押し入れのサイズはどれくらい?一般的なサイズや測り方・注文住宅で作る時の決め方も解説
本記事では、押し入れの一般的なサイズや押し入れをつくる際のサイズの決め方、おすすめの活用方法などを解説します。どのように押し入れのサイズを決めればよいかわからない方や、家族にぴったり合う押し入れをつくりたい方は、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
押し入れとは

押し入れとは、寝具や衣類、道具などを収納するために設置された、造り付けの収納スペースのことです。一般的に呼ばれる「押し入れ」は、日本の住宅や和室に備え付けの収納をイメージすることが多いでしょう。押し入れは襖(ふすま)で仕切られ、中板によって上下二段構造になっており、上段に布団などの寝具、下段に使用頻度の低い衣類や家具などを収納する場合が多いです。押し入れの幅や高さ、奥行きが広い傾向にあり、収納量が比較的多いのが特徴です。
クローゼットとの違いは
押し入れとクローゼットの主な違いは、想定している収納物と奥行きです。一般的に、押し入れには布団などの寝具や日用品、家具などさまざまな物を収納できます。一方、クローゼットは洋服など、衣類をメインに収納するスペースとして使用されるケースが多いです。
また、クローゼットの奥行きは60cm前後であるのに対し、押し入れは80~100cm前後とクローゼットよりも広めです。奥行きの違いは、想定する収納物に合わせ、出し入れに不便がないように設計されていることが要因といえます。
押し入れの各箇所の名称
押し入れは各箇所に名称があり、主な用途も決められているのが一般的です。以下では、押し入れに備わっている「天袋」と「中段」についてそれぞれ解説します。
天袋
天袋(てんぶくろ)とは、押し入れの天井近くに備わっている戸棚のことです。天袋は天井に近いため、収納物の出し入れは手が届きにくい傾向にあります。出し入れの度に踏み台を使用することになり、使用頻度の高い物の収納には向いていません。主に普段使いしない軽めの物が収納される場所となっています。
中段
中段(ちゅうだん)は押し入れの中の棚で、床からの高さ70~80cm程度、奥行き75~90cm程度の棚板のことを指します。布団を収納するためにしまいやすい高さに設置されているのが一般的です。
押し入れの一般的なサイズ

押し入れの一般的なサイズは、幅(間口)が約182cm(内側約168cm)、奥行きが約91cm(内側約78cm)、高さが天袋含めて約210~230cmです。先述のとおり、押し入れは中段で上段と下段を仕切っており、下段の高さが約70~80cm、上段が約90~100cmとなっています。その上に高さ約50cmの天袋がつきます。一般的なサイズはあるものの、近年では住宅の間取りや家族構成・ライフスタイルの変化に合わせてサイズを決めることも珍しくありません。また、住宅タイプや建築時期によってもサイズが異なります。
押し入れのサイズに合った収納ケースやハンガーパイプを購入するために正確なサイズを把握するには、実測するのが確実です。
押し入れのサイズの測り方

押し入れの正確なサイズを把握するためには、メジャーを用意して幅(間口)・奥行き・高さを測りましょう。ただし、長い距離の計測にあたって、お手持ちのメジャーでは長さが足りない場合は、2回に分けることで正確な寸法を把握しやすくなります。
幅を計測する際は押し入れの戸を片方開け、戸が開いているほうの柱にメジャーの先端を当てて戸の内側まで測りましょう。反対側も同様に計測します。幅の計測は、開口部を測るように注意してください。奥行きは、床と壁の接合部にある雑巾摺(ぞうきんずり)の手前にメジャーを当てて敷居の内側までを測るのが基本です。
また、高さを測る際は中段を除き、横の柱に沿って計測します。上段は中段の面から長押(なげし)の下まで、下段は床から中段の下までを測りましょう。中段の裏面は凸凹しており高さが異なることもあるため、一番低い部分を基準に測ることをおすすめします。なお、備え付けの棚がある場合は、棚の内寸も測ると安心です。
押し入れのサイズの決め方

注文住宅で押し入れをつくる際は、以下のステップでサイズを決めるとよいでしょう。
- STEP 1収納したいもの・量を明確にする
- STEP 2収納したいもののサイズを測る
それぞれ解説していきます。
STEP 1. 収納したいもの・量を明確にする
まずは、押し入れに収納したい物や量を明確にしましょう。押し入れはクローゼットよりも奥行きが広く、さまざまな用途の収納物を保管することが可能です。布団などの寝具に限らず、押し入れがある部屋やその周辺で使用頻度の高い物を収納する場所として考えると、使い勝手がよくなります。収納したい物や量をしっかり把握するために、リストアップしてまとめておくと便利です。
STEP 2. 収納したいもののサイズを測る
押し入れに収納したい物がある程度定まったら、それぞれのサイズを測っていきましょう。収納する物のサイズがわかれば、それに合わせて押し入れの幅・奥行き・高さを決めることが可能です。ただし、収納物のサイズにぴったり合わせてしまうと他の物を入れる余裕がなくなってしまったり、通気性の悪さにつながったりする可能性があります。2~3cm程度の余裕を持たせてレイアウトすることで、使い勝手のよい押し入れをつくれるでしょう。
押し入れを有効活用する方法

