このページの一番上へ

注文住宅の照明選びの方法は?種類と費用、よくある失敗と対策を解説

注文住宅の照明の選び方は?
注文住宅の照明選びでは、用途に合わせた器具の選定が大切です。器具のデザインだけではなく、明るさや器具の種類、部屋によってどのような器具が適切で、どう配置をすればよいかなど、用途に合わせた照明選びをしなければなりません。

注文住宅は、照明で印象が大きく変わります。「光の色温度により、せっかくの落ち着いたインテリアが青白い照明で照らされることになってしまった」「素敵なデザインだと思ったが、照度が足りなく読書ができなかった」このように照明選びで失敗しないためにも、部屋の用途に合わせた照明の特徴を知り、住宅づくりに役立てましょう。

注文住宅の照明で知っておきたい「照明計画」とは?

照明計画は、空間の印象を決めるうえで大切な工程です
照明計画は、空間の印象を決めるうえで大切な工程です

「照明計画」とは、用途や目的に合わせて、明るさ・光の色・光の広がり方の計画を立てることです。
住まいの印象は、内装の仕上げ材や色だけでなく、照明でも大きく変わります。部屋に奥行きや変化をつける照明の使い方や、それぞれのシーンに合わせた照明の種類と特徴を解説します。

部屋をすっきり広く見せたいのか、落ち着いた雰囲気にしたいのかなどどのような印象にしたいのかを決めて、部屋のテイストや家具の雰囲気に合った照明を選ぶと、統一感のあるインテリアに仕上げられるでしょう。

注文住宅の照明の種類

注文住宅の照明にはどういった種類があるのでしょうか。「すっきりモダンでスタイリッシュにまとめたい」「照明器具を印象的に際立たせたい」「注文住宅ならではのメリットを活かし、照明を建築に組み込んでかっこよく照らしたい」などケースがあります。照明は、空間に個性を与えるインテリアエレメントとして最近特に注目されています。

注文住宅に使われる代表的な照明の種類や特徴を見ていきましょう。

シーリングライト

シーリングライトは日本の多くの住宅で導入されている照明です(画像提供:Color Design Firm)
シーリングライトは日本の多くの住宅で導入されている照明です(画像提供:Color Design Firm)

シーリングライトは、天井に直に取り付ける照明器具で、日本でよく使われています。

特徴

部屋の最上部となる天井の中央に取り付けられることが多く、全体を効率よく照らせます。リビングやダイニングを始め、部屋の主な光源として使用されることが多い照明です。

メリット

比較的安価なうえに種類も豊富なのは大きなメリットでしょう。形もシンプルなのでどの部屋にも合いやすく、薄型で圧迫感を感じさせないものや和室に合うもの、サーキュレーター付きのものなど幅広く選べます。調光・調色できるタイプや、リモコンで操作できるタイプ、省エネで長寿命、虫が入りにくいタイプなどもあります。取り付け・変更も容易です。

デメリット

天井に存在感が出やすいため部屋の印象を左右しやすかったり、部屋の隅が比較的暗くなりやすいデメリットがあります。

費用

機能やデザインにより異なりますが、1,000円台から7,000円台が一般的です。

ダウンライト

ダウンライトは天井に埋め込む照明です
ダウンライトは天井に埋め込む照明です

天井に埋め込む照明器具です。器具自体の大きさは10cm以下のものが多く、モダンでスタイリッシュにまとめたい時に使用されます。

特徴

ダウンライトは天井に埋め込まれており、比較的主張が少ない照明です。口径が小型のデザイン性の高いものから、口径が比較的大きく明るいものまで、選択肢が多くあります。明るさを確保するため部屋の四隅に複数で配置したり、シーリングライトと組み合わせたりして使用されることも。箱物の下やクローゼットに使用できる浅型で小さいものもあります。

メリット

照明器具自体が天井に埋め込まれているため目立ちにくく、部屋全体をすっきりとした印象にできるでしょう。また、散光タイプや集光タイプなど、照らし方も選べるので、好みや部屋の印象にあったものを選べるメリットがあります。

デメリット

ダウンライトは天井に埋め込まれているため、一度取り付けると位置の変更は困難です。光の届く範囲が制限されるため、影ができやすいデメリットもあります。ダウンライトで十分な明るさがとれるのか、どう配置すればよいかなど、具体的に考える必要があるでしょう。さらに、小さな口径からの光となるため光源が目に入り眩しいことがあります。

費用

調光や人感センサー、リモコン付きなど1万円前後から10万円を超えるダウンライトまで、機能やデザインにより価格は異なります。導入する際は配置や数、機能やデザインを吟味するとよいでしょう。

