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自然素材の家を建てて後悔する理由は?建築前に確認すべきポイントも紹介

自然素材の家を建てて後悔する人は一定数存在します
近年、身体に優しく温もりのある住まいとして「自然素材の家」が注目されています。しかし、実際に自然素材の家を建てて後悔した人も少なくありません。マイナスにとらえている意見のなかには、考え方次第ではプラスとなる内容もあります。後悔しないためには、建築前に自分に自然素材の家が合っているかを適切に判断することが重要です。

本記事では、自然素材の家を建てて後悔する理由と、後悔しないために建築前に確認すべきポイントを紹介します。記事を読むことで、自然素材の家が自分たちに合っているかわかるようになるでしょう。

自然素材の家とは

工業製品の使用を避け自然素材を取り入れた家を自然素材の家といいます
工業製品の使用を避け自然素材を取り入れた家を自然素材の家といいます

自然素材の家は、建築に使用する材料を人工的に加工されたものではなく、自然由来の素材を使用した住宅のことです。大量生産される住宅資材に比べると、自然素材は断熱性や調湿性に優れ、室内環境を快適に整える効果が期待されます。

例えば、無垢材の床は素足で床に触れた時の感触が優しく、夏は涼しく冬は暖かい感覚を得られます。漆喰や珪藻土の壁は湿気を吸収・放出する性質を持ち、結露やカビの発生を抑える働きも。自然素材の家は見た目のよさだけでなく、実際の住み心地もいいため、注目されています。

自然素材の定義

自然素材に明確な定義はありませんが、人工的な化学物質を極力使用せず、自然由来の原材料からつくられた建材を指します。代表的なものとして、構造材には無垢材や天然石、内装材には漆喰・珪藻土などがあります。

工業的に大量生産される合板やビニールクロスとは異なり、それぞれの素材が持つ自然本来の特性を活かして住環境を整えることが、自然素材の家の特徴です。

どのような人に需要があるか

自然素材の家は、健康や快適な住環境を重視する人に需要があります。アレルギーや化学物質過敏症を持つ人にとって、自然素材は安心できる選択でしょう。特に小さな子どもや高齢者が暮らす家庭では、シックハウス症候群のリスクが少なく、空気環境を整えやすい点が評価されています。

他にも自然素材が持つ魅力である経年による変化、インテリアの温かみが好きな人からも支持されています。また、近年では環境意識の高まりから、サステナブルな家づくりを重視する人から注目されることも。家族の健康を守れる空間を求める方から、自然と調和した住まいを求めている方まで広く需要があります。

自然素材の家を建てて後悔する理由

自然素材の家を建てて後悔する理由を紹介します
自然素材の家を建てて後悔する理由を紹介します

自然素材の家は需要がある一方で、実際に建ててから後悔したという声も少なくありません。自然素材の家を建てて後悔する理由について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

建設費用が高くなりやすい

自然素材の家は大量生産が難しく、生産量が限られている天然由来の建材を使用するため、一般的な住宅を建設するよりも費用が高い傾向にあります。さらに、施工にもノウハウを持った職人の技術が必要となるため、施工費用も高額になりやすいです。

見積もりを取ると、想定以上に建築費用が高くなったと感じることも珍しくありません。費用の高さから実際に住んで満足できなかった場合は、後悔につながりやすいです。

自然素材の経年劣化を楽しめない

自然素材は、年月の経過とともに色味や質感が変化します。新築時の新しい状態を長く維持したいと考える人にとって、自然素材の変化はマイナスに感じられることも。建材の変色や反り、軽いひび割れ等も自然素材を使用する以上は避けられない現象です。

自然素材の家は、この変化を独特な味わいとして前向きにとらえ、魅力と認識して楽しむものです。しかし、価値観に共感できない場合は、劣化しやすい家に見えるかもしれません。

メンテナンスに手間がかかる

自然素材の家は、品質を維持するための定期的なメンテナンスが前提になります。例えば、無垢材の床は乾燥や湿気によって収縮や膨張を繰り返すため、ワックスやオイルで塗装をおこないます。

また、自然素材は工業製品のように一律の品質が保証されていないため、メンテナンスの方法も素材によって異なります。日常的に手間がかかるメンテナンスは、手間を楽しめる人にとっては愛着につながる行為になるでしょう。

