので壁内の湿気が抜けにくく、結露が発生しやすいことがデメリットです。結露が発生すると外壁内部にカビが発生し、腐食が進みやすくなります。そのため、直張り工法は早い段階でメンテナンスをしなければなりません。

通気工法

通気工法は、下地材と外壁材の間に通気層(空間)を設けてサイディングを張る工法です。防水シートを張った下地材の上に、胴縁(どうぶち)と呼ばれる木材を取り付けて通気性を確保しています。

通気工法は、壁内の湿気を効率よく逃がすので結露しにくくなる他、壁内の温度差が緩和されるため断熱性能も高まります。初期コストは直張り工法より高くなるものの、メンテナンス頻度が減るので長期的に見ると経済的です。

通気工法は直張り工法のデメリットを解消しており、最近の新築一戸建て住宅では標準的に採用されています。

サイディングの材質の種類

サイディングの材質の種類についてご紹介します
サイディングの材質の種類についてご紹介します

サイディングは、主に4つの材質に分類されます。それぞれ特性や価格帯が異なるため、住宅の立地条件やデザイン、予算に合わせて最適な材質を選ぶべきです。ここでは、各材質の特徴やメリット・デメリット、費用を見ていきましょう。

窯業(ようぎょう)系サイディング

窯業系サイディングの例
窯業系サイディングの例

窯業系サイディングは、セメントや珪石(けいせき)、パルプなどを原料として作られており、もっとも普及している外壁材です。

窯業(ようぎょう)系サイディングの特徴

窯業系サイディングのメリット・デメリットは以下のとおりです。

【メリット】

  • 耐火性が高い
  • 耐久性が高い
  • デザインが豊富にある
  • 比較的安い

【デメリット】

  • 他の材質より重い
  • 衝撃に弱い

10年程度で塗り替えが必要なものの、素材の耐久性が高いので張り替える頻度は少なくなります。石材やタイル、レンガなどの質感を再現しており、豊富なデザインバリエーションが用意されているのも魅力です。

一方で窯業系サイディングは重いため、耐震性が低くなる点には注意しなければなりません。また、衝撃に弱いこともデメリットの1つです。

窯業(ようぎょう)系サイディングの費用

窯業系サイディングの費用は、4,000~10,000円/平方メートルが目安です。他の材質より安価な製品が多いものの、デザインや性能によっては高額になります。

金属系サイディング

金属系サイディングの例
金属系サイディングの例

金属系サイディングは、薄く加工されたガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属に、断熱材が付いた構造の外壁材です。

金属系サイディングの特徴

金属系サイディングのメリット・デメリットを見ていきましょう。

【メリット】

  • 窯業系サイディングよりも軽い
  • 耐久性が高い
  • 防水性に優れている

【デメリット】

  • 音が響きやすい
  • デザインバリエーションが少ない
  • 金額が高い

金属系サイディングは窯業系サイディングと比較して軽いため、地震の揺れによる影響を受けにくく、施工性も高くなります。一方で、金属のため雨や雹(ひょう)の音が響きやすいことがデメリットです。また、窯業系サイディングよりもデザインバリエーションが少なくなります。

金属系サイディングの費用

金属系サイディングの価格は、6,000~15,000円/平方メートルが目安で、窯業系サイディングよりも高価です。金属の厚みや組み合わせる断熱材の性能によって価格が変動します。

木質系サイディング

木質系サイディングの例
木質系サイディングの例

木質系サイディングは、天然木や木材チップを原料として製造される外壁材です。自然な風合いや温かみのある外観で、ナチュラルなデザインを好む方に人気があります。

木質系サイディングの特徴

木質系サイディングのメリット・デメリットを紹介します。

【メリット】

  • デザイン性に優れている
  • 断熱性が高い
  • 加工しやすい

【デメリット】

  • メンテナンス頻度が高い
  • 金額が高い

木質系サイディングは熱を通しにくいため、断熱性能に優れています。また、木材は加工しやすいので、施工性に優れているのも魅力の1つです。ただし、水分に弱く腐食しやすいため、塗装などのこまめなメンテナンスが欠かせません。

木質系サイディングの費用

木質系サイディングは、安くても6,000円/平方メートル程度の費用がかかります。木材の種類や加工方法によって大きく異なるほか、こまめなメンテナンスが必要なため、その費用も考慮しておかなければなりません。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングの例
樹脂系サイディングの例

樹脂系サイディングは、主に塩化ビニル樹脂(PVC)を使用して作られます。窯業系サイディングが一般的な日本では目にする機会が少ないものの、アメリカでは樹脂系サイディングが主流です。

樹脂系サイディングの特徴

樹脂系サイディングのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

【メリット】

  • 他の材質よりも軽い
  • 腐食しにくい
  • 断熱性が高い
  • シーリング(ゴム状の防水材)がいらない

【デメリット】

  • 遮音性が低い
  • 施工できる会社が少ない
  • デザインバリエーションが少ない

樹脂サイディングは軽量で耐久性が高く、目地を埋めるシーリングが不要など、多くのメリットがあります。ただし、日本ではあまり普及していないため、施工できる会社やデザインバリエーションが少ないデメリットがあります。

樹脂系サイディングの費用

樹脂系サイディングの費用は7,000~10,000円/平方メートルが目安です。耐久性が高いためメンテナンスの回数が抑えられ、長期的にはコストパフォーマンスがよいといえます。

サイディングにメンテナンスは必要?

サイディングにメンテナンスは必要?
サイディングにメンテナンスは必要?

サイディングは塗り壁と比較して耐久性が高いものの、経年劣化は避けられません。ここからは、サイディングのメンテナンス周期や補修工事の方法を解説します。

メンテナンス周期

サイディングの種類にもよりますが、メンテナンス周期は8~12年が一般的です。サイディング本体よりも、先に塗膜が劣化するケースがほとんどです。また、サイディングの目地を埋めるシーリングが、紫外線で劣化しているケースもあります。

メンテナンスが必要な状態の例

サイディングのメンテナンスが必要な状態の例は、以下のとおりです。

  • チョーキング
  • 色あせ・変色
  • ひび割れ(クラック)
  • シーリングの劣化
  • カビ・苔・藻

チョーキングとは、紫外線や雨風によって塗膜が劣化し、白く粉を吹く現象です。色あせやひび割れなどサイディング本体の劣化の他、シーリングの劣化にも注意しなければなりません。サイディングの状態を把握するためにも、1年に1回くらいは目視で確認しましょう。

補修工事の方法

サイディングの補修工事には、3つの方法があります。それぞれ見ていきましょう。

塗り替え

サイディングの補修工事でもっとも一般的なのが、塗り替えです。サイディング本体の撤去や張り替えが不要なため、費用を抑えられます。一般的な一戸建て住宅の場合、費用は80万~150万円が目安です。

塗膜のみ劣化している場合、まずはサイディングの塗り替えを検討しましょう。

重ね張り

重ね張りは、既存の外壁のうえに新しいサイディングを張る工法です。断熱性能が向上するものの、重さで耐震性能が低くなるため、金属サイディングなど軽量なものが使われるケースが多いです。一般的な一戸建て住宅の場合、約150万~200万円の費用がかかります。

張り替え

張り替えは、既存のサイディングを撤去して新しいサイディングに張り替える工法です。重ね張りのように重くならないので耐震性を維持できるものの、撤去工事が必要なため高額になりやすいデメリットがあります。一般的な一戸建て住宅での張り替え費用は、150万~200万円が目安です。

最新のサイディングの進化とは?

最新のサイディングの進化とは?
最新のサイディングの進化とは?

住宅の外壁材としてサイディングは広く普及しており、近年では技術の進歩によって大きく進化しています。最新のサイディングはどのように進化しているのか、1つずつ見ていきましょう。

耐久性の向上

一昔前と比較すると、最新のサイディングは大幅に耐久性が向上しています。なかには、30年の保証期間を設定している製品もあるほどです。

主に塗膜の耐久性が向上しており、色あせや外壁を触ると粉状のものが付着するチョーキングが発生しにくくなっています。定期的にメンテナンスをおこなえば、何十年と使い続けられるでしょう。また、メンテナンス間隔も長くなってきており、長期的なコストパフォーマンスも向上しています。

デザイン

サイディングが普及し始めた当初はデザインバリエーションが少なかったものの、今は自然素材の風合いを精密に再現した製品や立体的なデザインが増えています。

本物の無垢材やレンガと見間違えてしまうほど質感が高いサイディングや、建築物において、少し間隔を空けた部材間の隙間・継ぎ目の部分である目地(めじ)が不要な製品が増え、おしゃれですっきりした外観を実現できるようになりました。

耐熱性の向上

最新のサイディングは耐熱性が高い製品が多く、住宅の省エネルギー性能の底上げに貢献しています。断熱材と一体化したサイディングや遮熱塗料を使用した製品は、室内の温度を効率よく保てるので、冷暖房費の削減につながります。

セルフクリーニングの標準搭載

最新のサイディングには、汚れを自動的に洗い流してくれるセルフクリーニング機能が搭載されている製品が増えています。

親水性の高い特殊なコーティングにより、雨水が膜状に広がって汚れを落としてくれるサイディングが代表的です。光触媒効果によって外壁の汚れを分解してくれるサイディングもあり、数十年経っても見た目をきれいに保てます。

サイディングについてのまとめ

それでは、最後にサイディングの内容をまとめていきます。

サイディングとは?

サイディングとは、住宅の外壁に使用される板状の仕上材のことです。施工性やメンテナンス性の高さから、現在は新築一戸建て住宅の8割以上に採用されています。

サイディングの工法は?

サイディングの工法には、直張り工法と通気工法があります。直張り工法は通気性を確保しにくく内部が腐食しやすいため、最近はそのデメリットを解消した通気工法で施工されることがほとんどです。

サイディングの材質の種類とは?

サイディングの材質の種類は4つあり、もっとも普及しているのはセメントなどを原料とした窯業(ようぎょう)系サイディングです。他には金属や木材、樹脂を使ったサイディングがあり、それぞれ耐久性やメンテナンス性などに違いがあります。

サイディングにはさまざまな材質の種類があり、それぞれデザインや機能、価格帯が異なります。初期コストだけで選んでしまうと、メンテナンスの頻度や費用の高さに後悔してしまうこともあるでしょう。この記事を参考にして、自宅に合ったサイディングを見つけられるようにしましょう。

新木 リョータ

執筆者

新木 リョータ

住宅専門ライター

住宅資材の専門商社および不動産会社にて営業職として9年間従事。現在は住宅ジャンルを専門とするWebライターとして活動し、実務経験を活かした専門性・独自性の高いコンテンツを提供している。

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