ペンダントライト

ペンダントライトは吊り方でさまざまな印象が楽しめます(画像提供:Color Design Firm)
ペンダントライトは吊り方でさまざまな印象が楽しめます(画像提供:Color Design Firm)

ペンダントライトは、一灯をシンプルに吊るだけでなく、多灯吊りや、同じ素材で形を変えるなどなど、吊り方自体でリズムや変化を持たせられる照明器具です。

特徴

ペンダントライトは器具がコードで吊り下げられているのが特徴です。光が放たれる高さが天井より下がり、光が拡散する面積も狭くなります。ダイニングテーブルやソファのサイドテーブルのうえに吊ると、テーブル面に光が投影され、光に人が集まるようなフォーカルポイントを作り出せます。多灯吊りして変化を付け、吹き抜けに使用してもよいでしょう。

メリット

ペンダントライトはデザイン性が高く、空間をおしゃれに演出できるメリットがあります。また、取り付けや位置の変更も容易で、模様替えもしやすいでしょう。

デメリット

吊られた位置からの光となるので、光源との距離が近く、影が出やすくなります。また、シーリングライトと比較すると照らされる範囲が限られます。比較的低い位置から照らすので、小さなお子さんがいるご家庭では、光源に触れてしまう可能性も。さらに埃などの汚れも目につきやすいでしょう。地震の際には照明が揺れるので、場合によっては落下してしまうリスクもあります。

また、ほかの照明器具と比較して配置する際に考えなくてはならない点が多くあります。最近はデザイン性の高いものも多いため気になりにくいポイントではありますが、天井の電源から吊られた器具まで電気を供給する必要があるため、コードが見えます。器具に重量がありコードだけで持たせられない時は、ワイヤーやチェーンで補強して吊る必要があるでしょう。

重量のある照明の取り付けには、器具を保持するのに十分な下地補強と、取り付け位置への電源の確保が必要です。配線を天井に露出させずすっきり納めるには、事前の計画が重要です。

費用

ペンダントライトはデザインが際立つのが特徴で、5,000円以下の手軽なものから40万~50万円を超えるものまで幅広くあります。

ブラケットライト(壁付け照明)

ブラケットライトは壁面に取り付ける照明です
ブラケットライトは壁面に取り付ける照明です

ブラケットライトは壁面に取り付ける照明器具です。影や器具の形状で楽しめます。

特徴

器具のデザインに加え、光の出方によって壁の陰影が生じるものもあり、洗練した印象が作れます。コンセントタイプの器具もありますが、多くは直付けとなり工事が必要です。

メリット

壁に陰影を作りやすく、おしゃれな空間を手軽に演出できます。小スペースでも設置できるため、狭い場所でも取り付けが可能です。奥行きが出ることで、空間を広く見せることもできるでしょう。

デメリット

設置する位置次第では、邪魔になってしまう可能性もあります。設置を検討する際は設置する位置を具体的に決めておきましょう。さらに、電球の交換が必要となった時手が届かない、目線に近く埃が気になるが自分で掃除しづらいなどのデメリットもあります。

費用

ブラケットライトは4,000円~10万円を超えるものもあります。

フットライト

フットライトは足元に付ける小型の照明です。

特徴

低い位置を明るくすることで歩行を誘導する際に使用します。廊下や階段、寝室など、夜間の移動時に安全を確保するために設置することが多いです。

メリット

寝室や廊下などわずかな光で足元を照らし、歩行を安全に導きます。
常夜灯として使用する場合は自動で点灯する人感センサー付きのものを活用するとよいでしょう。コンセントが一緒になっている製品もあるので、階段や廊下での掃除機用電源としても活用できます。

デメリット

コンセントに差すものもありますが、多くは工事が必要です。また、人によっては眩しく感じる可能性も。人感センサーで点灯するものを導入した場合は、センサーが頻繁に反応しわずらわしく感じる場合もあるでしょう。

費用

コンセントに差すタイプは手軽な価格のものも多くありますが、埋設するタイプは1万円程度からと高単価です。アプローチなどの外構で足元を照らすものは、防雨になると2万円以上するものもあります。

ライン照明(建築化照明)

ライン照明は壁や天井に組み込む照明です
ライン照明は壁や天井に組み込む照明です

建築化照明は、天井や壁、床など建築物の部分に照明を組み込む照明です。やわらかな雰囲気を演出できます。

特徴

テープライトなどを使用した面による光で照射するため、空間が落ち着いたやわらかい印象となります。器具を見せずに光をグラデーションに拡散できる特徴があります。空間に奥行き感や落ち着き、深みを持たせられるでしょう。

メリット

空間を広く見せることができ、洗練された高級な印象が作れるメリットがあります。また、眩しさが少なく目に優しい照明です。

デメリット

建築と一体となる施工が求められます。そのため組み込む場所の選定や、トランスの設置、配線の埋設など、工数が多い傾向にあるため比較的高価です。また、手元を照らすには別途照明が必要なため、メイン照明としては不向きでしょう。

費用

一般的には10万円~30万円程度といわれていますが、場合によっては60万円以上と、さらに高額になることもあります。
また、後付け工事をする場合、周辺の工事費用もかかります。ライン照明をスッキリと納めきれないリスクもあり、その解決にもコストがかかるかもしれません。建築時に事前に計画するとよいでしょう。

注文住宅の照明の決め方

注文住宅の照明の決め方をご紹介します
注文住宅の照明の決め方をご紹介します

照明器具を決めるには、まず部屋のインテリアのテイストを決め、次に家具の配置を決めてから、部屋のイメージに合わせて具体的な照明の種類とデザインや、機能を考えるとよいでしょう。

照明は食事や作業をする際だけでなく、空間の演出の他、くつろぐため安全な歩行を促すためなど、さまざまな役割があります。それぞれの目的に合わせた適切な照明計画をしましょう。

実際に照明の明るさ・色・照らす範囲を確認する

まずは実際に照明の明るさ・色・照らす範囲を確認しましょう。

具体的には「部屋全体を一つの照明で照らしたい」「寝室で明るすぎない手元灯が欲しい」など、ケースに応じて適切な光の種類と照らす範囲を考慮し選定するとよいでしょう。

明るさ・光の広がり・色温度を決める

明るさ・光の広がり・色温度を決めます。

例えば、ダイニングテーブルの一角で勉強や作業や簡単な仕事をすることもあるでしょう。作業をする時には、手元を明るくして文字も読みやすい、昼間の光に近い昼白色光の照明をプラスするのがおすすめです。

食卓に団らんの雰囲気を出したい時や、食事をおいしく照らしたい時には、演色性の高い暖かいオレンジ色を帯びた電球色の光源にし、テーブル面の中央に明かりが灯るように照らすペンダントライトなどがよいでしょう。

部屋の用途や過ごし方を考える

照明を選ぶ際には部屋の用途や過ごし方も考えてみましょう。例えば、リビングで作業をする時もあるが、夜は落ち着いてくつろぎたい時には、調光・調色ができる器具にしておくとよいでしょう。調光・調色ができる照明は同じ部屋でも昼夜で印象を変化させられるメリットがあります。

他にも、寝室にはフットライトやライン照明を用いれば、就寝前に柔らかな照明で過ごすことができるでしょう。

部屋全体のテイストと調和するかを考える

部屋がシンプルなデザインか、ナチュラルな印象の部屋かなど、部屋のテイストと器具の素材や形を合わせると、マッチした印象になります。デザインや照らし方、素材などが部屋全体のテイストと合っているかを考慮し選定するとよいでしょう。

家具の配置も考慮する

照明の配置を決める時は、家具も考慮に入れましょう。家具の位置を考慮せずに照明を決めてしまうと、デスクで作業する際の手元が暗い、ベッドで読書をする際に手元の明かりがないなど、不便が生じてしまうかもしれません。照明に合わせて家具を配置する方法もありますが、動線がとれなかったり、家具の配置の自由度が下がることで、部屋の印象がイメージと異なってしまう可能性が高いです。家具の配置を決めてから、照明の種類や位置を決めることをおすすめします。

注文住宅の照明選びでよくある失敗と対策

注文住宅の照明でよくある失敗を知って、対策しましょう
注文住宅の照明でよくある失敗を知って、対策しましょう

ここでは、注文住宅の照明選びで起きやすい失敗とその対策を解説します。

想定していたよりも暗い・明るい

照明が想定していたよりも暗い、もしくは明るいケースです。明るすぎる時には、電球の交換で照度を落とすなどして対応しましょう。

暗い場合、器具の能力を超えた電球への交換は安全上の問題があるため避けてください(ワット数オーバーなど)。器具を交換するか、複数の照明を組み合わせ照度の補完をしましょう。

照明の位置が高くてメンテナンスしづらい

照明の位置が高くてメンテナンスしづらいこともよくある失敗です。ブラケットライトや吹き抜け灯は、高い位置に取り付けられることが多いため、交換が少なく済む寿命の長い光源にしておくとよいでしょう。また、配置を決める際にどのようにしてメンテナンスや掃除をするのか想定しておくことをおすすめします。

高い位置の照明のメンテナンスでコストがかかることも

高い位置の照明を自分でメンテナンスできない場合は、専門の会社に依頼するのも一つの方法です。自分で掃除するよりも安全・きれいな仕上がりが期待できます。一方で、依頼する際にはコストがかかることも考慮しておきましょう。

コンセントやスイッチの位置が使いにくい

照明用のコンセントやスイッチの位置が使いにくい失敗も生じやすいでしょう。テーブルランプ用にコンセントを設けたものの、コードが思いのほか短く端にしか置けないこともあります。

照明のスイッチの位置は、部屋の出入口近くなど生活動線をイメージしながら検討すると、不便なく使用できるでしょう。また、コンセントの位置も家具の配置や動線を具体的にしてから検討することをおすすめします。

照明の数が必要以上に多い

必要以上の数の照明を設置してしまうのもよくある失敗の一つ。例えば、リビングルームとトイレでは、必要な照明の数や種類は異なるでしょう。部屋の用途やどのような時に照明が必要かを具体的にイメージすることが失敗を防ぐポイントです。

デザインを重視しすぎて実用性がない

デザインを重視しすぎて、実用性が低い照明を選んでしまうこともあるでしょう。デザイン性を重視したい場所と実用性を重視したい場所を分けることをおすすめします。例えば、ダイニングルームでは料理や食事のために明るさが必要でしょう。一方で、個人の書斎ではデザイン性を重視した照明で、多少暗くても不便は少ないかもしれません。また、デザイン性を意識したいもののもう少し明るさが欲しいなどの場合には、デザイン性のあるものと実用性の高いものを併用することでデザイン性と実用性を両立できるでしょう。

照明の増設・変更が難しい

照明は電源がないと使えません。しかし、壁の中には柱や断熱材、その他の管やコードが収められているため、あとから新しい配線を通したり、既存の配線を動かしたりするのは容易ではありません。
あとから追加や移動となると、場合によっては下地を剥がしたり、壁に穴を空けて配線したりといった、大がかりな工事が必要になることも。また、やむを得ず配線が壁の外に出てしまう「露出配線」となることがあります。このようなことを防ぐためにも、事前に入念な計画を立てることが重要です。家族内だけでなく、施工会社の担当者とも打ち合わせを重ねながら、後悔のない照明の計画を立てましょう。

注文住宅の照明に関するまとめ

注文住宅の照明選びの方法を解説しましたが、最後に記事の内容をまとめます。

注文住宅の照明の種類は?

全体を照らすシーリングライトや、食卓のテーブルを照らすペンダントライト、シーリングライトと組み合わせて使用することの多いダウンライト、階段などの壁面を照らすブラケットライトがあります。足元の安全を確保する誘導灯となるフットライトや、注文住宅ならではの建築計画に組み込むライン照明などもあります。

注文住宅の照明の決め方は?

それぞれの器具の特性や使用する箇所に応じ、光源の種類や色、照度や眩しさ、取り付け位置などに配慮して選定をするとよいでしょう。

注文住宅の照明選びでよくある失敗は?

想定していたよりも暗い、もしくは明るすぎたり、照明の数が必要以上に多かったなどの失敗が挙げられます。さらに、デザイン性を重視して実用性が低いなどのケースも。それぞれ、完成した時のイメージを明確にしたり、必要な明るさや部屋の用途を想定することをおすすめします。高い位置に照明を設置する場合は、どのようにメンテナンスをするか想定しておくことも重要です。注文住宅の照明は、デザインだけではなく機能やコスト、メンテナンスの計画も十分にするとよいでしょう。

照明は機能でありながら部屋のアクセントともなるインテリアの一つです。空間を快適にする機能や特性を知ることが大切です。

注文住宅だからこそできる、使いやすさと光の効果が両立した照明計画で、理想の空間を叶えてください。

照明の用途と目的を洗い出し、それに沿って決めてシミュレーションをすると、失敗がない照明計画につながります。

網村眞弓

執筆者

網村眞弓

Color Design Firm代表

色彩や光と空間、人の暮らしとの関わり。ホスピタリティやウェルネスと、デザインとの融合など。長年にわたり、独自に研究し、実践してきたさまざまなテーマや方法論を駆使して、その成果のすべてを、皆さまの大切な住空間、商空間のデザインに活かして対応しています。インテリアをプロに頼みたいけれど、なんとなくハードルが高いなと感じている方にも、安心してご依頼いただけるよう心がけています。

関連する記事を見る
注文住宅を検討する際、「何から手を付けるべきなのか迷っている」「どの段階で何を決めればよいのかわからない」とお悩みの方は少なくないでしょう。実際、注文住宅では決めることが多岐にわたるため、全体像を把握しておかなければ、家づくりで失敗するおそれがあります。この記事では、注文住宅を建てる時の決めることリストを紹介します。リストを作成する際の注意点も解説しているので、家づくりの参考にしてください。
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る