しかし、忙しく時間を取れない方や、面倒に感じてしまう方にとっては大きな負担です。手入れをおこなわず放置すれば、家を大きく劣化させてしまうかもしれません。

体質に合わずアレルギーが出る場合がある

自然素材は体に優しく、健康にいいと考えられることが多いですが、すべての人に必ずしも合うとは限りません。木材の種類によっては、アレルギー反応を引き起こす可能性も。アレルギーを避けるために天然素材を選んだつもりが、天然素材が原因でアレルギーを引き起こすのは本末転倒です。

よって、建築前の段階でサンプルを取り寄せて、実際に触れて体質に合うかどうか、確認を怠らないことが基本です。アレルギーが多く心配な場合は、病院で検査を受けましょう。

水回りに使用するとカビの原因になる

自然素材は、使用する場所によっては問題が発生する場合があります。水回りに使用すると、水はねや湿気の影響を受けやすく、シミや膨張、カビの原因になることも。
例えば、無垢材のフローリングを洗面所やキッチンに使用した場合、水はねや湿気によって黒ずみやカビが発生しやすくなります。

自然素材は防水性が低いため、水回りなど自然素材の使用が難しい場所では、防水に適した人工的な建材を使用する選択肢もあります。自然素材の家であっても、必ずしもすべて統一する必要はありません。しかし、施工経験の少ない工務店に依頼すれば、水回りにもかかわらず、自然素材を使用する設計をしてしまう可能性もあるため注意が必要です。

自然素材の家を建ててよかったと思う理由

自然素材の家を建ててよかったと思う理由を紹介します
自然素材の家を建ててよかったと思う理由を紹介します

続いて、自然素材の家を建ててよかったと思う理由についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

健康に優しい住環境を整えられる

現代の住宅建築では、利便性やコストを重視してビニールクロスや合板、化学接着剤などを多用するケースが一般的です。しかし、人工的な建材はシックハウス症候群の原因となる化学物質を含む場合があります。そのため、敏感な人や小さな子どもがいる家庭では、アレルギーや体調不良につながるリスクも。

自然素材を使用した住宅では、漆喰や珪藻土、無垢材など自然由来の建材が中心となるため、化学物質の影響を最小限に抑えられます。自然素材の家は呼吸する住宅と言われ、一般的な住宅に比べて換気効率がいいです。室内の空気がこもりにくいため、呼吸器や肌への負担が軽減されやすいでしょう。

快適な温度・湿度を保ちやすい

自然素材の家は断熱性や調湿性に優れており、エアコンを頻繁に使用せずに、快適な温度・湿度を保ちやすい特徴があります。断熱性の高い無垢材を使用すれば、触れた時の冷たさや熱さを感じにくいことから、温度変化がやわらぎます。

漆喰や珪藻土には調湿機能があるため、加湿器・除湿器に頼らなくても快適な温度を保ちやすくなるでしょう。日本の住宅は、夏は蒸し暑く冬は寒いという問題を抱えていますが、自然素材の家は、素材の力で快適に過ごしやすくなることがメリットです。

自然な香りや質感に癒やされる

自然素材の家は独特の香りや質感があり、住む人に癒しを与えてくれます。木の香りはリラックス効果をもたらし、心身を落ち着かせることが期待できます。消臭効果のある素材もあるため、空気清浄機と同様の効果を持ち、快適性を高められるでしょう。

また、自然素材の床は、裸足で歩いた時に優しい感触を与えてくれます。壁に使われる漆喰や珪藻土は光をやわらかく反射するため、室内に落ち着いた雰囲気を生み出します。自然素材を使用すれば、五感すべてで癒しを実感できる空間を実現できるでしょう。

環境に配慮した家づくりができる

近年、SDGsや脱炭素社会への関心が高まるなかで、自然素材の家は環境に配慮した住まいとして注目されています。自然素材は人工的な化学製品に比べて製造時のエネルギー消費が少なく、廃棄する際にも自然に還りやすいです。再利用やリサイクルが可能で、焼却しても有害物質が発生しません。

また、自然素材は断熱性や調湿性が高いことから、冷暖房効率が上がります。エネルギー消費を減らせるため、エコな暮らしを実現できるでしょう。環境に配慮した家づくりを目指したい方に、自然素材の家はおすすめです。

