平屋と2階建てはどっちを選ぶべき?費用・暮らしやすさ・安全面から徹底比較
本記事では、平屋と2階建てのどちらを選ぶべきか、費用・暮らしやすさ・安全の3つの観点から徹底比較します。記事を読むことで、自身にとって平屋と2階建てのどちらが向いているかわかるようになるでしょう。
記事の目次
平屋と2階建てを比較するポイント

平屋と2階建てを比較するにあたって、最初に意識しておきたいポイントがあります。特に平屋と2階建てでは求められる土地の広さが異なるため、広い土地の購入が難しい場合、選択肢が狭まることも。条件によっては、どちらかしか建てられない場合もあるため、基本となる比較ポイントから確認していきましょう。
購入する土地の広さ
すでに新居を建てる土地を所有している場合や、購入を予定している土地がある場合、土地の広さで建てられる家が決まる可能性があります。同じ延床面積を確保するなら、平屋はすべての部屋を1階部分に収めるため広い土地が求められます。例えば、延床面積30坪の住宅を建てる場合、2階建てなら1階を15坪・2階を15坪に分けられますが、平屋は30坪すべてを1階に配置しなければなりません。
住宅が密集している都市部では、狭い土地でも居住スペースを確保できる2階建ての住宅が現実的な選択肢になるでしょう。平屋は、地方や郊外を中心に、広い土地を取得できる場合に選ばれることが多いです。
家族構成と年代
家族構成と年代も、平屋か2階建てかを選択するのに重要な要素です。2階建ては、同居する家族が多く、部屋数が必要な場合や、二世帯住宅でお互いのプライバシーを確保したいケースなどでは、2階建ての住宅が適しているでしょう。
一方で、高齢の方が住む場合や小さな子どもがいる家庭では、バリアフリーや階段での転落事故防止の観点から、平屋がおすすめです。
長期的な視点で考える
家は長期にわたって住み続けるものであるため、現在の暮らしやすさだけでなく、ライフプランを考えて構造を検討しましょう。子育て世帯の場合、子ども部屋を設けるために部屋数を多くできる2階建てを検討する方もいるでしょう。しかし、将来的に子どもが独立すれば、部屋が余ってしまうことが考えられます。さらに、子育てが終わったころには年齢を重ねているため、階段の上り下りを負担に感じるかもしれません。
また、家を建てる時点では2人暮らしで平屋を検討していても、将来的に子どもができれば、部屋が足りなくなってしまう可能性もあるでしょう。家を建てる際には、ライフプランを具体的に検討することも重要です。
平屋と2階建てはどっちが安い?

家を建てる際に多くの方が気になるのは費用でしょう。平屋と2階建てではどちらが安いのでしょうか。注文住宅にかかる費用は建築費用だけでなく、建築後にかかる固定資産税やメンテナンスなど、多岐にわたります。建築費用・建築後にかかる費用の二つに分けて確認していきましょう。
建築費用
一般的に、同じ延床面積の平屋と2階建てを比較すると、平屋のほうが建築費用は高くなりやすいと言われています。平屋は2階建てと比較して、土地や基礎、屋根の面積も広くなるため、費用がかさみやすくなります。
建築後にかかる費用
建築後にかかる主な費用は、固定資産税・都市計画税などの税金と、メンテナンス費用です。固定資産税は、建物の評価額が高いほど課される税金も上がり、資材を多く使用していて土地も広い平屋のほうが、高く評価される傾向にあります。
一方で、外壁が高い2階建ては、メンテナンスの際に足場を組む必要があるため、修繕工事のコストが高い傾向に。建築後にかかる費用を比較すると、固定資産税などの税金の負担は平屋のほうが高くなりやすく、メンテナンス費用は2階建てのほうが高くなりやすいでしょう。
平屋と2階建てはどっちが暮らしやすい?

平屋と2階建てを選ぶうえで、重視したい項目が暮らしやすさです。家を建ててから後悔しないためにも、暮らしやすさを判断するうえで重要な比較ポイントを3つ紹介します。
家事動線の違い
家事のしやすさは、日々の生活の満足度に直結する大きな要素です。洗濯・掃除・料理など繰り返し発生する家事に対して、動線がスムーズであるかどうかで暮らしやすさは大きく変わります。家事動線を効率化しやすい構造は平屋であり、すべての家事を1階部分で完結させられることがメリットです。
2階建ての住宅で洗濯をする場合、洗濯機を1階、干す場所を2階のバルコニーに設定していると、階段の上り下りが負担に。掃除も各階を移動する手間が増えるため、日常的な家事効率は平屋に比べて劣りやすいでしょう。平屋は家事を楽にしやすい構造であることから、人気を集めています。
日当たり・風通しの違い
快適な暮らしには、家に自然光・風を取り入れることが重要です。平屋は建物の高さが低いため、周囲に2階建てやマンションなど背の高い建物がある場合、日当たりや風通しが悪くなる可能性も。
2階建ては高さがあるため、平屋と比較して日当たりや風通しを確保しやすいです。平屋で暮らす場合は、日光を取り込むための天窓の設置、風の通り道を作る間取りの設計を意識する必要があります。
プライバシーの確保のしやすさ
家族同士とはいえプライベートな空間は必要であり、プライバシーの確保が求められます。平屋はすべての部屋が1階になるため、音や生活音が家全体に伝わりやすいことから、プライバシーの確保がしづらい構造です。一方で、家族同士の距離が近づくため、コミュニケーションが増えやすい魅力があります。
2階建てはプライベートな空間を作りやすい反面、家族が自室にこもる時間が増えてコミュニケーションが減少する可能性があるでしょう。プライバシー重視であれば2階建て、家族のつながりを重視したい場合は平屋がおすすめです。
2階建てはプライベートな空間を作りやすい反面、家族が自室にこもる時間が増えてコミュニケーションが減少する可能性があります。
平屋と2階建てはどっちが安全?