押し入れを有効活用するためには、押し入れをつくるだけでなく内側にも工夫が必要です。以下で紹介するポイントを押さえておくことで、便利な収納スペースとして重宝するでしょう。
ハンガーパイプを使う
ハンガーパイプを設置することで、クローゼットと同じような収納方法で使うことが可能です。衣類のなかには、たたまずにハンガーにかけて保管しておきたいものもあるでしょう。また、ハンガーにかけて収納することで省スペースになり、奥行きと高さを活かして通常のクローゼットの2倍近い衣類を収納できます。
収納ボックスを使う
収納ボックスを使用することで、収納物の分別がしやすくなります。例えば衣類を季節ごとにボックスを分けておくと、衣替えに大幅な時間を割く必要がありません。収納ボックスを重ねて設置することで、棚をつくらずとも奥行きと高さを無駄なく使えます。さらに、キャスター付きのボックスにしておくと、収納物の重量がある場合や奥から物を取り出す場合などに便利です。
場所ごとに収納物を分ける
押し入れの収納を無駄なく活用するには、場所ごとに収納物を分けることもポイントです。場所ごとの特徴や、どのような物を収納するのに適しているのかを把握しておきましょう。
天袋
天袋は高い場所に位置しており、出し入れがしにくい部分です。そのため、アルバムや思い出の品など、数年出し入れしなくてもよさそうなものを収納する場所として活用しましょう。また、天袋に重すぎるものを入れると取り出す際に危険が生じたり、底が抜けてしまったりするリスクがあるため、比較的軽いものを収納するのがおすすめです。収納する際は、収納ボックスにまとめるなどしてラベルを見える場所に貼っておくと、中身が分かりやすくなります。また、取っ手付きのボックスだと、高い位置でも取り出しやすくなるので便利です。
上段
上段は押し入れのスペースのなかでも見渡しやすい段で、日常的に使用する衣類や寝具を収納するのに便利です。季節家電や子どものおもちゃ、本を収納するのにも適しており、収納ボックスや押し入れ用のハンガーラック等を活用して出し入れしやすいように工夫しましょう。日常的に使用する物はまとめて手前に置いておくことで、探す手間が省けます。ただし、収納する物が多すぎると重量オーバーの可能性もあるため、耐荷重を確認したうえで収納しましょう。
下段
押入れの下段には、使用頻度が少ないものやオフシーズンの衣類などを収納するのがおすすめ。重量があるために天袋には適さない雛人形やクリスマスツリーなどを入れておくのにも便利です。また、子どもも手が届く高さのため、お子さんが自分で出し入れしたいものを収納するのもよいかもしれません。
押し入れの湿気・カビ対策

押し入れの中は基本的に通気性が悪く、湿気やカビ対策が欠かせません。以下では、湿気・カビ対策に有効な4つの方法を紹介します。
除湿剤を使う
市販の除湿剤を使用するのが効果的です。除湿剤にはさまざまな種類がありますが、特に塩化カルシウム製とB型シリカゲル製の2種類は、広い空間で使ったり繰り返し使ったりするのに適しているでしょう。使う場所や用途に合った除湿シート・除湿剤を選ぶようにしましょう。
すのこを使う
すのこは通気性がよく、湿気を効率的に逃がせるアイテムの一つです。すのこを使用して床や家具との間に空気の通り道をつくれば、湿気がこもるのを防げます。ただし、掃除が行き届いておらず通気が不十分だったり、すのこ自体が湿気を吸収してしまったりする可能性があるため、こまめな換気や適切な湿度調整が大切です。
扇風機を使う
扇風機を使えば空気を循環させられます。空気の循環は湿気や熱の放出に効果的で、カビの予防となります。押し入れと部屋の窓を開けることで換気できますが、風通しが悪い場合や天気の悪い日などには、扇風機やサーキュレーターなどを活用するとよいでしょう。
炭を使う
炭は除湿アイテムとして役立ちます。炭の特性上、湿気を吸収して蓄えることが可能です。空気中の湿度が下がってカビの発生を防げるほか、吸着作用もあるため揮発性有機化合物などを炭が吸着して空気を浄化してくれます。さらに、消臭・抗菌作用も持ち合わせているため、湿気がこもりやすい押し入れに活用すると清潔な状態を保ちやすくなるでしょう。
押し入れのサイズに関するよくある質問
最後に、押し入れのサイズに関するよくある質問についてまとめました。以下の回答を参考に、快適に使える押し入れを設計してみてください。
押し入れの一般的なサイズは?
押し入れの一般的なサイズは幅約182cm(内側約168cm)、奥行き約91cm(内側約78cm)、高さ約210~230cmです。高さの内訳は、天袋が約50cm、上段約90~100cm、下段約70~80cmとなっています。
しかし、住宅タイプや建築時期などによっても異なります。近年では、家族構成やライフスタイルに応じて、押し入れのサイズをカスタマイズすることも少なくありません。
押し入れのサイズの決め方は?
押し入れのサイズを決める際は、まず収納したい物と量を明確にすることが大切です。リストアップするなどして収納物・収納量をまとめたら、収納したい物のサイズを測り、そのサイズに合わせて適切な押し入れのサイズを決めましょう。
ただし、収納物のサイズにぴったり合わせてつくると、出し入れしにくくなったり湿気がこもりやすくなったりする可能性があります。そのため、2~3cm以上はゆとりを持たせて設計することが大切です。
押し入れを有効活用するには?
押し入れのスペースを無駄なく有効活用するためには、ハンガーパイプを使ったり収納ボックスを使ったり、場所ごとに収納物を分けたりするのがポイントです。アイテムを使うなど内側に工夫を凝らすことで、使い勝手の向上にもつながるでしょう。
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