日々の暮らしのなかで素材の変化を楽しめる

自然素材の家は、年月とともに素材が変化する様子を楽しめます。使い込むほどに艶が増し、色味も深まり、落ち着きのある色合いに変化します。

経年変化を劣化ではなく、味わいとして楽しめることが、自然素材の家の魅力です。手をかけてメンテナンスを繰り返せば愛着が湧き、家に対する思い入れが強くなります。住みながら家に対する思い入れを育てていく感覚があり、時間が経過するほど自然素材の家を建ててよかったと実感できることでしょう。

自然素材の家で後悔しないためのポイント

自然素材の家で後悔しないためのポイントを解説します
自然素材の家で後悔しないためのポイントを解説します

最後に、自然素材の家で後悔しないために建築前に確認すべきポイントを5つ紹介します。

事前に自然素材の特性を理解する

自然素材の家を建てるにあたって、素材に対する正しい理解が必要です。自然素材は万能な素材ではなく、長所と短所が存在しています。

例えば、無垢材は温かみがあり断熱性も高い一方で、湿度変化による膨張や収縮で反りや割れ、変色が発生します。素材の特性を知らなければ、思った以上に傷や汚れが目立つことに不満を抱いてしまうことも珍しくありません。実際にサンプルを触る、経年変化の例を確認するなどして、自然素材の特性を理解しましょう。

メンテナンスの頻度と方法を知る

自然素材の家に住み続けるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。無垢材の床はワックスやオイル仕上げを年に一度程度おこなう必要があり、放置すると乾燥して割れやすくなります。また、漆喰や珪藻土の壁も、汚れや小さなヒビが入りやすいため、気になる場合は部分補修の依頼が必要になるでしょう。

メンテナンスの頻度と方法を知らなければ、実際にメンテナンスをおこなう際に、思った以上に手間を感じる場合があります。メンテナンス方法は施工をおこなうハウスメーカーや工務店にも質問したうえで、正しく理解して実践する必要があるでしょう。

経年劣化を味わいととらえられるかを考える

自然素材は、年月とともに経年劣化による変化があります。素材の変化を単なる劣化ではなく、味わいと考えて楽しめるかどうかが重要です。自然素材の家は、完成直後の状態がゴールではありません。

年月による変化を楽しみ、家に対する思い入れを育てていく過程を考えるなら、完成直後がスタートになります。価値観に対する理解が必要であるため、経年変化の実例を確認しながら、共感できるか判断しましょう。

費用は長期的な視点で比較する

自然素材の家は、建築費用が高くなる傾向にあります。自然素材を使用すれば、建築費用が割高になることは避けられませんが、メンテナンスを含めて長期的な視点による比較が重要です。自然素材は適切にメンテナンスすれば、数十年単位で使えることもあります。

よって、将来的な修繕のコストが、一般的な住宅と比較して安くなる場合もあるでしょう。また、冷暖房に頼りすぎずに快適な室内環境を維持できる点は、長期的なランニングコスト削減につながるため、大きなメリットになります。建築費用のみで比較するのではなく、長期的な視点で考えると、お得になる可能性があるでしょう。自然素材の家は、生涯にわたって暮らす家を建てる場合に向いています。

信頼できる工務店を選ぶ

自然素材の家を建てて後悔しないためには、信頼できる工務店や施工会社を選ぶことが重要です。自然素材は扱いに専門的な知識や技術が必要で、経験の浅い会社に依頼すると、施工不良やトラブルにつながることも。そのため、実績豊富で施工事例が多い工務店を選ぶことが欠かせません。

信頼できる工務店であれば、建築前の段階からさまざまなことを相談できるため、後悔する可能性を減らせます。自然素材の家の建築を成功させるために、実績が豊富な専門の工務店・施工会社を選ぶようにしましょう。

まとめ

自然素材の家で後悔する原因は、建築後の必要なことに関する理解不足が多くのケースを占めます。自然素材に対して、「健康にいい」、「快適に過ごせる」などのポジティブな側面以外を知らずに建築してしまうと、あとから「こんなはずではなかった」と後悔するかもしれません。

また、一般的な住宅ではマイナスととらえられる経年劣化を、自然素材の家は味わいとして楽しむものとしてとらえています。価値観に対する理解も重要であり、共感できないまま家を建てることがあれば後悔につながるでしょう。理解不足を避けるために、事前の調査を怠らず、工務店などの専門家に気になることは質問する姿勢を持つことが重要です。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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