平屋と2階建てでは、建物の高さや構造の違いから、防犯面や災害に対する強さに差が出てきます。平屋と2階建てはどちらが安全であるか、防犯性・災害リスクの違いをそれぞれ解説します。
防犯性の違い
空き巣などの侵入に対するリスクは、家の構造や窓の位置によって大きく左右されます。平屋はすべての部屋が1階に配置されるため、出入りできる窓が多くなり、侵入のリスクが高まりやすいです。
一方、2階建ては1階だけでなく2階部分にも部屋が設置できるため、1階部分の部屋数を少なく設計することも可能でしょう。1階部分の部屋数を少なくすれば、窓を減らすこともでき、侵入経路を少なくできます。
しかしいずれの構造でも防犯対策は欠かせません。構造に応じた防犯対策をして、安心安全に生活しましょう。
災害リスクの違い
平屋と2階建てでは、災害に対する強さにも違いがあります。平屋は建物が低く、構造がシンプルなため、耐震性に優れています。地震の揺れを受けても建物全体がバランスを保ちやすく、倒壊のリスクは小さいです。地震の多い日本で災害を対策するなら、平屋は理想的な構造になるでしょう。
一方で、洪水・浸水などの水害が発生した場合に大きな被害を受けやすくなってしまいます。基礎部分を高くするなどの対策が必要になるケースもありますが、より安全に暮らすためにも、平屋を建てるなら水害のリスクが低い地域を選ぶ必要があるでしょう。
その点、2階建ては高さがあるため、水害が発生した場合も2階に逃げやすいです。ただし、平屋と比較すると地震の揺れに弱く、平屋より入念な耐震補強をしなければ被害が拡大する可能性もあります。災害リスクを比較すると平屋は地震に強く、2階建ては水害に強くなっています。それぞれの構造に適した災害リスク対策を講じましょう。
平屋と2階建てのどっちが向いている?

平屋と2階建てを複数の観点から比較しましたが、それぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、どちらが向いているかは人によって変わります。最後に、平屋と2階建てのどちらが向いているのかを判断するために、向いている人の特徴をそれぞれ紹介します。
平屋に向いている人の特徴
平屋は、すべての部屋が1階部分にあるシンプルな構造です。階段がないため移動が楽で、家事動線も効率的になります。老後も安心して暮らしやすい平屋の向いている人の特徴は、以下のとおりです。
地方や郊外で静かに暮らしたい人
平屋は、広い土地を確保しやすい地方や郊外で建てやすい住宅です。都市部と比較して、地方や郊外は比較的安価で広い土地を購入できます。よって、平屋は暮らしの利便性を重視するよりも、地方や郊外で静かに暮らしたい人に向いているでしょう。
子どもや高齢者が安心して暮らせる家を設計したい人
平屋は階段がないため、子どもや高齢者にとって安心できる住宅です。子どもが小さい場合は階段から転落するリスクがあり、高齢者は足腰が弱い方も多く、階段の上り下りが負担になります。平屋であれば、小さな子どもや高齢者が家で暮らすリスクに対する心配が少なくなり、安全に暮らすことが可能です。
家族間のコミュニケーションを大事にしたい人
平屋は生活空間が同じ階にあるため、家族間の距離が近くなります。自然と顔を合わせる機会が増え、会話が生まれやすくなるでしょう。子どもが小さいうちは親子の交流が増え、成長を見守りやすい環境が整います。コミュニケーションを大切にする家庭にとって、平屋は理想的な選択です。
2階建てに向いている人の特徴
2階建ては居住スペースを1階部分と2階部分に確保できるため、部屋数やプライベート空間を増やせることが魅力です。立地条件や家族構成によっては、2階建てのほうが現実的で暮らしやすいケースもあるでしょう。向いている人の特徴を以下にまとめました。
居住地の利便性を重視したい人
都市部で利便性が高く、住宅が密集しているエリアに住みたい場合は、購入できる土地が狭いことが多いため、2階建てのほうが適しています。コンパクトな土地に家を建てるなら、2階建て以上の物件の検討が現実的でしょう。
部屋数を確保したい
部屋数を多く確保しやすいのは2階建てです。子どもが成長して個室を必要とする場合や、テレワーク用の仕事部屋などを設けたい場合にも、対応できるでしょう。将来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できることが、2階建ての強みです。
総合的に安全な家を設計したい
防犯性や災害リスクを考慮するなら、総合的には2階建てのほうが安全でしょう。防犯面では2階部分への侵入が難しいため、1階部分の窓や玄関を重点的に対策すれば安全性を高められます。平屋と比較して2階建ては地震に弱いですが、耐震性能を強化すれば十分に安全を確保できます。
まとめ
平屋はワンフロアで生活が完結するため、高齢者や子どもにとって安全で暮らしやすい住宅です。一方で、2階建ては限られた敷地でも居住スペースを確保しやすく総合的にメリットが多くなっています。それぞれのライフスタイルや理想によって、平屋が向いているか2階建てが向いているのかは異なります。どのような家に住みたいか、どのようなライフスタイルを送りたいのかを明確にし、平屋か、2階建てかを検討しましょう。
最終的には、土地の条件や家族構成、将来を考慮して、自分たちに合った住まいを選ぶことが大切です。平屋と2階建ての特徴を理解し、自分のライフスタイルに適した家を選びましょう。
注文住宅を建てる

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ




